W-Seed_運命の歌姫◆1gwURfmbQU_第31話

Last-modified: 2007-11-11 (日) 13:10:15

 ガルナハン基地を攻略したミネルバが、一路ディオキアを目指し出発してか
ら数日が過ぎた。艦長のタリアからの説明で、ディオキアにて久方ぶりの休暇
を貰えることを知ったクルーは喜び、艦内はいささか浮ついた空気が漂ってい
る。
 だが、そんな空気を余所に、一人浮かない顔をしている者がいる。
 シン・アスカだった。
 彼はガルナハンの地を出発してから、一度も笑っていない。理由は明かであ
ったが、それが判ったところで、どう声を掛ければいいのか。シンと同室であ
るレイは、下手に話題に出して刺激するより、触れないままそっとしておくほ
うが良いとし、彼との会話の数を減らした。こうしたレイの対応に、ルナマリ
ア・ホークが非難の声を浴びせた。同期、同年齢の友人として、冷たすぎるの
ではないか? しかし、レイにもまた複雑な事情がある。彼は先日、タリアか
らディオキアでプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルと会えるこ
とを知らされた。彼は久しぶりに保護者であるデュランダルに会えることを、
心の底から喜んだ。喜ばずにはいられなかった。そして、そんな幸福感に満た
されている自分が、悲しみに暮れるシンに対し、どうして声が掛けられようか。
 レイは不器用な少年だった。元々、幼い頃の環境が災いして、彼は他人と接
するのが得意な方ではないのだ。まして、精神的苦痛に悩む少年の励まし方な
ど、知る由もなかった。
 一方で、同じくシンと同期で友人であるルナマリアは、レイよりはずっと積
極的だった。彼女はシンに話しかけ、会話をし、語らい、彼を慰めようとした。
食事に誘い、シミュレーションの訓練に誘い……そうした中で判ったのだが、
意外なことにシンは見た目ほど落ち込んではいなかった。いや、落ち込んでは
いないと見せかけていた、というべきか。
「俺には、落ち込んでる余裕なんて無いんだ……」
 覇気のない声で、シンは答えた。ルナマリアには、そんな彼の姿が痛々しく
思えた。自分には、泣くことさえ許されない。そう断言したシンに、ルナマリ
アはなんと声を掛けるべきなのか、それを見いだせなくなってしまった。
 悩んだ末、ルナマリアは年長者の意見を仰ぐことにした。年齢でいえば、ル
ナマリアはシンより一歳ばかり年上なのだが、この場合はもっと人生経験豊富
なほうが良い。お姉さん風を吹かせるには、問題が大きすぎた。
 誰に相談するべきか、ルナマリアは真っ先にミネルバ艦長であるタリアを候
補から除外した。タリアは一般人としては、常識人に値するだけの女性だが、
シンとの仲が良くないのだ。険悪、というほどでもないが、互いにそりが合わ
ないことを理解し、作戦行動時でもないと会話をしない。では、副官のアーサ
ーはどうだろうか? ルナマリアは彼のことはよく知らない。実はかなり有能
な人物なのではないか、と最近艦橋要員の間で話題の彼だが、軍事的な才覚を
持ち合わせる者が、十代の少年が抱える精神的な痛みを和らげることが出来る
かは話が別である。
 ルナマリアが次に思い浮かべたのは、アスラン・ザラである。だが、これは
失笑と共に候補から消えた。この失笑が、アスラン本人に向けてなのか、彼を
候補として一瞬でも思い浮かべた自分へのものなのかは定かではないが、どち
らにしろアスランは選択肢としてはない。悩み多き青少年の代表などといわれ
る優柔不断な奴に、期待するだけ無駄であろう。
 大変失礼なことを考えながら、ルナマリアは候補を二人に絞った。一人は、
ハイネ・ヴェステンフルスである。彼はザフトの英雄として、アスランにも引
けを取らない名声と、そして歴戦を勝ち抜いてきた経験を持っている。人受け
のいい性格でもあるし、彼ならば……。

