XXVIIIスレ999 氏_いろんな意味で逆襲のシン=アスカ_第四話後編

Last-modified: 2010-06-05 (土) 00:47:23

車の中は静かだった。
カガリは険しい顔をし押し黙っている。
アスランは額の傷から流血している。
それにメイリンも傷つけてしまった為、後悔と怒りを浮かべている。
ラクスは顔を冷やしたた濡れタオルで押さえている。
女の子の顔を殴るなんて許せないじゃない?僕はそう思う。
車はカガリのリムジンでかなりの広さがある、だから僕達は向かい合っている形になる。
だけど誰も話そうとしていない。
みんなシンに怒ってるんだよね…あれ?カガリ何でラクスの所に?傷見てくれるの?
「聞いていいか?ラクス、私はおまえの友人か?」
何当たり前のこと聞いてるんだろ、親友だから仇取る?それなら僕も参加しよう。
…僕、キラ=ヤマトはそう考える。
ラクスがゆっくりと頷いた瞬間、カガリはラクスの胸ぐらを掴んだ。

 

「カガリ何して、ラクスは今傷ついてるんd」
「黙れキラ、本気で殴るぞ?」
はい、暴力反対。ラクスは腫れた顔のまま頷く。みんな仲良く、

 

「じゃあさっきのシンの妹、アレはなんだ?お前一体何様だ?」
ラクスが黙る。アレってマユって子?シンの戦う理由なら無くしたらいいじゃない。
うん、マリーみたいだね、僕、
ラクスはゆっくり、
「許されたいのです。」
涙ながら話す、カガリ、ラクスは今泣いているんだ、うん、言おう、

 

「ラクスは今ないt」
「仲間で争うのはやめろ、カガリ、そんなんじゃいつまで…」
アスラン、僕の台詞にかぶせないでくれ。

 

「アスラン、だ・ま・ろ・う・な☆」
カガリこの上ない笑顔でアスランの首をスリーパーホールドはマズいん、

 

 あっアスラン落ちた。

 

「さて、キラもヤスムカ?」
 カガリが怒りのオーラを見せる。ハイ、ワタシハナニモハナシマセン。

 

「さて、誰に許されたい?テロしまくった連合へ?それともオーブか?」
「いえ、虐殺したシーゲル=クラインの娘として、全人類にですわ。」
さすがラクス、罪を背負うなら僕も共に、カガリも賛成するよね。

 

「ラクス、お前頭の中大丈夫か?」
あれ?カガリいつもなら賛成するのにどうしたの?わかったお腹空いてるのかな?

 

「…正気ではいられませんわ、父は穏健派といわれていますが
 エイプリルフールクライシスで無関係な人々を殺したのですから…」
「それなら私はの父もオーブを焼いた、今ならあれは失策だとわかる。」
「ではカガリさんは失った人々に何をなさるのですか?失った人口は?」
「人口減少については、今度の閣議で所得に応じて一夫多妻制を導入するつもりだ。」
 カガリそれって浮気okなわけ?カガリGJ!素晴らしきかな一夫多妻制。
「ですが…すぐに開戦前と同じにはなりません、だから私は父と同じ、
 いえ父以上の愚か者になるつもりです。」
「その結果がこの状況だ、クローンで人口を…促成した所で食料はどうする?
 心情は?シンのように反発するのは目に見えているだろ?」
「はい、ですから私を怨んで、罵っていただいて結構です。
 ですが父の失政で失ったマンパワーを回復させる、そして開戦前と同じようにしたいのです。」
「今の地球の食料自給率知っているか?65%だ。
 つまり35%の人々が常に飢えているんだ、そこにクローンで人が増えてみろ、
 新たな戦争の火種になるぞ。」
「食料に関してはプラントで遺伝子組み替えの米、小麦が実用化できました。
 収穫量は従来の倍、成長速度は20%増し、対害虫効果、対病効果も強い品種ですわ。
 これを無償で提供します。」
「プラントはそれでもいい、だが地球側はMADE IN PLANTのロゴで嫌がる人もいる。」
「何故でしょうか?本来のプラントの役割を果たすだけですわ。」
「ラクス、それを地球の人々が信じられると思うか?テロで政権を奪った我々が…」
「それで裁かれるならかまいませんわ、
 本来なら私達が生きてる、そのことがイレギュラーなのですから…」

