CCA-Seed_◆wjA9YKZn62 氏_第9話

Last-modified: 2012-09-12 (水) 16:03:44
 
 
 

「おい!あっちのモニターで外の様子が見えるぞ!」
「ーー!?」

 

アークエンジェル内で避難していたキラ、サイ達カトーゼミの面々は
設置されていたモニターで戦闘の様子を見る。
キラも一緒にモニターに目をやるとその場所にはモルゲンレーテの工場で奪われたイージスの姿もあった。

 

「…(アスラン…)。」

 

キラはアスランがザフトの兵士として地球軍と戦っている事に動揺していた。

 

「足付き!!くらえ!」
「させない!」

 

ミゲルの乗るジンはM69バルルス改・特火重粒子砲をアークエンジェルへ発射する。
しかし、アークエンジェルに付いたベアードのブロッサムは
ビームライフルで対抗しエネルギーはぶつかり合い大きな爆煙が舞う。

 

「やらせない!」
「フン!そうら!!」

 

ミゲル機はブロッサムが接近戦に持ち込めない距離を保ち重粒子砲を放ち続ける。

 

「くっ!!艦長!距離を取られ過ぎてなかなか接近戦に持ち込めないです!
他のザフト兵とは動きが違いますよ!
これじゃイタチごっこみたいなモンです!」
「くっ!!」

 

ベアードはミゲル機と戦闘が硬直した状況に苛立ちを隠さない。
ラミアスもジリ貧になるとは考えていたもののこれではマズイと感じていた。

 

「防御射撃だけじゃ限界があります!!
アークエンジェルだけでも牽制射撃をすべきじゃないですか!?」
「…分かったわ!ナタル少尉!!牽制射撃を行います!
相手の動きが止まった所でゴッドフリートで援護射撃を!絶対に外さないで!!」
「はっ!!」

 

ラミアスはベアードの意見を飲み牽制射撃の指示を送る。

 
 
 

~アークエンジェル艦内~

 

「あ、おい!!キラ!どこ行くんだよ!?」
「ーーーくそ!」

 

キラはトールやサイと共にモニターで外の様子を見ていて、
このままではアークエンジェルに危機が及ぶと感じ、本能的に足はデッキへと向かっていた。

 

一方、別働隊のオロール、グラム隊は横に前衛部隊を配置しながら進軍し、
後続には新型MSズサ・カスタム2機がラー・カイラムへ向けて展開して行く。

 

「オロール!!俺はミゲルの援護に向かう!」
「了解!2機は任せておけ!」
「アスラン・ザラ!油断するなよ!?」
「はい!!」

 

アスランはミゲルの援護に向かい、オロールとグラム隊から離れて行く。

 

「オロール!こちらは一気に片付けるぞ!!一斉射撃だ!」
「了解ですグラム隊長!」

 

グラムの指示によりグラム機は中央その横にオロールのジン、
ギラ・ドーガ重装型3機が並びνガンダムとネティクスへ一斉にミサイルを発射。
グラムのザクⅢ後期型はバスーカを放つ。

 

「ムゥ!ミサイルを撃ち落とすぞ!!オールレンジ攻撃だ!」
「了解!射撃はこういう使い方しかできんな!!」

 

アムロの合図にムゥは呼応し、νガンダムからはフィン・ファンネルが射出され、
ネティクスは有線式ビームランチャーが射出され
ミサイルの雨を撃ち落とし誘爆によりミサイルは次々と消滅する。

 

「しゃあ!」
「このまま爆煙に紛れて距離を縮める!」
「了解だ!!」

 

ザフトの攻撃にアムロとムゥは自分達の能力を活かした戦い方で対応する。

 

「なんだあの兵器!!ーーーどこへいった!?」
「!?」
「……いかん!?馬鹿者!散開しろ!!」

 

オロールはサイコミュ兵器による迎撃に驚いていた。
オロールとザフト兵達は目の前にミサイルの爆発で広がる煙によりνガンダムとネティクスを見失う。
グラムは危険を察知し、後ろに下がりながら各機へ散開するよう指示を送ったが一瞬遅かった。

 

「落ちろ!」
「うおりゃあ!」

 

「な!?ぐああああああ」
「うおわあああ」

 

アムロとムゥは左右に展開し横に並ぶギラ・ドーガ重装型2機をビームサーベルで
コックピットごと真っ二つにし撃破する。
近くのオロール機とギラ・ドーガ重装型の目の前で爆発が起きると
再びνガンダムとネティクスを見失う。

 

「くそ!?撃て!撃つんだ!!」

 

