Seed-NANOHA_140氏_第26話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 18:29:00

「え?じゃあなのは、シン君と魔法で戦うんですか?」

「ええ、そうなんですよ」

あの話の後、翠屋でいつものメンバーが話をしていた。

このSS的に言えば、「よく集まってるけどよく儲かるなあんたら」って言いたくなる。

けど、そんな細かいことは気にしないでおこう。

「ちょっと、それって大丈夫なの?」

アリサが心配そうに言う。

皆はそこまで魔法というものを知らない。

だから、なのはとシンが戦うといわれて少々心配になる。

心配ないよ、となのはは笑いながら言う。

「ちゃんと非殺傷設定で戦うから」

そういう問題じゃなくて……と皆はどういおうか迷う。

っていうか、非殺傷設定って何?

「それで、その当のシンは?」

アリサが言うと、あはは……とはやてが苦笑いを浮かべながら言う。

「リンディさんの命令で、レイ君と一緒になのはちゃんとの対策を練ってるところや」

……は?……対策?

「流石にそのままで戦うとなのはさんが勝ってしまうから、ちょっとしたハンデとしてね」

リンディの言葉に意味が分からない、といった顔で皆はリンディとなのはを見る。

そこでクロノが付け足す。

「なのはたちの魔力は管理局にもなかなかいないんだ。管理局の全体で5%前後くらいかな?」

まあ、シンも魔力だけなら高いんだけどね、とクロノは言う。

クロノ言葉にさらに驚く高町家。

皆は驚いた顔でなのはたちを見る。

士郎はふとつぶやく。

「本当に強く育ったなぁ……」

だが、うれしいことはうれしいがどこか心配なところもあるのだった。

恭也と美由希も同じようなことを思っていた。

そこで、すずかが一つ聞きたかったことがある。

「あのぉ、その戦いを、私達も見ることは出来ますか?」

すずかの言葉に、リンディは驚く。

「なのはちゃんがどんなことをしているのか、わたしはもっとしりたいんです」

すずかのことばに、アリサも賛同する。

「あの、わたしもみていい?」

リンディは今度は高町家も見る。

家の人たちもすずかたちと同じ意見らしい。

その反応を見たリンディは。

「本当はアースラの訓練室で戦わせるはずだったんだけど、今回はなのはさんとフェイトさんが戦った海の上にしましょうか」

こうして、シンとなのはの戦いに多数のギャラリーがつくようになる。



「なあ、レイ……」

レイの部屋で、二人はなのは対策を行っている。

そこでシンはふと思ってしまった。

「なんだ?」

レイはいつものように簡潔にいく。

ちなみに今、今レイの部屋のデスクのパソコンにはなのはの戦闘記録、そしてシンとなのは、二人の能力をデータ化されたファイルなどがある。

さっきから、二人はずっとなのはの映像や資料を見ているのだ。

小学生の女の子の、である。

「これってさ、絵的にかなり痛いと思うんだけど……」

シンはため息をつきながら思う。

そんなシンにレイはいつもの言葉を使う。

「気にするな。俺は気にしない」

まあ確かにこんな細かいこと気にしたらだめだけど……

それよりも、とレイはモニターを見る。

「彼女の戦闘能力だが……」

レイはモニターを動かす。

そのモニターには、今ではなのはと仲のいいヴィータとの戦いが映し出される。

「圧倒的な射撃能力。接近戦は苦手みたいだが、それを補う高い防御力」

シンはヴィータの攻撃を簡単に防ぎ、逆に射撃魔法でヴィータに攻撃するなのはを見て、彼女達とはじめてあったときに放たれた量産型MSのビームを簡単に凌駕する砲撃を思い出す。

