Lnamaria-IF_LED GODDES_07

Last-modified: 2009-06-19 (金) 22:18:47

プラント―アプリリウス――
港からのエレベータでは、査問会に出頭するクルーゼとアスランがいた。
壁のテレビがニュースを流している。
『では次に、ユニウス7追悼1年式典を控え、クライン最高評議会議長が、声明を発表しました』
『……あの不幸な出来事は、我々にとって決して忘れることのできない深い悲しみです』
「そういえば、彼女が君の婚約者だったな」
「え、あ、はあ……」
クライン議長の娘、ラクス・クラインはアスランの婚約者なのだった。
「ラクス譲は今回の追悼慰霊団の代表も務めるそうじゃないか。素晴らしい事だな」
「はい……」
「ザラ委員長とクライン議長の血を継ぐ、君らの結びつき……次の世代にはまたとない光になるだろう。期待しているよ」
「ありがとうございます」
「その時代を、今我々は守らねばならん」
「……」

 
 

ロウは、モビルスーツみたいな物でビームライフルを構え、進入して来たというモビルマーマーを待つ。
「さぁ、来い! 1・2・3!」
ロウはビームライフルを発射した!
だが、相手のメビウスは機敏な動きでそれを躱す!
「嘘だろ!? ビームを躱すなんて!」
メビウスのガトリングガンがロウの機体を掠める!
「ちくしょう! ジャンク屋にはジャンク屋の戦い方があるって見せてやる!」
ロウは上の階へ逃げた。

 

オーブに雇われた傭兵、叢雲劾(むらくもがい)は、相手が両手を上げて、機体から出て浮かんでいるのが見えた。
「観念したか?」
メビウスのハッチを開ける。
「今だ! ハチ!」
声が響く!
「む!?」
――!
劾が慌ててメビウスを蹴って上へ逃れた時、敵の機体が起動し、ビームライフルを撃って来た!
「む、避けていなければ死んでいたな……」
劾は周囲に浮かぶ残骸を蹴って一気にロウへと近づき、取り押さえる!
「なかなかいい作戦だったな」
「くそう、何が目的だ!」
その時、更に数機のメビウスがそのスペースに入ってきた。
一機のハッチが開く。
「ご苦労でしたな、劾殿」
初老の男が出てきた。
「いや、これが仕事だ。で、こいつはどうする?」
「ふむ……」
その男はロウに近づき、頬を叩く!
「例の物は?」
「なんだ……」
「例の物は?」
更に一発!
「しらねぇ……」
もう一発! 今度はリバーに入った!
ロウは悶絶する!
「不法侵入、器物破損、強盗容疑で逮捕する」
「なんだって!? 俺はジャンク屋組合で……」
ロウは抗議する。
「確か、ジャンク屋組合の特権は『兵器の残骸(ジャンク)を拾ったら、保有国家の許可無しで所有できる』だったな。劾君」
「はい」
「ここは戦場ではないのだよ。オーブはどことも戦争しとりゃせん。まだ、な。ヘリオポリスも資源惑星を核として再び再建する予定だというのに、よくも好き勝手にぶっこわしてくれた物よ」
初老の男は怒りを露わにして言った。
「それに、この機体のどこが残骸なのかね? ジャンク屋組合はその特権を都合良く考えすぎてはいないか? まぁいい、この事はジャンク屋ギルドにきつく抗議する!」
「それに……」
劾が口を挟んだ。
「この男、こちらに先制攻撃をして来ました。確か、ジャンク屋組合の義務は『専守防衛。眼前に脅威が迫っても保有する自衛兵器を使って先制攻撃をしてはならない』だったはず」
「うむ、わかったその事もこの男の罪状に付け加えよう。さて、この機体だが……」
「あ、お気をつけを。この男、どうやったか知らんが遠隔操作で攻撃してきました。咄嗟に逃げていなければ死んでいました」
「わかった。殺人未遂容疑も付け加える。おい」
初老の男は、部下に、モビルスーツらしき機体を調べさせた。
「うあわぁ!」
部下の男は悲鳴を上げた。
「どうした!」
「こいつに接続されている妙な箱を触ったら、電撃みたいな物が……」
「……貴様、あの機体に何をした。言わねばこの場で殺す」
初老の男はロウの頭に拳銃を突きつける。
「ハチ! 抵抗するのはやめろ!」
ロウは必死に叫んだ。
「ふむ、この箱か。なにやら訳がわからんが……。銃で撃ってみるか」
「頼む! そいつは友達なんだ! 手を出すな!」
「ほう、ではおとなしくしているように言うんだな」
部下の男は再び慎重に、その妙な箱を取り出す。
「そいつは持って行く。何か面白そうだからな。では、劾殿、貴殿のメビウスを失って気の毒であった」
「いや、任務だ」
「うむ、これからもしばらくの間、このヘリオポリスをこそ泥共から守ってくれたまえ。……では、これも料金の内と言う事で、この機体を受け取ってくれたまえ!」
ロウが乗っていた機体を指し示す。
「……これは?」
「オーブが誇る東京マルイが作成したモビルフォース、『ガンガル』だ!」
誇らしげに初老の男は言った。

 
 

『オーブ避難民の方にお知らせです。船外ポッドでの活動の経験のある方ご協力願います』
艦内放送が流れた。
アークエンジェルはデブリ帯に着いたのだった。
「じゃあ、君達、行っておいで。ひとまずモビルスーツの整備もできたから」
カトーは生徒達に言った。
「はーい」

 

