GUNDAM EXSEED_B_最終話

Last-modified: 2015-12-31 (木) 14:41:25

そこはクライン公国の小型艇の中、正確には負傷兵を運ぶ医療船だった。
「どわっじ!」
ガルム機兵隊隊長代理のイザラ・ジュールはそんな叫びをあげながら、ベッドから飛び起きた。イザラは辺りを見回し、一瞬状況に戸惑うが直後に不思議に思う。自分は死んだはずだと。
「残念かどうかは知りませんが、死んでませんよ」
イザラは急に声が聞こえ、そちらを振り向くとゴリラが座っていた。
「言っておきますが、私はゴリラではありません。ゴリラでも良いですが」
イザラはよくよく見るとそれが人間であるということに気づいた。それも、どこかで見たことのある人間だ。
「話が進まないので自己紹介しますが、ディレックス大尉です。ロウマ・アンドー准将の手下だったゴリラです」
ああ、あのゴリラかとイザラは色々と思い出した。確か、ロウマの金魚の糞みたいなやつだったが、途中で見なくなった影の薄いゴリラだと。
「アンドー准将のもとからは異動願いを出して、別の勤務地に行っていたので、お久しぶりといった感じですね」
そうだ確かに久しぶりだ。しかし何とも変だとイザラは思うがイマイチ頭が働かなかった。
「とりあえず、プロテイン入りのミルクを。イザラ隊長にはこれが一番の気付けかと」
ディレックスはそう言って、イザラにコップに入った飲料を渡し、状況判断能力が落ちているイザラは躊躇なくそれを飲み干した。すると、イザラは、脳味噌にまで筋肉が働いてくる気がして復活したのだった。
「とりあえず、私が生き残って、回収されたのは分かった。それはそれで嬉しいが仲間の死を思うとな」
「お仲間も全員回収してますよ」
ディレックスはこともなげに言う。
「ガルム機兵隊は全員生存です。機体が大破したせいて怪我をした者はいますが、隊員の全員が命に別条ありません」
それを聞いてイザラはベッドから立ち上がり叫ぶ。
「ならば私を部下の元に案内しろ!」
人情的にはそうしてもいいとディレックスは思ったが、任務上それはまだできなかった。
「極めて申し訳ないのですが、出来れば落ち着いて私の話しを聞いてほしいんです」
イザラは丁寧に頼まれると断れないタチなので、ベッドにどっしりと座り、ディレックスの話しを聞くことにした。
「落ち着いて聞いてもらえるとありがたいです。……実を言うと私はスパイなんです」
その瞬間、イザラが立ち上がった、ゴリラなのにか!?と言いたかったが、やめて再び座る。
「ぶっちゃけると自分はクライン公国軍の所属でして、最近調子に乗っている聖クライン騎士団がいろいろやった際の問題を探し出して、公国軍が騎士団を牽制する材料を集める役目でした」
ほうほうと頷きながらイザラはさして興味がなかったが、ゴリラの話しを聞いていた。
「自分は、良い評判も凄いけど悪い噂が色々と尋常ではないロウマ・アンドーの側近につきましたが、ここからが問題でした。ロウマ・アンドーは公国軍にとっても有益な人材でしたからね。色々と問題行動はあったのですが静観しました。公国軍からの命令で」
イザラは何となく聞いていたが、目の前のゴリラが公国軍の人間で最近、調子に乗っている騎士団を黙らせたいということだけは分かった。

 
 

「しかしながら、最近かのロウマ・アンドーも失敗続きで、公国軍としても見逃す気持ちが無くなってきたわけで、この機にロウマ・アンドーの戦争犯罪の全てを明らかにしようという考えなんです。とりあえず理解は?」
イザラは聞いてくるゴリラを何様だと思いながら答えた。
「ロウマの戦争犯罪を明らかにしたいのだろう。奴がやって来た悪事をガルム機兵隊なら知っていると思って」
ディレックスはイザラの物わかりの良さに感激しながら尋ねる。
「では、証言をしていただけるのですね!」
そんな安直な言葉を言う、ゴリラの前にイザラは指を二本突き出し宣言する。
「条件は二つだ。ガルム機兵隊はロウマの犯罪行為に関係なかったことにしろ!そしてもう一つはガルム機兵隊の働き場所を用意しろ!」
ディレックスはなんと簡単な要求なのかと思い、答える。
「第一の要求に関しては当然です。そして、第二の要求ですが、ガルム機兵隊はクライン公国軍のエースパイロット部隊として再結成という形を取らせてもらいます」
ならばよし、とイザラは再びベッドに寝てしまった。ディレックスは懐から取り出した銃を取り出し、これを使う羽目にならなくて良かったと思いながら、イザラの声が全て録音された音声データを再生しながら思いつつ。銃の引き金を引いた。
ポンッそんな軽い音がなって銃口から花が飛び出す。自分はロウマと違って血なまぐさいのは嫌いなのだ。ゴリラで草食系だから。
しかし、一時は自分のことを、全てが読めている神とまで言っていた男が、すぐにそばにいて、ただのゴリラと扱っていた男がスパイだったということを知ったらどんな反応をするのやら、ディレックスは興味が湧いて仕方なかった。
ディレックスは思う。この世は階層に分かれている、その階層を突破するのはロウマには不可能だということを。身の程を知って賢く生きていれば良かったが、身の程知らずにあの男は頂点に登りたがった。転げ落ちるのは必然だとディレックスは思うのだった。
アプリリウスの戦いも見たが、どうにも必死で滑稽なことだとディレックスは密かにだが、必死に戦うロウマを見て笑っていた。
生き残ったところで、いい加減、聖クライン騎士団の上層部もクライン公国軍の上層部も、そろそろロウマ・アンドーが鬱陶しくなってきていたというのが事実であり、犯罪の証拠が無くとも謀殺する予定だった。しかし戦死してくれたおかげで、その手間が省けた。
ディレックスはクランマイヤー王国に感謝したいぐらいであった。そんなことを思いながら、ディレックスは医療船の中で、上の人間に提出するための報告書を書き始めるのだった。

