「うわあ、綺麗だねーー」
もう時刻は午後の2時
シン達機動六課とカリムは作戦が終了した後、ディオキアと言う町に駐留する事になった。
なぜそこにみんながいるのか、
それは彼女達に会いたい人物がいるということなのだ。
「それにしても私たちに会いたい人って……だれやろ?」
はやてがう~~んと考えるが、よく分からない。
(なあレイ、まさか……)
(ああ、おそらくは……)
その中、コズミック・イラ出身の二人組みはその人物に大体の予測はついている。
しかし……
(議長、いろいろと忙しいはずなんだけどな…)
(地上に用があるのかもしれない)
いろいろと忙しいのに大丈夫なのだろうか、あの議長……
まあ、本当に議長かどうかはわからないが……
「二人とも、どうしたの?」
フェイトが二人のひそひそ会話を見て、どうしたのだろうか尋ねる。
しかし、ふたりはいえ、なんでも…と気まずそうにいう。
「そういえば、あのコンサート会場のセットのようなものってなんでしょう?」
エリオは何かコンサートの会場のようなものが
その時だった……
「ザフトのみなさーーーん!元気ですかーーーーーー!!?」
その時、会場からなにか大声でザフト兵士に問いかける声が聞こえる。
なんだ?と思い六課のメンバーは上を見ると、ステージの下から女性の声が聞こえてきた。
その女性はコンサートなどでよく使われるあれベーターでだんだんとその姿が明らかとなった。
派手な、それも特定の男にこびそうな露出度の高い衣装を着たピンク色の髪をした女性がメロディと同時に踊りだし、歌を歌いだした。
その女性が来たとたん。基地にいる兵士は次々とその女性のもとへ向かっていった。
「この世界のアイドルかな?…そういえば誰かににてるような……」
なのはは誰かに似ていると思い出そうとする。
「ラクス・クライン?けど……」
シンもよく似ている人物を思い出した。
実際に一度会っているからよく分かるが、それはその人物、ラクス・クラインとは全然違う。
容姿はよく似ているが、あそこまではっちゃけているようには見えない。
なにより……
(あんなに胸あったか?)
本物と見比べてもいろいろとラクス・クラインとは違うところが見受けられる。
その時、シンは何か妙な視線を感じる。
視線の先には、ティアナがこっちを睨んでいた。
「…スケベ」
「な!?」
どうやらかなりの勘違いをされているようだ。
「ち、違うって!勘違いするな!!」
シンは必死に弁明するが、どうだか…とティアナは冷めた目で見る。
「エリオ、どうした?」
レイはエリオを見るが、エリオを目はさっきからキョロキョロとしていた。
その理由を、レイはなんとなく察した。
「……気になるのか?彼女の衣装が」
「え!いや…あの……」
レイの言葉に、エリオはドキッとなって顔を赤くする。
小さいとはいえ、エリオもやはり男か、とレイは微笑する。
そのエリオの反応に、フェイトはくすくす笑い、キャロは顔をむっとさせる。
「さっきまであんなに戦ってたのに、元気ね」
カリムはそんなやり取りを見てくすくすと微笑む。
その時、別方向からヘリが降りてきた。
「なんだ?」
そのヘリがなんと自分達の近くに下りると、そこから一人の人物が降りてきた。
その人物を見て、なのは達は仰天にも似た驚きの顔を出すが、シンとレイは半分やっぱり、と言った感じであった。
「初めてだね、機動六課の諸君。最も、レイとシン君は別だが」
その人物は、長いワカメのような髪をしている温和そうな男性であった。
その人物は謎のマントを羽織っている。
そしてシンは不意につぶやく。
「議長……」
さて、機動六課がコズミック・イラにいたときのカリム・グラシアのいない聖王教会。
「全くあなたと言う人は…本局からあなたの事で話があると聞いて内容を聞いてみれば……」
「いや、あの……だから、その……」
聖王教会の修道女(シスター)であり、目の前にいるヴェロッサ・アコースの教育係でもあり、
さらには彼とその義姉カリム・グラシアの護衛もしているシャッハ・ヌエラ。
シャッハは呆れながら目の前にいるヴェロッサを見る。
「また仕事をサボったみたいですね」
一方、シャッハから説教を受けているヴェロッサはもうお手上げ状態であった。
どうも彼女とカリムには頭があがらない。
「失礼だなシャッハ…ちゃんとやってるよ…たまには」
「いい加減にしてください」
ロッサの見苦しい言い訳もシャッハには通用しない。
「ちょうどカリム様もいないことですし…今日はこってりと絞らせていただきます」
「そんな、こどもじゃないんだから」
「そうまでしないとちゃんとしないのはどこの誰ですか?」
ごもっとも、と少ししゅんとなるロッサ。
「だけど、今日だけは勘弁してくれないかな?これから人と会う約束があるんだ。
待たせるとまた遅れた、とかサボリだとか言われちゃうからね」
あははと渇いた笑みを浮かべるロッサだが、まだシャッハの顔は厳しい。
その理由は、以前にも同じ理由でシャッハの説教を抜け出したことがあるからだ。
ちょうどその時だった。
「シスターシャッハ、アコース査察官はおいでですか?」
ドア越しに聞こえる聖王教会のものの声に、いますよと返事をする。
「よかった。お部屋にいないと思って、まさかまたしかられてると思ってきてみたら正解だったようですね。
アコース査察官。お客様がおいでです」
聖王教会のものの声に、ね?と答えるロッサ。
やれやれ、とシャッハはため息を付く。
どうやら今回は本当らしい。
そしてロッサはその人物からその人物が自分の部屋の前にいると聞いて自分の部屋へと向かう。
それにしても……
(やっぱり僕っていつもシャッハにしかられているイメージがあるのかな?)