 

第四話〈One Of Thousand 後編〉

 
 

『プラント、火星両政府は航路妨害をする海賊の殲滅の為、新型機の開発に着手いたしました。』
『地球連合政府はS2インフルエンザが世界的大流行にあたるとして…』
『太平洋でオーブ船籍の武装捕鯨船〈ジェノサイド〉が反捕鯨組織シーシェパードを艦砲射撃で撃沈し、
 その後ミンク鯨18頭を捕獲解体しました。
 この行為によりシーシェパード代表のアンドリュー=バルトフェルド氏は 鯨を保護する事は…』

 

 シンとキラはパイロットスーツを着て待機室にいた。
今回のオペレーション「ハーメルン」は9割終了しているものの、
残り1割の為にパイロットは待機していた。
もっとも今現在この戦艦イズモⅡには4機のMSしか搭載されていない。
むしろ新しい戦術の実証データ収集が主体だ。
だからオペレーション「ハーメルン」と同時進行で戦闘も行われる予定だ。
4機の内ドウジギリは既に実証データ収集を終えている。
次にデータ収集するのはキラとシンの乗る機体だろう。

 

どんな機体に乗るか、シンも大体のコンセプトは聞いている。
シンには高機動近接型を、キラには超高機動の特化型が用意されている。
その設計と整備はオーブ技術開発局、元モルゲンレーテ社所属のサイ=アーガイルが行っている。
サイはシンには親切に対応するが、キラには最低限のやり取りしかしていない。
だからかキラのオーダーを聞くとさっさと仕事に戻っていった。
二人に何があったかシンは聞かない、だからか気まずい空気が流れていた。
だが放送で呼び出しを受けると、二人はパイロットルームからMSデッキに入る。

 

そこには一機のGタイプの機体があった。
「シン、君のオーダーの機体だ。」
サイが話しかける。その機体は全身を鏡面加工に、ミサイルの様に尖った胸部にライン状に、
サイドアーマーの一部も薄紫に塗装されている、
一目でPS装甲を排除しているのがわかる。
背部バックパックには大型のフレキシブルスラスターが2つ、
脚部はそれ自体が超大型の推進機になっている。
そして両肩はMS胸部と同じ大きさに見える上、張り出している為、異形のいかつい機体に見える。

 

「戦闘機動で死ねそうな機体ですね、これ、」
シンがサイに感想を漏らす。
「脚部の推進機は大きいですね、被弾したらアウトですよ?」
「そう見えるだろうね、装甲はヤタノカガミと一部PS装甲だから安心していいよ、
 ただこの機体、君のデスティニーやインパルスを参考にしたものだよ、」
「俺の、デスティニーを?何でいまさら?」
「今だから、だよ、シン、今見るとデスティニーは対旧連合の大型MA用に開発された機体だったんだ。
 だからキラや禿に負けた。それに欠陥だらけだったしね。」
「欠陥ですか?不便感じなかった…」
「パルマフォキーナは?しょっちゅう使った?」
シンが沈黙する。
「アロンダイトの意味は?重いだろ、あんなの、
 ライフル付いてるのに大型砲の意味は?使える?本当に?」
シンは心の中で泣いた。
「その点こいつは両脚部はフリーダムそれぞれ一機分の電磁推進機だし、
 背部のフレキシブルスラスターはヴォワなんとかって光の翼だ。それだけで超高機動が実現できる。」
「Gでミンチよりヒデェになりません…」
「そこは努力と根性でカバーしろ、後は知らん。
 胸部と両肩にはそれぞれ核分裂炉がある、そこから胸部陽電子砲に直接エネルギーを供給するから
 軽くローエングリンクラスの火力がある。」
「何に使うんですかそんな火力!」
「左右でパワー供給を切り替えれば連射できる、
 まぁ冷却が間に合わないから連射したら、砲身が溶けるがそれは仕様だ。」
「無視かい?それに被弾したら即核爆発じゃないですか!」
「だから敵は何もできないんじゃないか、ほらここにでっかく『核爆発注意』って警告マーク入れてるし
 携行火器はサーペントテールも使ったローエングリンをライフルにしたものを持たせてる。
 中近接用にはミーティアの大型サーベルがフレキシブルスラスターの根元にある…」
はっはっはとサイは朗らかに笑った。