 

数日後、ディレックスは、イザラが怪我をしたガルム機兵隊の仲間であるアリスとゼロを抱きしめている姿を見て、ロウマという男のこれまでの虚飾の栄光というメッキが剥がれ落ち、その人生が失墜することを確信した。
そして、数日後、戦死したロウマ・アンドー准将が多くの戦争犯罪に手を染めていたというニュースが流れるのだった。
そのニュースを聞きながらディレックスは思う。戦いこそしなかったが、自分こそが真の勝利者だと。

 
 

戦闘後のアプリリウスの廃墟で、汗を流しながら働く男たちがいた。
「おーい!生きてそうか!?」
アッシュが大破したオーバーブレイズガンダムの前で、人力でコックピットハッチを開こうとするジェイコブとペテロに呼びかけていた。
「兄さん、もっと力入れて!」
「ふざけんな、これが限界だ」
ジェイコブ三兄弟の長男のジェイコブと次男ペテロがバールを使って力任せにオーバーブレイズガンダムのコックピットハッチを開けようとしていた。
それもこれも、ロウマ・アンドーの機体クズオロチが最後に放った拳が、オーバーブレイズガンダムの動力部を完全に貫いているためであった。
「力仕事は苦手ですまない」
アルバ・ジン・サハクが言う。
「力仕事は若いのによろしくってね」
ストームは適当な瓦礫に座って酒を飲んでいた。
「騎士は闇雲な力仕事はしないものだ」
イオニスは優雅に紅茶を飲んでいた。
「ジェイコブ殿、ファイトです!」
グリューネルトが応援するが、あまり効果はなさそうだった。
「兄さんたち頑張ってー」
ジェイコブ三兄弟の末妹のマリアは戦闘の疲れからノンビリと休憩していた。
「私も忘れないでくれー」
機体に残されたまま放っておかれているセーレが懇願の声を機体のスピーカーを使って呼びかける。
結果的にロウマを相手にした機体のパイロットは全員生き残った。ロウマにコックピットを攻撃する余裕が無かったのか、コックピットの位置を把握せずに攻撃したのかと問われれば、後者だろう。あの男が殺さずに済まさずにおくわけがない。
結局はクランマイヤー王国のパイロットは全員、幸運に救われたのだ。現状、生死がハッキリとしないハルドを除いて。
「一人じゃ無理です摂政!」
ジェイコブが叫ぶとアッシュは全員に呼びかけ、協力するように命じた。そして生き残った全員が力を合わせた結果、ほぼ残骸とたなったオーバーブレイズガンダムのコックピットからセインを引きずり出すことに成功したのだった。
これで無事終了だ。そうアッシュが思った瞬間、セインが走り出す。アッシュは何なのかと思い、セインを追うと、セインが叫ぶ。
「ハルドさんが!」
ハルドは大丈夫だろうとアッシュは思ったが、セインの表情の必死さからアッシュもセインの後を追い、そして見つけたのは二機のMSの大破した跡であった。
アッシュは死ぬわけないがないと思い、セインは絶対に生きていると思い、白と黒のツートンカラーのガンダムタイプのコックピットに向かうと、二人の予想を裏切りコックピットのシートに剣が突き刺さっていた。
それは以前にレビーに作らせたものだった。そしてその剣が突き刺すのは一枚の紙。書かれた文字は短く。
「しばらく消える。困ったことがあったら呼べ」
よく見れば細かい事柄が詳細に記されていて、自分の資産に関するものについてのものが殆どだった。
なんという勝手な奴とアッシュは一瞬怒りに襲われたが、それも続かずに表情を変え、アッシュは思わず笑った。戦いが終わった後で、悩みながら書いたのだろう。この大破したMSの上で、そう思うとなんと馬鹿な奴かと思わずにいられなかった。
「直接会って、あばよ。とか言えば良いだろうに」
そう言われると、セインもハルドの不器用さに笑わずにはいられなかった。紙の裏側には剣の手入れ方法について書いてあるが、わざわざ裏面を使わなければいけないほど、神経質にこの剣を使っていたのかと、なんだか、おかしくなってきた。
人間的には不器用な癖に神経質で繊細で強い美意識、セインはここでハルドという男の本質を理解したようで妙におかしくなって大笑いをしてしまったのだった。
「まぁいいよ親友。おまえが大切にしたものは僕にとっても大切なものだ。きみが戻るまで守るよ」
「同じく、我が師匠。あなたが大切にしたものは僕にとっても大切になりました。必ず守ります」
二人はハルドが残した紙と剣を受け取り、笑いながら去るのだった。