などと思いながらロッサは自分の部屋へ向かう。
するとそこにいる黒い挑発の男は彼の姿を見る。
「やあ、待たせたみたいだね、カナード」
ロッサの言葉に、カナード・パルスはロッサを見る。
「またしかられてたのか……」
彼の言葉に苦笑いを浮かべながらまあ……と答えるロッサ。
どこまでこの事実が知れ渡っているのだろうか……
まあいいか、と気を取り直して、二人は教会の外へ出た。
そこは緑にあふれた庭、といっても、ほとんど森といってもいいかもしれないところで二人は止まった。
「言れたとおり、いろいろ調べてきたよ。キラ・ヤマトの事をね」
「すまんな」
「いいよ、僕も君にはいろいろと助けられたしね」
けど…と急にロッサの顔が険しくなる。
「いろいろと調べてわかったけど、君は何故彼を探してるんだ?」
ロッサの言葉に、その男、カナード・パルスは急に俯く。
「ククク……」
そしていかにも怪しい笑みをこぼしながら言う。
「いろいろ調べたという事は、お前も知ってるのだろう?キラ・ヤマトがどういう人物なのかという事を……」
キラ・ヤマト。
コズミック・イラうまれのコーディネーター。
しかし、他のコーディネーターとは少し違う。
科学者達の長い遺伝子研究の末に完成した者。
ただでさえナチュラルよりも高い能力を持つコーディネーターだが、なんでもその研究はそれよりも高い存在だという。
「そうだ、それであっている」
だが……カナードはある事を告げる。
「だが、それには…スーパーコーディネーターには勿論失敗作がうまれる。それもかなりの数がな……」
そのカナードの言葉に、まさか…とロッサはカナードを見る。
もしかして彼は……
「そうだ、俺はその失敗作だ」
そして彼は、その失敗作の唯一の生き残りでもある。
彼は少し彼について話す。
彼は生まれて間もない頃、失敗作なので廃棄されかけた。
だが、ある研究者の一人は自分だけ逃してくれた。
その後、カナードはスーパーコーディネーターに興味を持つ様々な研究機関にさらわれ、実験をさせられた。
だが、強力なレアスキルを持ってはいたが、コーディネーターの能力と言う点では、確かに普通のコーディネーターよりも高い。
だが、どれをとっても思ったよりもよい結果が得られないため、研究者は彼を「失敗作」や「欠陥品」などといわれ、さげすまれた。
その後、彼は様々な場所をさまよい、管理局に保護された。
そして今に至る。
「だから、俺はキラ・ヤマトに会わなくてはいけないんだ……それで、やつはどこにいる?」
話す事を話して、カナードはロッサに尋ねるが、ロッサは口をひらこうとはしない。
彼の過去にも驚いているが、彼の話を聞く限り、彼はおそらく……
「俺は、あいつを倒す。倒して、俺を作ったやつに、俺を蔑んだやつらに、俺は失敗作じゃないと証明させる!
