00-W_模倣の人氏_15

Last-modified: 2009-01-20 (火) 22:22:52
 

「時にカタギリ」
「なんだい?グラハム」

 

 かに鍋を突付きながら、二人のやりとり。
 ビリーから昼食に誘われ向かった先がこの鍋物料理屋で、現在の季節(夏です)にそぐわぬ熱々の鍋を二人は平然と食していた。
 まあ、夏だからといって冷たいものばかり食べていても身体には悪く、夏バテ防止の意味でも熱い汁物は最適なのだ。
 しかしそんな状況で顔に汗一つかかずにいられるのは、人前で無様な姿を晒さぬよう重ねた努力の賜物である。
 が、当然服の中は物凄い勢いで大量の汗が流れていてとても暑い。
 そのため、二人ともズボンを足首まで下げていた
 もちろんこんな恥ずかしい真似が出来るのはここが個室であるが故。

 

「そういえば、君の研究所の名前を訊いていないことに気づいてな」
「あれ、そうだっけ。言われてみれば、君が僕の研究所に来たことなかったねえ」

 

 世界政府設立に伴いユニオン軍が解散してからも二人の交流は続いているが、思えば大抵のやり取りはメールで済んでいたし、会うときはビリーがグラハムを訪れるかどこか別の場所で落ち合うかのいずれかであった。
 ずずっと小鉢の中に残った汁を啜って、ビリーが言う。

 

《Bio & Mechanics カタギリ総合研究所》だよ」
「・・・・・・カタギリ」
「なんだい?」
「友として一つ忠告しよう。今すぐにでも改称すべきだ」
「何故だい?」
「わからないのか?」

 

 ビリーは小首を傾げて考える素振りを見せたが、やがて頭を振った。

 

「わからないねえ」
「そうか、ならいい。私は忠告したからな」

 

 グラハムは目を瞑って、備え付けの団扇で太腿を扇ぎながら思う。
 きっとその研究所は世間では『バカ総研』と呼ばれているのだろうな、と。
 だが本人は疑問に思っていないようなので、わざわざ自分が指摘する必要もあるまいと、グラハムは敢えて
口を噤むことにしたのだった。

 

 

【あとがき】
 かに鍋食べるのがコーラさんじゃなくてごめんね皆様ご機嫌麗しゅう。
 この二人が揃うと何故かグラハムが常識人になる不思議。
 昔のフ○ミ通は面白かったですね、
 ゲ○ム帝国とバ○総研とし○わせのかたちとアバタ○エクボとあそ○じゃないのが好きでした。
 もうすっかり内容は忘れましたが。
 岡○つぐおはもっと評価されるべき。それでは。

 
 

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