Seed-NANOHA_まじかるしん_第33話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 03:21:02

「ジェラード……」

カナードはバインドでくるめられたままジェラード・ガルシアを見る。

「ふん、いい気味だな」

一方ジェラードの方は肝の悪い笑みを浮かべながらカナードを見る。

「おいあんた!一体どういうつもりだよ!?」

いきなり現れたかつての上司にシンは食ってかかる。

そんなシンの態度が気に入らないのか、ガルシアはシンを憎たらしく見つめる。

「相変わらず口だけは達者なようだな、コーディネーター」

ガルシアは彼をシンと呼ばすコーディネーターと呼んだ。

ガルシアの言葉にシンはカッとなるがレイになだめられる。

「いつもの事だろう、気にするな」

レイの言葉にシンはちっと舌打ちをしてガルシアを睨む。

だが、ガルシアはどうでもよさそうにカナードを見た。

今はそんな事はどうでもいい。

そう思ってジェラードはカナードを見る。

「俺は既に管理局を抜けた、もう二度と会うこともないお前が俺になんのようだ?……

ふ、聞くだけ無駄か。お前が持っている拳銃が答えなのだろうからな」

カナードはため息を付きながらジェラードを見る。

おそらく彼はこのまま自分を殺すつもりだろう。

理由はおそらく……

「身柄を拘束した後、ばれないように証拠隠滅で俺を殺すか……」

カナードの言葉にえ?とフェイトとなのははジェラードを見る。

「コイツはこの地位に上り詰めるためいろいろとあくどい事をやったのさ。そのたびに俺がいろいろとコキ使わされた。

それで俺が管理局を辞めたあと、そうそうそれが出来ないし、俺が話すとも限らない。

だからコイツは俺を秘密裏に殺そうとしたのだろ?」

カナードの言葉に言葉を失うガルシアとフェイトたち。

「どういうことですか?」

フェイトはジェラードに歩み寄る。

ジェラードの表情はだんだんと脂汗をかく。

「き、貴様……」

ジェラードはカナードへ拳銃を向ける。

「黙っておいてやるといったが、これだけの事をされたんだ、言って当然だろ?」

カナードは笑みを浮かべながら言う。

「後一つ言っておく。俺に実弾は効かんぞ」

そういって、ガルシアとその側近が持つ拳銃がいきなり粒子化しつつ消えてしまう。

「な!?」

驚いてジェラードはカナードを見る。

「俺のアルター能力はあらゆる物質を分解して再構築させる。その対象は物質なら何でもいいのさ」

ここで、カナードはある事を思い出す。

「なんなら、貴様の衣服でも再構築してやろうか?かなり悲惨な光景になるぞ」

「な!?」

カナードの挑発にジェラードは怒りを何とかこらえる。



「冗談だ。そんなものこちらから願い下げだ気持ち悪い」

相変わらずジェラードをおちょくるカナード。

そんな光景を見てなのはたちは二人のやり取りに唖然とする。

「二人とも、すごい部隊にいたんだね」

フェイトの言葉にはい、と頷くシンとレイ。

だが、ジェラードもかなり切れているが何とか冷静さを取り戻す。

その顔には笑みすらも見せる。

だが、その理由がわからない。

彼はまだ何か手を残しているのだろうか……

その時、カナードは少しだけだが見えた。

自分の目の前に、きらりと光るスコープが。

彼の後ろでスナイパーが彼を狙っていた。

カナードは避けようとするがバインドで拘束されているので動かせない。

その様子をおかしく感じたフェイトも気付く。

「危ない!!」

そして放たれた弾丸はフェイトがバリアで防いだ。

それを呆然と見るカナード。

驚いているのはガルシアも同じだった。

何故犯罪者をかばうのか……

「ガルシア提督!こんな事をしてどうなるかわからないんですか!?」

フェイトは怒りをあらわにしながらガルシアを見る。

今回の彼の行動は局員としてあまりにもひどすぎる。

そしてさっきの襲撃の失敗で後へ引けなくなったガルシア。

「管理局執務官として、少し同行願いますか?」

フェイトの言葉に黙れ!と叫ぶ。

「貴様にこんな権限はないはずだ!」

『いや、その証拠は十分にある』

いきなり二人の間に現れたモニター。

そこに移っていたのは……

「お兄ちゃん?」

フェイトの義兄、クロノ・ハラオウンだった。

「あなたが今まで行ってきた数々の事件はこちらでも把握した。ヴェロッサ査察官がいろいろと調べてね」

そのクロノ言葉に、カナードはふっと笑う。

(あいつめ、余計なことを……)

