XXVIIIスレ999 氏_いろんな意味で逆襲のシン=アスカ_第三話後編

Last-modified: 2009-06-18 (木) 01:00:03

「メイリン=ホークさんの様態は安定しました…しかし弾丸は子宮を貫通しましたので…
 残念ながら…今後お子さまは期待できないでしょう。」

 

 残酷な医師の言葉にルナの慟哭が響く。
 シンはルナを優しく抱き止めるがルナは暫く泣き止まなかった…

 

 俺はいったい何をしているのだろうか…何がしたいのだろうか?

 

 そういえば造られたマユはどうなったのか?まさか本当に処分されていないか?
 疑惑は浮かんでは消える。
 本当のマユは一緒に近所の公園等で遊んでいても、
 些細なことで喧嘩してムッとするとフラッと家に帰る。そんな娘だった。
 ルナマリアはメイリンの付き添いをすると言い、シンに自分とメイリンの入院準備物を取ってきて、と頼み
 メイリンの病室に入って行く、
 シンはやりきれない思いで病院を後にした。

 

 戦後シン達ミネルバ隊の大半はオーブに移住させられた。
 デュランダル派と見られていたためプラントは厄介払いしたかったのだろう。
 シンはザフト時代の給料、手当て、親の遺産全てを払って昔住んでいた家を再度購入した。
 我ながらセンチメンタルかと思うが買ってしまったからにはここで…と思う。
 病院から自分のバイクで帰宅する。家の前でエンジンを切り門扉をくぐったとき、そこに昔失った光景があった。

 

 玄関前で何も出来ず寂しく膝を抱えているマユ…

 

 心臓が激しく動く、一瞬考え、それが再生された妹とわかり今度は怒りに変わる…
 だがそれが何に対しての怒りか、シンにもすぐにわからなかった。
 再生されたマユはシンの顔を見て、一瞬安堵と喜びの表情を浮かべるが
 すぐに哀しそうな、淋しそうな顔に戻る。
 そして涙混じりの、か細い声で、
 「行くところがないの…」
 と訴えた。
 シンは涙をこらえるその姿が完全に…あの時永遠に失った妹と重なり、優しく微笑み抱きしめる、

 

「遅くなってごめん。おかえり。」

 

 そう告げて家に招き入れた。紅く染まった夕暮れに少女の鳴き声がそこにはあった。

 
 

《紅の贖罪 後編》

 

『地球連合政府は相次ぐ地方でのテロ、紛争に対しての抑止力として、
 大規模な傭兵組合を結成することを決め、様々な傭兵の参加を呼びかけ…』
『プラント行政府は本日、地球のマンパワー復旧の為、Life Recycleで優秀だった人材を送り地球の復興に役立て、
 プラント、地球の相互理解の機会になるのでは、と期待されています。ジョン=ゲイシー団長は…』
『昨晩、プラントを騒がせている仮面の怪盗ケチャップヘアーがまたもあらわれました。
 今回被害にあったのはプラント美術館の〈貧乳に悩むアズラエル〉と呼ばれる総天然ダイヤでできた彫刻で
 時価総額はうまい棒三億本以上…』

 

 シン達はミラージュコロイドを纏ったまま、プラントに程近い宙域に向かう。
そこで元オーブ所属、現在は「アメノミハシラ」所属の新型強襲宇宙空母『イズモⅡ』に収容された。
ミラージュコロイドを解いたMS『ドウジギリ』がハンガーに収納される。

 

