CCA-Seed_◆wjA9YKZn62 氏_第5話

Last-modified: 2012-09-12 (水) 16:00:55
 
 
 

「ラミアス大尉!」
「バジルール少尉!」
「御無事で何よりでありました!」
「あなた達こそ、よくアークエンジェルを…おかげで助かったわ。」

 

アークエンジェルに乗っていたナタル達はラミアスと再開を果たした。
ラミアスは激しい戦闘ゆえに生き残った部下達を労った。
そしてストライクからキラが降りて来た。

 

「!」
「おいおい何だってんだ?子供じゃないか!あのボウズがあれに乗ってたってのか。」

 

コックピットから降りて来たキラを見たナタルや整備士のコジロー・マードック曹長は
少年がストライクを操縦していた事に驚き顔を見合わせた。

 

「…ラミアス大尉…これは?」
「ああ…」
「へー、こいつは驚いたな。
本日付けでアークエンジェル隊に配属となったムウ・ラ・フラガ大尉、よろしく。」
「同じくアークエンジェル隊に配属になりました、ジャック・ベアード少尉であります。」

 

ナタルは思わぬ状況にラミアスへ説明を求めたが、ラミアスはキラを横目に困った質問だと感じた。
その時脇で話を聞いていたムゥとベアードがラミアス達の前に出て、敬礼をし挨拶をする。

 

「第2宙域、第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です。」
「同じく、ナタル・バジルール少尉であります。」

 

ラミアス、ナタル達士官、下士官達はムゥとベアードへ敬礼を返し、挨拶を済ませる。
それと同時にνガンダム、ラー・カイラムがラミアス達のもとに現れる。

 

「!!」
「あれは…G!?」
「何だなんだ!?」

 

ラミアスやアークエンジェルクルー達は突如、前に現れたMSとラー・カイラムに驚く。

 

「ラミアス大尉!安心して下さい今は友軍のはずです。」
「えっ?」
「もしかして戦闘中に外でザフトと戦ってたっていうのは…こいつらか?」

 

ベアードは動揺するラミアス達を落ち着かせるように言うと。
ムゥは戦闘中にベアードが言っていた友軍だと気付き確認する。

 

「はい。おそらくは僕のような転移者だと思います。」
「!?転移者…って、待って…あなたまで…?」
「はい。多分彼らは向こうの世界の地球軍です。詳しい説明は彼らが降りてから話します。」

 

その場に居合わせた全員が初めて見る転移者に緊張の面持ちでいた。
そしてラー・カイラムからブライトとメラン、ウォレス、シーサーが出てきた。
同時にνガンダムのコックピットが開きアムロも出てきた。

 
 

ラミアス達はこちらへ歩いて来るアムロやブライト達を待つが
ベアードが敬礼をすると続くようにムゥやラミアス達も敬礼をする。

 

そしてブライト達も見知らぬ軍服やノーマルスーツを着たラミアス達に向かい敬礼をし名乗る。

 

「地球連邦軍外郭新興部隊ロンド・ベル、ラー・カイラム艦長ブライト・ノア大佐だ。
こちらは副官のメラン少佐。」
「同じくMS部隊隊長のアムロ・レイ大尉だ。」

 

ブライト達は挨拶を済ますとラミアス達も敬礼をし挨拶する。

 

「……地球連合軍?聞いた事がない名前だが…?」
「え?は、はい。」
「それに見た事も無い戦艦とMSだが…新型か?…それとここの指揮官とパイロットは?」

 

ラミアスは転移者であっても大佐という階級を聞いて少し緊張していた。
しかし、ラミアスだけではなくムゥやナタル達士官も同様、緊張していた。

 

「……ブライト大佐。私からですが、失礼致します。
艦長以下艦の主立った士官は皆、戦死されました。
よって今は、ラミアス大尉かフラガ大尉がその任にあると思いますが。」
「…!?」

 

ブライトの質問に答えたのはナタルだった。
アークエンジェルの現状を報告し、それを聞いたラミアスは絶句する。

 