 
 

ダラダラと歩きながら、ハルドは思う。全力を出して死ななきゃいけないのに、全力を出すと俺より相手が先に死んでしまう、ジレンマだなぁと思いながら、歩くハルドの姿は普段着であった。ノーマルスーツはいらないと脱ぎ捨てていたためであった。
クランマイヤー王国から消えることも抵抗が無いわけではない。むしろヴィクトリオのことなど心配はあったが、あそこにいたところで自分は悪影響しか与えないような気もしていた。
なにせ、凶暴で頭のおかしい人間だ。国が大きくなる最初の頃はそいう乱暴者がいても良いかもしれないが、国がきちんとそんな人間はいらなくて、ちゃんとした人間に任せた方が良いとハルド自身、自分の性格をやら性質を鑑みて、そう判断した。
それに姫のこともある。変わった姫には、もう自分はいらないだろうとハルドは思った。それどころか自分を見て辛いを思いをするかもしれないとハルドは姫の心を案じ、消えることにしたのだ。
それに自分が必要な戦いは、もう起きないだろうし、もし起きたら助けに行けばいいとも考えていた。
結局の所、そうやって色々と理由をつけなければ、ハルドはクランマイヤー王国を去ることが出来なかった。そして今も後ろ髪を引かれるような思いで、延々と歩いていた。
ハルドが歩くのはアプリリウス市の地下に張り巡らされた地下通路。一応は旧首都であるのだから、こういう設備があるのは当然と思い、ダラダラと歩いていると、ハルドは意外な人物の姿を見つけた。
地下通路の壁に寄りかかって座り、一休みをしているのは間違いなくロウマ・アンドーだった。ロウマ・アンドーもノーマルスーツではなく普段着に着替えており、極めて疲れた様子で座り込んでいた。
「どっか行くの?」
ロウマはハルドを見つけると、ノンビリとした調子で尋ねる。
「適当にどっか」
ハルドがどうでもいいような返事をして、座るロウマの前を通り過ぎると、すると不意にロウマが立ち上がり、ハルドの歩いてきた道を逆に歩こうとするが立ち止まる。そして何かを思い出したように背を向けたままハルドに話しかける。
「ハルド君さぁ。俺、今思ったんだよ、全部悪いのはキミなんじゃないかってさぁ」
ハルドも止まり、ロウマの言葉を聞く。
「キミが余計なことしなければアッシュ君もそのままだったし、セイン君は野垂れ死んでいた。そしてクランマイヤー王国は、クズみたいな国だった。よくよく思えば、全部がキミのせいじゃないかな?」
そう言われて、ハルドも自分の責任があったことを理解できるが、ハルドも言いたいことがあった。
「俺に言わせれば、アンタは余計なことしすぎかな。悲しみをまき散らしすぎる。そして色んな人間を泣かせすぎた。それが俺の知らない人間でもだ」
その言葉にロウマは僅かに笑みを浮かべた。
「博愛主義に目覚めた?」
「まぁ、そんな感じ」
二人は即座に振り返り、隠し持っていた銃を抜き放ち、相手に向けその引き金を引く。二人が放った弾丸は、空中で交錯しながら飛翔し、お互いの銃に直撃し、互いの銃を弾き飛ばすが、その瞬間にハルドとロウマの二人は走り出し、跳躍する。
二人は跳躍しつつ、ハルドは拳を突き出し、ロウマは膝を突き出す。空中で二人は激突し、もつれ合い、地下通路の床に投げ出されるが、互いに即座に立ち上がり構えを取る。
ハルドの構えはベッタリと足を床に付け、膝でリズムを取る構え、対してロウマは右利き左利きのスタイルすら無視して、右半身と左半身を入れ替えるようなスタイルで、極めて軽やかにステップを踏んでいた。
「ぶっ殺してやるよ」
「嬉しいねぇ、やってみろよ」
ロウマが軽く脚を出す、その瞬間にハルドの頭をガツンとした衝撃が襲い、それが続けて二発三発と、襲い掛かる。
ジャブ。多分フリッカーだとハルドは判断した。なにせ、ロウマが殴り終えた瞬間、その腕が下がっているからだ。ヒットマンスタイルとかデトロイトスタイルとかいうボクシングの構えで変則的なジャブであることまではハルドは理解していた。