おそらくキラ・ヤマトの事を調べるついでに自分の事を調べているうちにこの事を知ったのだろう。

(全く、サボってるのかサボっていないのか……)

カナードはそう思いながらヴェロッサを顔を思い出す。

『既にメンデル周辺には自分達の部隊、さらに事情を話した現地のザフト軍もいる。

ジェラード・ガルシア。今日を持ってあなたを管理局提督の任から外し、犯罪者としてあなたを拘束させてもらう』

その言葉と共に、複数の管理局員がガルシアたちを囲む。

その時、彼は「必ず戻ってくるぞーーーー!」と、半分涙目になりながら連れて行かれたのだった。

『それと、気にも事情聴取をさせてもらいたいのだけど、いいな』

クロノはカナードにもいろいろ聞きたいことがあるというと、カナードは意外のもすんなりとああと承諾した。

ガルシアたちと一緒に運ばれるカナードだが、少しフェイトを見る。



「何故俺をかばった?」

カナードはあの時、スナイパーの攻撃を自分からかばった理由を尋ねる。

それを聞いて、フェイトは微笑を浮かべながら答える。

「管理局員の主な任務は犯人の逮捕。殺す事じゃないから。

それに、まだあなたとは話をしていませんから」

そういうフェイトに、カナードは笑いをこらえながら言った。

それと共に、カナードは管理局員に連れて行かれた。

「とりあえずはこれで一件落着かな?」

後ろから声が聞こえ、振り向くと医療班に運ばれるはやてが一息つきながら答えた。

そうだね、となのはの答える。

こうしてなのはたちはミッドチルダへ戻り、いろいろと報告書をまとめる事にした。



数日後、聖王教会では……

「全く、あなたと来たら……」

ある病室でカリムはため息を付きながらリンゴの皮をむく。

「私がどれほど心配したかわかってるんですか?」

そのカリムの視線の先の人物、ヴェロッサ・アコースはあははと渇いた笑みを浮かべながらなんとか場を切り崩そうとする。

何とか傷も収まってきてやっと面会が許された彼は、まずはクロノとカリムにいろいろ以上を話した。

その後、このようにカリムとシャッハからの厳しい追及が始まったのだ。

まあかなり心配させたから当然といえば当然だろう。

「け、けど姉さんたちに迷惑はかけられないでしょ?」

「その結果がこれでしょう?」

「はい、そのとおりです……」

はあ、とヴェロッサは苦笑交じりのため息を付く。



カナード・パルスは現在ヴェロッサに重傷を負わせたことと犯罪未遂の件で現在服役中である。

「で、なんのようだ?」

カナードは楼の中、目の前にいる人物に尋ねる。

目の前の人物、フェイト・テスタロッサは彼にある事を告げる。

「カナード・パルス。あなたの罪は取調べの件で軽くなるそうです」

「そうか……」

ジェラード・ガルシアの横暴行為の証言とスーパーコーディネーターの事を話した事でその罪は少々軽くなるらしい。

「ただし……」

「以前に引き続いて管理局に協力しろ、か。相変わらず人手不足だからなここは……」

フェイトが言おうとしている事を言い当てるカナード。

だが、まだ何かいい多層であった。

「心配するな、もうキラ・ヤマトを倒そうとは思わん」

カナードの言葉にえ?と驚くフェイト。

「あのときから少し考えた。よくよく落ち着いて考えればバカな話だ。

あのような事はしなくても俺は俺だ。それ上でもそれ以下でもない」

カナードは自嘲気味に答える。

あの時は何かに縛られていたんだろう。

「それもお前のおかげだ。お前とレイが話さなければ、ここにいるときでもキラ・ヤマトの事を考えていただろう。

それに、あの状況になっていてもお前に牙をむいていた」



そうですか、とフェイトは微笑む。

それと……とカナードは言葉を告げる。

「とある事件で俺はある実験の事を聞いた。プロジェクトFのな」

カナードから発せられた言葉に、フェイトは驚く。

「プレシア・テスタロッサが始めたクローン技術の研究をするプロジェクトFATE(フェイト)、通常プロジェクトF。

お前の母親が完成させたクローニング技術。その実験台の名簿一人にはある人物の名前が記録されていた。