だが、ルナマリアの当ては外れた。艦内を慌ただしく動き回っていたハイネ
に声を掛けてみたのだが、ハイネは「すまんが、ちょっと忙しいんだ」と駆け
ていってしまった。軍事行動中でもないのに何を忙しなく動いているのか? 
そうしたこともあって、結局ルナマリアは、相談相手として二人目の人物を選
んだ。直接話す機会は少ないが、とりあえず、信用しても良いだろう大人の男
を。

 オデル・バーネットが、シンのことについてルナマリアから相談を受けたと
き、彼は私室のパソコンで、なにやら作業をしていた。彼女の訪問を意外に思
いながらも、彼は作業の手を止めて、ルナマリアを部屋に迎えた。
「それで、シンったら何かを悟りきったっていうか、諦めきった感じなんです」
 ルナマリアは、二十代も中盤のオデルにシンの状態を説明し、意見を求めた。
オデルはそんなルナマリアの話を良く聴き、時に相づちを打ちながら、彼女の
言いたいこと、伝えたいことを全て話させた。
「なるほど、シンはそこまで思い詰めているのか」
 自分へ特に相談してこなかった少年の実情を知り、オデルは僅かに眉を顰め
た。
「シン、大丈夫なんでしょうか?」
「難しいな。これは、今までとはまた違った問題だ」
「というと?」
 ルナマリアは、てっきり、シンがコニールという少女に起こった出来事にシ
ョックを受けているのかと思ったが、オデルは違う考えを示した。
「多分、シンは自分の抱いていた価値観を否定されたことに、強いショックを
受けているんだ」
 シンは、おそらく、ガルナハン攻略のその日まで、民間人や一般市民を無辜
の存在だと信じていたのだ。そして、力なき彼らを守ることこそ、軍人である
自分の役目なのだと。
 しかし、ガルナハンの地で起きた惨劇が、そんなシンの考えを打ち砕いたの
だ。人々は手に武器を取り、復讐心と共に狂乱の限りを尽くした。
「今まで信じてきた者の、違う一面を見たとき、人はそれに対して少なからず
動揺し、失望する。シンは、守るべき者のある意味でもっと酷い一面、人の醜
さというものを目の当たりにしてしまったんだ」
 嫌な言い方をすれば、それはシンが勝手に抱いていた幻想に過ぎないのだが、
十代も半ばの少年にそれをいうのも酷というものだろう。
「恋人の全く違う一面を見て、ショックを受けてる……って感じ?」
「程度は違うが、まあ、そんな感じだな」
 ルナマリアの少女らしい表現に苦笑しながらも、オデルは頷いた。
 シンの決定的な誤りは、彼が民間人を弱者と考えたところだろう。むろん、
軍人が強者で、民間人が弱者という考えは正しいのだが、絶対というわけでは
ない。歴史を紐解けば、過去に市民が武器を手に取り、軍隊を打ち破った例な
どいくらでもある。政治に大して人々の中に膨れあがる不満、不平、あるいは
反抗心。理由は様々あれど、虐げられるだけの弱者などこの世に存在しない。
それらを上手くまとめ、先導する者が現れれば、途端にそれは強者へ変わる。
 だからこそ、歴史上には数々の革命が起こり、時代を動かす革命家が存在す
るのだ。