 

「それにだ、インパルスを参考にした所は胸部以外は戦況に応じて付け替えることができる点だ、
 場合によっては両腕をドラグーンにできるからな。」
「…動く大量破壊兵器ですね、まぁ使いますけどこの機体の名前、決まってますか?」
「ああ、『インパルス』『デスティニー』から一文字取って俺達は『デンジャラス』(仮)に…」
「ネーミングセンス無しですね…まぁ命令だからありがたく使わせてもらいます。
 『デンパルス』なんてつけられずによかった。」
シンが不満ながら承諾する。その後すぐに、サイが今度はキラ用の機体を案内する。

 

「さてキラ、これがおまえの要求を満たした機体…その名もクロスアウトフリーダムだ!」
機体収納用エレベーターから降りた機体にキラは驚愕した。

 

 それは剥き身だった…

 

 装甲全てが剥がされた骨組み剥き出しの機体。頭部すら装甲は無い。
 通気性はバッチリで快適な居住空間を提供してくれるだろう。
 なんてったってコクピットハッチすら無いからだ。

 

「ちょっとサイ!これ何だよ!」
「キラ…お前のオーダーにそって軽量化したんだが、
 それにお前言ってただろ、被弾しないから装甲限界まで削れって、
 逆に考えるんだ、被弾しないなら装甲なんていらない、そう考えるんだ。」
「いや、そこじゃないだろ、サイ!」
「なんでだ?被弾しないのに何でクソ重いPS装甲いる?中身はストライクフリーダムなんだが?」
「せめてコクピットハッチくらいくれよ、デブリ当たったらアウトじゃないか!」
「イージスの自爆に耐えたんだ、ビームくらい平気だろ。」
「俺は化け物か!」
「スーパーコーディネーターだし、平気だろ。」
「頼むからハッチ周り位装甲くれ、不安でしょうがない。」
サイが舌打ちする、そして

 

「しょうがないからセーフティーシャッターで装甲作ってやる、」  
と言った瞬間、非情にも出撃命令が下された。

 

シンは自分に割り当てられたデンジャラス(仮)に向かう。
「キラさんありゃ恨まれてるねぇ、なんてったってクロスアウト(脱衣)の自由ってなぁ…」
そう呟きデンジャラス(仮)のコクピットに入る。
コクピット周りは連合制のオーソドックスな配置になっている。
OSもキラが昔作ったスパゲッティではなくちゃんとしたものに学習プログラムも入っている。
中身はシンのクセに対応したものだから、デンジャラス(仮)はすぐにシンの望みどおりに動くだろう。
オペレーターが発射を支持すると共に機体に正式なネーミングが無いことを告げられた。
シンは少し考え、カタパルトへ移動する。そして…

 

「シン=アスカ、バンディット行きます!」

 

こうして産みの親が付けたデンジャラス(仮)はバンディットと名付けられ、機体は宇宙に放たれる。
そこには無数のビルゲイツが遠くにいるのが見えた。
シンは早速胸部ローエングリンを放つ。
突如生まれた光の奔流が過ぎた後、無数のビルゲイツの一部は消えていた。

 

「これは戦争なんだよ、あんたたちとの!」

 

シンの叫び声がコクピットに響く。
シンの守る戦いは今、攻める戦いに転じてしまったのだった。

 
 

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