Seed-NANOHA_tiger氏_第03話

Last-modified: 2007-12-24 (月) 14:24:57

H.17海鳴の小島…そこで4人の少年は信じがたい現実に遭遇した。
魔法が存在する世界、時空管理局と言われる組織、
少年たちは歪んだ運命に突き動かされつつあった・・・

「とりあえず、それはここのドッグにおかせてもらってください。」

少女達の転移魔法によって時空移動艦アースラへとひとまず辿り着いたキラたちは、
MSを降りる場所を探していた。

「凄いな・・・、ミネルバ程ではないがそれなりの設備は整っている。」

レイが辺りを見回して感心の声をあげた

「とりあえずMSは手を付けなくても大丈夫だと思います。」

キラは整備員と話をしていた。
そこへ一人の少年が現れる。

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ、これから君達のサポートをさせてもらう。」

「もしかして君も魔道師なの?」

「ああ、ここにはまだ数人の魔道師がいる。とりあえずついてきてくれないか?」

クロノと名乗る少年は表情一つ変えずにたんたんと答えた。
シンはレイみたいなやつだが生意気でムカツク奴だなと考えていた。

キラ達はアースラのブリッヂへと案内された。

「ようこそアースラへ、アースラ艦長リンディ・ハラオウンです。」

「キラ・ヤマトです。」

「レイ・ザ・バレルです。」

「シン・アスカです。」

三人は軍の癖か、敬礼して挨拶をした。

「話は管理局についてから詳しく聞かせてもらうからとりあえず今は休んでちょうだい。」

「あ、あの、あの要塞みたいな建物は・・・?」

シンがウィンドウに映った巨大建造物を指差して問う。

「あれは時空管理局本局、君たちから言えば軍本部みたいなものだ。」

クロノが艦長に変わって答えた。

「もう一人連れの方は、先に部屋の方で休んでもらっているから
              あとで誰か様子を見に行ってみるといいわ。」

「ありがとうございます。」

アスランのことだろうと察してキラが礼をいった。

「ここは・・・?」

診察台の上でアスランは目を覚ました。
すると扉が開き見慣れた金髪の少年が入ってくる。

「・・・!!レイ?!ここは・・・ミネルバか?!」

「落ち着いてください!アスラン!」

「俺はどうしたんだ?!どのくらい眠っていたんだ?!怪我も治ってるし・・・。」

「ここは、あなたが思っている世界とは違う!!まずは話を聞いてください!!」

「はぁ?!」

「いいですか?!ここには俺とシン、それにキラ・ヤマトがいます。」

「キラ?!なんであいつがミネルバに?!」

「わかっていないようですね。付いてきてください、説明は歩きながら。」

レイとアスランはブリッヂへと向かった。

同時刻ブリッヂ

「あの僕達はこれからどうなるんですか?」

「そうだな・・・本局に着いたらまずは事情聴取、その後は健康診断になると思うが・・・。」

「聴取ったって俺達なにもしてませんよ!?」

「ここに来るまでの経緯を聞くだけだ、後はこれからどうするかについての会議かな。」

「オッケー入航準備整ったよ。」

若い女性の声が入航を告げた。
そこへハッチが開きレイとアスランも加わった。

「アスラン・・・大丈夫?」

「あぁ、今でも何が何だかさっぱり・・・話はレイから聞いたよ・・・。」

「あんた、あの体で俺と・・・。」

「シン・・・すまない・・・。」

「な?!何で謝るんですか?!」

相変わらずこの人はなにを考えているのか読めない、
しかしそれにもシンは慣れ始めていた。

数時間後・・・時空管理局聴取室

「そうか・・・そのMSってのに乗って戦闘をしていたら光に包まれた。気がついたら小島にいた…と。」

「はい。」

「艦長どう思います?」

「うーん、とりあえず嘘は言って無さそうね・・・。」

「何らかの衝撃で時空間が歪んでそれに巻き込まれた、そんなところかしら・・・。」

「それで、この後僕達はどうなるんですか?」

「フェイトが言ったと思うがしばらくこっちにいてもらうことになる。
                 僕らも君達がなるべく早く帰れるように全力を尽くそう。」

「ありがとう。クロノ君。」

「それじゃ、聴取はここまで!皆さんお腹空いたでしょう?ご飯にでも行きましょう。」

すると思い出したように腹が鳴る。
4人はそれに従って歩き出した。
そこへ向かう途中茶髪の少女と以前の金髪の少女・・・フェイトに出会った。

「あ、いたいた。クロノ君探していたんだよ?」

「すまない、聴取があって合流できなかったんだ。」

「ううん、気にしないで、さっきの話だけど2人とも大丈夫だって。」

「そうか、これで彼等も少しは安心できるだろう。」

「あの・・・君は?」

キラが口を挟む。

「私高町なのはです。なのはって呼んでください!」

なのはと名乗った少女は笑顔で答えた。

「彼等がそうだなのは。」

「え?じゃあ私達の家に来るのってお兄さん達なの?」

「ちょ、ちょっとまってくれないか?い、家に?!」

