code geass-destiny第00話

Last-modified: 2013-05-29 (水) 14:11:55
 

コードギアスDESTINY
プロローグ 魔王復活

 
 

 凍てついた冷たさ、それと供に広がる爆音と地響きの中で、俺は目を開ける。
 ぼやけた視界の中で、見える色は白一色。
 頭を振りながら、意識をしっかりと覚醒させて、現状を把握する。
 俺の名前は……ルルーシュ・ランペルージ。
 エリア11、占領された旧日本にある、アッシュフォード学園にて在学中。
 友人は、生徒会会長ミレイ・アッシュフォード、シャーリー・フェネット…その他
 家族には愛すべき妹であるナナリーがいる。
 なるほど…記憶はあるようだ。
 だが、この場所はわからない…どうして俺がこんなところにいるのかも。
 だいたい、ここはどこだ?

 

 崩れかけた建物とともに、逃げ惑う人々、灰色の雲の下、雪が降り続けている。
 逃げ惑う人々を見る限りは、ここは日本ではないようだ。
 西欧?EU圏内と考えるべきだろう。建物の建築方式からもそれはわかってくる。
 だが、こいつらは一体何から逃げている?人々が逃げている先に目をやる。
 そこで見えてくるのは数々の巨大な人型の兵器である。
 ナイトメアフレームとは違う。
 その数も形状も大きさも…。
 地響きを出しているものの正体…、先ほどの人型の機動兵器の何倍かはあろう巨大な黒きロボット。
 こんなものがブリタニアに存在しているなど聞いたことがない。
 いや、これはブリタニアのものではない。
 ナイトメアフレームとはまた別のものでありそうだ。

 

「連合に歯向かう者は、誰であれ敵だ!殺せ!」

 

 逃げ惑う人々を、そう言い放ち銃撃する兵士。
 俺は、雪の中、おぼつかないし足で逃げていく。
 巨大な人型の兵器からも銃を放ち、人々を殺していく。
 巨大な銃口だ。あんなものを受ければ人間など簡単に吹き飛ぶ。
 いや、蒸発か……。
 圧倒的戦力で人間を殺害していくものたち…。
 これでは、ただの虐殺じゃないか!?
 俺は建物の影に隠れて、様子を伺う。
「うっ!?」
 目の前では、既に何人もの人間が撃たれて死んでいる。
 おびただしい血が白い雪を赤く、赤く染め上げている。

 

 そこに現れる俺と同じく、建物の影に逃げてくる緑の髪の女。

 

「見つけたぞ」

 

 緑の髪の女は俺を見てそういう。
 俺はこんな女を知らない。
 だが、ここがどこであり、なぜ俺がここにいるのかを知るには、この女に聞くしかない。
「お、おい、お前は誰だ?どうして俺はこんな場所にいる?」
「お前が誰であり、ここで何をしなくてはいけないのか…それはお前自身が知っていることだ」
「なに?!」
 緑の髪の女は、俺には理解が出来ない言葉を言う。
 まさか…俺自身が望んでこの場所に来たとでも言うのか?
 冗談じゃない。俺は一般の学生だ。
 こんな戦場で何ができるというんだ!

 

「まだいたのか、ザフトに味方する反逆者ども!」

 

 見つかった!?
 銃を持った兵士数人が俺達を見て、銃口を構えた。
「やめろ!」
 緑の髪の女が突然、俺の前に飛び出す。
 短い銃声の後、緑の髪の女は俺の前で赤い血を流しながら倒れる。
 何しにでてきたんだ!?こいつは!!
 俺は心の中で、緑の髪の女にそう叫びながら…次は、自分の番であることを知った。
 兵士達の銃口が向けられる。
「待て!俺が一体なにをした。それに連合とはなんだ?!」
 理解が出来ない状態のまま、兵士に問いかける…が
「しらばっくてれも無駄だ!お前たちのような連合の恩恵にあずかりながら、ザフトに賛同するような家畜には、死を!」

 

 死ぬ!?
 俺が?
 こんな、何も知らず…何も出来ないまま…。
 まだ、やるべきことがあるというのに…。
 俺は、俺はまだ死ぬわけには…!

 

『お前を、まだここで死なせるわけにはいかない。思い出せ、自分の存在を…』

 

 それは先ほど撃たれた緑の髪の女…。
 女は、俺の頬に手を触れると、そのまま唇を重ねてくる。

 

 そのとき、俺の頭の中が書き換えられる。
 ただの学生であったこと、何の力も持たないでいたであろうこと…。
 そんな嘘の記憶がすべて、消えていく。
 俺が誰なのか
 俺がどんな存在であり、何を成し遂げようとしていたのか…成し遂げたのか。
 ルルーシュ・ランペルージの記憶の中に眠る、黒き存在。

 

「なぁ、ひとつ教えて欲しい?お前達にとって、俺の命とはなんだ?ここのものたちの命とは…お前は簡単に人の命を奪えるほどの存在なのか?」

 

「命?お前達の命は連合があるからこそ、存在する。そう、お前達は連合にとっての歯車でしかない!」
 連合軍の兵士は、俺の言葉を聞き、笑いながら答える。
「なるほど……。ならば、俺がお前達に教えてやろう。お前達の存在の意味、そしてたった一つの事実を…」
 そう、俺は……。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる、お前達は……死ね」
「あ…あぁ、い、イエス・ユア・ハイネス!」
 俺は、今…思い出した。 
 人を超える力…絶対遵守の力を持つギアスの所有者であり。
 そして、ブリタニアを倒し、葬り去った世界を構築した存在。
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、ゼロという存在であるということを。

 
 

 ベルリン攻防戦。
 このときはまだ…たったひとりの異邦者により世界が大きく変化することを誰も知ることはなかった。
 ザフト・連合・アークエンジェル、それらすべてが『ゼロ』により巻き込まれることになるとは…。

 
 

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