名前は……お前ならこれ以上は言わなくてもわかるだろう?」

カナードの言葉に少々表情が悪くなるフェイト。

だが、かまわず言葉を続ける。

「今ではそんなあいつ、そしてお前…さらにはそれ以上に苛酷な環境で生まれたレイが普通に生きている。

そんなものを見れば考えも変わるさ」

カナードは自嘲気味に答え、フェイトはそう…とつぶやく。

その表情は穏やかそうだった。

「それと、これをお前にくれてやる」

そういって、カナードはある資料をフェイトに渡す。

「これは?」

フェイトが尋ねると、カナードは意外な事を口にする。

「さっきも言ったがプロジェクトFの事で調べたついでだ。J・Sについてといえばわかるだろう?」

J・S。この言葉にフェイトは驚く。

「J・S……ジェイル・スカリエッティ」

ジェイル・スカリエッティ、今現在フェイトが追っている時空犯罪者。

プロジェクトFの基礎理論を作った人物でもある。

「執務官じゃない今では必要のないものだ、お前にくれてやる」

そういうと、カナードは昼寝の体制に入る。

フェイトはそんなカナードにありがとうございます、といって部屋へ出ようとする。

その前に……

「釈放されたら、お詫びに食事でもおごります」

そういってこの場所を後にしたのだった。



「シン、カナード隊長は現在服役中らしい。

だが、あの事件の事でいろいろ供述したおかげで刑期が短くなるらしい」

六課のフォワード陣男部屋でレイはカナードの処遇を聞いてそれをシンに話した。

「そうか……」

シンはそれを黙って聞いて雑誌を広げる。

ちなみに、今彼らは久しぶりの休暇を楽しんでいる。

これまで練習に耐えてきたことと、コズミック・イラでの仕事での予想以上の活躍の褒美らしい。

だから、こうして部屋でのんびりする事にしたのだ。

他のフォワード陣はそれぞれお出かけ中。

それに、いくら休暇中でもいつスクランブルがかかるかわからない。

だから、こうして二人ずつ残るという事をティアナたちと話した。

だから今日はシンとレイ、明日はスバルとティアナ、あさってはエリオとキャロが残るという事にした。

「レイ、明日はヨウランたちもオフだったよな?明日は久しぶりに4人で出かけないか?」

シンの言葉に、そうだなとレイも頷く。

4人で出かけるのはあの謎の傀儡兵がやってきたとき以来だ。

こうして、フォワード陣はお思い思いの休日の過ごすのだった。





「やれやれ、せっかくの鍵を失う事になったうえに、基地まで落とされるになるとは……あきれ返るのにも程がありますねえ」

ある世界のある部屋で、金髪の男、ムルタ・アズラエルはため息を付きながら資料を見る。

「あの施設を作るのにいくらかかったと思っているのやら…さらに司令官は捕まってしまいますし」

部下を選ぶのはちゃんとしなくてはいけませんね、ともう一度ため息を付く。

「いろいろと大変のようですね」

すると、もうひとり誰かが入ってくる。

「ああ、これはスカリエッティ博士。戦闘機人はもういいのですか?」

入ってきた人物、ジェイル・スカリエッティはええ、と頷く。

「ええ、おかげさまでね」

それと同時に、彼の後ろから11人の影が現れる。

「これはこれは……」

アズラエルは以前見たことあるものから、始めてみる顔もある。

本来なら12人だが、あと一人は現在特殊な任務中らしい。

「おそらくあなた達のエクステンデットやブーステッドマンとの共同戦線を張る事が多いでしょう。

その時はよろしくお願いします」

スカリエッティの言葉に、こちらこそ、とアズラエルも答える。

そして、二人は同時に笑い出したのだった……

(大丈夫なのかこの二人?)

(どこかあぶないっす)

(天才とバカは紙一重っていうしね)

(三人とも、そこまでにしておけ)





シ「コズミック・イラでの1件が終わった俺達は久しぶりの休日を楽しむ」

レ「しかし、俺達の知らないところで、謎の人物たちがなにやら動いていた」

な「次回、「ヴィヴィオとナンバーズ」

ヴィ「って、ほとんど言ってるじゃねえか」

シ「気にするな、いつもの事だ」