Seed-NANOHA_まじかるしん_第46話

Last-modified: 2008-02-19 (火) 00:51:01

急な洞窟の地盤崩れで離れ離れになったが、何とか合流できたライトニング部隊。
今はこれからどうするかの打ち合わせを始めることにした。
とりあえず、周囲を見るとそこには池を中心とした3箇所の穴があった。
「えーっと、アスカさんが向こうから、僕達がここから来ましたから……」
現在、唯一出口につながってそうな場所は二人が通過していないあの通路のみ。
しかし、あの通路であっているのだろうか……
「まあ、ここで留まっていても始まらん、運よく飲み水も確保でき、非常食もそれなりにあるんだ。とにかく歩くとするか」
シグナムの指の先には、4人で1日くらいなら持つ量の携帯食料と水があった。
シグナムはすぐに立ち上がり、洞窟のほうを見る。
「流石にフリードでも3人を乗せるのは重いな。歩かせるものは歩かせるか」
そういって、シグナムは三人を見る。
落ちたときの衝撃で不調のウェンディとオットー。
そして二人と比べて比較的外傷のないセッテ。
ちなみに、セッテのブーメランはシグナムが彼女を捕まえたときに破壊した。
フェイトの話によれば、彼女が持つブーメランは自由自在に動かせるため、
持っていただけではすぐに彼女の手に戻ってしまうという判断からだ。
「お前には歩いてもらう。何かよからぬ事を考えたら、それなりの事を覚悟しておけ」
そういって、シグナムはセッテのバインドを解き、オットーとウェンディは先ほどまでと同じようにフリードで運ぶことにした。
「アスカ、お前達は洞窟にすむ魔物か何かに遭遇したか?」
ここは以前からランクが低いとはいえ、魔物やら生物やらが転移して生きている場所だ。
だが、自分達はまだ一度も会っていないため、シンはどうだったのかをたずねる。
そして返ってきた答えとして、シンは首を横に振った。
そうか、とシグナムは考える。
確かに、しょっちゅう転移しているという話は聞いていない。
しかし、何か気になるな、とシグナムは何か嫌な予感がかけめぐった。
(テスタロッサ、エリオたちに何かあった場合は許せ)

 

その頃、ナンバーズもオットーたち救出のため、洞窟に入っていた。
「ここか……」
そしてトーレは下を見る。
そこには、少し誰かが戦ったような跡と穴が開いていた。
おそらくセッテたちが戦った跡だろう。
「どうだクアットロ?先に進めそうか?」
トーレハ先に捜索に出たクアットロに下のほうはどうなっているのかを訪ねる。
「だめねえ、穴は開いてたみたいだけど、衝撃でまた穴が塞いじゃってるわ。
無理やりこじ開けてもいいですけどお、ここの地盤ももろそうですし、私たちまで迷ってしまいますわ」
「そうか……」
そう考えてトーレは考える。
はたしてどうにかものか……
「これは一度外に出て、別の入り口を探すしかないわね。チンクちゃんやルーテシアお嬢様たちと合流しましょう」
「そのほうがいいな」
クアットロの意見に賛成したトーレは二人で一旦外に出た。
ちょうどそのときだった。
トーレの視線に何かが見えた。
「クアットロ」
「ええ、こっちでも確認できましたわ。管理局の人間ね」
トーレの視界に映ったものは管理局が持っているヘリだった。
おそらく向こうの行方不明者を探しに来たのだろう。
運よく向こうはこちらに気付いていないようであった。
「ここで管理局と事を構えるのは得策ではありませんわね」
「ああ、だがどうする」
管理局もこの穴の事は知っているだろう。そうなれば確実にばれてしまう。

 

向こうも地崩れの事は知っているはずだからいきなり襲ってくるはずはなさそうだが……
『二人とも、聞こえる?』
その時、ルーテシアから通信が入った。
『こっちでも別の入り口を見つけた。そこならこっちでも探知できるから、転移するね』
「お嬢様、助かりましたわ。ちょうどこっちでも管理局の人が来ていまして、見つからないようにしていましたの」
ルーテシアの転移ならばれないし、向こうで確認してもまたここで何かが転移してきたと思ってくれるかもしれない。
『わかった、それじゃ先にクアットロたちを転移するね』
こうして、フェイトたちが到着したときには、クアットロたちの姿は見つけられなかった。
そんな事は知らず、フェイトも先ほどまでトーレたちがいたと事へやってきた。
ちなみに、なのはも行こうと思ったが、シャマルとはやて、そしてトドメにヴィヴィオにまでだめだと硬く禁止されてしまった。
「穴は塞がっていて、入れそうにないか。かといって無理やりあけることも出来ない。別のとこを探すしかないか」
穴を見て、さっきまでいた人物と同じ事を言うフェイト。
早く探さなければエリオたちが危ないかもしれない。
ちょうどそのときだった。
『フェイト隊長。ヴィータ副隊長が奥へ続く別の穴を見つけましたから、そっちへ来てください』
「ヴァイス……うん、わかった。すぐに行くよ」
フェイトはヴァイスからの通信を切り、言われたところへ向かっていく。
運よく、そこは先ほどクアットロが向かっていった先と反対方向に位置するところではちあうことなかった。
「待っててね、二人とも」