 
 

だが、ボクシングやってんじゃねぇんだぞ、とハルドはロウマのフリッカージャブを顔面で受け止め、無理やりに距離を詰めながら、右拳のボディーブローを全力で叩き込んだ。
グローブ付けてるわけじゃねぇんだ。顎とかテンプルまたは他の顔面の急所を守ればただ鈍器で殴られているのと変わらねぇんだよ。
対してハルドは左腕でロウマの首に抱き付くと、クリンチの状態から右のボディーブローを延々と叩き込み続ける。わき腹をなんてそうそう頑丈にはできない。それにグローブも無しだから肋骨にも筋肉にも、めっちゃ突き刺さる。このまま死ね。
そんな風にハルドが思った瞬間、ハルドは股間に衝撃を受け悶絶しかける。ロウマはハルドの股間に膝蹴りを叩き込んでいた。
ハルドの身体が僅かに、くの字に曲がった瞬間、ロウマのミドル寄りのハイキックがハルドの顔面を捉え、ハルドの顔が明後日の方を向きかけるが、ギリギリでこらえ、即座にハルドはオーバーハンド気味の右フックを放つ。
エルザ・リーバス直伝の超高速右フック。ロウマはそれが放たれるところだけは見たことがあるが、見るのと食らうのでは、全く違うことを理解した
ガードしたら絶対腕が折れるし、そもそも目で追いかけることしかできず、ロウマは顔面の半分が砕けたような衝撃を受け、首がヤバい方向にまで回転しそうなのを気力で耐えた。
その瞬間、ロウマは完全に忘れていた、これがエルザ・リーバスの鬼のコンビネーションのスタートだということを。
ハルドは全力で踏み込み、再びオーバハンド気味のボディーブローしかも超高速かつねじり込みをかけた拳をロウマの右わき腹付近に突き刺した。
無理だ。ロウマはわき腹付近に突き刺さった拳の威力により、崩れ落ちる、それと同時に倒れたロウマの鳩尾に全力のつま先蹴りが突き刺さり、続いてハルドはロウマの頭をサッカーボールのように全力で蹴り飛ばす。
これで師匠直伝のエルザ・リーバスコンビネーションは終了だ。
「どうした、おい、立てよ!」
ハルドが挑発するが、ロウマはそれどころではない。歯は何本か折れているし、腹はパンチを受けただけだから大丈夫だと思うがそれよりも、鳩尾と顔面を蹴られた際に折れた鼻が凄まじく痛かった。しかし、生きている。死にはしない。つまりは、ぶっ殺せる。
ロウマは脳内麻薬があり得ないくらい出ているのを感じながら、手をついてようやく起き上がろうとした。しかし、それをハルドが見逃すわけがない。ハルドは即座にロウマを蹴り倒すために動き、脚を出す。
それがロウマの狙いだった。ロウマはその脚を取って、ハルドを転がし、速やかにマウントポジションを取り、ハルドの顔面に何度も拳を叩きつける。
「死ね、死ね、このやろう、てめぇさえいなければ、俺は!」
ロウマは興奮しながら拳を振り上げたそれが、失敗だった。振り上げた拳の軌道はハルドにも読みやすく、ハルドは何とか首だけ動かし、その拳を回避すると、そのまま状態を起こし、自分の額をロウマの折れた鼻に叩き付けた。
「てめぇが、死ね、蛇野郎!」
ロウマはダメージに一瞬たじろいだが、即座にポジションを移動し、腕ひしぎ十字固めの態勢に移る。
「折るぞ、クソ野郎!」
「勝手にしろボケ!」
その瞬間、ロウマはハルドの左腕の骨を折った。凄まじい激痛だが。師匠のエルザリーバスに一週間に一回は腕の骨を折られていたという経験があり、慣れているハルドは耐えることができた。
そして、格闘技の試合でもないのだから、折れたところで誰も止めないし、折ったら折ったでそれだけだ。
ハルドは腕の骨を折って、一瞬、ボーっとしたロウマに、ハルドはフリーになった右拳を左腕の方まで伸ばし、ロウマの鼻を叩くと、その痛みにロウマは驚いて手を離し、ハルドは自由となり立ち上がる。
「殺し合いだぜ。ロウマさんよ。腕取って浮かれんなや」
「鼻叩くんじゃねぇよ。元の形に戻らなかった時は、てめえの知り合い皆殺しだからな」
互いに毒を吐きながら、ロウマとハルドはお互いに調子に乗りすぎたことを反省していた。殴り殴られで体力の消耗が尋常ではないのだ。

