Seed-NANOHA_まじかるしん_第35話

Last-modified: 2007-11-21 (水) 11:49:00

「やだやだ~~~!いっちゃやだ~~~!!」
開始早々、いきなりヴィヴィオの泣き声が叫ぶ。
しばらくヴィヴィオと遊んでいたなのはだが、フェイトとはやてもあと数分で到着すると連絡が入った
これから重要な話があるというので、先にカリムやクロノが待つ部屋へと向かおうとした。
「ヴィヴィオ、これから私は用事があるから、ちょっとシャッハさんとシグナムさんと一緒に待っててね」
なのははこの場を後にしようとしたのだが、ヴィヴィオはまだ一緒にいたいようだった。
最初はただ前話のようにスカートを持つだけだったが、なのはは何とかしようとするためにヴィヴィオの腕を持って優しく手をどけようとする。
「やだ……」
だが、それでもヴィヴィオは離れようとはしない。
今度はシャッハやシグナムも混ざり、何とかしようとするのだが、そのごとにヴィヴィオはヒートアップしていく。
そして現在にいたるのだ。
「うああ~~~~~ん!」
なかなか泣き止まないヴィヴィオにほとほと困り果てるなのは達。
「一体どうしたんだ?」
そこへ、騒ぎを聞きつけたクロノがやってきた。
「なんやこの泣き声は?」
さらにはやてとフェイトもやってくる。
そして騒ぎの原因を聞きつけ、クロノたちはああなるほど、と頷く。
これは流石のエース・オブ・エースでも難しい相手だった。
「お兄ちゃん、ここは私が言っておくから、はやてと一緒に待ってて」
ここはフェイトに任せ、解ったとカリムのところへ戻ろうとするクロノだが……
「いいかげんそのお兄ちゃんはやめてくれ」
もうすぐ20になる女性が兄の子をお兄ちゃんと呼ぶのは、どこか恥ずかしい。
「兄妹に年齢は関係ないよ」
全く、と少々呆れながらもどこか笑みを浮かべてクロノはカリムの部屋へ戻る。
その間も、ヴィヴィオは泣きやんでいない。
さあて、とフェイトはおそらくこの少女のものであろうぬいぐるみを手にとりヴィヴィオに近づく。
「こんにちは」
ヴィヴィオは見知らぬ人物が自分のぬいぐるみを持ってこちらに来たので、ふとそっちの方を見る。
「ヴィヴィオ、この人はフェイトちゃんで、なのはさんの大切なお友達」
なのはもフェイトのほうを向いて、彼女の事をヴィヴィオに簡単に説明する。
「ヴィヴィオっていうんだ……じゃあヴィヴィオ、ヴィヴィオはなのはと一緒にいたいだけで、困らせたいんじゃないんだよね?」
フェイトの言葉に、ヴィヴィオはまだ目を潤ませながらうんと頷く。
「でも、ヴィヴィオがわがまま言っているせいで、なのはさんはとっても困ってるんだ。
そんな事をしたら、この子だって悲しむよ」
そういって、フェイトは持っているぬいぐるみの首を折り曲げ、ほらね、とヴィヴィオを見る。
それを見たヴィヴィオは、うう~~~と顔を悲しませる。

 

「だから、なのはさんが帰ってくるまで、頑張ってお留守番できるよね?」
優しく問いかけるフェイトに、しぶしぶながらも頷くヴィヴィオ。
「これはこれはみなさんおそろいで」
その光景を、にこやかに眺めていたヴェロッサ。
「ロッサ、もう歩いてもいいのですか?」
シャッハは彼の身を案じながら訪ねる。
まだ彼の傷は完全にはいえていない。
「大丈夫だよ。カナードもちゃんと手加減をしていたし、シャマルさんの治療も優秀だからね。もう歩き回るぐらいは大丈夫さ」
そしてヴェロッサははやてを見る。
「それに、ここに僕よりもひどい怪我をしてるのに来ている人もいるしね」
はやても同じようにまだ怪我は完治していない。
見ればはやては松葉杖で体を支えている。
はやては苦笑いを浮かべながらロッサを見る。
「まあ、あのお気楽捜査官ですら既に歩いとるし、ずっとベットでおねんねしとるわけにはいかんからな」
そうですか、とロッサは今度はシャッハを見る。
「ついでに、みんなにかなり心配をかけたみたいだからね。ちょっとしたお詫びをしたいんだけど」
そう言って、ロッサは指で合図をすると、彼の手の上にケーキの入れ物が現れる。
「ちょうどみんないるみたいだし、後でこれをみんなの分を切ってくれないか?」
そういって、ロッサはヴィヴィオを見る。
「もちろん、この子の分もね」
そんなロッサを見て、シャッハは微笑みながら解りました、とケーキを受け取る。
「それじゃあヴィヴィオ、ちょっとの間だけど、そのお兄ちゃんたちといてね」
じゃあね、手を振りながらなのはは場を後にする。
ヴィヴィオは悲しそうな目でそれを見つめる。
「それじゃあ、いい子で待ってようか。もうすぐおいしいケーキも待ってるからね」
おいしいケーキと言う言葉に、少し顔を明るくしながら、ヴィヴィオはロッサたちと共に自分がいた部屋へと戻って言った。