 

「これはまあ……なんでこんなところに……」
シグナム、そしてシンはため息を付きながら正面の岩を見る。
そこには、道をふさぐようにある大きな岩。
先ほどの通路から、さらに何箇所かに分かれた道が存在し、そのほとんどが行き止まりで、この最後の道もごらんのとおりである。
「けど、動かせそうないですよ、これ」
通路をまるまるふさぐ岩だけあって、とても人の力では動かしそうにない。
「じゃあ、叩き割るか?」
「またここが崩れなければいいが……」
「う……」
まさに万策尽きた、という事に、今度はウェンディたちを含め、全員がため息を付く。
「とりあえず、一度きた道をもう一度見ておこう。見落としがあるかも知れん」
シグナムの言葉に、賛成とシンタたちは引き返す。
そのときであった。
グラ、となにかが動くような音が聞こえる。
そこに、何か嫌な予感が一同を駆け巡った。
それを代表して、シンとシグナムはゆっくりと後ろを向く。
そこには、ぐらぐらと少しずつだがこちらへ移動している。
それはゆっくりとスピードを上げていき……
「早く逃げたほうがいいな」
シグナムの言葉に全員は頷き、一斉に駆け出す。
それに呼応するように、岩もごろごろとスピードをかけていく。
こうして、決死の追いかけっこが始まる。
逃げるシグナム達と追う岩。
これがギャグ物だったらぺしゃんこになるだけだが、現実は甘い。
岩につぶされようものなら……バリアジャケットや騎士甲冑、戦闘スーツ等でそこまでひどくはないだろうが、やはりあまり想像したくない。
先ほどのこともあるので岩を壊すほどの大きな魔法も使えない。
今は逃げるしかない。
そのときだった。
「あ……」
先行しているフリードから、オットーが零れ落ちた。
もとより負傷して力が出せず、フルスピードのフリードのスピードに萎えられずに落ちてしまった。
「オットー!」
ウェンディとセッテが助けようとするが間に合わない。
眼前には岩。
ああ、僕はここまでなのかな。ごめん、ディード……と思ったときだった。
オットーは地面から激突せず、誰かに抱かれる。
「ちっ」
シンは舌打ちしてモビルジャケットになり、すぐさまオットーをお姫さまだっこで抱いたのだ。

 

「え?」
それから、逃げる間オットーはボーっとシンを見ていた。

 

そして、広い空洞に出てきて、なんとか岩をしのぐメンバー。
飛行魔法を行使したシグナムはふう、と一息つくだけですむが、いきなりの事でエリオははあ、はあ、と倒れこむ。
キャロは軽いのでフリードに乗っていたため、疲れてはいないがいきなりのことでまだ驚いていた。
シンもふう、と一息つき携帯しておいた水を飲む。
「あ、ありがとう」
壁によりそったオットーは、視線を向けて助けてくれたシンに礼を言う。
そのオットーの言葉にシンは何故か顔を赤くし、視線はそのままでそっぽを向いてしまう。
「か、勘違いするな、助けたんじゃない。ただ、偶然目の前にいただけだ」
シン自体、何で敵を助けたのかわからなかった。
考えるよりも先に行動に出てしまったのだ。
(セッテ、あれがツンデレっていうんっすよ)
(ツンデレ……)
その中、ウェンディがセッテにいらない知識を教えているなか、ウェンディは何かを思い出したように言う。
「一つ言っておくっすけど、オットーは紛れもない女の子っすよ」
ウェンディの言葉に、ライトニング部隊全員がえ!?とオットーに振り向く。
着ている服はや顔は少年っぽいが、確かにオットーは女である。
以前はウェンディたちすらわからなかったが、以前、ゴレンジャイの件でクアットロに叱っていたトーレが罰だ、といって聞いたらしい。
その時、何故かオットーは少しだけむっとした。
ただ、その理由は自分でもわからなかった。
今まで別に男だ、女だといわれてもどうとも思わなかったのに、一体どうしたのだろうか、と自分で思ってしまった。
「また振り出しか……」
シグナムはそういって水を飲む。
その時、シグナムはあることに気づいた。
シグナムの視線の先に、きらりと光る何かを。
シグナムはなんだ?と思いそれを取る。
それは、見た目は宝石だった。
しかし……
「これは……ジュエルシード」
ジュエルシード。10年前になのはとフェイトをめぐり合わせたロストロギア。
まだすべてを回数しきれていないそれは、確かにここにあってもおかしくなかった。
その時、突然ジュエルシードが光った。
なんだ?と光に気付いたシン達はシグナムのとこへ駆けつける。
光が止むと、そこには小さな生物がいた。
「かわいい」
キャロがそうつぶやき、その生物を手に取る。
手のひらサイズのそれは、この世界には存在しないものだった。
「なるほど」
これでこの洞窟の謎が解明できた。
この生物に現れる生物。
それはこのジュエルシードによるものだろう。
なぜ生物が出てきたのかは定かではないが、おそらくこの洞窟にすんでいる者の願いだろう。
そう思いシグナムはジュエルシードをポケットに入れる。
そのときだった。
「オットー!!」
突然の声にオットーはそっちの方を見る。
この声は、聞き間違えがなかった。
「ディード」
そう、そこには双子の姉妹といえるナンバー12、ディードの姿だった。
その跡から、トーレ、クアットロ、チンク、セイン、ルーテシア後一行と続く。
「トーレ……」
「チンク姉、それにルーテシアお嬢様にアギトも来てくれたっすか。ついでにクア姉も」
「ついでってひどいわねえ」

