D&F_00話

Last-modified: 2008-12-15 (月) 17:18:36

_____CE73、レクイエム付近_____

 

「やめるんだ、シン!」
「うるさい!裏切り者がーー!!」
2体の巨人が宇宙を舞っていた。
1体は紅の鎧をまとった騎士のようであり、
もう1体は赤い翼をもった悪魔のようであった。
「おまえは本当にわかっているのか!?
 デスティニープランがどんな結果を生むことになるのかを!」
紅い騎士___∞ジャスティスは盾に付いたシャイニングエッジを
投げつけた。
「わかっているさ、俺だってこのプランが100%全部を正しいだなんて
 思ってない……それでも!」
赤い翼の悪魔___デスティニーがビームシールドでシャイニングエッジを
払い、肩のフラッシュエッジを右手に持ち、肉薄した。
「戦争の無い世界が欲しいんだ!!!」
∞ジャスティスが盾で刃を防ぎ、腰のサーベルを抜いた。
「だからこんなプランを認めるのか!?
 人の生き方を決め付けた世界を!」
サーベルを縦に振るうがデスティニーはそれを避け、距離をとる。
「戦争の無い世界より、いい世界があるもんかーーー!!!」
大剣アロンダイトを構えて、光の翼を発生させ、
ジャスティスに再度、接近する。
「はやい!?」
「はあああああぁ!!!」
アロンダイトを縦に振り、ジャスティスは
ビームシールドを発生させる間も無く盾と左腕を両断される。
「くぅっ!まだだ!」
ジャスティスは脚のビームブレイドで回し蹴りし、
デスティニーの頭部を破壊する。
「こんのぉーー!!」
それでも怯まず、左手をジャスティスの頭部に伸ばし、
パルマフィオキーナで打ち抜いた。
「アスラン!これで終わりだあああぁぁぁ!!!」
「まだだぞ!シン!!!」
そのままデスティニーはアロンダイトを横に薙ぎ、
ジャスティスの腹部を両断した。
だがジャスティスは右手に持っていたビームサーベルで
デスティニーの胸部を貫いていた……。

 

「くっ……」
シン・アスカは自分の腹に刺さるコクピットの破片をみて悟った。
「俺は……あいつにやられたんだな……」
思い出すのは出撃前の友の声。
”だから……お前がギルと新しい世界を守るんだ”
「うう……レイ……ゴメン…………」
シン・アスカは火花を散らすコックピットの中で呟いた。
「議長を守るって……約束……守れそうに……」
次の瞬間、2体の巨人が崩壊し、爆散した。

 

___CE73、2人のコーディネイターがこの世界から消えた___

 

光が広がっている世界で……
「……ン……ン……シン…」
やさしい声が聞こえた。
「ステ…ラ?」
そこにいたのは、守りたくて……それでも守れなかった少女だった。
「ステラ……なんで……?」
何故、こんなところにステラがいるのかがわからなかった。
「シン……私ね、昨日をもらったの。
 ずっと消えない昨日を……」
「でも!俺は君を……守れなかった……」
火の海となったベルリンと湖に沈む彼女を思い浮かべる。
「うん、私は死んじゃったけど、
 死ぬのが怖くなかった……」
「えっ?」
以前は、死を異常に怖がっていたステラの言葉にシンは驚いた。
「シンが私に昨日をくれたんだよ。
 シンが私を救ってくれたの。」
「俺が?」
「うん、だから今度は私がシンに明日をあげるね」
やさしい声だった。
「でも、俺はもう……」
MSが爆散して生きられるとは思ってなかった。
「だいじょうぶ、今度はステラがシンを守るね……」
そしてだんだんとステラ・ルーシェは消えていく。
「まって!ステラ、どういうこと!?」
「だいじょうぶ、またね、シン……」
そして消えていった……
「ステラ!ステラーーー!!!」
シン・アスカは手を伸ばした。

 

___海鳴市、某マンション___

 

「ステラーーー!!!」
「きゃっ!?」
シン・アスカは目を覚ました。

 

「こ、ここは!?」
寝転がりながら辺りを見回した。
「あの?」
そこにいたのは金髪の少女だった。
「き、君は?」
「フェ、フェイト・テスタロッサです……
 そ、それより手をどけてください……」
なぜか恥ずかしそうに言う少女
シンはどうしたのだろうと思ったがすぐにわかった。
手が少女の胸に当たってたのだ。
「あっ、ゴメ……」
手を放し、謝ろうとしたができなかった……
「フェイトになにやってんだ!!!こんのスケベーーー!!!」
「ごふぉ!!?」
「あ、アルフ!?」
近くにいた女の人におもいきり殴り飛ばされた。
少女の驚く声が聞こえた気がしたが、
薄れ行く意識の中で
脳裏に映るのは、かつて友達に言われたラッキースケベの称号だった……