Seed-NANOHA_140氏_第37話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 22:32:32

「アリシア……」

フェイトは唖然としながらクルーゼ(だったもの)を見る。

『お母さん。実験は成功したみたいだね』

ほとんど準備は完了していて、クルーゼが無理やりロストロギアの力を引き出したせいで暴走し、その余剰魔力でアリシアが生きたままクルーゼの一部となっていた。

プレシアも最後の力を振り絞って自身の持つすべての魔力をロストロギアに注入し、意識はクルーゼと共有している。

『どうするつもりだ?』

クルーゼが少しいらだったように聞く。

今からだの自由をプレシアに奪われてい状態である。

『わかりきっているでしょう?既に私達の肉体は取り込まれている。

だったら、あなたと意識を共有するぐらいだったら、いっそのことアルカンシェルで撃たれたほうがマシよ」

そしてプレシアはアースラにたずねる。

『そろそろチャージが完了している時間なんでしょ?』

確かにプレシアの言うとおり、彼女が足止めをしてくれたおかげで、既にアルカンシェルの充電は完了している。

後は撃つだけ。

だが、その前に一つだけ聞きたいことがあった。

「どうして私たちに協力を?」

リンディの言葉に、プレシアは自嘲気味に笑う。

『さっきも言ったとおりよ。あいつと一緒に生きてしまうのだったら、まだアルカンシェルに撃たれるほうがましよ。勘違いしないでね。間違っても、あなた達に協力する気はないわ』

それに、とプレシアは少し間を空けている。

『今はアリシアと一緒。今度は彼女と二人で一緒に逝ける』

そういってプレシアはフェイトを見る。

『ごめんなさいフェイト。いままで母親らしい事をしてなくて』

「母さん……」

今フェイトの目は既に涙であふれている。

『こういうのをも変だとは思うけど、フェイトを、娘の事を頼むわ』

プレシアの言葉から、ムゥ目と言う言葉が聞けて、フェイトの目から涙が出てきた。

そういってプレシアはアースラを見つめる。

『おかあさん……』

アリシアの言葉に、わかってる、とプレシアは笑う。

『もうしばらくはあいつを押さえ込めるわ、それまでだけど、ゆっくりお話をしなさい』

そういうと、苦しみもがいているクルーゼの声が聞こえる。

魔法を使い始めて間もないクルーゼ。

クルーゼとプレシア。

二人の魔術師のしての才能、そして経験での差が明白に出ていた。

「艦長……」

フェイトもリンディに尋ねたいことがあったのだが…

「そこまで時間があるかわからないけど、いいわよ別に」

既にリンディにはフェイトが尋ねたい理由を既に若手いて、ありがとうございますといってフェイトはアリシア(本当はクルーゼだが気にしない)。

『こうやって話をするのは始めてだね』

「アリシア……」



一度闇の書の中で話した事はあるが、それは本人ではなくあくまでも夢。

こうやって正面を向いて話をするのは久しぶりである。

フェイトの言葉に、ちょっとむっとしてアリシアは言う。

「フェイトより先に生まれた私に、呼び捨てはないんじゃないかなあ?」

アリシアの言葉に、え?とフェイトは困惑する。

こういうときの呼び方はやっぱり……

フェイトは顔を赤らめながら言う。

「ね…姉さん……」

フェイトの言葉にうんうんと頷くアリシア。

「アリシアちゃん」

マユもアリシアのほうを見る。

「マユ、お友達になってくれるって言ってくれてありがとう」

そのあいだ、これが最終決戦と言う事を忘れているかのように三人は話した。

たあいもない話やフェイトに組み込まれているアリシアの記憶の話をしたり。

プレシアは、そんな二人の会話を見て微笑んでいた。

しかし……

「アリシア。まだ話したいと思うけど、そろそろ時間よ」

プレシアの言葉にはーい、といって二人の方を見る。

「「アリシア(ちゃん)」」

二人はもう時間と言う事はこの先どうなるかを考えると、自然と涙がこぼれてくる。

アリシアはそんな二人を見て涙がこぼれそうな感覚になる。

「二人ともそんな顔しないでよ…そんな顔したら…私も…泣いちゃうじゃ…ない…」

アリシアの言葉に、二人は頷き涙を拭く。

そして次に見せた二人の顔は笑っていた。

「く、プレシア!いい加減にしろ!HA☆NA☆SE!!」

クルーゼがもがき苦しむ声が聞こえ、一堂は急がなければならない事に気付く。

「これより本艦はアルカンシェルを使います。急いで総員を回収!」

リンディの指示に、了解!とリンディは全員の転送を開始する。

次々と転送されていく皆。

「これで終わりだ、クルーゼ」

ムゥは哀れむようにクルーゼを見る。

「ラウ……」

レイのほうは、クルーゼをどこか残念そうに見る。

どこかで彼を帰れるかもしれないと持っていたが、それを出来なかった。

彼の世界に対する恨みは自分が思っていたよりも予想以上だった。

「レイ、大丈夫か?」

ふと見ると、シンがマユを優しく抱くように包んでレイを見る。

シンもある程度はレイの気持ちを察したのだろう。

「ああ、問題ない」

そういっていつものとおりに振舞うレイ。

「母さん、姉さん」

フェイトはだまってアリシアたちのほうをむく。

「フェイトちゃん」

そんなフェイトに、なのはとはやてがやってくる。

やがて、エイミィから転送準備が終った事を告げる。



「さよなら、母さん、姉さん。最後にあえて……うれしかった……」

そして転送が開始され、周囲には誰もいなくなった。

しいて言えば、最後に流したフェイトの涙が少しだけ残っているだけだった。

「アルカンシェル、発射!!」

そしてアースラから膨大な魔力が放たれる。



「そろそろね……」

プレシアはアースラの先端に何十にもバレルが重なっているのを見る。

「くっ……」

クルーゼは最後の抵抗をするがそれは徒労に終ってしまう。

「見苦しいわよ」

そうクルーゼを一瞥して、アリシアの方を見る。

「アリシア、今度はどこにも放さないわ。今度は一緒に行きましょう」

プレシアの言葉に頷くアリシア。

二人は、転送されているフェイトを見る。

(さようならフェイト……)