 

ウェンディたちも迎えが来た事にほっとする。
何とか助かった。
「おーい!私もいるんだぞー!」
その中、唯一呼ばれなかったセインはむっとする。
それを見たシンたちはすぐに逃げようとする。
先に迎えが来たのは向こうのほうだった。
「待て」
しかし、それを止めたのはトーレだった。
シンはシグナムのほうへ歩み寄り、オットーの方を見る。
その姿は所どこと負傷している。
「オットーを負傷させたのはお前たちか?」
そんなトーレの言葉に、ディードはすぐに構える。
その目は真剣で、まるでシグナム達を両親の敵のような目で睨みつけた。
「ちがう、こいつは落ちたときに故障……ケガしたんだ」
戦闘機人の事は知っているので、どういえばいいのかわからなかったシンはとりあえずケガという事にした。
だが、そんな事に信用はがないのか、「本当か?」とオットーに尋ねる。
オットーもそれにうんと頷く。
「というより、いろいろと助けられたっす。いなきゃ今頃ぺしゃんこになってたかもしれねっす」
そういって、ウェンディはさっきの事を思い出す。
そういえば、とトーレはここに来る祭に大きな岩があった事を思い出す。
ずっと前からあったようなものではないと思っていたが、ある程度の事は察した。
「なるほど、妹達が世話になったらしいな」
そういうと、トーレはエリオが持っているレリックケースを見る。
「レリックはお前たちがもっているか……」
そう考えると、トーレはある事を言う。
「今回はお前達も、レリックも見逃してやる。さっさと消えろ」
「何?」
トーレの言葉に、シグナムは呆気にとられる。
「いいんですかあ、トーレお姉さま」
しかし、クアットロはどこか満足できないのか、不満そうか顔をする。
「仕方がない。こんなところで暴れればまた崩れるだろう。なにより、妹達が世話になったみたいだからな」
その言葉の意味を汲み取ったシグナムはすまないと礼を言って立ち去ろうとする。
まさか、敵に貸しを作るとは思いもしなかった。
そのときだった。ルーテシアのそばにいるリィンフォース並の小さな少女、アギトが見つけてしまった。
「ああああーーー!11番のレリック!!」
少女、アギトの言葉に、ルーテシアも驚きながらエリオがもっているレリックケースを見る。
確かにそれにはⅩⅠと書かれたレリックケースがあった。
まさか、このようなところにあったとは……
「お前達、知っていたのか?」
トーレの問いに、ウェンディはま、まあと頷く。
「知ってはいたっすけど……捕まってて奪えなくて……」
あはは、と渇いた笑みを浮かべるウェンディ。
まあ、仕方ないか、とトーレはルーテシアを見る。
「これさえあれば、ルールーの母さんは……」
アギトは両手に炎を纏う。
とうとう見つけた。自分達が探し続けたものを……
ルーテシアも魔法陣を出す。
「ルーテシアお嬢様、場所が場所です。ここは引いたほうが」
「嫌」
トーレの言葉を無視し、ルーテシアは蟲のような機械を出す。
それを見て、げ……とシンは呻く。
(おいおい、こんなところでやんのかよ)
さっき自分達は戦いの衝撃で下に落ちたというのに……さっきの女の言葉を聞いていなかったのか。
それとも、それほどまでにこのレリックがほしいのだろうか。
あのリィン2号(シン命名)が母さんっていったが、何か関係があるのだろうか。

