CCA-Seed_◆wjA9YKZn62 氏_第1話

Last-modified: 2012-09-12 (水) 15:57:55
 
 
 
 

「ア、アクシズ…シャア…?消えただと…?何だ?何が起きた!?」
「アムロ…こちらも確認したがアクシズとサザビーの反応が完全に消えた…。」

 

宇宙世紀0093…
地球連邦軍外郭新興部隊ロンド・ベルは
シャア・アズナブル率いるネオ・ジオン軍と激しい戦闘を行っていた。
しかし、戦闘宙域にはネオ・ジオン軍の旗艦レウルーラとギラ・ドーガ部隊だけが残っていた。

 

「ブライト艦長!指揮官とアクシズ消滅でネオ・ジオン軍は完全に浮き足立ち撤退態勢に入ってます。
追撃をし今の内に叩くべきでは?」

 

指揮官を失ったネオ・ジオン軍は統制を失いギラ・ドーガや量産型のヤクト・ドーガ部隊は
次々とムサカやレウルーラに帰艦して行く。
それを見たラー・カイラムの副官であるメランはここが勝機と見たのか
ブライトに追撃をするべきと具申した。

 

「いや、何が起きたかは知らんがこれ以上無駄な血を流す必要は無いだろう。
…総員に告ぐ!!目標であるアクシズは消滅した!!撤退するネオ・ジオン軍には手を出すな!」
「か、艦長!?」
「状況を見れば明らかだメラン。
確かに今がネオ・ジオン軍壊滅のチャンスだが、敵は指揮官を失い撤退。
目標であるアクシズの地球落下は無くなった。
腑に落ちない点はあるがこれ以上の戦いはこちらにも被害が出るだけだ。
各艦隊に打電だ!
只今も持って本作戦は終了し、各MS部隊は直ちに各艦へ帰艦!!
アムロ、お前も帰艦を。」
「…了解。」

 

ブライトはメランの意見が間違っていないと判断しながらも、
こちらの艦隊にも少なくない被害がある今、両軍の間にこれ以上の被害を出さぬ為の道を選んだ。
帰艦命令を聞いたアムロはまだざらついた感覚に囚われていた。

 

「シャアのプレッシャーじゃない…何が起きている…?」

 

アムロは体全体に張り付く感覚を覚えながらもラー・カイラムに帰艦するその直前
突如コックピットに警告音が鳴り響く。

 

「…!!なんだ!?」
「!?新手か!?ウォレス!レーダーに反応は?」

 

警告音が鳴ったのはνガンダムだけでなく宙域に残ったロンド・ベル隊全てに反応があった。
ブライトは直ぐにオペレーターのウォレス・チェンバレンへ周辺の確認をする。

 

「こ、これは…所属不明機1!?
消滅したアクシズの座標点からです!!」
「何?シャアか!?」

 

ウォレスの通信を聞いていたアムロが即座に反応し、確認をする。

 

「いえ…違います。サザビーの識別信号とも一致しません!!
しょ、所属不明機から高エネルギー反応です!!」
「何!?」

 

ウォレスが確認し、シャアではないと判明したその時、謎の機体から巨大なエネルギーが放射された。

 

「艦長!!先程、アクシズが消滅した瞬間と同じです!」
「な…なんだ…あれは?髭…だと?」
「ちょ、…蝶々…?」

 

ウォレスはブライトへ報告するが
ブライトはモニターが捉えた映像に驚愕していた。
アムロも同様に先に見える蝶々の羽根のように広がる巨大なエネルギーに唖然とした表情を浮かべていた。

 

「艦長!!退避を!!何か分かりませんが、ここは危険かと!」
「…くっ。総員退避せよ!!」
「だ、駄目です艦長!エネルギーは肥大を続け…う、嘘だろ!?の、飲み込まれます!!」
「く…何だ一体!?」

 

メランとブライトはこの状況を危険と判断した。
ニュータイプ以外の人間でも危険と感じる異様な光景であり、
謎の機体から放出された巨大なエネルギーは瞬く間にラー・カイラムやνガンダムを飲み込んだ。

 

「「「うわあぁぁぁぁぁ」」」

 
 
 
 

………………??

