Seed-NANOHA_140氏_第33話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 22:29:29

「ん……」

マユは目が覚めて周囲を見る。

(ここは?……)

マユは周囲を見渡すが、見慣れないところだった。

そして自分は今までどうしてたか思い出そうとする……

(確か、いきなり銃声が聞こえて……)

そう考えて、背筋が凍ってしまう。

そこへ、

「あ、目が覚めてたんですね」

誰かの声が聞こえて、向こうを向くと、二人組みの女性がいた。

その一人にマユは見覚えがあった。

「え、シャマルさん?」

予想外の人物の出現に驚くマユ。

「あの、ここは……」

そうマユが聞くと、緑色の髪をしている女性が笑いながら答える。

「ここは時空管理局の航行船、『アースラ』の医務室よ。マユ・アスカさん」

女性の言葉にマユは驚く。

何で自分を知っているのだろう……

でも、さっき時空管理局って……

「私はリンディ・ハラオウン。この船、アースラの艦長。そして、フェイト・テスタロッサさんの保護者です」

フェイト・テスタロッサ。その言葉を聞いてあ、と思い出したマユ。

「マユちゃん。いきなりで悪いけど、あなたはこの人を知ってる?」

そして差し出されたのはある人物の写真が入っているものだった。

その人物は黒い髪と赤い目が特徴的な男性だった。

マユはその人物にどこか見たような感じが……と思うが、思い出せない。

「いえ、わかりません」

それを聞いたシャマルはそうですか、と残念な気持ちになる。

そしてマユのほうも、何かとても大事なものを忘れてしまったような気がした。

「私、なのはちゃんたちを呼んできますね」

そういってシャマルが医務室を出る。

「あの、リンディさん」

マユがリンディにあのことを話す。

「とても大事なお話があるんです」

そう、プレシア・テスタロッサ。そしてラウ・ル・クルーゼのことを。







シャマルはなのはたちにマユが目覚めたこと、そしてやはりシンのことを忘れたことを告げた……

「そうか……」

ある程度は予測していたが、やはりショックを隠しきれないシン。

「どうします?一度マユちゃんと会ってみる?」

勿論なのは達は会う予定だ。

シンは少し考えて、妹の携帯を見る。

そして……

「俺も行くよ」

とりあえず彼女が本当の妹なのは確かだ。

ならこれを自分の手で返さなければいけない。

もしかしたら、それで記憶が戻るのかもしれないと思ったから。

こうしてなのは達はマユがいる部屋へと向かう。

なのはたちが医務室へ到着すると、そこにはベットに座っているマユ。

その横にリンディとシャマル、そしてクロノがいた。

「なのはちゃん……」

マユはなのはを見る。

その横を見ると、さっきシャマルさんが見せてくれた写真の人がいた。

「ほら、以前言ってたでしょ?マユちゃんのお兄ちゃんと同じ名前の人がいるって」

なのはは、どこか暗い言い方をする。

本当は兄弟なのに、マユのほうはその記憶を消されて覚えていない。

「マユ、だっけ。これに見覚えはない?」

何かどこか寂しそうな顔をしながら何かを取り出す。

そういって取り出したのは妹の携帯。

マユはシンが取り出した物を見て驚く。

だってそれは……

「私の…携帯?」

そう、マユの家族を失わせた原因となる自分の携帯だった。

何でそんなものを彼が持っているのだろう……

シンはその携帯をマユに渡す。

「それで、保存している画像を見て欲しい」

シンにいわれて、手馴れた手つきで携帯を動かす。

そこには、自分の姿とその家族が移っていた。

そして……

「え?」

マユは画像と目の前にいるシンを見比べる。

もう瓜二つなのだ。

「その携帯、俺の妹のものなんだ……」

そしてシンは話す。

自分はこの世界ではなくコズミック・イラと言う世界の人間。

その携帯は、オーブが戦場になったとき、シンが家族と一緒に逃げている中、妹が携帯を落とした。

母親はそんなものはいいから逃げるぞといったが、それでも妹は携帯を取りに行こうとした。

それを見たシンが変わりに取りに行く。

携帯を拾ったとき、ミサイルかビームかはわからないがかなり激しい衝撃に包まれ、家族がそれに巻き込まれ、死んでしまったことを……



マユはシンの話を聞いて愕然とする。

ほとんど自分の記憶と一致しているのだ。

彼も同じコズミック・イラの人間で自分の携帯を持っている。

そして彼の話をまとめると導き出す答えは……

「マユ、君は俺の妹……だと思うんだ」

そしてシャマルが話す。

マユにちょっとした記憶操作がされていること。

そして、その操作で兄に関する記憶を消されていることを。

マユはそれを聞いて俯いてしまう。

携帯の写真を見る限りはかなり仲が良いのだろう。

「マユ……」

シンはそんなマユを見る。

「ごめんなさい。何も思い出せなくて……」

マユはシンに謝るが、シンは笑いながらいう。

「すぐに思い出せなくていいよ」

そうだ、まだ時間はある。

そのうち記憶だってきっと戻ってくる。

そう思ったシンは気長に待つことにした。

ふと、リンディはマユの言葉を思い出す。

「そういえばマユちゃん。話があるっていったけど、何の話なの?」

マユが大事な話があると聞いて、リンディは考えてなのは達が来てから話そうということになった。

そしてマユははなす。

自分が逃げてきたとき起こった出来事を……



「そ、そんな……」

フェイトはマユの話を聞いて呆然とする。

マユはちゃんと見た。

プレシアが倒れ、クルーゼがプレシアに向けて銃を持っていたことに。

