みんなで(ちょっと変則的に)プールに行くゾ
《前編》
しん 「あつ~い!こんな暑い日はプールで泳ぎたいゾ!」
シン 「ダメだ!プールへは行かない方がいい!」
しん 「な、なんで!?」
シン 「……今そこのプールを覗いてきた。 凄いぞしんちゃん……まるで芋の子を洗うよーに人がいやがる!
プールの中はぎゅうぎゅう詰めで全然思いっきり泳げない! 人が沢山いるせいでプールの水も生ぬるい!
そんなプールでしんちゃんは泳ぎたいのか~? あ゛~ん?」
しん 「う、うう……」
ルナ 「うあ~~~~~もう!それにしても暑い暑いあつーーーーい! ここんとこ我慢してきたけど、もー限界よ!
私はね、いま泳ぎたいの!それこそ猛烈に泳ぎたいの!
泳ぎたい!泳ぎたい!お~よ~ぎ~た~いーーーーーーーッ!」
ひろし 「こりゃ珍しい。普段温厚なルナちゃんがキレるとは」
むさえ 「そんだけ普段から色々溜め込んでいるみたいね」
ルナ 「うう~~!プールだめ!海水浴場もだめ!水風呂やビニールのプールなんかは、思いきり泳げないから論外だわ!
なら……なら………そう!それなら!
いっそコアスプレンダーでどっかの無人島にひとっ飛び!これで問題解決だわ!いやったあ~♪
こうなったらさっそく……」
シン 「盛り上がってるとこ悪いが……ルナ、無理だそれ」
ルナ 「なんでよ!」
シン 「これだ。
俺達が春日部に来たとき、議長が日本政府と交渉して締結した……
題して『異世界からの来訪者における、特別移民法』。俺達の人権や権利を保障してくれる法律だ。
その第3条、G項にこう書いてある。
『原則として異世界の機動兵器は、埼玉県内でのみ運用を許可するものである』……てな」
ルナ 「……つまり?」
シン 「つまりだ。俺達のMSとかは、日本政府の許可なしでは埼玉県外での活動はできないってこと。
これを破ったら国際問題になり、場合によっては自衛隊の戦闘機がミサイルを撃ってくるぞ」
ルナ 「う、ぐぐぐ~~~~!じゃ、じゃあ……じゃあ………そうよ!バレなきゃいいじゃない!
こっちにはミラージュコロイドという絶好の隠れ蓑兵器があるんだからッ!」
シン 「ミラコロを装備してんのは今のところたったの2機だけだぜ?
俺のデスティニーのは戦闘における目くらまし程度のもんだし、
ニコルさんのブリッツは……その、なんていうか………飛べないじゃん」
ルナ 「キーーーーッ!なによなによ!私の天才的なアイデアを次々と否定ばかりして!
ならあんたが妙案出しなさいよお!」
シン 「い、いやそんな事言ったって……く、ぐるじい……ル、ルナ落ち着けって……!」
しん 「おお~~!これはめったに見られない、シン兄ちゃんとルナおねいさんのケンカだゾ!」
むさえ 「ひゅーひゅー!どっちも頑張れー!」
ひろし 「……止めてやれよお前等」
ピンポーン!
みさえ 「あら?誰かしら……はーい、ちょっと待ってて下さいねー(ガチャッ)」
マユ 「こんにちはー!」
エル 「こ、こんにちはです」
みさえ 「あら。マユちゃんに……エルちゃんじゃない。今日はどうしたのかしら?」
エル 「はい。今日はしんちゃんを誘いに来たんです」
しん 「う~ん、デートのお誘いなら悪いけど間に合ってるゾ? こうみえてもオラの恋愛対象年齢は女子高生以上……」
マユ 「違うよ!今日はね、マユたちの小学校のプール解禁日なの。
学校のプールで好きなだけ泳げるから、しんちゃんも一諸にどうかな~って思って」
しん 「おお~!行く行く! プール行く準備はもうとっくに出来てるからすぐ行こう!」
エル 「うわあ……本当だ。準備いいなあ。じゃあみさえさん、しんちゃんをお借りしますね♪」
みさえ 「お願いするわ。しんのすけ、マユちゃん達に迷惑かけるんじゃないわよ?」
しん 「ほ~い!」
ルナ 「(聞き耳立ててた)はあ。小学校のプール、かあ。いいなあ……」
シン 「そうか……学校のプールってのは盲点だった。これならイケるか、な?」
ルナ 「ち、ちょっとシン!あんたまさか小学校に忍び込む気?