アムロ達には何が起きたのか、今の状況を飲み込むのにどれくらい時間が必要だったのか。
突如現れたMSによる膨大なエネルギー放出で死んだものと思っていた。
しかし、時間にして5秒ほどしか経っていないが
アムロ含めラー・カイラムのブライトやクルー達も生きていると気付く。
と、それと同時に全員が大きな異変に気付く。

 

「…応答してくれ。アムロだ。……地球は…どこにある?」
「…目の前は宇宙空間だけだ……アムロとにかく今は帰艦してくれ、話はその後だ。
…シーサーとウォレスは現在の座標をチェック、他の者は各部異常は無いかチェックをするんだ。」

 

アムロとブライトは先程まで目視出来るほどの距離にあった地球が無い事に戸惑っていた。
しかしブライトは各クルーに動揺した顔を見せまいと、
まずは状況を整理する為にブリッジクルーに指示を送る。

 

「艦長…これは一体。」
「メラン…今は情報収集に集中して欲しい。今は落ち着くしかない。」

 

メランもさすがに動揺をした様子でブライトに話かけるが
ブライトは副官であるメランに落ち着くように促した。
しばらくするとアムロがブリッジに入ってくる

 

「ブライト…他の艦隊との通信は?」
「いや、ラー・ザイムのカジマ大佐にも通信は届かない。」
「…では俺たちだけが助かったのか?後は地球もろとも…。」

 

アムロは帰艦し格納庫に入るなり異変に気付いていた。
自分や整備士以外のMSやパイロットが1人も戻っていない。
ブリッジに戻る途中に窓を眺め宇宙空間を見てみると戦闘後にあるはずのMSや戦艦の残骸が
まったく無かった事に気付き、艦隊も周囲に見えない事にも気付いたのだ。

 

「地球や艦隊がどうなったか分からん…
少なくとも、現状は各艦に連絡はつかず、現在の座標も不明。
そして、あのMSは地球を背にする形で我々に向けてエネルギー放出を行っていた。
これが嘘であって欲しい。」
「…どういう事だ?」
「つまりあのMSの標的はどういう訳か我々ラー・カイラムに絞っていた…
という可能性があるという事だ。」

 

ブライトがアムロへ説明するとアムロは眉を細めブライトへ説明を求めたが
メランがそのままアムロへ説明を要約した。

 

「俺たちだけに?なぜ、そんな事を。」
「そこまでは分からないが…一つだけ可能性があるとすれば
我々は別の宇宙空間に飛ばされたか、エネルギーの衝撃で飛ばされたかだ…
もしかしたら消えたシャアとアクシズに関係しているかもな…。」
「…な!?」

 

ブライトは状況が読めない全員に自分なりの見解を話した。
最初はアムロを含めメラン達クルーも唖然としていた。
しかし周辺に残骸が無い事や、ミノフスキー粒子が全く発見されない状況を考えれば、
その見解が最も現実的であろう事は、全員が非現実的な状況の中理解した。

 

「…ではブライトの見解が正しければ、俺たちはどうする?
いつまでも宇宙空間を彷徨う訳には行かないだろう?
補給も必要になってくるだろうしな…。それにシャアも何か関わっているならばなおさらだ。」
「ああ、分かっているさ。
シーサー、現在の座標が分からなくとも方位の計器は生きているんだろう?」
「はい。幸い、遠くから微弱な電波信号が発生しています。
まずは方位計を頼りにそこを目指します。」

 

アムロ達ラー・カイラムはブライトの言う可能性を考え、とにかく進路を地球に目指す事にした。
地球を目指せば必ずコロニーや宇宙基地が見つかるはずだと考えていた。
そしてアムロ達を乗せたラー・カイラムは何も無い宇宙空間を地球を目指し突き進むのだった。
その先は激動の宇宙だと言う事を知らぬまま…。

 

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