アスランが確認する。

「あぁ、君達にはなのはやフェイト達の家に駐屯してもらう。その方が安全だしな。」

「それよりはやてはどうした?」

「はやてちゃんは今は病院だよ。私達ももうすぐ帰らなくちゃだし。」

どんどん勝手に話が進んでいくのでキラ達はついていくのに精一杯だった。

数十分後…時空管理局健康管理センター

キラ達は数々の検査をこなしてやっと終わったところだった。
奥では何やら研究員が慌しく議論を跳び交わしていた。
その中にはクロノも混じっていた。

「3人ともちょっといいか?」

「なにか異常でも見つかったのか?!」

シンが少し慌てて反応する。

「そうじゃないんだが少し聞きたいことがあるんだ。」

「君達3人の検査結果なんだが、いろいろと何かこう・・・
             常人離れしている点がいくつか見つかったんだ。」

それを聞くと急にキラとアスランが暗い顔になる。

「それは多分僕達がコーディネイターだから・・・。」

「コーディネイター?」

後ろからレイが加わる。

「遺伝子を人工的に改良してあらゆる病気を防ぎ、
       常人よりよく学習し、よく体も反応する。
          人類の夢の完成体、それがコーディネイターです。」

「馬鹿な!遺伝子を人工的に・・・?!」

「それが原因でこっちでは戦争がおきたんです。」

「それで俺達は仲間・・・友達・・・家族、大切な物を亡くしたんです。」

「そうか・・・すまない。悪いことを聞いてしまった。」

「いえ・・・。」

「ところで3人とも・・・僕の顔をじっと見ていてくれないか?」

それを聞いてキラとアスランとシンはきょとんとした顔になるがとりあえず従うことにする。
特にシンはレイが含まれなかったことに疑問を抱いた。

(この声が聞こえるか?)

心の深くから聞こえてくるような声がキラ達の胸に鳴り響いた。

「え?!何で声が・・・?口ひとつ動いてないのに・・・。」

「念話だ、魔力を持つ者のみができる会話方法。」

「じゃ・・・じゃあ俺達・・・。」

「あぁ僕達が話しをしていたのはこれなんだ。」

「君達の体にどんどん魔力の源・・・リンカーコアが形成されている。」

「魔法が・・・僕達に・・・?」

「慣れれば念話どころか単体で飛行や攻撃、防御魔法も使えるようになる。」

「これも俺達コーディネイターの環境対応能力からだろうな・・・。」

アスランが少し戸惑った顔をして言った。

「そこでなんだが君達3人にはさっき言ったように
     なのはやフェイト、はやての家に駐屯しつつ魔法の訓練を受けてもらいたい。」

「ん?でもどうして俺達が魔法の訓練受けなくちゃならないんだ?」

「君達の世界の時限座標が仮にわかったとしても、
        距離によっては相当な移動が必要な場合があるんだ、
              そうなると君達の魔力も必要になってくる。」

「ちゃんと使えるようになるんですか?」

「ああ、指導員がいいからな、特になのはは、ああ見えても戦技指導員だ。」

「レイは?どうなるんだ?」

シンが友の身を案じて問う

「俺はここに残って元の世界に帰る方法を探してみる。
           それまでシン、お前はお前にできることをやれ。」

「それとアスラン、シンを頼みます。」

「あぁ、すまないなレイまかせてしまうようで。」

「いえ、お互い様です。」

「そろそろ出発の準備をしてもらいたいんだが。」

「わかった。じゃあレイ君なるべくこっちにきて手伝うようにするから。」

「はい、お気をつけて。」

キラ達はアースラの転送ポートへと向かった。

「行く前にこれに着替えてくれ。」

ロッカールームでクロノから服が手渡される。
流石にパイロットスーツで街を歩くのはまずいらしい。
着替えた後クロノにつれられてキラ達は転送ポートへと辿り着いた。

「準備、できたみたいね。」

「はい艦長、皆こっちへ。」

手元の魔方陣で母親・・・リンディ艦長と話をした後3人を呼び寄せる。

「3人とも順番に向かってもらいます。」

「まずキラ君にフェイトさんのお家、シン君になのはさんのお家、
          アスラン君にはやてさんのお家へ行ってもらいます。」

「はやてさん?あの…二人は分かりますが・・・俺の行くところのはちょっと・・・。」

「そうか、まだ3人とも会ってなかったな。もう一人の嘱託魔道師だ、
               少し気になる点があるとは思うがまぁすぐ慣れる。」

気になる点って何だ・・・と考えを巡らせるが時間も無い様でキラが方陣の中へと向かう。

「キラ・・・気をつけて。」

「うん、アスランもまた後でシン君も。」

「あ・・・はぁ。」

今まで人に余り君付けで呼ばれたことがなかっただけに変な違和感を覚える。
キラはその後、光に飲み込まれていった。
その後に続くようにシンも方陣に入り、最後にアスランがまだ見ぬ新たな家族の元へと向かった・・・。

H.17自らの体に新たな力を宿した少年たちは
新たな生活をはじめようとしていた。
戦争から外れた世界、温かく優しい世界
彼等はそれを手にしたのだった・・・。