「しかし、時代が進むにつれ、そのことは忘れられてしまうものだ」
 特にこのような時代、軍隊が圧倒的とも言える力を保持していると、何かこ
とを起こそうにもすぐに鎮圧される。現に、ガルナハンの地で蜂起したという
レジスタンスは、僅か一日で敗れ去った。
「モビルスーツなどの強力な兵器は、時としてそうした事実を曇らせてしまう。
だが、一度それが失われ、軍隊と民間人が対等になったとき……」
 あのガルナハンのようになってしまうのだ。
 シンは若くして、現実というものを突きつけられたのだ。
「けれど、これは別にシンが悪い分けじゃない」
 軍隊というものは、そもそも暴力的な組織だ。そして、軍隊という組織が民
間人を守るために存在すると考える者は、驚くほど少ない。例えば、権力者と
市民が対立したとき、軍隊はほぼ確実に権力者のために戦う。本来守らなけれ
ば行けない人々に銃を向け、威圧し、支配しようとする。先に述べたような軍
隊と民間人の間に起こる対立が、それを証明している。
 だからこそ、シンのような考えを持つ者は稀であり、それはとても貴重なも
のだった。
「シンのそう言った部分は大切にしなければならないとは思うが……」
 現在シンは、そうした自分の考えに疑問を持っているのだ。もしかすれば、
自分の考えは間違いだと思いこみ、他と変わらない軍人になってしまうかも知
れない。
「そうなって欲しくはないが、これはやはりシンの決めることさ」
 オデルは、ここで自分やルナマリアがどうこう言ったからと言って、その意
見にあっさり傾くようでもいけないと考えているのだ。心が惰弱しているとき
は、誰だって、もっともらしい他人の言葉に従いそうになるものだ。それでは
ダメだ。いつまで経っても、心は弱いままなのだ。
「なるほど、結局はシンが自分で解決するしかないんですね」
 納得したように、ルナマリアが頷いた。
「だが、立ち直れるかどうか、という問題もあるな。シンにしてみれば、日の
光も差さない谷底に突き落とされたようなものだ」
「大丈夫だと思いますよ。シンなら這い上がって来られますよ」
 それに……と、ルナマリアは付け加える。
「這い上がってきたとき、シンは今よりずっと強く、格好良くなってます」
 その微笑みには、不思議な説得力があった。

 ところで、ルナマリアの声を振り切って、忙しなく動いていたハイネだが、
彼は現在ミネルバの資料室兼記録室にいた。ここは、主に戦闘記録や、艦内情
報などを資料化し、記録しておくための部屋である。ミネルバは軍艦だけ合っ
て、警備も完璧で、ほとんどの場所に監視カメラが配置されており、士官室等、
個人の部屋も例外ではない。もっとも、プライバシーということもあり、どう
しても必要な場合以外はそれを見ることが出来ないが。
 ハイネは戦闘記録をまとめるという名目でこの部屋に入室すると、戦闘記録
とは全く違った作業をし始めた。彼はここ最近の艦内データを調べだし、特に
アスラン・ザラの周辺を慎重に見ていた。監視モニターの記録、PCの通信記録、
ハイネは片っ端から情報を引き出すが、目だった動きはない。
「不審な点はみられない……か」

