SEED-クレしん_08-リレーSS・アスカ兄妹の里帰り

Last-modified: 2009-07-12 (日) 00:02:26
 

【その1】(作者:8代目スレ82氏)

 

 ここは秋田駅。今この地に下り立つ、2人の兄妹の姿があった。

 

シン  「へえ~ここが秋田県かあ……
     里帰りに来てみたけど、考えてみれば春日部から外に出たのって初めてのような気がするぜ」
マユ  「え~と、たしか迎えが来るハズなんだけど……あ、おじいちゃーん!」

 

銀の介 「いよ~♪マユちゃんひさしぶりだべや~。お、そっちのはマユちゃんのお兄さんかえ?」
マユ  「はい!お父さん達、元気にしてますか?」
銀の介 「そりゃあもう、元気だがや~。ささ、車に乗りや。家まで送るで」
マユ  「お願いしま~す!」
シン  「どうも……お世話になります」

 

銀の介 「そんじゃいくべやあ! なんぴとたりともーーー!」
シン  「う、うわッ!? ち、ちょっと銀の介さん!スピード出しすぎじゃないですか!?」
マユ  「きゃあ!赤! 今の信号赤だったよーーーー!?」
銀の介 「ふははははッ! オラはマシンだー!マシンはオラだー!!」

 
 

~そして~

 

シン  「よ、ようやく着いたか……おいマユ、大丈夫か?」
マユ  「な、なんとか……ううっ」

 

銀の介 「そんじゃオラは自分の畑に行ってるからよ、夕方になったら訪ねてくるといーべや。
     よく冷えたスイカをご馳走しちゃるけん♪」
シン  「そりゃどうも……ふーん、ここが父さん達の家か。野原家とあんま変わらないフツーの家だな……」
マユ  「あっ!お父さんにお母さんだ!やっほー♪」
アスカ父「お、シンにマユじゃないか。よく帰ってきたな」
アスカ母「ご飯ちゃんと食べてる? 2人共、少し大きくなったかしら」
シン  (父さん……それに母さん。本当なら俺の両親はマユと2年前に死んでるはずなんだよな………
     や、やべ!ちょっと涙が出ちまった……くそ……)
アスカ父「どうしたシン?」
シン  「い、いや何でもないよ!そっちこそ元気そうでなにより……ん?」

 

 ふとシンが自分の手を見ると、そこには何故か鎌が。

 

アスカ父「せっかく子供達が帰ってきたんだ、どうせだからさっそく畑仕事を手伝ってもらおうか♪」
シン  「お、おい!実家に帰ってきたばかりだってーのに、ひと休みも無しで働かせるのかよ!?」
マユ  「当たり前じゃない。今が一番忙しい時期なんだから……さ、お兄ちゃんもマユ達と一諸に畑仕事しよ!」
シン  「マ、マユもいつのまにか作業着に着替えて完全武装してる?!」
アスカ母「さあさ、夕方まであと少し。家族みんなで畑仕事を頑張りましょうねー?」

 

シン  「ち、ちきしょー!こんな重労働させられるんだったら、実家なんかに帰ってくるンじゃなかったぜ!」

 

   ※   ※   ※

 

銀の介 「んじゃあマユちゃん。ひろしとしんのすけにヨロシク言っといとくれや♪」
マユ  「はい!おじいちゃんもお元気で」
アスカ母「シン。向こうで会社をクビになったら、いつでも帰ってきなさい。」
アスカ父「こっちで死ぬほどこき使ってやるから♪」
シン  「うるせえ、この労働基準法違反夫婦!2度とこんな所に帰ってくるかあーー!」

 
 

 まあそんなこんなで、アスカ兄妹は春日部に帰ってきたのだった。

 

マユ  「ん~~!実家も良かったけど、やっぱり春日部が一番だね~~~♪」
シン  「まあな……本当ならほんの2、3日の里帰りだったハズなのに……
     気がつけば1週間も秋田に滞在することになろうとは。
     何故か野原家と電話が繋がらなくて、みんなとも連絡がとれなかったし。さっさと帰るか」
マユ  「そうだね♪じゃあ……あれ?あそこに居るの、オルガさん達じゃない?」
シン  「あ、本当だ。おーい!」

 

オルガ 「……ん?あっあの野郎!」
クロト 「よくもぬけぬけと僕達の前にあらわれやがったな……滅・殺!」
シャニ 「………死ね」

 

マユ  「ち、ちょっとお兄ちゃん? あの人達、拳銃を取り出したよ?!」
シン  「おお!?な、なんかよく分からんが……ここは逃げるぞマユ!」
マユ  「う、うん!」
常夏  「「「待てやゴルァァァァァア!」」」

 

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 

マユ  「ふう、ふう……も、もう追いかけてこないよ?マユ達を見失ったみたい……」
シン  「何なんだ?一体……お?あそこで歩いているのはメイリンかな?おー」
メイリン「(シンを一目見て)………ふん!」
シン  「ーい……ってむ、無視されたー?」
マユ  「ど、どういうこと?」
シン  「わ、分からん。
     こうなったらとにかく野原家に行こう!しんちゃん達なら、きっとなにか事情を知ってるハズだ!」

 
 

 そしてシン達は野原家に帰ってきた。

 

シン  「は、はは。たった1週間の不在とはいえ、この家は変わらないなあ……ただいまーー!」
ひろし 「ん?どなたで……なんだ君か」
シン  「き、君かって……ま、まあそれはともかくお土産いっぱいありますよ~。
     実家が農家だもんで、たくさん米とか野菜とか貰ってきましたから!」
ひろし 「ふ~ん。あっそ」
シン  「………? み、みさえさん!」
みさえ 「あのね。いまは洗濯物をたたんでいる最中なの。後にしてもらえないかしら?」
シン  「そ、そんな……ひろしさんにみさえさんまで、どうしてこんな……
     ならしんちゃんは?それにルナも!」

