Seed-NANOHA_140氏_第12話後編

Last-modified: 2007-12-23 (日) 03:42:06

(コイツら・・・・・)

シンは怒りをあらわにして周囲を見る。

結界のおかげで人はいないと聞いたが、今まさになのはの家族と友人が目の前にいる。

何もしていない民間人にまで襲う傀儡兵の姿を見てシンは衝動的に駆られて敵を倒した。

モニターを見ると、デスティニーを不思議そうに見ているなのはの家族と友人。

おそらくこれに自分が載っていることなど知らないだろう。

そのとき、また傀儡兵が出てくる。

いつまで出てくるつもりなのか・・・・さっきから見ていたが半ば呆れてシンがデスティニーを飛び上がらせた。

それを見ている一同。

「何なんだあれは・・・・」

恭也が黒い機体をまじまじと見ている。

「あれがなのはのいってたロボットかい?」

士郎はなのはに依然聞いた話を思い出す。

「うん。乗ってるのはシン君。」

それを聞いて今度は美由希が話しかける。

「うそ?シンが乗ってるの?」

そういって美由希はデスティニーを見る。

なのははどうして姉が最近シンのことを気にかけてるのかわからなかった。

その横で、桃子は美由希をみてくすくす笑っていたが、当の本人は気付いていないようだ。

一応デスティニーを説明しているその横で、忍が目を輝かせてデスティニーを見ていた。

機械が好きな忍にとって異世界のロボットが目の前に現れて戦っている。

今彼女は至福のひと時でも浸っているのだろう。

その横でアリサも同じように見ている。

「お姉ちゃん、アリサちゃんも・・・早く避難しないと。」

そういうすずかも目はデスティニーの戦いを見ていた。

「はあぁーーー!!」

シンはアロンダイトを振り、一度で複数の傀儡兵を戦闘不能にする。

「コイツらーーーーー!!」

あの時、MS並みの大きさの傀儡兵がなのは達を狙ったとき、シンは2年前の自分を思い浮かべる。

これ以上、自分のような人を増やしたくない。

そのとき、何かがはじけるような感じになる。

「だったら、この力でなぎ払ってやる!すべて!!」

そうだ、こういう人たちを守るために、自分は力を欲した。

そして手に入れた。デスティニーという力を。

そのとき、熱くなりすぎて後ろにいる傀儡兵にまだ気付いていない。

「!!後ろ!?」





アラートに気付き防御をとろうとするが、すでに傀儡兵は倒されていた。

「後ろも確認するんだな。」

そこにはシグナムはレヴァンテインを構えていた。

おそらく彼女が倒したのだろう。

「おそらくこれで最後だろう。さっきのですべて倒した。」

そういってる彼女の表情は、あまり好意的ではなかった。

「それと・・・あの動きどうにかできないのか?こっちは援護しようにも何もも出来ん。」

その言葉に近づいてきたなのはも頷く。

援護に切り込もうにも少し間違えたらデスティニーに切られるかもしれないし、なのはが援護しようにもデスティニーが邪魔で標準が定まらない。

「もうすこしこっちのことを考えて行動してほしいんだけど・・・・」

なのはの言葉は正論で、どういおうか迷うシン。

「んなこといったって、MSと空飛ぶ人間が一緒に戦ったことないからわかるわけないだろ。」

確かにそのとおりだけど・・・・となのはは苦笑いしながらこたえる。

単体としての能力は高いが、人間にしては大きすぎるためあまりMSと人間の連携で戦うということには向いていないのかもしれない。

そう思いながらシンはいったん地上に降りようとしたそのときだった。

急に後方の景色が変わっていた感覚がした。

その直後、その周囲から雷が鳴り響く。

「何なんだよいったい!!」

シンが愚痴っていると、アースラから通信が入る。

「周囲の時空が歪んでる。何が出てきてもおかしくないから注意して!」

エイミィの通信が聞こえてきて、わけがわからないといった感じのシン。

時空?歪み?