オロールは叫ぶと自らの乗るジンD型はM66キャニス 誘導弾発射筒を発射し、
ギラ・ドーガ重装型はランゲ・ブルーノ砲を放つが爆煙を突き抜け、
コロニーのシャフト部分に直撃した。

 

「なに!!」
「うわっ!」

 

その瞬間爆煙からνガンダムとネティクスが背面滑空のような体制で現れバーニアを止め、
目の前で止まると再びバーニアを全開にし
機体を起こしながらジンD型とギラ・ドーガ重装型の股からコックピット部分をサーベルで切り裂く。

 

「……ナ、ナチュラルなんかに!!」
「だ、脱出を!…!?」

 

ビームサーベルによりオロールとザフト兵は無惨にコックピットと共に爆発し、
オロールと別働隊の前衛部隊は一瞬にして全滅した。

 

ラー・カイラムはグラム隊の後衛部隊による攻撃を受けていた。

 

「弾幕薄いぞ!!攻撃は撃ち落とし続けろ!!」
「艦長!これでは防戦一方です!!火力重視のズサタイプ相手では限界があります!!」
「弱音を吐くな!!こちらは火力が強すぎて撃てないのだ!!耐えろ!」

 

ラー・カイラムはアークエンジェル以上の火力を持つ為にさらに不利な状況だった。
シーサーはブライトへ思わず弱音を吐きメランに一括される。
ズサ・カスタムの小隊は火力を活かしビームキャノンやミサイルランチャーを打ち続けている。
命中しなかったズサ・カスタムの砲撃は次々に表層部分に当たりコロニー内のいたる所が爆発して行く。

 

「アムロ、こっちはもういい!!ラー・カイラムがあのゴツいMS共に取りつかれてる!
あれじゃ戦艦もコロニーもヤバい!!緑のMSは俺に任せて行ってくれ!!」
「了解だ!無茶はするなよムゥ!
あのザクはこちらの動きを読んでいた!腕は良さそうだ!!」
「分かった!!」

 

ムゥがラー・カイラムの状況に気付くとアムロへラー・カイラムの援護に向かわせる。

 

「良い加減諦めたらどうだ!?」
「やらせないと言っている!これで動きを止める!!」

 

ミゲルとベアードは互いに鍔迫り合いの様相を呈していたがベアードが重粒子砲に対し、
右部のロングレンジビームランチャーを稼働させ発射する。

 

「く!?なんて威力だあれは!」

 

ミゲル機は重粒子砲を放つがビームランチャーにエネルギーが押される形でミゲル機の手前でエネルギーは爆発する。

 

「!?艦長、ジンの動きが硬直しました!」
「!ーーー今よ!射撃を許可するわ!!」
「ゴッドフリート照準、てぇーー!」

 

トノムラがジンの動きが止まった事に気付きラミアスが射撃指示を送るとナタルが呼応しゴッドフリートがジンを襲う。

 

「くっ!?ーーー当たる!」

 

ミゲルは直撃を覚悟し反射的に目を瞑ってしまう。
しかしその時イージスが横から現れジンを引っ張り、回避されてしまう。
外れたアークエンジェルの攻撃はシャフト部分に当たりコロニーは次々に破壊されてしまう。

 

「ーー外れた!?」

 

「ミゲル!!」
「ーーーーアスラン!?すまない!」

 

アスランはミゲルを助け、次は2機でアークエンジェルとブロッサムを相手にする。

 

「油断したな!?もらった!」

 

ジンはイージスにより撃退を免れたが、
気を取られてしまったミゲルはブロッサムの接近に気付かなかった。

 

「危ない!ミゲル!!!」
「なにっ!?ーーうわあああ!」

 

ベアードはビームサーベルを両手に持ちジンのボディを十字に斬り
コックピット部分から爆発しジンは大破する。

 

「ミゲルーーーー!!」

 

アスランは頭の中が一瞬真っ白になる、ブロッサムにより撃退されたジンは
腕だけが残りボディはバラバラに散っていた。

 

「ブロッサム、ジンを撃破しました!」
「分かったわ!ただこれ以上コロニーを傷付けられないわ!」
「では、どうしろというんです!?沈められろとでも!!?」

 

トノムラからの報告を受けたラミアスだがザフトの攻撃が次々にコロニー内部に直撃し
アークエンジェルのクルーも攻撃を外した事により焦りの色を出していた。
その言葉にナタルは食って掛かるように叫びブリッジ内に声が響き渡った時に通信が開く。

 

「艦長!!」
「?マードック曹長!?今は戦闘中です!」
「すいません!ですが、坊主が勝手にストライクに乗り込んじまって!!」
「!!何ですって!?」

 