 

「待たせてしまってすみません。機動六課、スターズ分隊長、高町なのはです」
「同じくライトニング分隊長、フェイト・T・ハラオウン」
ここか聖王教会、騎士カリムの書斎である。
騎士カリムは、あくまで管理局員として態度を示す二人を見て微笑む。
「私達三人は昔からの付き合いあります」
「だから、この3人のときは普通にい接していい」
カリムとクロノの説明に、そう、と一呼吸おく二人。
「けどなのはちゃん、なかなかええもん見せてもろたよ。さすがのエースオブエースでもかなわん相手がおるっちゅうことやな」
さっきのやり取りの事を話され、あはは…と恥ずかしそうにするなのは。
「フェイトちゃんも、子供の扱いはやっぱり上手やな、そこは見習いたいわ」
どうも、となのはと違って軽く流すフェイト。
「ちょっと甘すぎるのが難点だがな」
「う……」
だが、クロノの言葉に言葉をつまらせるフェイト。
「この前に久しぶりに二人で家に帰ったときも、お前はすぐに子供を甘やかす。
優しく接するのはいいが、過保護なのはどうにかならないのか?」
クロノに図星をつかれ、反論できないフェイト。
「はいはい、いつもどおりに接してもいいけど、お説教は後でね」
「そうや。それに、その仕事は未来のフェイトの旦那さんのお仕ご」
「はやてちゃんも、これ以上話を広げない」
このようなやり取りが続き、ふと全員が笑みをこぼす。
その時、こんこんとカリムの部屋を叩く音が聞こえる。
「騎士カリム、よろしいでしょうか?」

 

シャッハの声が聞こえ、いいですよ、とこらえるとシャッハは失礼しますといって部屋に入る。
「ロッサがこれをみんなに、と」
シャッハはケーキと紅茶を持って入ってくる。
「あいつ……怪我してるのに何をやってるんだ」
クロノはけが人がうろちょろと歩いているのに呆れる。
「それと、ロッサが「甘いものが苦手な誰かさんのために、わざわざ甘さ控えめなものを選んできた」といってましたよ」
その言葉が誰に言っているのかはすぐにわかり、みんなはクロノの方を見る。
全くあいつは……とクロノはため息を付く。
「それじゃあ、ロッサのお言葉に甘えていただこうかしら」
こうして、話の前に、メンバーの交流として、小さなお茶会が開かれた。

 

その頃、レリックの手がかりがないナンバーズ。
まだ何も情報が見つからないまま(まあ当たり前かもしれない)どうしようかと思っていた。
「管理局よりも先に見つけなければな……」
トーレがそう思っていたときだった。
がたん!とノーヴェが急に立ち上がった。
「あいつ……」
その視線の先には、さっきチンクを子供呼ばわりした人が、他の人物としゃべっている最中だった。
あの黒い髪に赤い目、間違いない。
「落ち着けノーヴェ」
だが、チンク本人は気にしない様子でノーヴェを止める。
どうやらダイブたち直ってきたらしい。
「仕方がない、見た目は私が小さいからな。逆に間違わないほうがおかしい」
「けど……」
「いいな」
まだなにかいいたそうだが、チンク本人が言っているのでしぶしぶ席に座るノーヴェ。
「そろそろ一旦戻るか?一旦情報を集めなおす必要があるかもしれない。
そのときだった。例の少年が急に立ち上がり、すぐさま出て行こうとした。
なんともないと思っていたが、それと同時にある反応があった。
「どうやらあたりらしいな」
データを見ると、レリックの反応が確認された。
「ここからだと…そこまで遠くないか。セイン」
トーレはセインを見て、セインもうんと頷く。
「それじゃ、いってきまーす」
そういってセインもこの場を離れる。
「私達も行くぞ、もしものことがある」
トーレたちも立ち上がると同時に、他のものも立ち上がる。
「セッテ、ノーヴェ、ウェンディ、オットー。お前達はもしかしたら初実戦となるかもしれん。今回は戦闘スーツ着用じゃないからな、落ち着いていけ」
トーレの言葉に頷くノーヴェたち。
「安心しろ、姉達もちゃんとフォローはするし、セインがしくじらなければ問題はない」
そういってみんなは外へ出る。
そのときだった。
(トーレ姉トーレ姉、緊急事態!)
セインから慌しい念話がきて、どうしたんだ?と尋ねる。
(ついたら既に管理局の連中が動いてる。これ強行突破しないと無理)
それと同時に映像が送られていた。
そこには、既に管理局員が既に現場に到着してレリックを回収しているところであった。

