少女、キャロ・ル・ルシエは夢を見ていた。
それは昔の、キャロの生まれた地の夢であった。
キャロは族長に呼ばれて族長の家に来ていた。
「アルザスの竜召喚部族、ルシエの末裔、キャロよ」
キャロの前には年老いた老人が男女それぞれ一人ずつ。
「わずか6歳にして白銀の飛竜を従え、黒き火竜の核を受けた」
そのキャロの飛竜、フリードリヒはぐっすりと眠っている。
老婆はキャロを見ながら言う。
「お前はまことすばらしき竜召還使よ」
だが、横にいる老父は厳しい目でキャロを見る。
「じゃが、強すぎる力は災いと争いしか産まぬ」
老父の言葉にキャロはえ?と反応し、フリードも起き上がる。
老婆は本当に申し訳なさそうにキャロを見る。
「すまぬな、お前をこれ以上この里に置くわけにもいかんのじゃ……」
こうして彼女は、管理局に保護されるまでずっといろんなところを転々と移っていくのだった。
「ん……」
キャロは不意に目を覚ます。
嫌な夢を見た、そう重い時計を見る。
まだそこまで日は昇ってなく、まだ起きるには少し早い時間帯だった。
「すか~~~」
「くぅーーー」
別のベッドにはスバルとティアナが心地よく寝息をたてて寝ている。
「キュー」
同じように起きているフリードはどこか違うキャロを心配するが、キャロは大丈夫と言う。
ふと、キャロは窓から地上を見る。
そこには、既に男性人が起きていて、朝のトレーニングをしていた。
毎日してるのかな?など思いつつスバルたちより早く起きることにしたキャロ。
(竜召還は人を傷つける危険な力……)
まだ、あの夢のことを少し考えながら……
シン達は休暇を終えた次の日から、早速機動六課の訓練を始めていた。
「はい、皆集合!」
なのはの号令で皆は集まる。
その姿は皆ぼろぼろで、訓練の厳しさを物語る。
「最後の一本大丈夫?」
なのはの言葉にはい!と元気に答える一同。
そのときだった、キャロが何かに気付く。
「あれ?何か焦げ臭くありません?」
キャロの言葉に皆は確かに……と思い、その理由を先に見つけたのはティアナ。
「スバル!あんたのローラー!」
ティアナに言われてえ?とスバルはローラーを見る。
見ると、ローラーから煙が出ていた。
「あちゃー、やっば~」
と思ったその時、とうとうローラーにガタが来て、壊れてしまう。
「うわっとととと」
いきなりのことでバランスを崩したスバルはそのまま転倒する。
「スバル、大丈夫?」
なのははこけたスバルを心配する。
「私は大丈夫ですけど、こっちは……」
といってスバルは壊れたローラーを見る。
見事に壊れている。
「ティアナのは大丈夫?」
なのははティアナが使っている銃を見て言うと、ティアナもばつが悪そうに言う。
「ほとんどだましだましで使ってます」
それを聞いたなのはは少し考える。
その時、シャーリーから通信が入る。
「どうしたの?シャーリー」
「なのはさん、実は……」
シャーリーと通信をしていて、わかったといって通信を切るなのは。
通信が終ると、なのはの顔は急に笑顔になる。
「本当はもう少しするつもりだったけど、朝の練習はここまで」
スバルのローラーが壊れ、ティアナのデバイスも調子が悪い以上、これ以上練習を続けるわけにはいかない。
終了と言う言葉に一同はふう、と大きく息をする。
ようやくひと段落終ったのだ、と思ったのである。
それから、となのははつけ加える。
「昼からは一旦デバイスをシャーリーに渡してもらうから、昼からの訓練は……またその時に教えるから、朝はこれで一旦解散」
「キャロ、今日はどうしたの?」
皆で昼食を食べている最中、スバルは今日のキャロの特訓を見て少し変に思ったのだ。
スバルの言葉にえっとキャロは反応する。
確かに、とティアナも思った。
「すこし反応が遅かった気がするけど……何かあったの?」
ティアナの言葉に少し黙り込んでしまうキャロ。
そこに……
「しっかりしてくれ。お前の反応が遅れると前衛のメンバーに危険が増え、下手をすれば死ぬことになるからな」
レイの言葉に凍りつく一同。
そのなか、レイはさっきと変わらず昼食を取る。
(ちょっといい)
ティアナはこそっとシンに話しかける。
(なんだよ)
(前からおもってたんだけど、彼……ちょっとキツクない?)