 

「この場は早く逃げたほうがよさそうだな……出来れば早く」
「けど、まだ出口はわかりませんし……」
さて、どうしたものか、とシグナムは今にも襲い掛かってきそうなルーテシアを見る。
そのときだった。
カラン、カランとなにか音が聞こえる。
『シン!』
その声、レイの声にはっとしたシン。
そういって、シンは音が進むほうへいきなり飛び出した。
それはシグナム達にも聞こえていて、すぐさまその方へ向かう。
「いかせねえ!」
そう思って後を追おうとしたアギト。
しかし、とつぜんアギトの目の前がぴかっと光った。
「な!?」
その光はアギトを包み、ルーテシアもその光に目をくらませる。
「あぁ、目がぁ、めがぁーーーーー!!」
あまりのまぶしさに、アギトはのた打ち回りながら目を押さえる。
そばだったためにかなりまぶしかったのだろう。
「あれは、閃光弾……」
ディードは以前自分が受けたあの光を思い出す。
その光はあれと全く同じだったのだ。
という事は……
「向こうも迎えが到着したようだな……」
そう言ってトーレは前を見る。
そこには、既にシン達はいなかった。
どうやら脱出したらしい。
「まだだ、まだ追えば間に合う、外にもゼストの旦那もいる。いくぞルールー!」
「うん」
そう言ってシンたちを追いかけようとするアギトとルーテシア。
諦めるわけにはいかない。なんとしても、ⅩⅠ番のレリックを手に入れなければいけない。
「お嬢様、これ以上深追いしても仕方ありません」
「だけどよ……」
なおも食い下がるアギトだが、その時、ずどぉん、何かの爆発音が聞こえた。
おそらく、先ほど閃光弾を持っていたものが持つもう一つの魔力爆弾だろう。
おそらく出口を封鎖されたはずだ。
「くっそーーーーー!」
それを察したアギトは拳を岩にたたきつけた。
せっかく、せっかく見つけたのに、目の前で奪われるなんて。
ルーテシアも、ショックを隠せずがくっとひざを落とす。
トーレは、そんな二人をただ黙ってみるだけであった。
「……」
その中、オットーはずっと上の空で、ずっと上を見る。
「オットー?」
ディードは不思議そうにそんなオットーを見る。
彼女に何かあったのだろうか?

 

「エリオ!キャロ!」
シンたちがストームレイダーに戻った瞬間、フェイトは二人を抱き寄せる。
いきなりの事で二人は驚き、あわててしまう。
特にエリオは顔を真っ赤にし、完全に固まってしまっている。
「全く、相変わらずの親馬鹿ぶりだな」
はあ、とフェイトの行動に呆れるシグナム。
そんなシグナムにヴィータはにやけながら言う。
「けどよ、はやても似たようなもんだったぞ、かなり心配してたんだからな。後で謝って置けよ」
解っている、とシグナムは自分達が出てきたところを見る。
その出口は、先ほどレイが使った魔力爆弾で完全にふさがれている。
そして、シグナムはふと思い出した。
「テスタロッサ、渡すものがある」
そう言って、シグナムはポケットからあるものを取り出す。
それは、先ほど拾ったジュエルシードだった。
「ジュエルシード?何でこんなものが?」
「あの洞窟で拾ってな。おそらく生物が転移するものこれの仕業だろう」
そう言ってジュエルシードをフェイトに預けるシグナム。
フェイトはそれをバルディッシュで厳重に封印しようとするが、ふと少しためらう。

 

(いい年してさすがにリリカルマジカルはないよね……)
10年前の事を思い出し、普通に封印したフェイト。
そんなフェイトに?マークを浮かべるエリオたち。
その頃、シンはインパルスを見つめ、ちょっとぼーっとしていた。

 

シ「ⅩⅠ番のレリックを確保した俺達」
レ「そして、ナンバーズは各々の思いを募らせる」
フェ「次回、魔道戦士まじかるしん第47話「自分達の思い」に、リリカルマジカルって、何を言わせるんですか!?」
は「いや、言わせるフラグはあったはずやけど。それに、そういっとった割にはのりのりやったし、なあ?」
な「うん。10年前を思い出しちゃったな。私も予告編で一度言った事あるよ?」
フェ「ふ、二人とも……」