 
 

もう、カッコをつけた戦いは出来そうもない。ハルドに至っては左腕が折れているのだ。両者ともに、そう思いゆっくりと進みながら、単純に物事を終えるべく、相手の顔面を殴った。
回避などしている余裕はなく、とにかく殴り倒してぶち殺す。そんな意思で二人は拳を振るっていた。
ガツン、ガツンと人間の体からはしそうも無い音が、二人が相手の顔面に叩き付ける拳からはしていた。
そんな攻防が十数秒、先に崩れたのはハルドだった。ガクンと体勢が崩れた頭が下がるハルドに対し、ロウマはその頭を押さえつけ、数発の膝蹴りを叩き込んだ。
しかし勝負はそこで終わらない、膝蹴りの衝撃を利用して、ハルドは頭を後ろに反らすと、そのまま真っ直ぐロウマの額に叩き付けた。
上等だ。そんな声が聞こえた気がしてロウマとハルドは互いに額をぶつけ合う。額は切れやすい部位であり、二人の額は切れて血が噴き出していたが、構わずに頭突きのぶつけ合いをする。その結果、よろけたのは、ロウマだった。
だが、ロウマは即座に体勢を整え、ボディーブローを叩き込む。右拳の一撃がハルドをぐらつかせる。ハルドの肋骨に何らかのダメージが入ったのは確実だった。しかし、ハルドは負けずに右拳のボディーブローを連打し、ロウマの左わき腹に叩き込む。
「さっさと倒れろ」
「てめぇが先だ」
もはやどちらが言っているのか分からない状態になりながらも、二人は相手のボディーに拳を打ちこんでいた。お互い何が何だか分からなくなっており、その結果、単純に人生を費やして骨身に染みつけだ技術で、狙いを定めずに相手を殴り続けていた。
それが十数分、並の人間の常識では考えられない間、二人は打ち合っていたのだった。しかし、終わりは来る。先にぐらついたのはロウマ・アンドーであった。
ハルドはチャンスと。ダメージの受け過ぎでハッキリしない頭で思い、動こうとするが足がもつれ、ハルドはロウマに寄りかかりながら倒れる。
しかし、幸運だったのは、その真下にロウマ・アンドーがいたことである。ハルドは取り敢えず目についた、その顔に拳を振り下ろした。何度も何度も何度も。

 
 

ロウマは朦朧とした意識の中で、調子に乗るなという意識が働き、腕が伸びる。それはハルドの左目だった。そこで何故かロウマが冷静だったのは、親指じゃ殺せないという考えである。中指で突いて奥まで押し込めば脳味噌に届くかもしれない。
そう判断したロウマは、右手の中指をハルドの左目に突きいれた。気持ちの悪い感触だが、仕方ないとロウマは思っていたが、その間も滅茶苦茶に殴られていた。
「死ねしねしねしえねいいえいええいえ!」
「殺すころすrkろっりおろろろおろろ!」
ハルドとロウマは互いに必死で攻撃をしていた。
問題なくやれるロウマはそう思っていた。だが、自分の眼の前が真っ赤に染まり、意識が遠のいていくのは何故だか分からなく、そして全身の力が抜けていくのも理解できなかった。
折れた腕も使ってロウマの顔面を殴り続けていたハルドは左半分が見えなくなっていると気づいたが関係なく、取り敢えず真下の奴が動かなくなるまで殴ることにした。そして動かなくなった。そこでハルドは正気に戻った。
「……何やってんだ、俺」
結果的には左手がすごく良くない折れ方をしているし、顔面は裂傷、肋骨はズタズタで息をするのも辛い。そして極めつけは、左目が見えないことだ。無事に見える右手だって、しばらく拳を固めるようなことをしてなかったせいで、相当に痛む。
ただまぁ、ロウマらしき人間(殴られ過ぎて顔が変わっているせいで判別が難しい)がそばにいるということは、取り敢えずの決着はついたのだとハルドは理解し、地下通路に落ちている自分とロウマの拳銃を拾い上げ、懐に入れる。
「さて、どうしたもんか」
気絶しているロウマを見ながら、ハルドは思う。クランマイヤー王国の人間なら殺して欲しいと願うだろうが、何とも残念なことに、今の自分はクランマイヤー王国の人間という訳でもないんだよなぁと思い、銃に触れることは無かった。
そして代わりに、ロウマ・アンドーの身体を右腕一本で器用に担ぎ歩きはじめる。
「別に嫌いなわけでも、個人的に殺したい人間の内に入るわけでもないし、構わないよな」
最初からそうだったのだ。意地悪をされたら意地悪をかえすような関係で。お互いに、そこまで憎しみは無い。色々と文句を言う人間がいるかもしれないが勘弁してくれというのがハルドの本音だ。
それに色々と知りたいこともあるため、生かしておかなければならない。面倒だが現状ではそうするしかないと思い。ハルド・グレンはロウマ・アンドーの命をゴミと同じような感覚で拾い上げ、消えるのだった。