 

しん  「(テレビを見てる)おお~アクション仮面ー!」
ルナ  「(同じく)がんばれー♪」
シン  「あ、あのさ。おれ、秋田から帰ってきたんだけど……」
しん  「ふ~ん」
ルナ  「だから何よ?」
シン  「いや、だから……
     そうそう!田舎じゃ俺、親父たちにこき使われてさあ……銀の介さんもしんちゃん達にヨロシクって」

 

しん  「もう~!うるさいゾ! オラ達、兄ちゃんの相手をするほど暇じゃないの!とっとと出て行ってよッ!」
ルナ  「……大ッ嫌い!」
シン  「……ッッ!!!!(ガーン!)」

 
 

マユ  「……どうだった?お兄ちゃん……」
シン  「俺達は……何故だかは分からないけど、もうこの春日部にいられないほど嫌われてるみたいだ……
     まさか……まさかしんちゃんまで……あ、あんな事言うなんて……」
マユ  「Uターンになっちゃうけど……秋田の実家に帰る?」
シン  「………うん」

 
 

 その10分後。野原家で

 

キラ  「やあみんな久しぶり!それにシン君が帰ってきたんだって?どこ?どこに居るのさ?」

 

しん  「う~もう、しつこいゾ! シン兄ちゃん達が秋田に行っちゃってオラ達が寂しくなってきた頃に、
     髪を黒く染めて赤いコンタクトを目に付けて、シン兄ちゃんのフリをしてさんざんオラ達をからかったクセに!」

 

キラ  「いやーごめん。あれはちょっと悪ノリしすぎたかなあ~って反省しているよ。ところで……シン君は?」
ルナ  「なに言ってるの!ついさっきもからかいに来たクセに!」
キラ  「さっき……?僕はいま、オーブの実家から帰ってきたばかりだけど?」
みさえ 「……え?」
キラ  「いや、ほんとはもっと早く帰ってくるつもりだったんだけど、Uターンラッシュに巻き込まれちゃってさ~」

 

ひろし 「……え? も、もしその言葉が本当だとしたら……」
みさえ 「さっきうちに来たのは……」
ルナ  「ま……まさか!」
しん  「ほ、本物のシン兄ちゃん!?」

 

   ※   ※   ※

 

~春日部駅~

 

マユ  「電車の切符も買ったし……そろそろ行こ……?」
シン  「うん……さよなら春日部……さよならみんな……」

 

ステラ 「うぇーい!シンにマユちゃん、行っちゃだめーーー!」
シン  「……あ……ステラ?」
ルナ  「さっきはごめん! ある事情でシンのことを誤解してたの……
     みんなシンのこと嫌いになんかなってないわ!」
レイ  「諸悪の根源はこいつだ。俺達でこれ以上ないほどシメといたから、安心して帰ってこい!」

 

キラ  「(みんなにボコボコにされて)す、すびばせん。みんな僕のせいれす……がくっ」

 

ひろし 「君の帰るべき場所は、俺達の家だろ!」
みさえ 「またみんなで一諸に暮らしましょ?」
ルナ  「シン、カムバーック!」

 

しん  「シン兄ちゃん!」
シン  「しんちゃん……」
しん  「オラたちの家に帰ってきてよ! シン兄ちゃんが居なくなったら、オラ……オラ……!」
シン  「俺は……俺はどこにも行かないよ。しんちゃん、みんな……
     俺にはまだ帰れる所があるんだ。こんなに嬉しいことはない……!」

 
 

しん  「……おかえり!シンにいちゃん!」
シン  「ただいましんちゃん……みんな!」
マユ  「ただいまー!」

みんな 「おかえり! マユちゃんに……シン・アスカ!」

 

   ※   ※   ※

 

【その2】(作者:8代目スレ94氏)

 

~その後~

 

ラクス 「シン。本当にキラが無礼な事をして、すみません……」
シン  「あっ、大丈夫ですよ。もう俺、気にしていませんので」
ラクス 「いえ、何かしないとわたくしの気が収まりません」
シン  「いや、本当に大丈夫ですって」
ラクス 「……」

 

 次の日。シンが野原一家と一緒に商店街へ出掛けると……

 

しん  「昨日は本当にごめんね、シン兄ちゃん」
シン  「大丈夫、大丈夫………って……」
みさえ 「どうしたのシン君………って……」

 

 視線の先には……猿轡を噛まされ、縛り上げられたキラが……

 

キラ  「………」(放心している)
ラクス 「あら、こんにちは」
しん  「ラクスおねいさん」
シン  「ラ、ラクスさん。あの……あれって……」

 

ラクス 「昔、日本で良くされていました罪人の市中引き回しですわ」
キラ  「………」(へんじがない。ただのしかばねのようだ)

 

シン  「白装束(俗に言う死に装束です)着てる。しかも、胸に『この者、狼藉者なり』って………」
ひろし 「キラを担いでいるあの覆面の人達は誰だ?」
ラクス 「イザークとディアッカですわ。さっ、見物しましょう……」

 

イザーク「あ、あの……ラクス嬢」
ラクス 「どうしたのですか?」
イザーク「キラから直訴の手紙を渡されました。減刑を求めています」
みさえ 「……あの状態でよく書けたわね」
ラクス 「あらあら……ここになぜか、一匹のヤギがいます」
シン  「どっから持ってきたんですか?」
ラクス 「この子はお腹が減っているようなので……」
シン  「軽く聞き流したって……ああ……直訴状、食べちゃったよ」

 
 

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