「脳波を活用した遠距離兵器、サイコミュか。驚異だな。
しかしウチではあまり役に立たないな。対応は検討すべきであるけれど」
僕は驚愕すべきともいうべき異世界の軍事技術に目を通す。
人間にこんな感覚があるというのだろうか。
ニュータイプ・・・。ウズミがなにやら彼らに期待したのはこれなのか。
SEEDにも興味を持っていたようだしね。
しかし、これだけで何か判断するべき内容じゃないな。
本国の情報省にある、ウズミがロンド・ベルを調査した記録を押さえる必要がある。
「だけどねぇ・・・」
失いし世界を持つものたち外伝16-1
「ユウナの失望」
僕は非難の目を彼女に向ける。ロンド・ミナは黙ったままだ。
「・・・つまり、我々はそこそこの情報収集には成功した。
けれどもこちらも相応に奪われた目算が大であるということか。
そもそも何だって最重要機密である光波防御技術を筆頭に様々な機動兵器技術を、
内密にヘリオポリスで開発していたのさ。
挙げ句にどさくさに紛れて回収しようとしたところ、見事にばれて流出したの?」
「そうだ」
「そのうえ、こちらが色々下準備していたロンデニオンの調査情報も筒抜けになったと?」
「ああ」
ロンド・ミナは、これでもかと言うくらいに悔しい顔をしている。
「なんで僕に事前に相談しなかったんだ・・・。もう少し人選をなぁ・・・
技術だって外交でどうにかなるでしょ、これ・・・」
「だから、相談しようとしたが、君は他の問題に終われていただろう。
それに下っ端はともかく、エリカ・シモンズはうまくやると思ったのだ」
「君にどじっ娘属性はいらないよ」
「・・・」
「いつぞやのガンダリウム技術については、興味深い情報を得た事が救いだな。
しかし、今次大戦に間に合うかは微妙だな。資源衛星が我らにないことが致命的だ」
内心ウズミの失態に舌打ちする。
この件は、しばらくこちらから強い要求が出しにくい状況を作ることになってしまうだろう。
今の我々は国際的な地位も低下しているのだ。
あの協定の履行がいよいよ困難になっていく。少なくとも大戦中は無理だ。
全く、頭が痛くなってくる。どうしてこうも思い通りにならない。
僕は心からのため息を吐き出して、三人娘への感情を吐露する。
「もう追放でいいよ、あいつら・・・」
数日後、僕はカガリの反対をミナと押し切り、3人娘を各種重罪を適応された上でオーブに残留するか、
罪を問わない代わりに財産没収及び国籍剥奪とともに追放処分となるか選択させた。
彼女らは後者を選択し、ロンデニオンへと残留することを決めたそうだが、
僕にしてみればどうでも良いことだ。
但しエリカ・シモンズは、直ちに本国召還とした。
内心では色々思うところはあろうが、この失態を償ってもらわないとな。
三人娘については甘いかも知れないが、僕に言わせれば、
こんな馬鹿な失態を犯す奴、誰が手駒にしたいと思う?
「ユウナの失望」end.