 実のところ、ハイネはアスラン・ザラという男を欠片も信用していない。
 ハイネは、どうしてもアスランが故郷プラントのためだけにザフトへ復隊し
たとは思えないのだ。無論、最初はデュランダル議長が自身の地盤強化のため
に旗下に加えた手駒だろうと思っていたが、アスランという男はあれで計算高
い。ただ、議長の手駒として踊ってやっているようには見えない。
 何か彼には、彼の意図があってザフトに戻ったのではないか? 数々のアス
ランの言動や、行動が、ハイネにその疑惑を強めきた。アスランは何かを焦っ
ている。作戦会議では積極的に主導権を握ろうとするし、戦場に出れば功を焦
って突出する。これは、今までのアスランの性格には似つかわしくない。
 アスランが焦る理由は何か? 彼が目立ちたがり屋という話を、ハイネは聞
いたことがない。地位や名声に執着するような性格ではないはずだ。
「何を狙ってるんだ」
 一度離反した身であるが故、武勲の一つでもたててザフト軍に認められたい、
そう考えるのが普通なのかも知れないが、ハイネはそうは思わない。
 アスランがことさら派手に動き回るのには、何か理由があるはずだ。でなけ
れば、あのように自分の武勇を見せつけ、宣伝するような真似は――
「宣伝か」
 仮に、もしアスランが自分を宣伝、言い方を変えれば世の中に自身の存在を
知らしめようとしているのだとすれば? なんのために? 性に合わぬことを
してまで行う価値のあることなのか。
「ふむ……」
 ハイネが思案顔を作り、モニターをチェックしていると、ある日のアスラン
の部屋に、艦橋要員である通信士官メイリン・ホークが尋ねてきていた。
「部屋に女がやってくるとは、色男は違うねぇ」
 誰にも聞かれないことを良いことに、大声で皮肉ってやったが、そんなこと
をしても虚しいだけだ。ここだけの話だが、ハイネはあまり女運が良いほうで
はなく、浮いた話も少ない。
 何気なくチェックすると、メイリンは何度もアスランの部屋に通っているよ
うだ。おそらく、そういう関係なのだろう。アスランが、ミネルバに乗って日
は立つが、手が早いともいえるだろう。
「いや、まてよ……」
 これは、少しおかしくはないか?
 モニターを見つめるハイネの顔に、不審が広がっていく。どうもアスランと
メイリンの表情には、恋仲に見られる笑顔とか、そういうものがない。キスを
するわけでもないし、情事を行うわけでもない。むしろ、顔は真剣そのもので、
恋人が語らっていると言うより、秘め事を話し合っている、といった感じにも
見える。
「メイリン・ホークか」
 ハイネは、ミネルバに乗艦するクルーのリストから、彼女のデータを取り出
した。
 メイリン・ホーク、同じくミネルバに乗艦するモビルスーツパイロット、
ルナマリア・ホークの妹であり、アカデミー時代、姉がモビルスーツの操縦な
どで高い成績を残したのに比べ、彼女は情報処理などの分野で高い成績を取っ
ている。ザフトは基本的にモビルスーツ操縦などの部分を高く評価しており、
事務方の仕事は軽視しがちで、エリートの証である赤服も、当然のようにパイ
ロットへ渡される。
 だが、ハイネの見た限り、メイリンの情報処理能力等は総合点が極めて高い
主席のレイをも上回っており、その実力はかなりのものだ。

「アスラン・ザラと、メイリン・ホーク……」
 この二人が親密な関係というのには、何か意味があるのだろうか? ただ、
男と女の関係というわけではなさそうである。
 ハイネは少々乱暴に頭をかきむしった。元来、こうした根気のいる調査など
の細かい仕事は、彼に向いていないのだ。それでも、彼がこうして独自に調べ
だしたのは、自身の好奇心と、アスランへの疑念からであるが。