 

この時点で
ロウマ・アンドー准将は戦死
※各種の犯罪行為により戦死時の二階級特進はなし
そして
ハルド・グレンのMIA(戦闘中行方不明)が確定したのだった。

 

その後、結局、地球連合は占拠したアプリリウスを拠点として防衛することが出来ず、ヤキン・ドゥーエまで後退。クライン公国は地球連合が要塞化を果たしたヤキン・ドゥーエを攻略することができず、結局アプリリウスまで後退。
地球連合はヤキン・ドゥーエをクライン公国に対する最前線拠点として要塞化を強め、対するクライン公国もアプリリウスを要塞化することで、ヤキン・ドゥーエに睨みを利かせていた。
アプリリウス防衛に関しては、頼りにしていたクランマイヤー王国の部隊はほぼ全機が大破でマトモな戦闘が不可能だったためであることも理由として大きいとされる。
しかしながら、それでもクランマイヤー王国の行動が怠慢であったと言われることは無かった。クリスが、ガルム機兵隊との激戦やクズオロチのとの戦闘を詳細にビデオ記録していたためであった。
この結果、コロニー同盟は地球連合にとって信頼に値する相手だということが認識され、地球連合とコロニー同盟の関係は密なものとなっていくが、同時クライン公国もコロニー同盟に接近し、秘密裏に協力関係を結ぶことを画策していた。
ここにきて、コロニー同盟は二つの勢力から決して侮ることのできない、新たな一大勢力として認知されるようになっていくのだった。

 

――そして僅かに時は進む――

 
 

エミル・クラインは大舞台に立ち切実に訴えていた。
「全てはわたくしの間違いでした!ロウマ・アンドーという奸臣の思惑にのり、無辜の民を傷つけていました!今後はそれを反省し、新たな公国の在り方を目指します!」
とりあえず、こう言わせておけば、あらかた責任はロウマに行く。細かいものは無視か
適当に相手をすればいいと、クライン公国筆頭政務官シバリス・カナーバは思った。
シバリスは次に人民をコントロールして一部の特権階級を作る政治体制を構築するならば、貴族政あたりが良いかと思ったが、相談したい相手のロウマからは一向に連絡がなく、不審に思った。
ロウマは犯罪者であるが使えるのは使える。適当に整形でもさせて新しい名前を与えればいい道具になる。しかし、肝心のロウマからの連絡はいつになっても無かった。
あの男が死ぬはずはないという確信はあったが、こうも連絡がないとシバリスはもしやとも思う。もし奴がいなくなれば、全ての面倒を自分が片付ける羽目になるという怒りが湧きあがり、シバリスの顔は赤く染まり始めていた。

 

それは地球連合とある基地の地下、地球連合の代表者が、全員揃っていた。極めてまれであるし、政治的に重要なことが厳かな言葉で話されるのかと思えば、全く違った。
「宇宙はどうしようか?」
「コロニー同盟が頑張ってくれるから静観が良いよ」
「そうですねぇ」
代表者は全員たいした問題はないと話す。その中で、メンバーの代表らしき女性が口を開く。
「戦いにおいて、我々が恐れることは、何一つありません。地球を握っているこのアドバンテージを最大限に生かしましょう」
女性はそれを言った後、険しい顔で立体表示モニターに字を写した。そこに書かれていたのは“プロメテウス機関”という短い言葉。
「現状、我々が対処すべきは、この者たちだと思います」
そう言うと、地球連合の代表者が全員頷くのだった。
秘密よさらば。全てを明らかに、それが地球連合の総意であった。

 
 

世界が様々に動く中、クランマイヤー王国はある意味ノンビリしていた。
「えーと、ヤバい時でも助け合い、ギリギリでも相手を守れ、できれば死なずに。お互いそれができますか?」
ストームが想像を絶する適当さで結婚式の神父役をしていた。
「「はい」」
答えるのはアッシュとシイナだった。
「とりあえず、まぁ片方死んでも、絶望しないで頑張れるか、一人になっても生きていけるか?」
「「はい」」
「仮に相手が独り身の状況で、他の魅力的で立派な相手が現れた際、OKといえるか?」
「はい」
「いいえ」
ここでアッシュとシイナの意見が割れた。
「なぜだ!僕は僕のことを忘れてもシイナ、キミに幸せになってほしい!」
「いやです!私にはアッシュさんしかいません。他の人など目に入りません!」
ストームはめんどくせぇなぁと思いながら宣言する。
「とにもかくも、アッシュとシイナは愛し合い、その後の人生を共にできそうな資格があると俺は考えた。なので結婚を了承!」
ストームのその言葉でさびれた教会が一気にはなやぎを取戻し、アッシュとシイナに花束が投げられる。
「まぁ、待て本番は指輪の交換とチューだ。ちなみに当協会はベロチュー以外認めないからな!」
なんという邪教だと思いながら、アッシュはシイナの手を取る。細く長いがしっかりと筋肉のある指、きっとピアノで鍛えたのだろうと、アッシュはその手が愛おしくなり思わず口づけをした。