おそらくあれもなのはが撃ったものだろう。

ってまてよ……圧倒的な射撃能力、接近戦が苦手な変わりに高い防御能力。

シンはこれに良く似たようなものと戦ったことがあると思った。

「シン、お前も気付いたか」

そういってレイが画面を切り替える。

そこに移っていたのは連合軍のMS、デストロイだった。

「彼女の戦い方はデストロイとよく似ているところがある」

相手の攻撃を絶対的な防御能力で無力化し、大火力で一気に沈める。

確かに、その戦い方はデストロイとよく似ていた。

ただ、とレイは何か恐怖心があるような顔で言う。

「ヴィータとの戦いでも見たように、接近戦でもその防御能力は十二分に発揮されている」

だからデストロイとの戦いのように、接近戦で一気にカタをつけるということができない。

「だが、最も恐ろしいのはこれだ」

そういって次に見せたのはフェイトとの戦い。

「相手を拘束して、身動きが取れないまま最大級の攻撃を仕掛ける」

シンはその映像を見て、普段のなのはから想像できなかった。

けど、とシンはいう。

「多分リーゼのバインドに比べたらたいしたことなさそうだな。あの攻撃も時間がかかるみたいだし、何とか引きちぎれそうだ」

シンは修行の日々を思い出す。

あのバインドに比べれば、多分だがあの二人よりは拘束能力は高くないだろう。

あの拘束はあてるための時間稼ぎといったところか。



「そしてこれがおそらくなのはの最強の技だろう」

最後に見せたのが奇妙な化け物との戦い。

ヴィータたちも今回は一緒に戦ってるから、以前言っていた闇の書とかいうものだろう。

その時にみせたなのはの技は、なのはがMSサイズだったらタンホイザーに匹敵する、もしかすればそれ以上かもしれない威力を持っている。

これらを見てシンはため息をつく。

「なんて能力なんだよあいつ。ぱっとみ弱点という弱点はなさそうだな」

ただ、唯一の弱点と取れそうなのは……

「本人は運動がからっきしだめってところかな?」

あと、接近戦が苦手というところと、おそらく移動速度はそこまでというほど高くなさそうというところである。

「全く。簡単に言えば、小型化されて尚且つ強化されたデストロイってところかよ。都市を3つ崩壊させるどころの話じゃないな、化け物だよ」

シンは笑いながら言って、レイもああ、と言う。

「本人が聞いたらなんていうかな?」

シンがそういって、ふと声が聞こえる。

「そうねえ、多分2,3日くらい泣きながら不貞寝するんじゃないかしら?」

後ろからリンディの声が聞こえて、二人はリンディのほうへ向く。

「どう?光明は見いだせた?」

リンディが笑いながら聞いて、まあなんとか、とシンは返す。

「それでね、戦う場所のことなんだけど、海鳴市の上空に決まったわ」

リンディの言葉にえ?とシンはリンディを見る。

てっきり模擬戦室を使うと思っていたからだ。

「それがね、なのはさんの家族とお友達が魔術師同士の戦いっていうのを見てみたいって言ったからちょうどいいと思ってね」

リンディの言葉にシンはため息をつく。

見せ物じゃないんだけど……

それと、とリンディはシンを見る。

「シン君。そろそろ家に帰ったら?しばらく家に帰ってないんだから、はやてちゃんが心配しちゃうわよ」

リンディに言われて、それもそうか、と思うシン。

まだ日にちはあるし、あとはどうたたかうか、だ。

そう思いながらシンは帰路に着いたのであった。



「ただいま」

シンは2週間、いや、気を失っていた分もっとはやての家に帰ってなかったか。

とりあえず、久しぶりに帰ってきたはやての家。

「おかえり!」

はやての声が聞こえて、改めて帰ってきたんだな、と思うシン。

けど……

(いつかは別れなきゃいけないんだよなあ)

自分はこの世界の人間ではないし、自分は帰る世界がある。

だから、はやてたちとはいつか別れなければいけない。

(寂しくなるな)

けど、おそらく帰るとヨウランやヴィーノがうるさくかまってきたり、ルナにいろいろ小言をいわれたり、すぐにまた騒がしくなってくるんだろうな。

そう思いながらシンは居間に入る。



「シン!久しぶりにゲームしようぜ!」

ヴィータが二人分のコントローラーを持ってシンにせがむ。

こういうものもう見れなくなるんだなと思うと、少し寂しく感じる。

だから……

「そのまえに、ご飯ができたよ」

はやての言葉に、はやてはすぐにコントローラーをおいて夕食の準備に取り掛かる。

「シンも早よたべよ。今日は久しぶりにシンが帰ってくるからちょっと豪勢にしたよ」

解った。といってシンは台所に行く。

だから、今を思いっきり楽しむことにする。そう決めた。



「シン君って、どんな戦い方するんだろう?」

なのはは自室のベッドで、相棒であるレイジングハートを持って思う。

『それは私にも解りません』

そうだよね、と苦笑いを浮かべるなのは。

ただ、今度戦うことになるのだからやはり気になる。

「土曜日か……お母さんたちも見るからちょっと緊張するなあ」

というより、恥ずかしいという表現が正しいのかもしれない。

「レイジングハート、今度の勝負、がんばろうね」

『イエス、マスター』

二人は、土曜日の決戦に、戦意を高めるのであった。



「そういえばシン」

夕食も終って、皿洗いをしているはやてがシンに言う。

「土曜日のなのはちゃんとの戦い、大丈夫なん?」

はやてにいわれて、うーんと考えるシン。

「まあ何とかなるんじゃないか?」

微妙だなおい、とヴィータが突っ込む。

「いろいろデータや戦闘記録を見たのはいいけど、データだけじゃ分からないこととかあるからなあ」

そればかりは実際戦ってみないと解らない。

「そういえば、ヴィータはあいつと戦ったことあるんだっけ?」

戦闘記録を見て、なのはと戦うヴィータを思い出す。

「ああ。あいつの射程距離にはびっくりした……」

ヴィータは、自分が想像もしない距離からの遠距離砲撃を思い出す。

あのときにリーゼたちがいなかったら危なかっただろう。

(なるほど、射程も長いのか)

シンはその戦いを知らないので、少し頭にとめておくことにした。

「ほな、うちらはシンを応援せなあかんな」

多分なのはを応援する人が圧倒的多数だろう。

だったら自分達はシンを応援しよう。

「みんなもそれでええよな?」

はやての質問に、ヴォルケン全員が首を縦に振る。

こうしてとうとう決戦の日が来るのだった……