通信して来たのはカタパルトデッキにいたマードックだった。
キラがストライクに無断で乗り込んだと報告を受けたラミアスは慌てた表情で指示を送る。

 

「あの子一体何を!?ーーストライクに通信繋いで!」
「はい!!」

 

ラミアスはストライクに通信を繋げさせるとモニターには報告通りにキラの姿があった。

 

「キラ君!いますぐ降りなさい!!あなたは民間人なのよ!?」
「そんな事言ったって軍のあなた達とザフトはコロニーを壊しているじゃないですか!
僕たちの住むヘリオポリスはこれじゃなくなっちゃいますよ!だから僕が止めます!!」

 

キラは激しい戦闘によりヘリオポリスの崩壊にいても立ってもいら
れなかった。
そしてアスランが乗っているであろうイージスを止めに行くつもりでもあった。

 

「ーーーっ!!マードック曹長!急いでストライクにソードパックを!!」
「!?艦長!!」

 

ラミアスはキラの言葉に覚悟を決めたようだった。
しかしナタルはラミアスの判断に驚愕する。

 

「ソードパックっ!?まさか坊主を出撃させるつもりですかい!?」
「いいから早く準備をしなさい!!ブロッサムとイージスじゃ機体の相性は悪いの!
このままじゃ余計に被害が広がるわ!!」
「了解です!!ーーおい!急いでソードパックを!」

 

マードックはラミアスに確かめるように聞いたが、
ラミアスは大声を上げるように押し切り、
気迫に押されたマードックは周りの作業員にソードパック着用の指示を送る。

 

「艦長!本気で出撃させるおつもりですか!?」

 

なおも食い下がるナタルにラミアスは再び口を開く。

 

「彼にストライクを操縦させてしまった以上は私が全ての責任を負うわ!!
だから今は作戦に集中なさい!」
「ーーー!」

 

ブリッジは既にラミアスの独壇場と化していたが、ラミアスの判断は間違っていなかった。
この間にもイージスとブロッサムは戦闘を行っていた。

 

「よくもミゲルを!!」
「ちっ!」

 

イージスは強襲型の一撃離脱戦法を得意とするMSであり、
後方支援型のブロッサムは相性の悪さからか徐々に押され始め、
イージスの4本のビームサーベルをかわし切れずに左部にあるディスクを破壊される。

 

「くそ!!高機動戦タイプには分が悪いな…!これじゃあ距離を保てない!ーーー!?」
「ーーーちぃ!?」

 

ベアードはイージスの早い動きに苛立っているとイージスに向かってアンカーが飛んで来たが、
イージスはこれをかわして動きを止める。

 

「キラ!キラ・ヤマト!」
「…。」
「やはりキラ…キラなのか?」
「アスラン!アスラン・ザラ!」

 

ベアードの危機に駆けつけたのはソードストライクに乗るキラだった。

 

ラー・カイラムはズサ・カスタムの攻撃を凌いでいた。
しかし、2機の新型MS相手では攻撃を相殺しきる事は出来ず
ズサ・カスタムの砲撃はコロニーに決定的な打撃となる攻撃が当たってしまう。

 

「ーーー!まずい!?ブライト!コロニーが崩壊を始めるぞ!帰還する!」
「何!?モニター出るか!?」

 

ブライトはアムロの言葉に耳を疑い、
モニターに映し出された映像を確認し苦虫を噛み潰した様な表情をしていた。

 

「くそ!!駄目だったか…!
了解だアムロ!!崩壊に巻き込まれぬように戻ってくれ!
メラン!おそらくコロニーの避難シェルターが射出されるだろう。
万一の場合に備え避難民受け入れの準備を。」
「了解です、艦長。」

 

ブライトはコロニーを諦め避難民受け入れの指示を出し、準備を整えるようにさせる。

 

「ラミアス大尉!ここはもうダメだ!!
コロニーが崩壊を始めた!!すぐにMSに帰還命令を!!」
「!?わ、分かりました!
出撃中の3機に帰還命令を出して!!宇宙空間に投げ出されるわ!」
「りょ…了解!!」

 

ブライトはラミアスへ指示を与えるとラミアスは慌てて帰還の指示を送らせた。

 

「アスラン…何故君が!?」
「キラ!お前こそ何故そんな物に乗っている!!」

 

キラとアスランは再び戦場で再会した。
しかし、ヘリオポリスの崩壊は無情にもこれからの2人に訪れる困難の道を造るかのように崩れて行く。

 

「!!うわああああああ

 

アークエンジェルへの帰還に間に合わなかったキラは
ストライクと共に残骸と共に宇宙空間へ投げ出されてしまった。

 

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