 
 

赤くなるシイナ、アッシュはその指を傷つけないように、指輪をはめる。
シイナは差し出された指にアッシュの人生を感じた。傷だらけの指。しかしそれが優しく自分の前に出されている、シイナはその指を愛おしく思いながら指輪をはめた。
「指輪を交換した二人は、口づけをしなさい。お互いを思う心が指輪だけじゃないことを証明するために」
ストームはめんどくさく言ったが、アッシュもシイナも素直に従い、その唇をかすかに触れるように交わした。
「こういうこと言うのって良くないかもしれないけど、アレ二人ともファーストキスじゃない?」
そう言った瞬間にセインはミシィの肘打ちの直撃を受け、悶絶し、地に伏す。
「すまない、よくやりかたがわからないんだ」
「いえ、その私も、どうすればいいのかわからなくてご迷惑を」
互いに顔を真っ赤にする二人を見ながらストームは、ガキっぽくて話にならねぇと思いながらも叫ぶ。
「ここに二人の結婚の儀は果たされた!観衆よ、大いに騒ぎ歌い、花嫁と花婿を祝え!」
そうストームが叫んだ瞬間、突然大量の人々が現れ、お祭り騒ぎが起きる。アッシュは何としてもシイナの手を離さないように伸ばして掴むが、大勢の祭り衆はそれを助け、二人を同じ神輿に乗せるのだった。
「いや、その何が何だか……」
「私もです」
くすくすと笑うシイナを横目で見ながら、アッシュは不意に真っ直ぐ先にハルドの姿が見えた気がした。待て!と身を乗り出すと、アッシュの服の裾をシイナが掴んでいた。
「どうかなさいましたか?」
シイナが心から心配そうに言う。その表情に対してアッシュは笑って返した。
「いえ、なんでもありませんよ」
そうして、、婚礼の祭りは続くのだった。

 

セインは何故か、婚礼の祭りから離れた丘の上にいた。多分ここが正解だと思ってだ。
そして、その感は当たっていた。
「腕、上げたな」
そう言うのは丘に座るハルドだった。ハルドは徳利から猪口にに酒を注ぎ、セインに勧める。
セインは飲める歳でないので断るとハルドが飲む。
「がんばったな」
「よくわかりません」
色んな人に助けられての結果だ。セイン自身どう決着をつけていいか分からなかった。
「気にすんな。俺がお前の歳じゃ、誰の手助けを借りてもロウマには勝てなかった。多分な。それが一番の救いになるといいがな。今後のお前の」
本当かという気がしたセインの頭をハルドが小突く。
「勝ったことを誇りにして、慢心せず生きろ、これから先に違う道を選ぶとしてもだ」
そう言って、ハルドは徳利と猪口を置いて歩き去って行った。セインはどうしたものかと思いながら、取り敢えず、この出会いが夢なのかそうでないのかを確かめるために、徳利の酒を全部飲み干してみるのだった。。

 
 

「さて、どこから話せばいいのか」
ハルドは地球の湖のそばの小屋の裏にある小さな墓に話しかけていた。ここにはハルドの全てともいえる少女リーザ・アインが眠っていた。
墓の前にあぐらをかいて座るハルドの左目は眼帯で覆われていた。再生治療でも完治には、かなりかかるということでそのままにしていた。ロウマの執念の結果だろうとハルドは、諦め半分で左目は放っておくことにした。
「面白い話しも下らない話しもいっぱいあるよ」
まぁ全部、仕入れた情報だが、構わないだろうと思ってリーザに向けてハルドは話し始める。

 

アッシュはシイナと結婚した。その際にクラインの姓に少し別れを告げて、アッシュ・マクスウェルといった感じになった。
セインはそれなりに上手くやってるみたいだ。最近ではパイロットだけじゃなく、きちんと高校の勉強を始めたみたいだ。
姫様に関しては何とも、楽しそうには見えるが作り物みたいだって言う奴が増えたぐらいか。
ヴィクトリオはどうやらアッシュが預かることになったようで一安心。アッシュの所のほうがマトモに育つよな。
うん、ユイ・カトーは金儲けに熱心。レビーはMS開発に熱心。ベンジャミンは相変わらず艦長、ノンビリだけど幸せそうだ
知り合いだもんな。奴らが生きてたら気になるよな。すぐに言わなくてごめんな。
クランマイヤー王国に関してはそれぐらいしかわかんねぇや、ごめんな、話が半端で。ちょっとカッコつけすぎたせいでクランマイヤー王国にはいられなくなってな。これで、終わりで勘弁してくれ。
あとガルム機兵隊とかいうのがクライン公国軍の部隊になって調子にのってるってこれはどうでもいいか。
うーん、じゃあ、俺のカッコいい話しは?オッケー?ならいいや、それでいこう。
まず、女の子を処刑しようとしていた事件を防いだ。そして、国を内乱でぶち壊そうとする作戦も防いだ。
クランマイヤー王国を襲ってきた奴も倒したし、最強って感じのパイロットも倒した。凄くね?ハルド君が凄いのは知ってるから別に驚かないって、それじゃ話しがねぇよ!