あのね、小学校って所は数年前から犯罪が多発したために、
今では基本的に部外者立ち入り禁止になってンのよ?
うかつにあんたなんかが敷地内に入ったら通報されて、瞬く間に警察が飛んでくるわ!」
シン 「ふっふっふ……甘い。甘いぜルナ!誰がこの姿のまま行くと言った?
小学生にしか入れないんなら、俺達が小学生になればいいだけの話よ!
ってなワケでいくぜ!今週のビックリドッキリメカ~~~!」
ルナ 「ああッ!そ、それは……まさかッ!」
※ ※ ※
その数十分後……かすかべ小学校のプールで。
マユ 「……ぷはッ!ど、どうだったエルちゃん?」
エル 「うん!平泳ぎで15メートルいったよ!
すごいなあ……私なんかビート板使わないとまだまだ、こんなに泳げないや」
マユ 「へへ~♪これでなんとか、来週のクラス対抗水泳リレーに勝てそうだね!」
エル 「そうだね!……それにしても」
しん 「ケツだし星人泳ぎ~ぶりぶり~!ぶりぶり~!」
エル 「……しんちゃん見てると、たまに努力するのが空しいと感じるのはエルだけかな?」
マユ 「大丈夫。マユもそうだから……あれ?誰だろあの子達。どこかで見たような、見ないような……
あーーー!」
マユの視線の向こうには……プールに入りに来たとおぼしき小学生五人の姿があった。
ただし、どこかで見たような気がする5人ではあるが……?
???1「いやあ~今日も暑いやあ……あ、皆さんこんにちは。僕、かすかべ小学校4年1組の飛鳥しんです」
???2「私も4年1組、鷹月マリアよ♪よろしくね!」
???3「おなじく大和キラです。
いや~ここに絶好の被写体がいれば、なおフリーダムなんだけど……小学生じゃなあ」
???4「うぇ~い。ステラも4年1組ー」
???5「たまにはこういうのも悪くないですわね♪ あ、私も4年生で倉院楽主といいますわ。皆さんよろしく……」
マユ 「ちょちょちょっと!おにーちゃん! これどういう事なのーーー!?」
エル 「うそ……キラお兄ちゃんやラクスお姉ちゃんが、エルと同じくらいの姿になってる……?」
しん 「ほほう……なるほどなるほど。シン兄ちゃん達アレを使ったんですな?」
マユ 「あれ?!」
キラ 「さすがしんちゃん、すぐに気が付くとはさすがだね♪」
シン 「ふっふっふっ。もちろんマユにエルちゃんは知らないよなあ……なにせマユ達が春日部に来る前の話だ。
実は俺達、以前ある科学者の機械で子供になったことがあるんだよ」
エル 「大人が子供に……ですか? そんな……」
ラクス 「信じられないでしょうけど、本当にあったのですわ。
それで……その博士はその後機械の改良を続けて、遂にその装置を完成したんですの♪」
シン 「それがこれさ。まあフツーにトランシーバーにしか見えないだろうけど」
キラ 「とはいえ、この簡易装置で子供でいられるのは2時間だけ。
しかも連続では使用できずエネルギーのチャージに半月かかるシロモノだけど、ね」
ルナ 「とにかく!これで思いっきりプールで泳げるってもんよ! ではさっそく」
ステラ 「えーい!(ざぶーん!)」
ルナ 「ああこら!準備体操もしないでいきなり飛び込んだら……」
ステラ 「(ぴきッ!)う、うぇーい!あ、足つったあ~~! シン助けて~~~~!?」
シン 「やれやれ。しょうがないなあ……あれ?そういえば以前にも似たような事があったような?」
マユ 「……う~ん。お兄ちゃん達、泳ぐ気満々だ。それも思いっきりハメを外して……」
エル 「ま、まあいいじゃない? 賑やかなのはエルも嫌いじゃないし、ね?」
マユ 「いいのかなあ……?」
しん 「ま、何事もなるようになるもんだゾ~」
(つづくゾ)