コーラサワーは上半身裸になり、ベッドにうつ伏せになった。
鍼灸医がマッサージを始める。
「うん? この人、ツボが微妙に違うな……」
「おい、どこがツボなんだよ。全然効かないじゃねぇか。あ、いててて、き、効いてきた。アテテテテ!!」
どうやら、つぼにあたったようだ。
「ちょっとツボが違いますが、やっと効いてきたみたいですね」
かなり凝っているらしく、コーラの顔に苦悶の表情が浮かぶ。
「ふっ。疲れなどとは無縁だと思っていたが、お前もやはり人間だったな」
グラハムはコーラの苦悶の声を聞いて、笑みを浮かべる。
さて、マッサージが終わったみたいだ。
「針は貴方にはスペシャルなものをご用意しましたよ」
「な、なんだよ。スペシャルな針ってのは?」
コーラサワーは鍼灸医の言葉に不安そうな表情を見せる。
「これですよ」
「なんじゃそりゃああああああああああ!!!!!!」
鍼灸医が見せた針は、畳針のような極太のものだっのだ。
「あなたには、これくらいのを使わないと効かないようですからね……フフフ」
「ヒ、ヒイイッ!!!」
不気味な笑みを浮かべる鍼灸医。
よほどその針を使いたかったのだろう。若干目がイっちゃっている。
コーラサワーはジョシュアのことをへタレといったことを後悔するも、もう遅い。
「それじゃ、やりますか」
鍼灸医はその針を、コーラサワーのツボにぶっ刺した。
「あぎゃーーーーーーーーー!!!!!!!」
「静かに。落ち着いて」
鍼灸医はお構いなしに別のツボにも極太の針を次々にぶっ刺していく。
そのたびに悲鳴を挙げそうになったが、ジョシュアやグラハムの手前、これ以上声をあげると笑いものになると思い、グッとこらえた。
本能のまま動くコーラにしては珍しいことだ。
そして、とどめの灸が出てきた。
それは、並みの人間なら一瞬たりとも我慢できない量の灸である。
火が灸の山につけられると、モグサ独特の匂いがコーラの鼻に入ってきた。
凄い煙の量だ。思わずむせ返るコーラ。
「ゲホッ!! ゲホッ!!」
そしてその灸がつぼに効いてくる。
「アッーーーーーー!!!!!」
拷問のような苦しみとはこのようなものをさすのだろう。
動くに動けず、苦しみはその灸が消えるまで続いた。
「はい、終わりです」
最後の整理体操が終わった時、その声が天使の声に聞こえた。
◆ ◆ ◆
「どうっだったかな?」
ほうほうの体で診察室から出てきたコーラに、グラハムがニヤつきながら尋ねる。
「ふ、ふん、あんなものかよ」
「その割には、イイ声が聞こえたが?」
「うるせぇ!!うるせぇ!! ちょっとイイ声出しただけじゃねえか!」
怒るコーラサワーであるが、口調には明らかに強がりが含まれている。
ジョシュアもニヤついていたが、コーラサワーの拳骨喰らってベソをかいたとこはへタレの面目躍如だろう。
「まっ、また来るからな。覚えていろ!」
「ほう、気に入ってくれたみたいだな。では今度はもっとスペシャルなメニューを用意してもらうようにしてもらおう」
「お、おう! 用意してもらおうじゃねぇか」
強がりを見透かすようなグラハムの物言いに思わず乗ってしまったコーラサワーであったが、気付いた時にはもう遅い。
さて、これからどうやって対応するのかはこれからのお楽しみ。
【あとがき】
どうも、不定期です。
最後はぐだぐだになってしまった感がありますが、コーラさんならなんか凝りに凝って最後はとんでもなくスペシャルな鍼灸をあみだしそうです。
それでは失礼します。また、ネタをだすのに苦しみそうですが……ではまた。