 

(あれ?なんか人が少ない気がするんっすけど)
(当たり前だ、こんな平日の昼下がりに大勢の管理局員が来たら何かと騒ぐだろう。当然の判断だ)
だが、このままではレリックが管理局に取られてしまう。
今はまだ混乱を起こすわけにもいかないし何より自分達の存在を知られるわけにはいかない。
かといってこのままでは取られてしまう……
そう思ったときだった。
(問題ないわよ……私に任せなさい)
どこからか聞こえる声。
「だ、誰っすかこの声?」
ウェンディをはじめ、ほとんどこの声は聞いたことがない。
だが、トーレとチンクは驚いてその声を聞いていた。
この声を聞くのはどれほど久しぶりだろうか……
「ドゥ…ドゥーエお姉様?」

 

「これは?」
この頃、聖王教会では、はやてとクロノ、そしてカリムは重要な話、機動六課設立の本当の理由を話していた。
その時、カリムの前にあった複数の神が彼女の周りを囲むように回りだした。
「これは私の能力です。簡単に言えば、ちょっとした予言能力のようなものだと思ってください。
ただ、これはい念に1度しかかけませんし、正直言ってあまり信憑性は高くありません」
だが、その能力は管理局にとっても有力で、本局のほうでも参考にしている。
「ただ、地上本部のほうでは、レジアス中将がこの手の能力が嫌いで、信じようともしないし聞き入れようともしないんだ」
「せやから、私達は機動六課を設立して、その予言に備えようとしたってこと」
そして、カリムは複数ある紙のうち、一つを取る。
「その時に書かれていたのがこの予言。「二つの世界は二つの破壊にとって混乱に落としいれられる。
空を守りし世界、大地を統べる空は赤く染まる。鋼鉄の鎧を纏いし世界は雪が降る中、空はいっそう黒く曇る。」…こんな予言が出たの」
つまり、この予言では管理局地上本部と別の世界に混乱が起きるというのだ。
「それに関係するかわからないけど、これが一番最近の予言「二つの破壊。一つはそびえたつ巨大な機人。その雷はすべてをなぎ払い、空を赤く染める。
二つは勇気ある破壊神。その一撃はすべてを貫き、砕き、光に帰すであろう。
しかし、この破壊に対するものあり」……残念だけどここで途切れちゃったの」
これが最近見たカリムの予言だという。
「わからないものも多いが、そのうちでも解るものはいくつかある」
クロノの言葉にはやては頷く。
「まずは空を守りし世界。これはまほぼ間違いなくミッドチルダ。そして鋼鉄の鎧を纏いし世界、これは最初は悩んだんやけど……」
そういってはやてはモニターを出す。
そこには、何故かシンとレイが写しだされていた。
「この二人が持っているデバイスの能力、モビルジャケット。鋼鉄の鎧を纏うっていうんはこのことやと思う。
そんでこれを守る世界は…コズミック・イラ」
そう、もう一つの席はシンとレイが生まれた地、コズミック・イラだ。
「とりあえずは本局とコズミック・イラの各所へは送ってはある。だが、地上本部のほうは介入を拒んでいる状態だ」
「そう、だからそのための機動六課ってこと」
今回の事件に対抗するために機動六課が設立されたのだ。
「だが、今回ばかりはカリムの予想が外れてほしいものだがな」
クロノの言葉に頷くカリム。
「さっきも言ったけど、私の予想はそこまで高くはない、今回もただの杞憂で終わってくれればそれに越した事はないんだけど……」
そう、今回も、ただの杞憂で終わってほしい。これがカリムの願いだった。

 

「さあて、もういいかしら?」
レリックを回収した管理局員は周囲を見る。
ここは町の廃墟である。
そこには死んではいないが倒れている管理局員とガジェット。
今立っているのは自分だけである。
だが、ガジェットはその局員に攻撃しようとはいない。
局員は周囲を確認すると、何故か光りだす。
そこには局員の姿ではなく、謎のスーツに身を包んだ女性がいた。
「もうでてきていいわよ」
その女性達の言葉と共に出てきたのはトーレたちだった。
その女性はトーレとチンクを懐かしそうに見る。
「久しぶりね、トーレ、チンク」
そして、今度はセインたちを見る。
「そして始めまして、私の妹達」
妹達、と言う事は……
「こいつがあたし達もまだ会ってない2番目の……」
「そう。私が2番目のナンバーズ、ドゥーエよ。よろしく」

 
 

ノ「初めて会うことになる2番目の姉、ドゥーエ」
ウェ「そしてドクターからある事実が告げられるっす」
ト「次回『スカリエッティ』」
セ「とうとう私達にも出番が回ってくるなんて」
ト「まあ、ずっと同じメンバーじゃマンネリだと思われるのだろうな