 ドウジギリはオーブとアメノミハシラで共同開発された試作機のうちの一つだ。
旧北太平洋のブリッツをベースに今回は宇宙戦闘迷彩を施されている。
元々ミラージュコロイド運用を前提に開発された機体などのでPS装甲は施されていない。
ツインアイは細くGAT系列で特徴的だったV字アンテナが無い代わりに短いブレードアンテナが付いている。
全体的に細身の刺々しいフォルムにまとまっている。
固定武装は実弾系の腕部機関砲と大腿部に収容されたアーマーシュナイダー、
腰部に風船でできたダミー隕石と熱源付きのダミー人形を搭載している。
後は必要に応じて携行火器を使う。熱源に対しても厳しく検査され、
現在は大型ラジエーターを搭載したことにより排熱が抑えられている。
良い機体だがシンもキラも自分が乗るなら違う機体を選ぶと考えている。
キラは今でも高機動の砲撃タイプを好むし、シンは超高機動の、戦局に応じて柔軟に対処できる機体を選ぶ。
一般的にアロンダイトやエクスカリバーのイメージが強いシンだが、実際はオールラウンダーだ。
それは戦争初期のキラにも言えるたことで、柔軟さがある証拠であった。
戦争後期になるとキラは「フリーダムが無いと…」と女々しいことを言っているが、
その後の「自分を変える」努力により専用機ではなくてもかなりの戦果を出せるようになっている。
今まで絶えず工夫し、上を目指した二人は互いに鍛え、鋭く、強くなっていた。

 

 キラとシンは作戦予定に従いディアッカ、ミリアリアを別室に案内し、ミユを連れてブリッジに向かう。
途中すれ違う兵に敬礼をしっかりする。兵の人種や年齢は様々だ。
だが共通していることは皆が一つの目標を目指していることだった。
ブリッジに着いたシン達は司令に報告をする。戦闘宙域にもかかわらず、ブリッジは落ち着いていた。
司令、モーガン=シュバリエが落ち着いて指揮を取っている。
将が落ち着かないなら、それは部下に伝染する。
冷静さを欠いた友軍はあてにできない。
「キラ=ヒビキ、及びシン=アスカ、オペレーション『ハーメルン』終了しました。」
「了解、任務ご苦労だった。参謀に報告後別室で待機するように。」
 モーガンがキラ達の苦労をねぎらい別室待機を命じるが、
「ミユちゃんもかわいくなったね、」
 ミユを見てそうなごむ。家族をエイプリールフールクライシスで失ったモーガンはミユのことをかわいがっていた。
本人からは聞けないが失った娘がいたようだった。さらにモーガン自身は現在はパイロットではない。
にもかかわらず、シンとキラがかつての専用機を使っても、今のモーガンには勝てないだろう。
もっとも、シン達はモーガンに敬意を払っていたし、モーガン自身かつて「月下の狂犬」と呼ばれた恐ろしさは無く、
ミユに「大好きなおじいさま。」とよばれている。
 その上でモーガンはシンとキラを導くことを考えていた。

 

 キラとシンが敬礼しブリッジを後にする、ミユはシンの右袖を握りしめる。
ミユはまだシンのコートを羽織っているが下は例のスクール水着型ボディアーマーだ。恥ずかしいのだろう。
「ミユ、先に部屋戻って着替えてな。」
 シンが一見ぶっきらぼうに、その実優しく告げるとミユは素直に頷きシンに
「待ってるからね。お兄ちゃん。」と言い別れる。
その様子をキラにニヤニヤと笑い「シンはシスコンだな、」と茶化す。
シンは、
「シスコンで何が悪いんです?結婚を前提にロリっ児引き取ってる人にいわれたくありませんね。」
 と言い返す。
実際キラはLife Recycleで行き場を無くした子供(女の子限定)を引き取り養っている。
キラ曰く男は労働力となるためいないらしいが怪しいものだった。
その理由はラクス=クラインと破局した後に行き場を無くした女性を自分の女にしたからだった。
対するシンはミユを溺愛していたし妻達も深く愛していた。

 

シン達が話す内に作戦参謀室に着く。キラはノックの後入室する。

 

シンも入るとそこには作戦参謀カズィ=バスカーク二佐が逆さ釣りになっていた。

 
 
 
 

今回はここまでです。外伝で気を悪くされた方には申し訳ありませんでした。
ここに謝罪させていただきます。

 
 

                             オジョウサマ、オノゾミドウリトウジョウサセマシタ…

 
 

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