 

そんな風に墓の前で悶えていたハルドをロウマは冷めた目で見ていた。死人に話しかけるのが唯一の楽しみの哀れな男だとも。
この世界において、間違いなく誰より強くて賢く、世界の王すら狙える男の慰めが、こんなままごとだとは、ロウマは惨めにすら思えてくるのだった。
「それ楽しい?」
ロウマは思わず尋ねると
「楽しく最高の時間だ」
ハルドがそう答えるので、ロウマは閉口するしかなかった。
「ちょっと用があんだけどいいかなハルド君」
ロウマはノンビリと尋ねる。アプリリウスで殺しはしなかったものの連れ出した結果、ロウマ・アンドーは戦死したことになり、加えて今までに重ねてきた悪事が全て白日の下にさらされ、ロウマは、マトモに表社会を歩けなくなった。
それからというもの、ロウマは事あるごとに自分に接触してきて鬱陶しいことこの上ない。いっそ殺すかとハルドは銃を取り出し、ロウマに向けた瞬間、違和感を覚えた。

 
 

ロウマは白い布を抱きかかえていた。ハルドは気になり銃を構えたままロウマに近寄り、その袋の中を覗く。そうした結果、ハルドは赤子を見つけた。極めて綺麗な肌をした赤子だ。
ハルドはロウマに銃を突きつけ尋ねる。
「どこの誰の赤ん坊だ?」
尋ねられたロウマは僅かに目を逸らしながら言う。
「目の前のあなたの子ども」
ハルドは何を言っているのか分からず、銃をロウマの額に突き付ける。自分は生殖行為などした記憶はないとも言いたかった。リーザを除いてだが
ロウマはそういう対応も想定していたのか、しれっと言う。
「単純にハルド・グレンとリーザ・アインの遺伝子を混ぜてゼロに近い状態から作った固体。まぁユリアスと似たもんだ、使った遺伝子の質が違うが」
ロウマは自身の社会的地位を全て失う契機となったハルドに対する嫌がらせとして作ってみただけだが、想像以上に効果がありそうに見えた。ショックは大きくハルドはだんまりである。
「とりあえずパス」
ロウマは赤子とそれを包む布をハルドに投げ渡した。ハルドは銃を捨て必死の様子で受け取った。そして、赤子の顔を見た瞬間にハルドは涙ぐみだした。ロウマは銃を構え、ハルドを狙っているが、そんなことは関係が無い様子だった。
そして、ゆっくりと、赤子の目が開いた瞬間にハルドは大粒の涙を流した。生まれて初めて本気で流す涙だった。
「この子は俺の子だ。それでいい」
ハルドは涙を流しながら、その赤子を抱きしめる。その赤子の瞳は空より澄み切った蒼だった。
ロウマは何か毒気を抜かれた感じで、ハルドを足でツンツンとしてみたが、特に反応は無かった。
「だー、鬱陶しい、この子に何かあったらどうすんだ!」
お前の声の方がうるさいと思いながら、行くあてもないので、ロウマは何となくハルドについていった。本音を言えば生まれたばかりの段階の、あの赤子の面倒を見ていたロウマなので、どうしても先が気になった。
「なんでついてくんだよ、クソヤロー!」
「赤ん坊に汚い言葉を聞かせんなカス、とにかく育てんなら名前だ名前、さっさと決めろ」
何ともくだらないことを、と思いながらもハルドは自分の両手に抱えた存在に、希望を持った名前を与えたく、太陽にその子を重ねながら言う。
「リヒト。リヒト・グレンだ!」
ドイツ語で光だったはず。文句を言ったらぶち殺すという殺意を振りまきながら、ハルドとロウマ、そしてハルドに抱かれリヒトという名前を与えられた赤ん坊はカリフォルニアの荒野を進むのだった。

 
 

C.E.153世界は大きな変化を迎えた。地球連合とクライン公国に加えコロニー同盟の出現である。それが世界に極端な変化をもたらしたわけではない。
いまだに世界の各地では小規模な争いが続き、平和とは程遠い。しかし新たな勢力そして、新たに生まれる子供たちが、コズミック・イラという時代に新たな何かを生み出す可能性は誰にも否定できはしない。

 

機動戦士ガンダムEXSEEDブレイズ――完――

 
 

GEB第65話 【戻】