うんうん、と話に混ざるスバル。
(なんていうかなあ……もうすこし相手のことを気遣うというか、心配させないようにするというか……)
時々、レイは相手のことを気にしない、きつい言葉を放つ。
だが……
(まあ、本当のことだしなあ。それに……)
シンは苦笑しながら言う。
(これでも気を使ってる方さ)
キャロと同じライトニング隊のメンバー、エリオのことを名前に出さないあたり気を使っているということがシンにはわかる。
ダテにずっとコンビを組んでるわけではない。
(ま、そのうちなれるさ)
恐ろしく消極的な方法に、少しげんなりする二人。
馴れなきゃいけないのか、あれに……
その頃、エリオは……
「キャロ、大丈夫?」
同じ部隊、そして同じ分隊であるキャロを心配するエリオ。
「キュ~~」
フリードもさっきからずっとキャロの方を見る。
とりあえずこの空気を何とかしたい。そう思ったスバルは……
「そういえば、皆はどうして管理局に入ったの?なにか理由とかある?」
スバルの言葉にえ?と皆は考える。
先に答えたのはエリオ
「僕は……やっぱりフェイトさんのため、だと思います。ずっと世話になってますから」
だから、少しでもフェイトさんの役に立ちたい。
それがエリオが管理局に入った理由。
「私は……まあ、なのはさんがきっかけなんだ。一度助けてもらってから、なのはさんみたいになりたいから」
スバルは子供の頃は大の泣き虫で、なのはに助けてもらったことをきっかけにかわろうとして管理局に入ったことを話す。
それを聞いてシンとエリオは驚く。
どう見ても昔は泣き虫だったようには見えない。
「じゃあ次は……シンだね」
自分に話題を振られ、シンは少し迷いながら言う。
「俺は……守りたいから……だと思う」
何を?とティアナが聞いてくる。
確かに、答えが曖昧すぎる。
ただ、キャロだけは守る?とシンに聞いてきた。
ああ、とシンは話を続ける。
「4年前に、ロストロギア関連の事故で家族を目の前で亡くして……」
それを聞いてあちゃーとスバルとティアナは思った。
もしかして地雷を踏んだか?
「それで、俺なりに考えて少しでも俺みたいな人を守りたいし、早く事件を解決して俺のような人間を一人でも少なくしたいんだ」
それがシンが管理局に入った理由。
そして強くなりたい理由。
そこで、スバルがあることに気付く。
「レイ、さっきから練り物とか全然食べてないけど、苦手なの?」
スバルはレイにまだ料理が残っていることをいう。
「ちゃんと全部食べとかないと、訓練中にへばるよ?」
スバルはそういうが、レイは珍しくどこか動揺したそぶりで答える。
「練り物はだめなんだ……俺がまだ小さいときに親戚がそれを喉につまらせて病院に運ばれて……それがトラウマでな……それ以降どうしても練り物が食べれないんだ」
そこ場にいる全員が意外、と思いながらレイを見る。
ふと時計を見る。
「それよりも、そろそろいかないと遅れるんじゃないか?」
ティアナは時計を見ると、そろそろ集合時間が近づいてきた。
「確か、集合場所ってデバイスの研究施設だよね?」
食事の最中にフェイトに会い、なのはがデバイスの研究施設に来いといっていた。
いったい何なんだろう……そう思いながら一同はなのは達が待っているところへ行く。
「カリム、久しぶりや」
ここは次元世界で巨大な阻止を持つ聖王教会。
その一つの部屋ではやてと聖王教会に所属する騎士、そして時空管理局の理事缶を勤めている女性、カリム・グラシア。
「いらっしゃい、はやて」
カリムははやてを笑って出迎える。
どこか久しぶりに会う友人の挨拶を交わしているように見えるが、今日は対談をしにここへやってきた。
「ごめんなあ。すっかりごぶさたしてもうて」
二人はお茶とお茶菓子を堪能しながら軽く話をしている。
……さっきも言ったが、今回は対談を気にはやてはここまで来たのだ。
「きにしないで。それよりも、部隊のほうは順調みたいね」
カリムのことばに、それはもう、とはやては笑顔で答える。
「これもカリムのおかげや」
それを聞いてカリムは笑う。
「そういうことにしておくと、いろいろお願いもしやすいかな」
カリムの言葉に、はやては今日自分が呼ばれたのはこれから何かあっての子tだろうと理解する。
するとカリムは、端末を操作する。
誰にもいられないように周囲にカーテンが出てきて、カーテンの中にはカリムとはやての二人。
その二人の間にモニターが出現する。
そこに写されているのはガジェットローン。
だが、見慣れないものもいくつかある。
「これは……新型?」
はやての言葉にええとカリムは言う」
