授業参観にいくゾ
エドモント・デュクロ「2日後に授業参観日だぞー。みんなお父さんお母さんにちゃんと話して来てもらうようになー」
みんな「「「「「せんせーさよーなら~~!」」」」」
エル 「……授業参観日だって。みんなは誰がくるの?」
マユ 「マユんとこはフレイお姉ちゃんかな……
あ、でも高級化粧品のバーゲンがあるからお友達と遠出するとか言ってたっけ」
エル 「友達?」
留美 「くしゅ!」
紅龍 「風邪ですかお嬢様? チリ紙をどうぞ。はいちーん」
コニール「うちはカガリ姉だな。他にいないし」
エル 「エルはラクスお姉さんかな~」
マユ 「ん~マユは……他にいないし、しょうがないか」
シン 「で、俺に?……まあいいけどさ。有休とればなんとかなるだろうし。
ん……うん……ああわかったよ。じゃあな」
しん 「誰からの電話?」
シン 「マユから。2日後に授業参観があるから学校に来てくれだとさ」
しん 「じゅぎょーさんかん?なにそれ?」
シン 「んーとだな、
教室の後ろで親兄弟が監視する中……
少しでも親にいいカッコみせようと子供たちが必死で授業を受けまくる、
先生はモンスターペアレントの目と学級崩壊の恐怖に震えながらビクビクもんで授業をする、
そういう恐怖のイベントなのだ」
しん 「ほ~~」
ルナ 「まあ大本は間違ってないけど……なんか違くない?」
シン 「似たようなもんさ。そういやエルちゃんにコニールの父兄は誰がくるんだろ?」
ルナ 「誰がってそりゃあ…………まさか……」
しん 「そのまさかがありそうですなー。よーしオラも授業参観についていこーっと♪」
エル 「……え?」
キラ 「だから、ラクスが風邪こじらせて行けなくなったから、僕がエルちゃんの父兄として行くよ」
エル 「え、で、でもキラお兄ちゃんじゃその……あの……」
キラ 「大丈夫だよエルちゃん。いくら僕でも小学生は守備範囲外だからね。
校内で無闇に『フリーダーム!』とかしたりしないさ」
エル 「ほ、ほんとう?」
キラ 「本当。誓っていえる」
エル 「ほ。それなら安心かな……」
キラ 「でも……そうだねストライクフリーダムな女教師がいた場合は除くかな♪」
エル 「い、いやあああああッ!?」
コニール「ちょっとまて。それはどういう……」
カガリ 「だから授業参観と言われてもな。警官の仕事は急には休めないんだよ」
コニール「うーむ。じゃあ私は父兄なしか……」
カガリ 「大丈夫だ。私の代わりにアスランに頼んどいた」
コニール「な……ッ!? な、なんであの隊長なんだ?
もうアレとカガリ姉は特別な関係じゃないんだろうッ?」
カガリ 「深い意味はない。単に頼みやすい奴に頼んだらおkが出たというだけの話だ」
コニール「こ、断る! 今のあいつに頼むくらいなら、故郷のお兄ちゃんに来てもらった方がマシだ!」
カガリ 「それでもいいが……2日後には間に合わないんじゃないか?」
コニール「うぐ……で、でも」
カガリ 「まあ大丈夫だろ。アスランは後ろでただつっ立ってるだけのカカシだと思っとけ。
立ってるだけなら見かけはいい男だぞ、あれは」
コニール「……そうだな。背景だということにしておけば、まあなんとか……」
カガリ 「まあいきなりなんらかのスイッチが入って『ジャスティース!』とか言い出したら、
私は責任もてんが♪」
コニール「や、やっぱり嫌だ!(電話をじーころじーして)もしもしお兄ちゃん?助けてくれお兄ちゃん!
お兄ちゃあああああんっ!!!」
~翌日~
マユ 「ど、どうしたの2人とも!?な、なんか顔色すごく悪いよ……?」
エル 「うぅ……ゆうべは心配で心配で寝れなかった……」
コニール「決めた。アスランが授業参観で少しでも妙な動きをしたら、即座に殺ろう」
* * *
まだ一月(当時)だというのにそこはかとなく陽気なかすかべ小学校の午後……
そこにそこはかとなく怪しげな、実体を見せつつ忍び寄る4つの影が現れた。
キラ 「ふーん……ここがエルちゃん達の通ってる学校かあ」
アスラン「こういう場に来るのは初めてだ俺は。ミス・コニ―ルの転校手続きはカガリがやってたし」
シン 「どうでもいいけどみんな、変な騒ぎだけは起こさないでくださいよ?
あーほら校門の警備員さんがにらんでるし……」
しん 「だいじょーぶ♪オラおこちゃまは守備範囲外だから~」
アスラン「うむ!俺も三次元に興味はないッ!」
シン 「恥ずかしい事を堂々と胸はって言うな!……て、あれ?
