炬燵に入りつつ、のんびりとお茶を飲んでいたシンとルナマリアだったが、
その平和は当然の如く至極あっさり破られた。
「何で窓の外にMSがいるんだよ!?」
「あれって確か旧式の……」
外にいるMSはGATシリーズで一番最初に完全破壊が確認された機体、ブリッツガンダムである。
『早速ですがシン君は頂いて行きます。異議反論抵抗一切許しません』
こんな道楽が出来る金持ちなど、このMSのパイロットだった人間の母親以外有り得ない。
「何であんたがここにいるんだああああ!?」
「シン……あんたまた誰かに……」
燃え上がる嫉妬という名の炎に、シンは本気でビビリが入っている。
だが、この程度で諦める程彼は潔くは無い。
「逃げるが勝ちだああああ!!」
種が割れる。炬燵をルナマリアの方向に向けてちゃぶ台返ししつつ、
ブリッツの現れた方向とは逆の入り口へ向かって駆け抜ける。
そして、扉を開けた瞬間、柔らかい何かにぶつかった。
「捕まえましたよ、シン君」
「え、何で……」
MSに乗っているんじゃあ無いのか?そう言いたかった。
「素人の私に操縦なんてできる筈無いじゃない」
ああ、そうだ。当たり前だ……まずはそこに気付くべきだったのだ。
逃げようと抵抗するが、思いのほか強いその力に、全く抵抗ができない。
「では、後は傭兵の皆さんにお任せして帰りましょうか。あ・な・た」
こうして、我らが主人公は至極あっさりと、お金持ちの未亡人に捕まった。