機動新世紀クレ種X・後編
――一ヵ月後 地球。かつて春日部と呼ばれたところ――
ひろし「ここで、お別れかぁ… なんだか寂しいな」
シン 「いつまでも、皆さんの邪魔をしているわけにはいきませんからね」
みさえ「そんな…」
しん 「だいじょぶか? まだ、怪我の更衣室があるんだろ?」
みさえ「おバカ!後遺症でしょ…まったく…この子だけ、この世界に置いてこうかしら?」
シン 「ハハハ。ええ。この体とは、一生つきあうつもりでいますから。それに、二人で旅をして、色々考えてみたいんです。
一ヶ月前の、あの『D.O.M.E』での出来事、自分に都合のいいことを言う人に振り回されないように…じっくりとね」
ひろし 「そうか…」
シン&ルナ「では、どうぞお元気で!」
野原一家 「そっちもな!」
(時空の裂け目から帰っていく野原一家)
………
……
…
ラジオアナウンサー 『プラントとの停戦協定を終えて、両国代表による第3回目の会談が大詰めを迎えました。
その一方、両軍の小規模な衝突も各地で続いており、なおも、両国間には緊張が続いています』
――和平協議会――
プラント代表・イザーク 「こんな形で、また貴様と会えるとはな」
オーブ代表・アレックス(アスラン)「ああ、全くだな」
整形前に戻したミーア 「ミーア・キャンベル。同じく、和平協議会のメンバーです…皆様おひさしぶりです」
アスラン「俺の頼もしいパートナーだ」
ディアッカ「ふぅん?なるほどね…よろしくな」
ミーア 「よろしくお願いします」
――どこかの野戦病院――
連合兵 「貴様らコーディネイターが!」
ザフト兵 「なんだと!?」
ミリアリア「やめなさいよ!」
負傷兵たち「戦場カメラマンがうるせいやい!」
ミリアリア「怪我人に、ザフトも連合もないでしょう?」
負傷兵たち「うっ…」
ミリアリア「それよりも、一杯どう?大概の問題は、コーヒー一杯飲んでいる間に、心の中で解決するものよ。
あとはそれを、実行出来るかどうか…ね」
………
……
…
――さらに半年後――
ミリアリア「キレイね まるで星のじゅうたんね!アタシ、ここ、プラントに来れて良かった。ホントに」
ディアッカ「そ、そうか?おっ、俺よぉ、おめぇのこと幸せに……っ!」
ミリアリア「艦長!」
マリュー 「やっぱり、近くにいたくって!ごめんね、お邪魔だったかしら?」
ミリアリア「ううん、そんなことないです! 戦友じゃないですか!」
マリュー 「ありがとう、ミリアリア」
ミリアリア「うち、おいでよ…!」
ムゥ 「……ということだから、しばらく世話になるんで、ヨロシク」
ディアッカ「何で、おっさんも一緒なんだよ!?」
ムゥ 「おっさんじゃない! いいだろ、別に?」
ディアッカ「めげねぇなぁ、あんたって野郎はよ!」
ムゥ 「俺は不可能を可能にする男だからな!……って、あぁっ!!」
(二人をおいて先に行くマリューとミリアリアの車)
マリュー 「じゃぁ、先に行ってるから~!」
ディアッカ「あ~あ~! 待てよ! こらっ!」
ムゥ 「お、おいっ! ちょっと~!」
――オーブ――
赤い二連星A「『前の戦争で超能力を使う兵士がいた』という噂を、聞いたことがあるだろう。
あれは根も葉もない流言、デマのたぐいかというと、そうではない。
実はこの男こそ、その生き残り。人は我らを呼ぶ。『seedを持つ者』と!」
男 「今どき流行んねーぞ! そんな職探し」
観客達「アハハハ…!」
赤い二連星A「こっ、こりゃ職探しなどではない! コーディネイターの…んっ?
兄ちゃん! 兄ちゃんは信じてるよな?」
シン 「えぇっ!? 俺ですか!?」
赤い二連星A「『seedを持つもの』って言葉、聞いたことあるだろ?」
シン 「い? え、ははは…」
ルナ 「フフ…。もちろんです! ね、シン?」
シン 「ああ、よく知ってるよ。『seedを持つ者』のことなら」
赤い二連星A「えっ?」
赤い二連星B「んっ?」
………
……
…
――コズミック・イラ68年は、終わりを迎えようとしている…
『コーディネイター』『seedを持つもの』と呼ばれた者達の時代は幕を閉じ、
古き価値観は、時の彼方へと消えていく…
人はこれからも刻を紡ぎ、命を燃やして生きてゆく。
次の時代がどうなるのか、それは、誰にもわからない…
だが、たとえ世界がいかなる形になろうとも、ガンダムと呼ばれるMSは、いつもそこにある――
―終―
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