「無事だったのは艦にいた下士官と、十数名のみです。
私はシャフトの中で運良く難を。」
「艦長が…そんな…」

 

ナタルが報告を続けるとラミアスは最悪の状況になっている事に気付き、顔を下に向ける。

 

「…そうか、大変だったな。あの艦の現状は分かった…。」
「で、あのMSパイロットは?フラガ大尉とベアード少尉は分かるがもう1人いるんじゃないのか?」

 

ブライトがラミアス達の置かれた現状を見ていると昔の事をふと思い出しているようだった。
そしてアムロはノーマルスーツを着たパイロットが1人足りない事に疑問を持っていた。

 

「…御覧の通り、民間人の少年です。
襲撃を受けた時、何故か工場区に居て…
私がGに乗せました。キラ・ヤマトと言います。」
「ふーん。…で?」

 

ラミアスはアムロの質問にどこか歯切れの悪い返答だった。
その返答にムゥは反応を示し、ラミアスは少しバツの悪そうな表情を浮かべ話を続ける。

 

「…っ…彼のおかげで、先にもジン1機を撃退し、あれだけは守ることができました。」
「ジンを撃退した!?」
「「「!!?」」」
「あの少年が!?」

 

ラミアスの言葉にその場にいる全員が驚き、ブライトとアムロは互いに顔を見る。
そしてムゥがおもむろにキラに歩み寄りキラへ話かける。

 

「な、なんですか?」

 

近づいて来たムゥにキラは少し警戒したような表情で問いかける。

 

「君、コーディネイターだろ。」
「「「!!!」」」

 

ムゥの予想外の言葉に一気にその場に緊張が走る。
そしてキラ少し間を置いて顔を上げ答える。

 

「……はい。」

 
 
 

~ヘリオポリス周辺宙域~
ヴェサリウス艦内

 

「ミゲルやバーチ達がデータを持って帰ってくれて助かったよ。
でなければ、いくら言い訳したところで、地球軍のモビルスーツ達相手に機体を損ねた私は
大笑いされていたかもしれん。
オリジナルのOSについては、君らも既に知っての通りだ。
なのに何故!この機体だけがこんなに動けるのかは分からん。
だが我々がこんなものをこのまま残し、放っておく訳にはいかんと言うことははっきりしている。
捕獲できぬとなれば、今ここで破壊する。
戦艦もな…。侮らずにかかれよ。」
「「「は!」」」
「ミゲル、オロールは直ちに出撃準備!D装備の許可が出ている。
今度こそ完全に息の根を止めてやれ!」
「「はい!!」」

 

クルーゼ隊は再び行う戦闘の為に態勢を整えていた。
クルーゼはムゥのネティクスを追い詰めたが
ストライクによって機体を損傷させられた上に
他のストライクを含む3機ものGを逃したとあってはクルーゼ自身、
立場が無くなる可能性もあった。
ヴェサリウスの艦長アデスはミゲルやザフト兵へ次の命令を出し、
ミゲルらの目は並々ならぬ決意の目をしていた。

 
 
 

~ヘリオポリス~

 

「な、なんなんだよそれは!」
「トール…」
「コーディネイターでもキラは敵じゃねぇよ!さっきの見てなかったのか!
どういう頭してんだよ、お前らは!」

 

キラがコーディネイターである事を知ると警備兵達がキラ達を取り囲み銃を構える。
同じゼミのトール・ケーニヒは差別によって銃を突き付けられているキラを必死に守ろうと声を荒げた。

 

「ラミアス大尉…。軍人が民間人に銃を向けるとはどういう事だ?」
「……アムロ、よすんだ。
ラミアス大尉とりあえず話をするのが先決だろう…とりあえず引かせるんだ。」
「そうですね…銃を下ろしなさい。」

 

アムロは民間人に銃を向ける光景に眉を細め、ラミアスやナタル達に詰め寄る。
ブライトがアムロを制止しラミアスに進言しラミアスは警備兵に銃を下ろさせる。

 

