CEvsスペゴジ第03話

Last-modified: 2014-03-10 (月) 15:44:52

とりあえず、再びネタをひとつ





叢雲劾が生物と接触してから5分後







ほんの少し前まで、何一つ音のしなかった町で幾つもの爆音が響く

町の中心から少しばかり離れたところにある、他に比べるやや高いビルに蒼い巨体が降り立つが、すばやく別のビルへと移動。

すると先ほどいた場所に無数の結晶体が殺到する。

ビルへと移動する間襲ってくる結晶体は、装備されているビームライフルで撃ち落す。

劾の駆るブルーフレームが動き回っているのに対し、生物は依然として宙を浮いている。

攻撃を行う素振りは見せておらず、ハッキリ言うとどこから攻撃してもダメージが与えられそうな状態だった。

にもかかわらず劾は今、逃げに徹している。先ほど結晶体を撃ち落した時も、撃てば必ず当てられたのにもかかわらず、だ。

そして、このやり取りはおよそ4分前から続いている。それが続いている理由は二つある。



一つは、ビームがまったく効かないからだ。

彼が最初に放たれた結晶体を回避した際、ビームライフルを生物に向けて撃ったが、バリアのようなものによって防がれたのだ。

それだけならまだしも、撃ったビームがそのまま反射してきたのだ。

(アカツキに使われている装甲材のようなものか)

劾は冷静に心の中で呟くが、このバリアはこの上なく厄介なものである。

現在MSの主力武装と言えば必ずと言って良いほどビーム兵器である。

その主力兵装であるビーム兵器を無力化されてはMSなど、殆ど役に立たない。

さらに言うと、アカツキの装甲『ヤタノカガミ』とて物質である以上、傷つくこともあれば融けて使い物にならなくなることだってある。

だがこれはバリアと言うエネルギーフィールドでありは物質ではないため、使い物にならなくなることは絶対にありえないのだ。

(もっとも、効いたところでたいしたダメージは期待できんな)

そう、生物とMSの体格差は10倍近いものがある。

ビームが効いたとしても皮膚の表面を僅かに焼くだけだろう。



あれこれ考えている間も、結晶体は次々と襲ってくる。

それらを回避、もしくはライフルによって迎撃しつつも、ある場所を目指し移動している。

そこに着く事こそが、もう一つの理由なのだ。

(バッテリーも少なくなり始めている、急がなくてはな…)

戦闘が開始されてからまだ5分ほどしかたってない。

本来ならば急ぐ必要など無いのだが、今の劾は急がなければならない理由があった。







そもそも現在ブルーに装備されているAFSは、機体にEMP対策を施すのではなく、EMPを無力化するフィールドを機体周囲に発生させるものである。

そのため、フィールドを維持するために機体のエネルギーの多くをAFSに回さねばならない。

本来、ここまでエネルギー効率の悪い装備を核動力でもないMSが使う必要は無い。

しかし、この町でMSが動くにはこの装備が必要だった。

ただEMP対策を施しただけの戦車を結晶体に覆われた町へと向かわせてみたところ、町に入って30秒ほどたつと完全に動かなくなってしまったのだ。

町を覆っている力場は、それほどまでに強力だったのだ。

そのため、エネルギー効率の悪いAFSをMSに搭載せざるおえなかったのだ。





そのため、現在ブルーの活動時間は通常以下のものになっている。

それが、劾の急ぐ理由なのだ。

ビルからビルへと移動しつつ、襲ってくる結晶体をかわしながらその場所へと向かう。

移動する間、劾はあることを考えていた。

(なぜ奴は全力で自分を潰しに来ないのだろうか?)