 一方、そんな疑念を向けられているアスランは、それに気付くこともなく、
格納庫でモビルスーツのチェックをしていた。ガルナハン攻略戦で、よもや撃
墜の危機に陥った彼は、それを挽回するためにも次の戦闘に備えているのであ
る。
 そんな、アスランの気持ちとは裏腹に、整備班の心持ちは妙に浮ついていた。
彼らもまた、目前に迫った休暇を待ち望んでおり、ディオキアでどう過ごすか
など、同僚たちと談笑混じりで話しているのだ。
 特に若い整備士、シンやレイなどと同年代の感心を誘ったのが、ラクス・ク
ラインによるディオキア基地への慰問である。プラントのアイドルである彼女
の存在は、整備士の少年の心を掴んで離さなかった。
「ラクス・クラインが来るってことは、やっぱりコンサートを開くのかな?」
「慰安コンサートか……うん、多分そうだろうな」
 普段から、ラクス・クラインのファンであることを公言しているヨウランと
ヴィーノは、期待に胸を膨らませ、最近発売されたラクスの新曲はどうだとか、
彼女がなんとかという雑誌に載ったときのグラビアは最高だったなどと会話を
している。中でも二人の共通意見として、
「何ていうか、可愛いよな、近頃の彼女」
 というものがある。以前までのラクス・クラインは、清楚で物静かというイ
メージがあったのだが、前大戦が終結してしばらくが過ぎ、再び表舞台に姿を
現すようになると、今までとは打って変わり、明るく活発な美少女アイドルと
して活動するようになった。この様変わりに当初、プラント市民は困惑しない
でもなかったが、若い世代を中心に、ラクス・クラインも随分親しみやすくな
ったという意見が増え、急激に人気を高めていった。一方で、なんだかラクス
が安っぽいアイドルになったようだと批判する者もいたが、アイドル性を強め
た彼女の人気は、そうした批判をものともしなかった。
 そうした影響をもろに受けていたのが、ヨウランとヴィーノであったが、彼
らはアイドルファンとしてはそこそこ満足していた。任務のため地球に赴き、
プラントで行われる彼女のコンサートやライブに参加できないのが、残念であ
ったのだが、これから行くディオキアでそれが行われるというのなら、いうこ
とはない。
 だが、そんな彼らに対し、アスラン・ザラがまじめくさった顔で話しかけて
きた。当然、セイバーの整備についてなのだが、誰も彼もが休暇に向けての思
いを馳せているなか、アスランは一人別の空気を帯びている。
 会話に水を差されたことを多少不快に思いつつも、若い整備士の二人は礼節
を持って対応した。そして、それが終わると、やや不満げにアスランとラクス
の関係について話す。
「いいよぁ……婚約者だもんなぁ」
「あぁ、なんて羨ましい」
 一般には、まだアスラン・ザラとラクスクラインは婚約関係にあると信じら
れている。つまり、アスランは少年たちが憧れを抱くアイドルの全てを手に入
れる存在なのだ。彼らが熱狂する美しい歌声も、目を奪われるその身体も、や
がてはアスランのものになる。面白いわけがない。
「チッ、ジャスティスのケーブルを、2,3本引っこ抜いてやろうか?」
「まったくだな」
 二人は、遠くで整備主任と話すアスランを見ながら、忌々しげに毒づいた。
この時は冗談のつもりであった。

 話を戻して、オデル・バーネットの部屋には、まだ、ルナマリアがいた。シ
ンのことを話したことで、オデルを信頼し、また馴染むことの出来た彼女は、
話題を転じ、目ざとくというべきか、オデルのパソコンのディスプレイに映っ
ているものに目を付けた。
「それ、インパルスのデータですよね?」
 ルナマリアが指摘したとおり、画面にはインパルスとシルエットフライヤー
についてのデータが表示されている。
「あぁ、これか」
 オデルは、この艦に来てからと言うもの、モビルスーツパイロットの他に整
備士としても働いている。その一環で、インパルスのデータを入手したのだが、
彼はこの機体に大して並々ならぬ興味を持っていた。
「昔、これと似た構想の機体を作っていたことがあってね」
「インパルスと、ですか?」
「装備を変更することで、あらゆる戦闘環境に耐えうる機体だった」
 どちからといえば、それは連合、ファントムペインが持つストライカーパッ
クシステムの方に近いのだが、インパルスが遠いというわけでもない。
「もしかしたらだが、今より少しはインパルスを強くすることが出来るかも知
れない」
「本当ですか?」
 ルナマリアは驚いたようにオデルを見る。インパルスはザフト軍の最新鋭機
であり、そこにはザフト軍技術者たちの英知の限りが尽くされている。しかし、
オデルはそれをも超えることをしようというのか。
「ディオキアに着く前にまとめられれば良いんだが……私が、シンにしてやれ
るのはこれぐらいだからね」
 案外自分も無力なものだ。オデルは苦笑すると、ディスプレイの方を見た。
構想は、もう組み立ててある。後はそれを、実現できるかどうかということだ。

 そして翌日、ミネルバはザフト軍ディオキア基地へと到着した。