まあ大変なんだろうとシンは思い、雷が降りそそいでいるほうを見る。

雷はさらに激しさを増し、直視できない状態だった。

そしてひときわ大きな雷が辺りを襲い、雷はようやくやんだ。

皆が歪みの中心点を見る。

「なに・・・これ・・・・」

なのはたちは中心点にある二つの巨大な人型のロボットを見る。

二つともシンが乗っているのに似ているが、一つは輝かしいほど金色のMS。もう一つは、全体的に灰色をしているMS。

シンはどれも見覚えがあった。

「レジェンド・・・・レイ?・・・・」

一つはシンと仲間のレイ・ザ・バレルが乗っているレジェンド。

そしてもう一つは・・・・

「あれは・・・あのときの・・・」

金色のMS,それはオーブ戦でシンと戦ったMSであった。

あの時とは装備が何か違う気がするが、あれで間違いないだろう。

ふと、リンディの声が聞こえてきた。

「シン君?あれってまさか・・・」

確かリンディも戦闘記録を見たといっていたから、見たことがあるのだろう。

「ええ、俺の世界にあるMSです。」

そういい、全周波で二つのMS、というかレジェンドに呼びかける。





「こちら、ザフト軍ミネルバ所属のシン・アスカ。レジェンドのパイロット、応答しろ。」

シンの声にレジェンドはいち早く反応した。

「シンか?」

聞こえてきた声、それは紛れもなくレイ・ザ・バレルだった。

「レイ!」

「シン・・・なんでお前が・・・それにここは・・・・」

レイが困惑したように周囲を見る。

流石のレイも困惑しているようだ。

「それは後で話すよ・・・・それより・・・・」

そういいシンは金色のMS、アカツキのほうを見る。

「あいつもここに来ていたのか・・・・」

そういいもう一度アロンダイトを抜き、暁に向ける。

それにつられてレイもライフルを構えた。だが・・・・

「ちょっとたんまーーーー!!」

急になのはは3機の間に割り込んできた。

「な・・・・・」

レイはさらに困惑した感じでなのはを見る。

「人が・・・浮いてる・・・・」

だが、それはお構いなしになのははシンに話す。

「さっきから全然話がよめないんだけど・・・・・それに、いきなり武器を構えるのもいけないし、まずは話をして・・・・」

いきなりのなのはの乱入で拍子が抜けてアロンダイトをおろすシン。

「シン、彼女は?・・・」

「え・・ああ・・・」

なんといえばいいのか・・・シンは迷った。

「とりあえず、話したい人がいるからついてきて欲しい。」

シンがそういいレイは少し考えてシンについていくことにした。

「それで、あれはどうする?敵だぞ。」

レイはアカツキを指差す。

あれ以降ピクリとも動かない。

正直その隙に倒したいのは山々なんだが・・・・・

「倒したら後でややこしくなるからなあ・・・あいつも連れて行こう。運ぶのを手伝ってくれ。」

とりあえず話して事情聴取もあるからレイと一緒にアカツキを連れて行ったシン。





「うっわあ、金ピカだあ、すっげー。」

ヴィータは格納されたアカツキを見る。

ほぼ全身が金色に施されているアカツキ。

もう一つのMSは、全体的に灰色がかっていて、背中の大きな突起物があるせいか全体的に重量感がある。

その下でシンとレイは話をしていた。

そのレイの顔はどこか動揺していた。

「で、シン。ここはどこなんだ?俺はさっきまで宇宙にいたはずだが。」

レイはいきなり地上に出てきたことにまだ驚きを隠せないでいる。

さらにいえば、周囲を見渡すと、戦艦らしき場に子供がたくさんいることにも驚いている。

シンはどう言えばいいのか迷う。

そのシンの口からは発せられた一言は、レイをさらに困惑させる。

「とりあえず・・・ここはコズミック・イラじゃなくて別の世界なんだ。」

一瞬、時が止まったかの様な時間が流れた。

何を言ってるのだシンは・・・レイはそう口に出すことが出来なかった。

さらにシンは言う。

「それでこの船は時空管理局っていう組織が使ってる船、そこで今俺は世話になっている。」

だんだん聞いてきて呆れているレイ。冗談はよしてくれ、そういう感じだ。

だが、シンが嘘をいているようにも見えない。

本当はどうなのかはっきりしたい。

そこに・・・・

「シン君、ちょっといいかな。」

レイと話しているとなのはとフェイトが途中から割り込んできた。

確かこの白い服を着ているのは自分たちの間に割り込んできた少女だった。

「あれにも人が乗ってるんだよね?」

そういってフェイトはアカツキを指差す。

ああ、とシンは言葉を返す。

自分たちの世界にはまだ自動操縦などない。

「けど・・・さっきからずっとあのままで、まだ中の人が出てきてないんだけど・・・」

それで?とシンはなのはを見る。

ものすごく嫌そうな顔をしていて、話しずらかった。

「私たちはあれのあけ方知らないから、開けてくれないかなあって・・・・」

予想通りの答えが返ってきて、シンはため息を吐く。

まあ、このままずっといてもどの道リンディ提督に艦長命令とかで開けさせられるだろう。

「わかったよ。レイ、ちょっと待ってくれ。」

一応約束をし、シンはなぜかデスティニーに戻る。

相手は敵兵だ、用心にこしたことはない。





「何してるの?」

シンの行動がさっぱりわからない二人。

なのはにいわれても何も言わないままシンは黙ってアカツキに向かう。

そのままアカツキの昇降用ワイヤーを出す。

どうやらそこはどこも一緒らしい。

シンはそれにつかまる前に腰から何かを取り出し、ロックをはずす。

一同はそれを見て硬直する。

「シン君・・・それって・・・」

シンが持っているのは、紛れもなく拳銃だった。

シンは拳銃を持ったままワイヤーにまたがる。

「ちょっと!?聞いてる!?」

二人がついていくように必死にシンに話す。

「うるさいな。もってて当たり前だろ。俺にとってあいつは敵だ、用心して損はないだろ。」

でも・・とさらになのははいう。

シンはそれを見てため息を吐く。

「心配しなくても別に殺したりしないよ。あくまで脅しとして使うだけだ。」

だったらそう早く言って・・・なのはは心の中で言う。

「だったら私がバインドするよ。」

フェイトの意見を聞いて、シンはそうしてくれ、といってコックピットを空ける。

ゆっくりとコックピットが開かれる。

そこには、やはりオーブ軍のパイロットスーツを着た男性らしき人物がいた。

だが、ザフトの服を着ているシンを見ても何も動こうとはしない。

シンは不審に思ってゆっくりと近づく。

それをみてフェイトに呼びかける。

「フェイト。医療班呼んでやれ。こいつ気失ってる。」

これに乗っているパイロットは、どこかやられたのか、気を失ったままだった・・・・・