ちょ、ちょっとキラさん! どこへ行くんです!」
キラ 「え?いやあまずはフリーダムな女の先生に……もとい職員室に行って挨拶をと思って」
シン 「ダメだってば!俺たちはこのままマユたちの教室に行くの!」
キラ 「……ちぇッ」
しん 「んじゃ、そういうわけで出発おしんこ~!」
シン 「お~……て、先が思いやられるなあ」
そんなこんなでマユたちの教室。授業参観開始3分前……
友達 「ねえねえ後ろにいるのエルちゃんとこのお兄さん?えーなに、すごい格好いいじゃない~」
エル 「え? ま、まあね……は、はは……はははは(乾いた笑い)」
コニ―ル「……アスランたち妙に大人気だな。特に女子に対して」
マユ 「まあお兄ちゃん達は黙って立ってれば普通に……その、いけめんって奴だしね」
コニ―ル「中身はアレだから心配すぎるんだけどな。しかしなんでしんのすけまでいるんだ?」
マユ 「さあ?」
エド 「よーしみんな静かにしろ~では授業をはじめるぞ。
いいかみんな、親御さん達の前だからって緊張しないように。
いつも通りやればいいんだからな。いつも通りに」
エル 「は、はい……」
キラ 「ちっ……担任はむさい男か」
シン 「何気に危機をひとつ切り抜けた?」
しん 「シン兄ちゃんはいつも気苦労がたえませんなあ~」
授業を受けてる当の生徒たちにとってみれば、自分の親達の視線を常に後ろから感じるというのは不気味なものだ。
授業中ゆえに後ろを振り向いて確認できないのがよりもどかしい。
さらに言うなら先生に指される可能性もあるわけで……いかにトチらないで上手に答えられるかという不安もあり。
しかもエルたちはキラどもが何かやらかさないかと心配で心配で。
わずか数十分が無限の時間にも感じられる、まさにこの世の地獄を味わっていた。
エド 「ではここを……アルメタ、朗読してみろ」
コニール「え!あ、ああ…ど、どこだっけ……」
マユ 「(小声で)52ページの6行目!ああコニちゃん教科書が逆さまだよ~!」
コニール「ええ!?うう~えーとえーと……」
アスラン「うーむ。なんか硬いな?みんな」
キラ 「緊張してるのかな?」
しん 「少なくとも半分はキラにいちゃん達のせいだと思うけど」
シン 「ほら頑張れコニ―ル!俺が応援してるぞ~!」
マユ (ああ…ばかばか!お兄ちゃんたら大声でなんて余計なことを~~!)
アスラン「そうだぞ!ブリーフィングでシンの奴に噛み付いたあの元気はどうした!」
シン 「や、やめろ!思い出したくもない俺の若気の至りをッ」
エル (うう~~もうやめてえ~~は、恥ずかしくて死にそう……)
キラ 「フレ~フレ~コ~ニ~ちゃ~ん♪」
コニール「だあああ!うるさいお前ら! それ以上私に恥かかせる気なら、この場で射殺する!!」
しん 「お~いつもの調子が出てきたようですな~♪」
コニール「見てろッ教科書読むなんてこんなの楽勝だ!えーと『雨にも負けず風にも負けず……!』」
エド 「お、みんな元気が出てきたな? じゃあ次、この問題わかる人~」
マユ 「えーいこうなればやけくそだ~!はいッ!」
エル 「はい!」
コニール「はーーい!」
シン 「ほらマユがんばれッそこだ!」
しん 「みんながんばれ~~~♪」
なんか後ろでシンたちの熱烈な応援の中、他の生徒たちも授業は盛り上がり。
気が付いたらみんなしてヒートしたまま、いつのまにか授業参観は無事?終わったのだった。
* * *
そんなこんなで授業参観は終わり……子供たちと共に下校するシンたち。
マユ 「もう!お兄ちゃんたちったら恥ずかしいなんてもんじゃないよ!」
シン 「まあ盛り上がったしいいじゃないか♪おそれにしてもお前先生に指されてもよく答えてたな。
マユ、少し小遣い上げてやろうか?」
マユ 「ふんっだ!」
エル 「う~~」
キラ 「い、いやあごめん……悪乗りしちゃって」
エル 「キラお兄さん達のことで放課後みんなにからかわれたんだよ?」
キラ 「ご、ごめん」
エル 「む~………あのアルバムの隠し場所、ラクスお姉ちゃんにバラそっかな?」
キラ 「ひぃ!?そ、それだけは……!もう調子にならないから勘弁してくださいすいませ~~~ん!」
コニール「…………」
アスラン「ミ、ミス・コニ―ル……?」
コニール「……ふう。まあいいか。予想したほど酷くはならなかったしな」
アスラン「お、怒らないのか?」
コニール「今回は特別に許してやる。ほんとは問答無用で撃ち殺すつもりだったのだが……」
アスラン(……うーむ逆に気になる。これでマシとはミス・コニ―ルは俺がどんな騒動起こすと想定していたんだ……?)
しん 「いや~それにしても小学校というのも楽しそうなとこですな♪
オラもはやくピカピカの一年生~になりたいゾ」
シン 「え?それは……」
マユ 「とにかくお兄ちゃん! 今日の埋め合わせはそのうち絶対してもらうからね!」
シン 「わ、わかったよ。そう怒ることないだろ?」
マユ 「ふんっだ!」
しん 「まあ…と、いうわけで~主人公三匹がいく!の授業参観日はこれにて~」
三人 「「「完!」」」
マユ達「「「……よく言うよ」」」