Lnamaria-IF_LED GODDES_13

Last-modified: 2009-08-01 (土) 01:57:10

「ん? おぉーー! いやぁ、ヘリオポリス崩壊の知らせを受けた時は、もう駄目かと思ったぞ。それがここで、君達と会えるとは……」
「ありがとうございます! お久しぶりです、閣下!」
ラミアス大尉は嬉しそうだ。
なんでもハルバートン准将の部下だったと言う。
「オーブ艦アークエンジェルへようこそ」
私はハルバートン准将ににこりと微笑んだ。
「ああ、話には聞いていたが……うむ。まぁ、よくこの艦とストライクを無事で持ってきてくださいました。礼を言いますぞ。。フラガ少佐、ラミアス大尉、バジルール少尉、ご苦労だった」
「「はっ」」
「引き続きアークエンジェルに乗務してもらう事になるがよろしく頼むよ」
「「はっ」」
「さぁ、ハルバートン准将、彼らがいなくては戦い抜く事は出来なかったでしょう」
私は、カトーゼミの学生達の所へハルバートン准将を連れて行った。
「おお、彼らが!」
「はい。ヘリオポリスの学生たちです。彼らがいなければ、この艦はとてもここまでたどりつけなかったでしょ
う」
「君達の御家族の消息も確認してきたぞ。皆さん、御無事だ!」
「あー! よかったぁ」
「よかったねー!」
「とんでもない状況の中、よく頑張ってくれたなぁ。私からも心から礼を言う」
「閣下、お時間があまり……」
准将の副官ホフマン大佐が言う。
「うむ。後でまた君達ともゆっくりと話がしたいものだなぁ」
ハルバートン准将は去って行った。

 
 

「ルナマリア様!」
イズモからランチがやってくる。ハッチが開くと、壮年の男が飛び出してきた。
「兄部(こうべ)一佐!」
兄部勇次はルナマリアの前に立つと敬礼した。操艦の名人との噂が高い彼である。
「アークエンジェルの艦長を拝命しました! よろしくお願いいたします!」
「これは、心強い事です!」
私はにこりと微笑んだ。彼なら……この艦を任せられる!
「この艦を、よろしく頼みます!」
「はっ」

 
 

ザフト艦ヴェサリウス――
「ツィーグラーとガモフ、キーロフ、ソコリニコフ、チュバール、ピャタコフ、ブハーリン、ボロージン、ルイコフ、ラデック、トゥハチェフスキー、コシオール、カラハン、ヤキール、ヨッフェ、トムスキー、メイエルホリド、ゴーリキー、ヴァヴィロフ、ヤゴーダ、エジョフ、メンジンスキー、ラシェビッチ、ベリヤ、ガルバーニ及びマルピーギ合流しました」
アデスが報告する。
「うん、敵艦隊とほぼ対等の戦力は揃える事ができたな」
「はい。そこらじゅうから引っ張ってきたようです。これにモビルスーツの戦力が加わるのですから」
「勝利は決まったも同然か。地球軍に発見されてはいないな?」
「はい、今のところ……」
「このまますんなり月本部へ着かれてしまっては、ザフトの恥だな」
「しかし、このままですと」
「なんとか今の内に沈めたいものだが……どうかな?」
「増援のローラシア級にジンが130機、シグーが27機。ヴェサリウスはシグー、デュエルを含めて含めて6機、ガモフも、ジン4機にバスターとブリッツも出られますから。しかし、本国からの命令は本気なのでしょうか? ラクス嬢に構わず攻撃せよなど?」
「ふ。さすがに自分の子供だけ命を助けろなどと言う訳にも行くまい? クライン議長閣下も辛い立場だな」
「はぁ」
「知将ハルバートン……そろそろ退場してもらおうか……」

 

「ラクス……」
アスランは休憩室で天を仰いだ。
「ここにいたのか」
ヘリオポリスからG兵器を奪った時の仲間、イザーク・ジュールが部屋に入ってきて声をかけた。
「いいよな、お前は。イージスぶっ壊しても代わりにシグーもらえるんだから」
イザークはアスランに憎まれ口を叩く。
が、いつもとは違い、その後は無言になる。
「ここにいたんですか♪ 二人とも♪」
ムードメーカーのラスティ・マッケンジーもやってくる。アスランと同期の赤服だ。
だが、雰囲気に呑まれて無言になる。
「……あー! もう!」
耐え切れなくなったようにイザークが叫ぶ。
「とにかく、生きて帰れ! アスランも、ラスティも!」
「……ああ」
アスランは少し微笑み答えた。
「ふん」
イザークは部屋を出て行った。