プレシアが自分を逃がしてくれたこと。

そして離れるとき聞こえた銃声を。

それから察することが出来るのは……

「母さん………」

おそらくもう助かっていない。

そう思ったフェイトはその場に座り込む。

「フェイト……」

アルフはフェイトを抱きかかえる。

フェイトにとってプレシアを思う気持ちはアルフにもわからないことはない。

プレシアに嫌いといわれてもそれでもフェイトはプレシアの事を母さんと呼んでいるのだから。

そう思ったときだった。

『艦長、至急ブリッジに!』

エイミィが緊急に通信を入れてきた。

「どうしたの?」

リンディが聞くと、エイミィが慌てて答える。

『プロヴィデンスと傀儡兵が多数現れたんです!』

それを聞いた瞬間、リンディはレイとムゥに出撃の準備をさせ、自分もブリッジに向かおうとしたときだった。

「フェイト!?」

フェイトがいきなり走り出してきたのだ。

「おい、フェイト!」



シンが呼び止めるが、フェイトは聞かずに走っていく。

一瞬だけだったが、フェイトの顔は怒っていたような気がする。

シンは舌うちをして同じく駆け出す。

「とめてくる!」

もし外へ出ても、最高速度だけならフェイトの次に速いはず……多分……

私も、といってアルフも駆け出していく。

マユはそんなシンを、ただ黙って見つめていた。



シンとアルフは二手でフェイトを探す。

というより、先にアルフは転送場へ先回りし、シンがフェイトを追うという形になっている

「おい、フェイト!」

シンは何とか転移する前にフェイトを捕まえることに成功する。

シンはフェイトの腕を掴む。

「シン、放して!」

フェイトはシンを振りほどこうとするが、たかが10歳の女の子が振りほどけるはずもなかった。

「落ち着けって!今闇雲に出て行ってもやられるだけだ!」

シンがそういってもフェイトは尚シンを振りほどこうとする。

「まだプレシアって人が死んだって決まったわけじゃないだろ?」

そう、銃声が聞こえてもまだプレシアが死んだと決まったわけじゃない。

利用している可能性も出ている。

「だから、早く母さんを助けなきゃ……」

フェイトの目には涙が浮かんでいる。

そこで、シンはある行動とかぶる。

自分がステラを助けたいために取った行動。

フェイトも大切な人を助けたい一身で行動している。

「フェイト……」

シンはそんなフェイトを見てこういう。

「助けたいなら、俺達も手伝うからさ」

シンだけではない、なのはも、はやても手伝ってくれるだろう。

「だから、一人でいこうとするなよ。な?」

シンがそういってフェイトの頭をなでる。

フェイトはうん、といいながら涙を手でぬぐう。

「さあ、リンディさんのところへ行こう」

そういってフェイトを連れて行こうとしたとき、遅いと思ってアルフがシンのところに向かっていて、シンとフェイトを見つけたのだ。

「シン……アンタってやつは……」

ん?とシンはアルフを見る。

何故か、アルフからはさっきが立ち込められていた。

「な、何だよアルフ……」

シンはそんなアルフを冷や汗をかきながら見る。

そういうのがはやいか、アルフは走り出す。

「フェイトを泣かすなーーーーーー!!」



そういってアルフは渾身の力を込めた一撃をシンに放つ。

もちろん、フェイトには傷一つつけないように、だ。

「あ、アルフ!これは違うから!!」

フェイトの言葉にへ?とアルフは飛びながらフェイトを見る。

どうやらかなり誤解していたようだが、一度スピードを出せば急には止まれない。

「シンもシンでフェイトを持っている状態だから下手によければフェイトにもあたる。

ス思ったシンはフェイトを突き飛ばす。

その結果……

「ぶは!」

見事にアルフの攻撃が当たり、思いっきり壁に激突するシン。

緊急にステラがプロテクションをかけ、なんとか直撃は免れたのが不幸中の幸いである。

そのあとフェイトはアルフをしかって簡単に起こったことを話す。

「すまないねえ、はやとちりしちゃって」

アルフはそういってわびる。

シンはため息を付くが、別に怪我はしてないし別にいいか。と思った。

そして3人はリンディのところへ向かう。



「プロヴィデンス、出現ポイントから一向に動く気配がありません」

リンディはモニターにあるプロヴィデンスと傀儡兵をみて不思議に思っている。

出現場所もエイミィが特定した、おそらく彼らの本拠地に近く、何故出たかもわからなかった。

何か罠でもあるのではないかとおもって……

そう思っていると、シンとフェイトもやってきた。

「リンディさん、勝手な行動をしてごめんなさい」

フェイトは勝手に行動したことを謝る、リンディは無理もないと思い、詳しい話は後でするといってその場を収めた。

とりあえずは目の前の問題を先に解決することにした。

その時だった。

「艦長!俺達を出せ!」

いきなり、ムゥが出撃させろといってきたのだ。

一瞬なにを言ってるんだと思ったが、確か彼はある程度クルーゼを感じるらしい。

こんなに急いでいるということは何かを察したのだろうか…

「わかったは、彼達を発進させて」

リンディは彼らの発進を許し…

「なのはさん達も何かあったときにすぐに出れるように準備してください」

なのはたちも頷いて各自準備をする。

その時…

「艦長、プロヴィデンスが転送を開始します。場所は……アースラの前方、約3K地点です!」

エイミィの言葉と同時にプロヴィデンスは消え、エイミィがいった、アースラの前に現れる。

現れると同時に、ムゥたちも向かっていく。

こうして、最終局へと向かう戦いが始まる。