MMGSLNSDSCVG_第02話

Last-modified: 2007-11-18 (日) 15:48:26

一旦、外に出たシンは、一気に蹴りをつけるべく、大剣型のデバイス、デスティニーに魔力を集中させる。
これならビルごと一刀両断出来る。カートリッジを消費しようとした時、一筋の光がシンに向かう。
一瞬、驚いたがシンはなんなくかわす。
「へぇ、今のをかわすんだ」
粉塵の中から現れたのは白いバリアジャケット、高町なのは。
これが、“エース・オブ・エース”か。なるほど、並の魔力じゃないな。
「リミッター解除したから、手加減出来ないよ」
後から黒いバリアジャケットに身を包んだフェイトも現れる。
1VS1なら勝てる筈だ。だが、1VS2はさすがに分が悪い。
だが
「やるしかないな」
シンが力を込めると、紅蓮の翼が大きく展開される。
「え?」
なのはの驚きの声がフェイトの耳に届く。
「どうしたの?」
「ロックが…」
シンが翼を広げたのと同時に、レイジングハートのロックからシンが外れる。
〔マイマスター、あの翼です〕
「翼?」
もう10年来の付き合いとなる愛杖の言葉に耳を傾ける。
〔はい。あの翼から噴出されむ魔力がマスター!〕
「なのは!」
レイジングハートとフェイトの叫びにはっと顔を上げる。
眼前には振り下ろされる刃。瞬間的にレイジングハートで防御する。
フェイトはバルディシュをハーケンフォームとしてシンに一閃。
シンは、なんなくかわすと、上昇し、掌を向け、魔法を放つ。
パルマフィオキーナ。掌の槍を意味するその魔法は、魔法陣を必要とすることなく発射出来る。
この魔法の特性が最大に発揮される場面は違うのであるが。
フェイトは、シンに向かいながらギリギリでかわすと、バルディッシュを奮う。

シンもデスティニーで返し、ぶつかり合う刃から光が散る。
ロック出来なくても当てる!
なのはの意気込みが魔法陣へと、変換される。
「ディバイーン・バスター!」
何っ!?撃つのか!?味方がロック出来ない相手と近接戦闘をしてのに!?
虚を付かれたシンは、フェイトに押され態勢を崩す。
フェイトは、なのはの射撃を目視することなくかわし、そのまま射撃はシンに向かう。
「ちぃっ!」
シンは、デスティニーを放ると、両手の甲を前に突き出す。
直撃を知らせる爆炎が舞う。
「どうかな?」
〔まだです〕
レイジングハートの声になのはとフェイトは、構える。
倒せてなくても、ダメージは与えているはず。
しかし、爆炎の中から出て来たシンの姿は、なのはの想像とは違った。
手の甲から広がる翠の光。ソリドゥス・フルゴールを用いたシンは、無傷でそこにいた。
手の内を見せ過ぎだってアスランが五月蝿いんだろうな。
シンは、心の中でウンザリすると、デスティニーを呼び寄せ、カートリッジを消費する。
1本だった剣が2本へ、アロンダイトモードからエクスカリバーモードへと変化させる。
魔力刃の出力は落ちるが、2本ある分、多彩な攻撃が可能となる。。

「もう、逃げられねーぞ、お前」
取り囲む魔導師の中でアスランは、それでも表情を変えなかった。
しかし、実際には表情を出さなかっただけである。
くっ…まだか…キラ、それにしても…
だが、アスランは心の中で管理局の間抜け振りに溜息が出る。
こうしている間にお前たちは…
アスランは突然、盾型のデバイス、ジャスティスを経由して、魔法陣を展開。

ヴィータとシグナムは、それに対して構えるが、魔法陣より早く背中に水平に装着されていた戦闘機型攻撃体、
ファトゥムが垂直になり2本の魔力が放出される。
魔法陣による攻撃を予想していた2人は意表を付かれてしまう。
次の瞬間、アスランはファトゥムをパージ。足元へと寄せ、より上空へと加速する。
そして、アスランに念話が通る。
『終わったよ』
そして、その終了の合図と同時にカウントダウンが始まる。

終わったって言われても…
相変わらずなのはとフェイトと対峙するシン。
どうやらこの2人は1人でも充分強いのに、1+1なら3にも5にもなれようだ。
『発射まであと600秒』
届いた念話に少し焦るシン。
10分で逃げろってか…
「さぁ、どうする?お話、聞かせてもらいたいんだけど」
シンが無傷だったのには驚いたが、こちらの優位は揺るがないといった風になのはは、シンに問い掛ける。