 
 

「ナスカ級1、ローラシア級26! グリーン18、距離500。接敵予測、15分後です」
メネラオスに戻ったハルバートンにオペレーターが告げる!
「哨戒機の情報通りか」
「しかし、今仕掛けてくるとは」
「どうしてもアークエンジェルを撃沈したいらしい」

 

「搬入中止、ベイ閉鎖。メネラオスのランチは?」
兄部は早速アークエンジェルの艦長席に座り指揮を取っていた。堂に入ったものである。
「まだです!」
パルが答える。
「急がせろ! 総員! 第一戦闘配備!」
「はっ」
「バジルール中尉」
「はっ」
ナタル・バジルールは一階級上がって中尉に任ぜられている。
「副長及び火器の指揮は任せる。頼んだよ」
「……はっ」
なお、昇進してラミアス少佐は、技術士官及び陸戦隊の隊長に任ぜられると言う変則的な配置になっている。

 

「全艦、密集陣形にて、迎撃体勢! アークエンジェルは動くな! そのまま本艦に付け!」
ハルバートンは怒鳴った。
「信号弾打ち上げ! ニュートロンジャマー、展開! アンチビーム爆雷、用意!」
副官のホフマンも防衛の指揮を取る。
「補給艦、離脱!」
「ランチ収容、ハッチ閉鎖!」
「さあて」
ハルバートンはつぶやく。
「ナスカ級1、ローラシア級25、想定されるモビルスーツは150機か――。ずいぶん張り込んでくれたが、見ていろ、数が戦力の決定的な差でない事を教えてやる!」
ハルバートンはそうつぶやくと怪しげな笑みを浮かべた。

 
 

『ザフト軍に告ぐ! こちらは現在、プラント最高評議会議長、シーゲル・クラインの令嬢、ラクス・クラインを保護している。偶発的に救命ポッドを発見し、人道的立場から保護したものであるが、以降、当方へ攻撃が加えられた場合、それはザフトのラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当方は自由意志でこの件を処理するつもりである事を、お伝えする!』
メネラオスから、ザフトに向けて通信が走る。だが、返ってきたのは艦載ビーム砲の光だった。
「どうやら、ザフトはラクス嬢を見捨てたようだな」
「そのようですな。可哀想に」
「敵先頭艦に砲撃を集中せよ! 敵モビルスーツには構うな!」
ハルバートンが叫ぶ!
メネラオスから225cm2連装高エネルギー収束火線砲「ゴットフリートMk.71」が、そして大型ミサイルが!
ネルソン級から2連装大型ビーム砲が、対宙魚雷が。もっとも小型なドレイク級からも対宙魚雷が、まだザフトのモビルスーツが近づかない内にこの野郎、とばかりに放たれる!
この砲火の集中は、少なくない敵モビルスーツも巻き込む!
ニュートロン・ジャマーも、モビルスーツの利点、有視界での小回りの利く戦闘機動も、地球軍の飽和攻撃の前には無力であった。
地球軍艦艇は、接敵されない内に備蓄を使い果たす勢いで対宙魚雷を連射したのだ!
対してザフト軍は出撃した味方モビルスーツを巻き込む恐れで地球軍ほど全力の砲撃は行えなかった。

 

「キーロフ及びソコリニコフ大破、後退します」
「ベリヤ撃沈!」
「ん。なかなかやるでは無いか、ハルバートンも」
しかし、クルーゼは余裕を見せて笑った。
「だが、それもこちらのモビルスーツがたどり着くまでだ! 足つきを抱え込んですくみ込んでいる内に叩かせてもらおう!」

 
 

「ザフトのジン約130機! シグー20機確認! それに……あれは、X102 デュエル、X103 バスター、X207 ブリッツです!」
「艦長、最後の3機は例のG兵器――Xナンバーです」
ナタルが兄部に助言する。
「こちらX105 ストライク、フラガ中佐。私を出せ。メビウスではXナンバーの相手はきつかろう」
ストライクで待機中のフラガから通信が入る。
「了解した。本隊からのメビウス発進に合わせる」
「了解!」

 

「撃て! 撃て! 撃ちまくれ!」
ホフマンが全艦隊に向かって吼える。
敵艦の後退を見て意気は上がっている。
「ジン5機、いや、8機撃破を確認!」
オペレーターが伝えて来る。
艦橋は歓喜の声に包まれる。
だが、すぐにオペレータの声がそれに水を差す。
「敵モビルスーツ、イエローゾーン突破しました!」
「む。モビルアーマー隊、発進!」
「ガーディアンワン、ガーディアンツー、発進!」
ハルバートンの指示でホフマンが命令を下す。
「一撃離脱を徹底させろ! 墜とされるなよ! 邪魔するだけで良いんだ!」