「ラミアス大尉、これは一体…」
「そう驚くこともないでしょう?ヘリオポリスは中立国のコロニーですもの。
戦渦に巻き込まれるのが嫌で、ここに移ったコーディネイターが居たとしても不思議じゃないわ…
違う?キラ君。」
「ええ、まぁ…僕は一世代目のコーディネイターですから。」

 

ナタルがラミアスに説明を求めるとラミアスは自分なりの見解を示しキラに確認する。
オーブ首長連合王国には戦渦に巻き込まれぬように
ナチュラルやコーディネイターの亡命を受け入れている国だった。
キラのように両親がナチュラルだったりハーフコーディネイターの多くはオーブへ移住している。

 

「そうか…両親はナチュラルってことか。
…いや、悪かったなぁ。とんだ騒ぎにしちまって。
俺はただ聞きたかっただけなんだよね。」
「フラガ大尉…」

 

ムゥは軽い気持ちで聞いた事が騒ぎになった事をキラに謝る。
そしてそれを見ていたブライト達が問いかける。

 

「すまないが、先程から言っているナチュラルやコーディネイターとはなんだ?」
「ああ…説明してくれるとありがたいんだが。」
「あっ!?し、失礼しました!
では説明しますので、あちらのテントで話しましょう。
ベアード少尉?立ち会ってくれるかしら?」
「了解しました。白い流星と伝説の指揮官にお目にかかれるとは光栄ですから。」

 

アムロやブライト達が話の流れを読めない為、ラミアスに聞くが
ラミアスは先程の騒ぎからアムロ達が転移者である事を忘れていた。
説明が曖昧にならぬよう同じ転移者であるベアードに立会いをしてもらい
アムロ達と共にテントへ移動しラミアスは説明を始めた。

 
 
 

~ヘリオポリス宙域~
ヴェサリウス艦内

 

「D装備だってよ。」
「要塞攻略戦でもやるつもりなのか?クルーゼ隊長は。」
「でも、そんなことしてヘリオポリスは…」

 

ヘリオポリス、モルゲンレーテ社の工場からGの強奪に成功した若き赤服兵士、
イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、ニコル・アマルフィは
艦内の休憩所で忙しないドッグを眺めながら話をしていた。

 

「しょうがないんじゃない?」
「自業自得です。中立とか言っといてさ。」

 

ニコル・アマルフィは拠点制圧用のD型装備を始めるジンを見て、ヘリオポリスの崩壊を懸念したが、ディアッカやイザークは気にも止めない様子だった。

 

「お?こりゃご苦労さん。
若き赤の英雄殿じゃない。お前達は任務成功したそうだな。」
「ライデン少佐。ありがとうございます。
大変でしたね…ご無事で何よりでした。」

 

イザーク達の元にジョニー・ライデンが訪れ、イザークらを労うと
ニコルは敬礼をしジョニーと言葉を交わす。

 

「これは紅い稲妻殿、新型を撃退されながらも生きているとは流石ですね。」
「イザーク…!!」

 

イザークとディアッカはジョニー・ライデンが転移した際にジョニーと交戦しており、
2人は撃退の憂き目に会いナチュラルであるジョニーに対してライバル視していた。
イザークがジョニーに対して皮肉を言うと、ニコルが宥める。

 

「ははは。気にするなニコル・アマルフィ。
まあ相手が悪かったってのもあるが、痛い所を突くな。」
「ふん…ザフトの『黒服』でもナチュラルは所詮ナチュラルという事ですかね。」

 

ジョニーはイザーク達の皮肉にも意を介さず、笑って話を進める。

 

「お前さん達はまだ若いが時には引き際も大事だ、それも一つの兵法みたいなもんさ。
でなきゃあの時のように死ぬ寸前まで追い詰められる。事は急ぐなよ?」
「……。」
「はい!ありがとうございます。」

 

ジョニーの話にはイザーク達は黙って話を聞くだけだったが、ニコルは敬礼をし返事をしていた。

 

  戻る