「お、カズイが護衛か?」
サイは少し驚いた。
「フサガ少佐とルナマリア様と、交代で護衛に付く事になったんだ」
少し自慢そうにカズイが言う。
「ルナマリア様って……カズイ、そう言う趣味?」
ミリアリアがちょっと引きながら言う。
「ふふん。僕はナイトなんだ!」
自慢そうにカズイは言った。

 
 

プラント評議会――
「ではこれより、オーブ連合首長国領、ヘリオポリス崩壊についての臨時査問委員会を始める。まずはラウ・ル・クルーゼ、君の報告から聞こう」
クライン議長が発言した。
「はい」
その後、しばらくクルーゼの説明が続く。
「……以上の経過でご理解いただけると思いますが、我々の行動は決してヘリオポリス自体を攻撃したものではなく、あの崩壊の最大原因はむしろ、地球軍にあるものとご報告いたします」
「やはり、オーブは地球軍に与していたのか」
「条約を無視したのはあちらのほうですぞ!」
「だが、アスハ代表は……」
「地球に住むものの言葉など、当てになるものか!」
オーブに否定的な発言が続く。
「だが……」
一人の議員が勇気を振り絞るように言った。
「オーブには借りがある。我らは『オペレーション・ウロボロス』でメイリン姫を……」
だが、その言葉は無視され、消えた。
「しかし、クルーゼ隊長。その地球軍のモビルスーツ、果たしてそこまでの犠牲を払ってまでも、手に入れる価値のあったものなのかね?」
ザラ国防委員長がクルーゼに問う。彼はアスランの父でもある。
「その驚異的な性能については、実際にその1機に乗り、また取り逃がした最後の機体と交戦経験のある、アスラン・ザラより報告させていただきたく思いますが」
「アスラン・ザラよりの報告を許可する」
待機中のイージスがモニターに映る。
「……!」
「まずイージスと言う名称のついたこの機体ですが、大きな特徴は――」
アスランが説明を始める。

 
 

「うわぁ!」
トールが悲鳴を上げた。
「どうした」
「死体が……」
「倉庫を探せよ、倉庫を。他の場所はほっておけ」
サイが指揮を執りながら、デブリ帯からの補給は続く。

 
 

「以上です」
アスランの説明が終わった。
「こんなものを作り上げるとは……!ナチュラルどもめ!」
「でもまだ試作機段階でしょう。たった5機のモビルスーツなど脅威には……」
「だが、ここまで来れば量産は目前だ。その時になって慌てればいいとでもおっしゃるか?」
「これははっきりとしたナチュラルどもの意思の現れですよ! 奴らはまだ戦火を拡大させつもりなんです!」
「静粛に、議員方、静粛に」
「ふふ……」
「……」
アスランは何も言えなかった。何を言ったらいいのか、もやもやした気持ちを抱えていた。
ザラ国防委員長は発言する。
「戦いたがる者などおらん。我らの誰が好んで戦場へ出たがる? 平和に、穏やかに、幸せに暮らしたい。我らの願いはそれだけだったのです。だがその願いを無残にも打ち砕いたのは誰です。自分達の都合と欲望ためだけに、我々コーディネーターを縛り、利用し続けてきたのは! 我らは忘れない。あの血のバレンタイン、ユニウス7の悲劇を! 243721名……それだけの同胞を失った、あの忌まわしい事件から1年……。それでも我々は最低限の要求で戦争を早期に終結すべく、心を砕いてきました。だが、ナチュラルは、その努力をことごとく無にしてきたのです!」

 
 

オーブ――
「ここでしたか」
「……ウナトか」
慰霊碑の前で、跪いていた男が立ち上がった。
「情けない物だな。娘の仇すら、討ってやれんとは。ザフトの攻撃を恐れて、中立を維持。地球連合に加わる事もできんありさまだ」
オーブ代表首長、ウズミ・ナラ・アスハはつぶやいた。
「首長……」
「たった一人残された娘も、どうなるやら……」
「……」
「もしかしたら。オーブに被害がなかったら。オーブは原発には頼っておらん。地球人類10億の被害も他人事のように思えておったかも知れん。戦乱に巻き込まれまいと、あくまで中立を保ったかも知れん」
「……」
「だが、娘を失った事で、ニュートロン・ジャマーを打ち込まれた事で被害を被った人々と気持ちが一緒になる事ができた。そう言う気がするのだ……」
「お察し、申し上げます」
「……サモアの、地球軍の集結具合はどうだ」
「今だ、予定には達しておりません」
「グレイ殿は」
「グレイ殿の指示により、急ピッチで海中戦力の生産が進められております」
「そうか。今は待とう。臥薪嘗胆だ。だが、地球軍がカーペンタリアを攻略できる軍備を整えた時こそ、見ておれよ、ザフトめ!」

 

オーブ国防本部――
「ルナマリアの行方は?」
ユウナは幕僚に聞いた。
「はっ。ヘリオポリス防衛隊に、地球軍の新造戦艦を接収して行動を共にすると連絡があった以降は不明です」
「ふむ」
ユウナは少し考え込んだ。
「よし、オーブ艦アークエンジェルへの攻撃について再びザフトに抗議しろ。あくまでアークエンジェルはオーブ艦だとな。再びこのような事があったらゆるさんとな! 強奪されたモビルスーツも、オーブの物だとして返還を要求しろ」
「はっ」
「これで少しは君の助けになるかい? ルナ……」
ユウナはつぶやいた。

 
 
 

】【戻る】【