「一つは飛行型で、もう一つは今までのものより割りと大きめのものが確認されたわ。能力も未知数で、まだ本局には連絡してなくて、クロノ提督に少しいってあるだけ」
けど、とカリムはさらにモニターを操作する。
どうやらこっちのほうが問題らしい。
「こ、これは!?」
はやてのそれを見て驚く。
「そう、ガジェットローンとブルーコスモスが使うMA。この二つが同じ場所で確認されたわ」
よく見ると、なにやら協力しているようにも見える。
こういうことが起こるのは初めてだ。
「だからあって話がしたかったの。これをどう判断するべきかを……」
カリムは俯きながらいう。
「レリックやブルーコスモスの事件で、対処の失態は許されないもの……」
そういういうカリムに、はやては笑いながらいう。
「大丈夫。カリムが力を貸してくれたおかげで、機動六課はいつでも動かせる」
即戦力になるなのは達隊長陣は勿論、フォワードたちも既に実戦可能レベルまで育っている。
どんな緊急事態にも対応可能な下地は既に出来ている。
「だから、きっとなんとかなる」
そのはやての目は自信に満ち溢れていた。
「これが……私達の新しいデバイス……」
スバルたちはデバイスの研究施設に呼ばれると、スバルたちに新しいデバイスが用意されていた。
そのことについてシャーリーとリィンフォースが説明する。
「設計主任は私。手伝ってくれたのはなのはさんとフェイトさん。そしてレイジングハートにバルディッッシュ。さらにはリィンそうちょうでーす」
うわあ、とスバルは感激する。
一方エリオたちは。
「ストラーダとケリュケイオンは……変わってないな」
エリオはそういうが……
「それは違います!」
気がつくといつの間にはリィンフォースがいた。
「二人はまだ本格的なデバイスを使ったことがありませんでしたから、今まで使っていたのはフレームと必要最低限の能力のみをつかっていたんですよ」
それを聞いて二人は驚く。
今までので最低限だったことに驚いたのだ。
その中……
「じゃあ、俺達もはそのままってことか」
シンとレイは互いのデバイスを見る。
いままで別に最低限の能力のみしか入っていないなど聞いていない。
『違いますマイスター。かなり調整されています』
え?とシンはインパルスを見る。
そこに……
「そうだよ。二人の場合は今までの訓練を通して、以前よりも本人とあうようにかなり調整されているから。使いやすさは能力は今までの比じゃないよ」
後ろを向くと、そこにはなのはとフェイトがいた。
「なのはさん!フェイトさん!」
リィンフォースは二人の元へ行く。
「皆も訓練に馴れてきたから、今後は実戦用のデバイスで訓練することになるから、気合いれてがんばってね」
なのはの言葉に全員がはい!と答える。
「次からは、私やヴィータ副隊長も参加するから。まあ、私はずっと入られないけどね」
そういって、次からはヴィータとフェイトの新人の訓練の教官として参加するらしい。
「それから、デバイスのことなんだけど、いきなり最大出力で扱うのは難しいと思うから、
4人のデバイスにはちょっとしたプロテクトをかけているから」
なのははそういってデータを見せる。
「少しずつ馴れてきたら、少しずつ力を解放してくから、皆でレベルアップしていこう」
はい!と皆は敬礼する。
ちょうどその時だった
部屋中にアラートが鳴り響く。
「な、何だ!?」
どのようなことが起こったかわからないが、ともかく……
「本当は訓練してからのほうが良かったんだけど……いきなり実戦になるけど、大丈夫だよね?」
なのはの言葉に、全員が整列し、ハイ!と答える。
これが、機動六課の初任務となる。
任務は、ロストロギア「レリック」が船の上で見つかり、そこにガジェットが現れたのでガジェットの破壊とレリックの護送。
謎の新コーナー、次回予告?
シ「ガジェットの破壊、そしてレリックを守るためにやつらが暴れている船へ向かう俺達」
ス「初めての実戦だけど、新しい相棒を胸にその時は近づいていく」
エ「けどキャロの調子がなんだか良くない。何もなかったらいいんだけど……」
キ「次回、魔道戦士まじかるしん第12話『激闘!ミッドチルダ海上!!(いつもと題名の感じが違うけど気にしないでね)』。次回も不定期な時間帯にテイ……」
な「ドライブ・イグニッション♪」
キ「ええ!?」
シ「って隊長!それは10年前のあなたでしょ!!それに今はキャロの言う番だし……」
な「にゃはは♪つい……ごめんね、キャロちゃん」
レ「というより、これってなんですか?予告?」
は「まあ、あんまり気にしないことや」
レ「はあ……」
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