00-W_土曜日氏_107

Last-modified: 2009-07-04 (土) 19:24:20
 

 ♪Hitting Now マジでスペシャル Happy Wedding Colas' Talk
  映画タイムまで待てない
  被撃墜されても撃墜はNon Non Non
  精一杯 Shooting And Swing
  ワクテカが止まらない
  フルスロットルの脳内
  希望・欲望・煩悩 愛の告白ゴーゴー
  癒しどっさり持ちより
  New MOBILE SUIT 欲しがり
  台詞・出番が少ない 死亡フラグも相殺
  模擬戦で2000値 こなしたら飛ぶよ
  一話より凄く 一期より不死身ぶり輝く
  Winning Now ガチで結婚 Never Ending Colas' Life
  嫁マジ  カティだし待ったなし
  活躍しても昇進はNon Non Non
  目一杯 Good Luck イヤッホイ
  ガチでスバラシ Never Ending Colas' Song
  ラストのシーンには持ってこい
  片想いでも最後は Shu-Wa We Go
  成就で Getting Beauty Bride♪

 
 

 たんさん! Colasuki!Ace!
 ……いや、特に視聴してたわけではないが、古い歌ばっかりだとダメだと思ったんだ。
 それだけです、ハイ。

 
 

「ふあああああ」
「また欠伸か」
「だって暇でよー」
「もう何度繰り返した……このやりとり」

 

 プリベンターは暇だった。
 大きな事件も今のところなく、式典の護衛程度は彼らにとって苦になるものではない。
 世界を裏から守る隠密同心だからと言って、厳しい訓練のプログラムがあるわけでもない。
 つうかここにいる面子は今更訓練の必要性がない程に全ての面においてプロフェッショナル揃い、言わば完成品を選り集めてきた、レアル・マドリーもバルセロナもマンチェスターUも真っ青の集団であるからして。
 あ、新聞でマ○チェスター・ユナイテッドをマンUと略すのはどうかとずっと前から思ってるわけですが、まぁどうでもいいですねそうですね。
 ほな何かい、ア○セナルを略すとアナあわばばばばばば。

 

「だいたいあと少しで結婚式なんだろうが、欠伸ばっかりしてる場合か」
「……」
「ど、どうした」
「……む、むふふ」
「一瞬溜めて気色悪い笑い方をするな! 三十代!」

 

 何つーか平和である。
 それはそれでいいことだ、きっと、多分。

 

 ◆ ◆ ◆

 

「ふあああああ」
「また欠伸か」
「だって暇でよお」
「もう何度繰り返したろうね、このやりとりをにぃにぃズは」

 

 世界政府の議事堂からそれほど遠く離れていない路地の裏に、一つ小さな運送会社がある。
 表通りから外れており、周囲は倉庫街なので人通りも少ない。
 強化コンクリートうちっぱなしのそのビルに掲げられた看板には、英語と日本語とエスペラント語とラテン語とサンスクリット語で詰め込み気味に社名が書かれている。
 『トリニティ運送』と。

 

「ここ最近仕事が無いんだぜ? おまんまの食い上げじゃん」
「ならば、マイスター運送のように小口の仕事を拾ってくるか?」
「……それはカンベンだぜ」
「きゃはははは、ミハにぃ怠けものー!」
「うるせーよ、ネーナ」

 

 先程大きな欠伸をしたのが、ミハエル・トリニティ。
 深い青色の髪と鋭い目つきを持ち、見かけは短気そのものといった感じの青年だ。
 そんな彼を諭しているのは、彼の兄であり、トリニティ運送の社長代行でもあるヨハン・トリニティ。
 冷静で沈着でもあるが、二十歳を越えて短パンを愛用するという愛嬌(?)もある。
 そしてそんな二人をからかうように口を挟んでいるのが、末妹のネーナ・トリニティ。
 無邪気で表情がコロコロ変わる美少女だが、何となく獰猛な山猫を思わせる雰囲気を持っている。

 

「別に構わないがな、今を生きるためには小さな仕事も必要だ。今までだってそうしてきたはずだ」
「んあー、でもよー」
「ミハにぃの性格に合わないだけだよねー、そーいうの」
「そうそう、そーいうこった! もっとこう、バーッとドカーンとズベーンと、大きな仕事がだなあ」
「……ミハエル、もうそのあたりにしておけ」