それが俺が今生きている理由だ!」
今までそのために生きてきた。
やつを、本物を倒して自分が失敗作ではないと証明させる。
「ついでに言えば、管理局にいたのもそうすればやつの手がかりがつかめるかもしれないと思ったからな…」
そのあと、彼は管理局を辞めて彼を探し出そうとしている。
そんなカナードの思いを聞いて、ロッサは少しため息をつく。
「気持ちはわからない事はないけどね……けど、このデータを君に渡す事ができなくなったね」
ロッサはそういうが、カナードは別段驚く様子は見せない。
自分がそういう事を予測したのだろうか……
「悪いけど、君を止めさせてもらうよ…まさか管理局員同士で本気で戦う事になるとは思わなかったけどね」
そういうとロッサは構える。
だが、それを見てカナードは笑う。
「おいおい、査察官が戦いなんて出来るのか?無茶な事はするな、命を落とすぞ?」
戦闘向けではない査察官であるロッサと、失敗作といわれてはいるがコーディネーターであるカナード。
戦いと言う点に関しては、どちらが上というのは明らかだった。
それはロッサも承知している。
だが、いまさら引く気もない。
「僕も古代ベルカのレアスキルを持っているんでね。少しは戦えるさ」
そういうと、ロッサの周りから魔力で出来た犬が出現する。
そしてロッサはカナードに向けて犬を走らせる。
「ハイペリオン」
カナードは静かにバリアジャケットを着用。
だが、犬は確実にカナードに接近し、襲い掛かる。
「アルミューレ・リュミエール」
すると、カナードの周りにプロテクションが展開される。
そのプロテクションは犬を簡単に弾き飛ばした。
次にロッサは、手から炎を生み出す。
「マッガーレ!」
そして生み出した炎を蹴り飛ばす。
それは曲線を描きながらカナードに向かう。
そしてカナードに命中し爆発する。
「ダイナマイトキーック!」
そしてそこに向かって追撃といわんばかりと魔力のこもったけりをかます(以前と同じねたでスマン)
「やめておけといったはずだ」
しかし、カナードはロッサの魔力をおびていない足を掴み攻撃を防いでいた。
そしてそのまま近くの木に投げ飛ばす。
ロッサは魔力で何とかダメージを和らげるが、目の前にはすでにカナードがいた。
カナードはおもむろにロッサの後頭部を掴み、顔面を思いっきりひざで蹴り上げる。
『ロムテクニカ』
カナードは魔力刃を生成するナイフを持つ。
「があ!!」
バリアジャケットを着ていないロッサに躊躇なくナイフが刺さり激痛が襲う。
それと同時にさしたときに出た血がカナードのバリアジャケットにも付着した。
『ザスタバ・スティグマド』
カナードが持っていたナイフはマシンガンに変化し、ロッサに向けて数発放つ。
それと同時にロッサは気を失ってしまう。
「安心しろ、急所は外しておいた。これはもらっていくぞ」
そしてロッサの手に握られていたデータを奪い取る。
だが、なんだかんだ言いながらも彼にはいろいろと世話になった。
そう思ったカナード上空を見る。
これほど暴れればそろそろ誰かが駆けつけるだろうが……
『フォルファントリー』
上空へ二つの砲撃を放つカナード。
こうすれば誰かがここに駆けつけるだろう。
そう思ったカナードはバリアジャケットを解きサイフを取り出す。
なんだかんだ言ってもいろいろと付き合いが長い人物をこうしてしまったのだ。
せめて医療費ぐらいは出してやろうと思ったカナードはおもむろにかなりの数の紙幣を織り出し、彼のそばに置いた。
(わかりやすく言えば100万の札束を思い描けばおk)
そのあと、真っ先に異変にづいたシャッハはカナードはこの場に消えてからわずか1分後にあの現場にやってきた。
「ロッサ!!」
シャッハは血だらけで倒れているロッサを見つけて、急いで医療班を呼んだ。
その時、シャッハにいることに気付いたロッサ。
そしてこうつぶやく。
「シャッハ……コズミック…イラにいる…姉さんに伝えて…おいてくれないかな?
ラクス…クラインの護衛役…キラ…ヤマトを……守ってくれ…って……」
すべてを言い切る前に、ロッサの意識は途絶えてしまう。
その時、カリムたちはギルバード・デュランダルとあって話をしていたときであった。
シ「キラ・ヤマトの居場所を知るためにヴェロッサを倒したカナード」
な「そしてディスクに入っていたものとは……」
レ「それと同じ頃、シンは議長と模擬戦をする事になる。果たして議長の実力とは……」
フェ「次回MP3228に、テイクオフ」
デュ「これも若さゆえの過ちというやつか……」
シ「議長、いつの間に……」
デュ「いやあ、ちょっと退屈になってね、邪魔しているよ。仕事なら問題ない。
通常の議長の3倍のスピードで終わらせたからね」
シ「はぁ……」
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