この考えは戦闘(生物にとっては遊びなのだろうが)始まったときからうまれていた。

生物がオーブの国民、軍人を虐殺したときに放たれた光条ならば最初の一撃でブルーを消すことが出来た筈だ。

だが、生物は光条を放つのではなく無数の結晶体をドラグーンよろしく打ち出してきたのだ。

確かにこれは一撃でも食らえばブルーは破壊される。が、この結晶体がビームを打ち出してくるわけでもなく、

ただ突っ込んでくるだけなので、足を止めさえしなければたいていの結晶体は簡単によけることが出来る。

(遊びを楽しんでいるとしても、やはり腑に落ちんな)

劾はそう思いながらも、その場所へと到着し予定していた行動を取った。

劾が目指していた場所は脱出地点ではなく、生物の背後にあり、中央道路付近に建てられているビル…つまり死角と思われる場所である。

背後を取った後、ビームライフルの銃口下にマウントされている副兵装のグレネード弾を、

生物目掛けて撃ち出した。

しかし、生物にそれが当たることは無かった。結晶体がそれを撃ち落したのだ。

さらに、間髪入れずに無数の結晶体がブルー目掛けて襲い掛かる。









(やはり、そういうことか)

が、その攻撃を予想していた劾は数瞬早くにブルーを動かし、結晶体の群れを回避する。

結晶体がビルを粉砕しているの傍目にしつつ、道路へと降りるやいなやブースターを吹かし全力で脱出地点へと向かう。

当然ながら、ブルーを落とそうと無数の結晶体が殺到してくる。

が、劾はそれらの猛攻を機体を反らしそのこと如くをギリギリでかわしてゆく。

脱出地点へと近づくごとに襲ってくる結晶体の数も減ってくる。

と同時に機体のエネルギーと推進剤の残量が減ってきている。

脱出する前に機体のエネルギーが尽きてしまえば、死が待っている。

そのような状況でも劾は機体の速度を落とし、エネルギーと推進剤の節約を行おうとはせず

むしろ、速度を上げている。正気の沙汰ではない、としか思えない。

だがそれが功を奏したのか、それとも生物が飽きたのか。結晶体の追撃は無かった。

脱出地点まで後、10メートルと言うところまできている。

ここまできても追撃が無ければ速度を落としてもいいはずだが、ブルーの速度はいまだに落ちる気配が無い。





脱出地点まで後9メートル



ブルーはいまだに減速しない



脱出地点まで後8メートル



結晶体の追撃は無い



脱出地点まで後7メートル



生物も動く気配が無い



脱出地点まで後6メートル



脱出地点から半径10メートル内にある全て結晶体が宙に浮く



脱出地点まで後5メートル



結晶体が脱出地点目掛け猛スピードで突き進む



脱出地点まで後4メートル



結晶体確実にブルーとの距離を縮める。ブルーの速度変わらず



脱出地点まで後3メートル



結晶体、ブルーの周囲を飛行。ブルーに攻撃せず。



脱出地点まで後2メートル



結晶体ブルーから一旦距離を取り…一気に襲い掛かる!



(読みどおり…だな!)



脱出地点まで後1メートル



ブルー、さらに加速。結晶体をすり抜ける



脱出地点まで0メートル



結晶体、ブルーに当たらずそのこと如くが大地に突き刺さる



脱出地点から2メートル



「ミッション…コンプリート!」



ブルーフレーム、脱出成功





叢雲劾が町から脱出して2時間後



彼は今、依頼主の前でミッションの結果を報告していた。

報告内容は本来一つだけだったが、予想外の出来事で二つに増えた。

AFSに関して

AFSは予想通りの効果を発揮、しかし通常機では戦闘継続時間が大幅に低下する危険性あり

改良の必要性あり



生物に関して

ミッション遂行中、生物と接触 そのまま交戦状態に移行

原理は不明だが、結晶体はドラグーンを操作するように使うことも出来ることが判明。

また、生物の背後から攻撃を行うも結晶体により迎撃される。

このことから生物は、非常に高い空間把握能力かそれに準ずるもの持っている可能性が高い。

付け加えると、これも原理は不明ではあるが空中浮遊を行っていることが確認された。

最後に、交戦中映像で確認されていた光線を撃つ攻撃方法は確認されず。何らかの理由で現時点ではは使用不可能と推測される。



以上