 

 ヨハンは語気を強めると、目を細めてミハエルを睨んだ。
 一瞬何かを言おうとしたミハエルだが、結局はヨハンの眼光に押されるように口をつぐむ。
 同時に、直接怒られたわけでもないのに、ネーナもまた押し黙る。
 トリニティ運送としても、血のつながった兄弟妹としても、長兄のヨハンの命令は絶対だ。

 

「ラグナに連絡を取る」
「えっ?」
「あそこなら、幾らか運搬の仕事を貰えるだろう」

 

 ラグナとは、リニアトレイン社の総裁のことであり、フルネームはラグナ・ハーヴェイという。
 かつてはOZの元、公社として軌道EVを全て管理運営していたが、OZ崩壊の前に協力関係を打ち切り、今に至っている。
 以前程の影響力はないものの、それでも宇宙と地球を繋ぐ最大手の輸送・運送会社である。

 

「うー、仕方ねえかあ」
「お金なくなっちゃうと御飯食べられないもんね」
「……」

 

 弟と妹の言動に、ヨハンはやれやれと肩を小さくすくめた。
 この二人を纏めるのは、なかなかに苦労が必要なのだ。

 

「まったく……ん?」

 

 そして席を立ち、通信用モニターに近寄ったところで、ヨハンは動きを止めた。

 

「……どうしたの、ヨハンにぃ?」

 

 ネーナがヨハンの背中にいぶかしげに言葉をかける。

 

「ミハエル、ネーナ」

 

 そんなネーナに返ってきたヨハンの声は。

 

「今すぐに臨時休業の張り紙を表に貼れ」
「えっ?」
「暗号通信が届いている。……動く時が来たぞ、どうやら」

 

 炎すら凍らせる吹雪のように、冷ややかで重たかった。

 

   ◆   ◆   ◆

 

「たーたーたー、タクラマカン砂漠!」
「く、く、く、車懸り!」
「りーりーりー、リボンアート!」
「と、と、と、東海一の弓取り!」
「りーりーりー、ってまたかよ! えーと……」

 

 プリベンターは絶賛お暇なら来てよね状態である。
 で、とうとう耐えかねたオバカ二人組が、またぞろオバカな遊びを始めてしまった様子。

 

「何やってるんですデュオ、あの二人は?」
「見たらわかるだろカトル、しりとりだよ」
「……しりとりにしては、単語が微妙に反則気味な気もしますが」
「まーな、本来ならタクラマカ『ン』でアウトだし、懸『り』や取『り』もダメだろ」

 

 パトリック・コーラサワーとグラハム・ブシドー・エーカーのガチのしりとり勝負、これは双方真っ向勝負。
 周りは引いちゃってるが、本人たちは退けないのだ。
 仮にも一軍のエースだった人間が小学生レベルのやり取りをするのは何とも悲しい限りだが、ある意味MS(これはモビルスーツ)の操縦に知性はともかく人格性格は関係ないとも言える一場面ではあろう。

 

「リンカーン大統領!」
「う、う、ウルトラ袈裟切り!」
「なんじゃそりゃあ! 滅茶苦茶だろ!」
「問答無用! 続行! それとも逃げるか?」
「誰が逃げるか! リー、リー、リー、リリー・マルレーンを聴いたことがありますか!」
「か、か、か、唐竹割り!」
「またかよー! リー、リー、リー、リゾートアイランド!」
「ど、ど、ど、道頓堀!」
「いーかげんにしやがれーっ!」

 

 デュオとカトルは大きくため息をついた。
 お前ら二人がいい加減にしろよ、と思いつつ。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――

 

 

【あとがき】
 あともうちょっとで二部終了ですかねコンバンハ。
 そして、三沢光晴氏とテッド・タナベ氏のご冥福をお祈りします。
 一時、日プもインディーもアメプもまとめて雑食ファンだった頃がありました。
 今はすっかり離れてしまいましたが、知っているレスラーやレフェリーが他界してしまうのは寂しくて悲しいものです。
 では次回までサヨウナラ。

 
 

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