R-18_Abe-SeedDestiny_安部高和_02

Last-modified: 2007-12-27 (木) 10:41:05

「そういうわけで、本日よりザフトに復隊したアスラン・ザラだ。みんなよろしく」
ミネルバ、レクリエーションルーム。
議長に言いくるめられてザフトに復隊したアスランは、クルー達にそう自己紹介をした。
「みんな!アスランは良い奴なんだ!仲良くしてやってくれ!!」
そしてカガリがそう付け加えた。カガリも最初は反対していたのだが、バカさ加減を戦艦に例えると
マクロス級船団くらいあるので、実にあっさりと納得させられた。
「自分はレイ・ザ・バレルです。MS戦時においての指揮を執っています」
最初に応えたのはレイ。金髪長髪の美形だった。まぁザフトには掃いて捨てるほどいますがね、美形は。
「俺・・・じゃなくって、自分はシン・アスカです!インパルスのパイロットをやっています!」
次に応えたのはシン。赤い瞳の黒い髪で、蒼穹のファフナーの主人公にそっくりだった。
「私はルナマリア・ホークよ。こちらこそよろしくおねがいしますね、先輩」
んで、ルナマリア。赤い髪のアホ毛である。それ以上でもそれ以下でもない。
「自分はショーンであります!」
「自分はゲイルであります!」
ショーンとゲイル。知っている人は極少数だと思うが、原作のどっかで速攻落とされた二人である。
顔すら映らなかったので、活躍を期待している皆様には申し訳ないがここでもそういう扱いだ。
ラスティあたりと仲良いんじゃないカナ?
「俺は(ry」
メカニックは省略させて頂きます。えっと、ガングロとケチャップって覚えとけばOK。
「よし!それじゃあ今日からは新生ミネルバ隊だ!みんな頑張ろう!!」
おー、と拳を突き出すアスラン。しかし、誰一人としてノってくれなかった。
「アスラン。そういう行動は正直困ります」
「大先輩に向かって言うのもなんだけど・・・・・・寒いです」
「今時それはないよなぁ、ヴィーノ?」
「ああ・・・・・・」
「こ、これが若さか・・・」
ジェネレーションギャップを感じるアスラン。しかし昔のイザーク達もノってくれなかった事を
アスランは忘れていた。
「み、みんなさっきの戦闘で疲れてるんですよ!ほらみんなも、もっとシャキっとしなさいよ!」
そうフォローしたのはルナマリア。険悪な空気をなんとかしようと、必死に笑顔を振り撒いていた。
そんな彼女に、アスランは感謝の意を口にした。
「すまない、豚マリア・・・」
「・・・・・・。次の出撃の際には背中にご用心を、先輩」
それは、ミネルバのパイロット達にとっては言われるまでもない事なのだが。

 

ガーティー・ルー。
ミネルバではあんな感じだが、実はこの艦はミネルバに追われていた。
もちろんガンダム強奪の件で、である。名前こそ不吉だが、あれはザフトのガンダムなのだ。
「大佐。どうなさいますか?」
そう訊いたのはイアン・リー。モブだが優秀な副艦長だ。 ※類・・・アデス
「そーさねぇ・・・・・・ま、なるようになるさ」
艦長であるネオ・ロアノーク大佐はお気楽思考。深く物を考えるのは苦手なのだ。まぁ一番身近に
いた艦長がマリューだったから仕方ないのかもしれない。
「そんな事より、あいつらの方が心配だよな・・・」
ネオの懸念は、ミネルバではなく彼らにあった。

 

ガーティー・ルー、レクリエーションルーム。
そこでは、阿部とステラが言い争いをしていた。
「アンタ、いい加減服着なさいよ!」
「断る」
「そんなキタナイモノぶら下げてんじゃないわよ!」
「良い事思いついた。おまえ、自分の目を潰せ」
「そういうアンタがそれを切り落としなさいよ!」
「そうさせたいのならまずおまえが首を吊る事だ」
相性は最悪だった。
しかし同じエクステンデットでも、スティングとアウルはそんなに阿部の事が気にならなかった。
彼らは性に関する感情が乏しいのだ。
「確かに全裸はヤベーって思うけど、あんなに怒る事はないよなぁ」
「ああ、全くだ。男は沈着でなければな」
「ステラは女」
二人の様子を眺めつつ、彼らはそんな呑気な会話をしていた。
しかし――
「あんたが吊りなさいよ!」
「いいやおまえが死ね」
「――ッ!?」
「あ・・・・・・」
「あいつ、言いやがった・・・!」
ブロックワード。それは禁句のようなものであり、例えるなら「包茎」とか「童貞」とかそんな感じである。
「お・・・お・・・」
ステラの様子がおかしくなった。ステラのブロックワードは「死ね」なのだ。ステラはそう言われると――
「?」
「おまえが死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「アウチ!?」
ステラの鉄拳が阿部の鳩尾に埋まった。
「あーあ」
「やっちまったか・・・」
――凶暴化するのだ。

 

「なぁネオ」
ガーティー・ルーのブリッジに、阿部が入ってきた。
「おう、どうした・・・・・・って!?」
阿部が肩からぶら下げているモノを見て、ネオは驚愕した。
――それは、ぐるぐる巻きにされてミノムシみたいになったステラだった。別名スマキ。
ステラは逆さ吊りになりながら、目を回して気絶していた。
「ステラを捨てる場所はどこだ?」
「いやいやいや!捨てるな捨てるな!!」
「おおすてらよ! しんでしまうとは なさけない!」
「殺すな殺すな!」
「心配するな。俺はこいつの分まで生きてやるさ!」
「いやいやいやいや!こいつはうちに必要な奴なんだから!」
そう言ってネオはステラを降ろした。
「おまえさんがどういう奴かは知ってるが、あんまりこいつを苛めるなって」
「いや、そいつが殴りかかってきなんだが」
「・・・・・・ああ。おまえ、ステラに『死ね』って言ったろ?」
「言ったような気がしないでもない」
「ステラはな、そう言われると凶暴になるんだ」
そう言いながら、ネオは仮面を取った。
その顔には、痛々しい傷が付いていた。
「前にプリン食われた時に俺も言っちまってな。それでこのザマさ」
「へぇ。そいつは怖いねぇ」
ちなみに阿部さんは無傷だった。
「大佐!ミネルバが追いついてきました!!」
と、イアンがそう叫んだ。
ガーティー・ルーのすぐ後ろに、ザフトの新鋭戦艦ミネルバがくっついていた。
「戦闘かい?」
「ああ、そうだな」
ネオは艦内放送用のマイクを手に取り、クルーにこう告げた。

 

「戦争が始まるぞ!各員、戦闘準備だ!・・・・・・くれぐれも、慎ましくな」