そして放たれる膨大な魔力。

「おのれえぇーーーーー!!」

クルーゼが叫びながら魔力の光に包まれる中、プレシアとアリシアはどこかすがすがしい感じがする。

そしてアルカンシェルはクルーゼを包み、消滅させた。

「これで終った…」

シンは消えていくクルーゼを見てつぶやく。

これですべて終った。

そう思うとどこかほっとする。

流石にあんな攻撃を受ければひとたまりもないだろう。

ここにいるみんながそう思っている。



これで、ラウ・ル・クルーゼが引き起こした事件はこれで終わりを迎えた。

アースラ一同は今度の事について話していた。

それと、シンたち時空漂流者についても話していた。

「それで、マユちゃんのことなんだけど……」

リンディは少しシンに申し訳がなさそうに言う。

「マユちゃんは利用されているとはいえラウ・ル・クルーゼ、

それとプレシア・テスタロッサと一時的に協力していとして、裁判でしばらくこの世界へ残らなければいけません」

その言葉にシンは驚くが、当然といえば当然だった。

「けど心配しなくていい、さっきも言ったとおり彼女はただ利用されていたんだ。ほぼ勝てる裁判だ」

クロノは話す。

フェイトも同じような事になっていた事を。

しかも今回は、マユはほとんど何もしていない。

ほぼ無罪が決まった裁判と聞いて、シンはほっと胸をなでおろす。

そこで、とリンディはシンのほうを見る。

「やっぱりマユちゃんを見知らぬ世界で一人でいるのはさすがにつらいと思うから、

マユちゃんの裁判が終るまでの間、一緒にいてあげれないかしら?」

シンは自分の世界では既に成人しているからどうってことはなかったが、まだ小さいマユにはつらいものがある。



しかし……

「すみません。それはちょっとできません」

その言葉にここにいる全員が驚く。

今までのシンの事を考えると、シンは首を縦に振るとばかり思っていた。

だが、それにはちゃんとした理由があった。

「家を探さなくちゃいけないんです。俺は今プラントに住んでて、流石にマユを軍の宿舎に泊めるのは許可がちょっと……」

それでレイがああと頷く。

プラントに家がないシンはずっと宿舎で暮らしている。

そこに、家族とはいえ軍とは関係がない人を宿舎にずっと住まわせるわけには行かないし、その宿舎自体になかなか要る機会もない。

任務があれば、長い場合は数ヶ月ずっと留守にしなければならないのだ。

ならマユが住む家を探さなくてはいけないということだった。

マユは、少し前にシンが言っていた事を思い出す。

シンのザフトの制服に似たバリアジャケットの事を。

その事をシンに尋ねる。

「わかったよ、約束だったな」

そういってシンはマユに話した。

シンは両親が死んで、戦争が終った後一人でプラントに渡りザフトに入った事を話した。

「そうだったんだ」

マユはシンの話を聞いて俯く。

「だから、お前がこの世界へ残っている間に、何とか、出来れば二人で住める家を見つけたいんだ。俺は軍に戻ったら、なかなか会えないけどな」

真の言葉に、なるほどとリンディは考える。

確かに、家がなければ帰っても意味はない。

シンの言う事も最もだった。

だが、この状況打開するのはレイだった。

「それなら俺がやっておいてやる。お前はここへ残れ」

レイの言葉にシンは驚く。

「せっかく兄妹が揃ったんだ。しばらくは一緒に暮らして話でもするといい」

そんなレイの言葉に、マユは喜んで「ありがとうございます」と例を言う。

そして、今までシンと暮らしてきて暮らしではやては思う。

「ずっと前からおもってたんやけど、シンはあんまり軍人さんは向いてないきがしするんやけど」

はやての言葉になのは達は頷く。

まあ、ザフト自体が義勇軍のようなものなので様々な性格の人物がいるのだからしょうがない。

「うん、どっちかって言うと警察や管理局のほうが向いているかも」

次々とシンについて話す皆。

「人気者だな。お前」

ムゥの言葉に五月蝿いと言うシン。

「それで、どうするの?」

リンディの言葉にシンは考える。

まあ、せっかくレイが言っているし、マユも自分がそうしているかのように思っているから……

「わかった、俺も残るよ」

シンの言葉にありがとう!と言ってマユはシンに抱きつく。

「こらマユやめろって……」



シンはいきなり抱きつかれて

そんなやり取りを見て、皆はくすくすと笑うのだった。

「さて、そうなったらマユさんの住むところだけど……」

フェイトの場合はずっとアースラにいたが、今はリンディたちは地球に住居を構えている。

流石にマユは全然害はないので、本局での話や検査の後は、地球へ戻る事もできる。

そしてそのマユとシンの在住に名乗りを上げたのは勿論……

「はい!うちなんかどうやろ?」

はやてだった。

もちろん、それに反対するものはおらず、八神家は、少しの間さらににぎやかになるのだった。