ある秋の日、キラは新たな作品の製作に萌え……燃えていた。
キラ 「やった、秋の向けての新作の台本が出来た! 早速やってくれる人を探しに行くぞ!フリーダーム!」
~数時間後~
キラ 「だめだ、ステラちゃんはシンとしかと組みたがらなさそうだし、ルナマリアは……」
ルナ 《あんまり、接点がない人と組むのはちょっと……》
キラ 「こうなったら、また……」
~フリーダム医院~
キラ 「ラクス、この台本を頼めないかな?」
ラクス「……また、新しいお話をお作りになられたのですね……」
「この世で一番フリーダムな運動会」(原作・演出・監督:キラ・ヤマト)
―小学生のキラ・ヤマト君が借り物競争で年上のおねいさんと―
ラクス「……問題があります」
キラ 「う……」
ラクス「キラが小学生を演じること以前に人を借りるという行為はどうなんですか?」
キラ 「……確かにそうだけど。」
ラクス「普通に二人三脚でいいと思いますわ。
それから、この劇は私とキラのみでは少し寂しいのではないでしょうか?運動会なのでしょう?」
キラ 「別に2人でも……」
ラクス「(サッ)後は私にお任せくださいな」
ラクスはそう言って自分の部屋へ入っていった。
キラ 「大丈夫なのかな……ラクスのことだから、また年齢が高くなった学園ドラマだったりして……」
※ ※ ※
~数日後~
しん 「お?」
この世でエターナルに語り継がれる体育祭
(原作:キラ・ヤマト 監修・演出:ラクス・クライン 協力:『砂漠の虎』の皆さん)
ここ《エターナル》学院では秋の行事・体育祭が開催されていた。
学院生徒の一人キラ・ヤマトはラクス・クラインと午後の種目二人三脚に出場するのだったが……
キラ 「ラクスさん、今日はがんばろうね」
ラクス 「は、はい……」
キラ 「(どうもこの人のこと良く分からないなぁ)ラクスさん、君がどうかは分からないけど、
今この競争には君の力が必要だ、それだけはわかって欲しい」
ラクス 「……」
スタート位置に立つ2人(相手チームはバルドフェルド・アイシャ、ヒルダ・マーズ)
ヘルベルト「よーい(ピストル持ち)」
パンッ
走り出す選手達
ダコスタ「一番はやはり虎の異名を持つ黄色チーム!その後ろを黒チーム、ピンクチームが続くー!」
アンディ「ふっ」
キラ (うう……このままじゃ)
ラクス (キラ君)
キラ (ラクスさん?)
ラクス (二人の心を合わせましょう)
キラ (……わかった!)
ダコスタ「ピンクチーム凄い追い上げだ!」
キラ (凄い、ドンドンとスピードが上がってくるようだ)
キラ、ラクス(勝てる!/勝てますわ!)
ダコスタ「黒チームを追い抜き黄色チームにせまる勢いで走り抜けるー!
あーっと遂にトップに躍り出たーーーー!ピンクチームそのまま走りぬきゴールイン!」
ゴールテープを切るキラとラクス
キラ 「やった、1位だ!」
ラクス 「やりましたね、キラ君!」
ダコスタ「ピンクチーム一位ー!」
※ ※ ※
大会終了後 後始末にいそしむキラとラクス。
キラ 「まさか1位になれるなんて思わなかったな、ありがとうラクスさん」
ラクス 「私もですわ。最初、キラ君と一緒になった時上手くやっていけるのかと思っていましたが、
キラ君が私の力を必要としてくれたから、力が発揮できたんです」
キラ 「……きっと、そうだね」
ラクス 「それに……私、キラ君をあんなに身近に感じたのは初めてでした……」
キラ 「えっ?」
ラクス 「な、何でもありませんわ……」
ラクス 「ですけど、キラ君、これからも私と……私とチームを組んでください。
私、あなたと一緒ならどんな所も歩けると思います!」
キラ 「ラクスさん……わかった、これからも一緒に走っていこう!2人で!」
虎 (……しかし、こんな格好させられるなんて)
アイシャ(たまにはいいんじゃない)
ヒルダ (これもラクス様のためだ!)
マーズ (しかし、これに何の意味があるんだ?)
ダコスタ(……早く帰りませんか? 店を留守にするのはまずいですよ?)
ラクス 「一緒に帰りましょうキラ君」(うふふ、こっちのほうがかなり成功ですわ)
キラ 「一緒に歩いていこう、2人で」(正直どうかと思ったけど、ラクスの体操服姿もフリーダーーム!)
―完―
園長先生 「あのーラクス先生、許可なく幼稚園で青春ドラマの真似事は止めてくれませんか……」
風間君 「なにやってるんだろう? あの人達」
マサオ君 「何だか凄くベタな劇だね」
ボーちゃん「一昔前の、ドラマ」
しん 「うーん、体操服姿のアイシャおねいさんにふりーだーむ!」
風間君 「そういう問題じゃない!!」