XXXIXスレ513 氏_シン・アスカは歩いて行く_prologue

Last-modified: 2011-07-18 (月) 23:01:37

※高山版種死後なので、ある程度アスランがまとも。ある程度は・・・
 その他の主要メンバーもある程度は良識あるかと。ある程度はね!

 
 
 
 
 

「アスラン・・・・あんたやっぱ強いや・・・・」

 

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 戦争が終わった。デュランダル議長の提唱した『デスティニープラン』も
メサイア攻防戦後、その議長が消息不明になった事により、完全に潰えた。

 

 俺にとっては、色々な事への思い・感情に対して一つの区切りを付ける事の出来る終戦だった。
結局、議長やレイの言っていた事が正しかったのかどうかなんて最後まで分からなかったけれども、
世界が『デスティニープラン』を必要としない未来を選んだのならば、それが世界の選択なんだろう。

 

 後、最後の最後でアスランと互いの想いをぶつけ合って戦えた事も、
今となっては悪くはなかったと思える。
 ミネルバに居た頃は頼りない事が多かったけども、アスランもアスランなりに悩み苦しんでいたんだな、
なんて最後の戦いの時にある程度は感じる事が出来たので、ちょっとはアスランに対する評価を改めた。

 
 

 そんな事よりも、デュランダル議長派の敗残兵処理において俺の立ち位置はすこぶる悪かった。
 何しろ、『デスティニープラン』の名を持つ[デスティニー]に搭乗して多くのMSを撃墜し、
議長直属の「FAITH」という肩書き。

 

 そして、何といっても二度の大戦を終結させた“英雄”として祭り上げられているキラ・ヤマトの
搭乗していたフリーダムを唯一撃墜した事があるパイロットというオマケ付き。

 

 戦後、新たに選出されたクライン派の議員に至っては、
『デスティニープラン』が完全に潰えた事を証明する為にも公開処刑にすべきだ!等と
随分と物騒な提言もあったようだが、ある人物からの助け船で事態が変わった。

 
 

 その人物というのが、なんと月で俺を撃墜したアスラン・ザラ、その人だった。

 

 裁判の場でアスランは、俺が前大戦で自分達が引き起こしたオーブ戦においての
戦災孤児であった事を説明し、プラント移住後にザフトへ入隊したのも、新しい故郷である
プラントを守るためという思いからだという事。
専用機の授与や「FAITH」への任命も、ガルナハンでの特殊作戦成功やフリーダム落とし等の
多大な功績を納めたエースパイロットに対しての当然の評価だと、随分と俺を擁護してくれた。

 

 ただ、「シン・アスカは、軍人として最後まで職務を全うしただけだ」という言葉を言った時の
アスランの自嘲的な苦笑は今でも忘れられない。
まあアスランにとっても、自らの過去の行いを戒める為に言った言葉なんだろうと解釈している。

 

 そんな訳で、俺の行いはあくまで一軍人として軍務を全うしただけで、
処分に関しては必要最低限で、と有り難い方に結論付けられた。

 

しかし、この結論に新クライン派の議員からは随分とご不満の声が多かったらしく、
新しいプラント議会としてもその声を完全に無下にする事も出来ず結局、

 

1.シン・アスカの戦闘用MSへの搭乗及びMSによる戦闘行為を無期限停止処分とする。

 

2.「FAITH」の資格剥奪及び、ザフト軍人としての登録も抹消。

 

3.プラントからの退去処分。また、新たな居住地には現プラント政権からの監督官を派遣し
  これを受け入れる事。

 

 と、俺の一番の取り柄の一番重要な事を禁止され、さらには面倒な監視というオマケも付けられて、
めでたくプラントから追い出される事となった。

 
 

 とりあえず、財産丸々没収されたり賠償金払え等と言われなかっただけマシと言えばマシなんだが、
新天地で1から始めるとなるとそれなりに金も必要になってくるし、
何より自らの手で金を稼がないといけない。

 

 戦争が終わったとはいえ、未だに小さな小競り合いが各地で発生しMSを使った犯罪も
横行しているような状況なので、傭兵にでもなればある程度安定した収入は見込めそうだったが、
生憎とMSを使っての戦闘は禁止されているし、何よりも、同居している監督官様の
長いお説教を何度も聞くのは御免なので断念した。

 

 結局、ザフト時代に貯まっていた貯金と退官時に奇跡的に出た退職金を工面して中古のゲイツを購入し
色々と手を加えた後に、月面のローレンツ・クレーターで廃棄MSの回収業をする事にした。

 

 住所をどうしようかと悩んでいたが、幸いにも放置されていたローレンツ・クレーター内の基地跡は、
地球連合の手もほとんど入っておらず、住むには十分な居住スペースは確保出来た。

 

 が、後からやってきた監督官様がこの居住区画に対して色々と注文を付けてきやがった。
 やれちゃんとしたベッドが欲しいだの風呂には湯船が必須などと随分好き勝手要求してくれたせいで、
かなり要らない出費をする羽目になってしまった。
 後々、こいつの関係者に領収書を叩きつけてやろうと思うが、
今のところそんな相手と直接顔を合わせる予定はない。

 

 正直に言って、俺の新しい生活を監督する監督官というよりも、俺の仕事を増やしてくれやがる
お節介なオジャマ虫を押しつけて来やがったと、今では解釈している。

 
 

 そんなこんなで、お節介な同居人には毎日頭を悩まされてはいるが、
俺シン・アスカの第三の人生はこの月面から始まる事となった。

 
 

~シン・アスカは歩いて行く prologue~

 
 
 

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