「君、ちょっと待ってもらおか?」
はやては、茶髪の少年の背後から語りかけた。
「そのデータをどうするつもりですか」
はやての横で浮いている人形サイズの少女リインフォースⅡが問う。
その少年、キラ・ヤマトは振り向くと、答えた。
「何って、有効利用するよ。…管理局を破壊する為に」
そう言うとキラは、2本のライフルを展開し、はやてとリインに発射する。
2人がかわす間にバリアジャケットまで装着し、青い翼を広げ宙に舞う。
八神はやて、本局機動六課・部隊長、魔導師ランクSS。
今はリミッターにより、たいした魔力は持ち合わせていないだろう。
「ごめんね」
キラは、カートリッジを2つ消費すると、腹部と2丁のライフルから魔力を打ち出した。

単に逃走しても、逃げ切れる可能性は、かなり低い。
しかし、逃げ切れなければ巻き込まれる。
エクスカリバーを構えたシンは、一呼吸置くとなのはとフェイトを見据える。
翼の角度を背中に対して鈍角にすると、前進、加速。
なのはは、周りに魔法陣を作り、アクセルシューターを放つ。
それと、同時にフェイトは飛び立つ。
シンは、アクセルシューターをなんなくかわすと、右の刃をフェイトに打ち込み、フェイトも応戦。
片手である分、力負けするが、直ぐさま左の刃で脇腹を狙う。
フェイトは、無駄な抵抗はやめておき、シールドのみで脇腹をガードする。
「ぅっ」
衝撃をなんとか堪え、バルディシュを軽く動かし、エクスカリバーをいなすフェイト。
「っ!」
シンは、一度、離れようとしたが、目前に迫っていたなのはに驚愕した。

「いたた…、いきなりやな…。リイン、リイン!」
左腕を抑え、周りを見て、リィンフォースⅡのを名を呼ぶはやて。
「ここです。リインは大丈夫です」
ふわふわと浮き上がり、はやての隣へリインフォースが戻る。
「優顔しといて、問答無用やな。って、こんなこと言っとる場合やないな」
上空を見ると小さくなりつつある、青い翼が見えた!
「追うで、リイン!」
「はいです!」
そのはやてに、通信が入る。
「八神部隊長!大変です!」
「シャーリー、どない…」
「南々西から高魔力反応が」
はやての言葉を遮ってしまうほどの焦りを見せるシャーリー。

「くそっ、くそぉ」
なのはとフェイトの連撃を受け、自然落下する体、そして、足をバインドで拘束される。
〔300秒前〕
デスティニーから聞こえる無機質な声。
時間が…くっそぉぉぉ!
俺から家族を奪った管理局。
俺達から世界を奪った管理局。
俺は、もう絶対に!

シンの瞳が見開き、2人を見据えると、光が消える。
なのはとフェイトが、その瞳に何かを感じとった瞬間、シンはバインドを無理矢理破る。
両脚から血が吹きでるが気にせずに、エクスカリバーを1本、なのはに投げる。なのはなんなくかわす。
しかし、エクスカリバーはカートリッジを消費すると、ブーメラン・フラッシュエッジへと変化。
宙を舞い、再びなのはに迫る。
飛び散る血沫。
なのはは、なんとかかわそうとしたがフラッシュエッジは腕を掠めていった。
シンは、両手でエクスカリバーを構え、フェイトを襲う。
先程より明らかに上昇した速度。
フェイトは、バルディシュで防御するが、次の瞬間、脳が揺れ、ブラックアウトしかける。
シンの左足が顎を捉らえたからであった。
態勢を崩したフェイトを助ける為、なのはは魔法を打とうしたが、レイジングハートの警告によって
後から迫っていた、砲撃をかわした。
「SEEDを発現させてる…」
巻き込まれないように、逃げようとしていたキラが見たのは、フェイトをに切り掛かるシンだった。

別に仲が良いというわけではないが、仲間である以上、援護はする。
ライフルと腰の横から砲撃をなのはに向けて放った。
問題は、この先だ。
SEEDは、単純な戦闘力だけなら格段に上昇する。だが、単純に言えば、「火事場の馬鹿力+ブチ切れ」状態。
周りとの連携などは皆無。しかも、念話も出来なくなる。
シンの頭にこれから先の予定が残っているかも分からない。
「運命!」
あまり得意ではない大声を出すキラ。
単純にデバイスの名前を読み替えただけだが、本名よりマシである。
そう攻撃開始前に言い合わせておいた。
しかし、シンはなのはに切り掛かっていった。
「くそっ」
普段、あまりこんな言葉を使わないキラの口から思わず漏れる。
〔250秒前〕
2丁ライフルのデバイス、フリーダムが残り時間を知らせた。