 

「ようし、本隊からのモビルアーマー出撃確認! アークエンジェル、モビルスーツ発進!」
「了解、ムウ・ラ・フラガ、ストライク、行くぞ!」
「ルナマリア・ホーク、レッドフレーム、出るわよ!」
「カトー・ケンソリウス、ブルーフレーム、出る!」
「カズイ・バスカーク、グリーンフレーム、行くぞ!」

 

「本隊に通信だ」
兄部が言った。
「奪われたG兵器の相手は我が隊にお任せあれ、とな!」
「はっ」

 

戦況は砲撃戦から、第8艦隊の防空戦に移っていた。余りに多くのメビウスを防空隊として出撃させたので主砲及び対宙魚雷、大型ミサイルを撃つ事が不可能になったのだ。
各艦、対空機関砲、2連装対空砲、75mmガトリング機関砲と言った対空火器をフル稼働させてザフトのモビルスーツに備える。
メビウス隊と言えば、攻撃していると言うより、逃げている、と言った方が正しいだろうか。
ザフトのモビルスーツを攻撃する時間などほんのわずかな物だ。
だが、戦場に大量に存在する敵機の存在はそれだけでザフトのモビルスーツの動きを掣肘する。

 

「さて、これから我が軍はここを動かず耐えねばならん! 敵を引き付けておかねばな!」
ハルバートンは断固とした口調で言った。
「できますとも、閣下! 撃て! 撃ちまくれ! 敵機を近づけるな!」

 

「さぁて、どれが獲物かな?」
フラガは不敵に笑った。
一隻、強力なビーム砲により大破したドレイク級が見えた。
「よし、あいつにするか」

 

ははは、やっぱりナチュラルなんてこんなもんさ!
次々に地球軍艦船を破壊し、ディアッカは哄笑する。
「所詮ナチュラルの奴らなんて……」
……と、哄笑が止まる。
こちらに向かってくるモビルスーツがいる!
「ストライクか!」
一瞬高揚する心。が――
なんで。最初からわき目もふらずにビームライフルも撃たずに俺に突っ込んでくる!? 怖くねえのか!?
その速度は予想よりも速く、まずはビームの撃ち合いをする気でいたディアッカの気持ちの余裕を失わせる。
「くそ、なんであたらねぇんだ! バスターには高精度のセンサーが付いてるってのに!?」
そのストライクは、まるであらかじめ撃たれる位置がわかっているかのようにバスターの射撃を躱す。
ディアッカはミサイルポッドを開放する!
まだまだ足りない、あいつを止めるには!
ディアッカは、右腰アームのガンランチャーを前に、左腰アームの収束火線ライフルを後に連結した広域制圧モードにし、撃つ!
「うそだろぉ!!」
シャワーのように放たれる火線!
それを相手は、ストライクは、まるでどこに射線が行くのか見えているように、それを避ける。
「うわあぁ!」
ミサイルも、ビームも乗り越えて、『それ』はバスターの正面にいた。
「化け物め!」
捨て台詞のように叫ぶディアッカを無視するように『それ』はビームサーベルを振りかぶり、バスターの左腕を切り落とした!

 

「馬鹿めが。砲撃戦用機で前線に出てくるからだ」
フラガは独り語ちる。
自分なら、砲撃戦用機は艦のそばにつけておくのにと苦笑してしまった。
バスターに止めを刺そうとした時、フラガは何かを感じて、咄嗟にバスターから離れる。
……と、重突撃機銃の銃弾が今居た所を過ぎていく。
脇を見やると、ジンが数機駆けつけてくるのが見える。
「運が良かったな」
そうバスターに言い捨てながら、フラガはジンに向かう!

 

私は味方の艦船を襲撃しているジンに向かって突っ込む!
重突撃機銃の弾丸が飛んでくるけど、特殊部隊で教え込まれた事!
「どっちを狙ってるかなんて丸判りよ!」
それに、レッドフレームは後ろに装甲が無いから後ろ向けないしね!
ジンは重突撃機銃を捨て、重斬刀を抜く!
その時、レッドフレームの後ろに隠れるようにしていたブルーフレームがビームライフルを撃つ!
ジン被弾!
「隙あり!」
私の斬撃はジンの胴体を薙いだ!
「手ごたえあったわ! カトー、次行きましょう!」

 
 
 

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