code geass-destiny第15話

Last-modified: 2010-02-12 (金) 08:10:00
 

コードギアスDESTINY
第15話 黒の騎士団 VS 歌姫の騎士団~チェック・メイト~

 
 

「敵機MS部隊前面から攻め込んできます」
「ハドロン砲を発射…ゼロたちの、華麗な花道をつくってあげましょ~?」

 

 ラクシャータは相変わらず寝そべりながら、指示を行っていく。
 敵の雑魚MSなどは数ではない、問題なのは敵の中枢である。
 向こうも狙いは同じだろう。ならば…ぶつけ合わせるのが一番。
 後は…機体とパイロットの技量。
 それまでの戦闘はなるべく控えるべきだ。
 ラクシャータの指示通り強力な主砲が放たれる。
 強力な、赤黒い光が放たれ、前方の敵MSを光にと変えていく。

 

『ゼロ、花道は作ってあげたわ…後は貴方達の力次第ね。機体では負けてるつもりは無いもの…』
「わかっている、ローズクォーツは、そのまま作戦通り続行。メサイアに対しても攻撃はかけ続けろ。くれぐれもジェネシスには気をつけてな」
『了解…』
「各機、続け!」

 

 ラクシャータの指示の中、放たれたハドロン砲により開かれた道を突破していくゼロたち。
 だが、ゼロのレーダーにはいる、巨大な戦艦並の大きさを持ちながら、かなりの速度でやってくるものがあった。

 

「なんだ、こいつは…」

 

『これ以上はいかせない!!』

 

 目の前に現れる白き巨大な機体…キラ・ヤマトが操るストライクフリーダム・ミーティア。
 巨大なビームサーベルでその場にある、周りのもの全てをなぎ払う。
 その一機だけではない。
 頭上から強力な光が降り注ぐインフィニットジャスティス・ミーティア…アスラン・ザラである。
 黒耀の絶対守護領域でなんとか防ぐが…、ラクスたちの戦力も相当のものとなっているようだ。
 騎士団のMSが次々と爆発する。

 

『ゼロ、こいつらは俺たちが相手をする、お前たちはメサイアにいけ!』

 

 シンの搭乗するコードギアス・デスティニーは驚異的な速度で、ストライクフリーダムを翻弄しながら、通信を送る。

 

『…シンだけでは、厳しいだろう。アスランはこちらが引き受ける』

 

 レイ・ザ・バレルからの通信。

 

『…負けたら承知しないわよ? C.C.、カレン、ステラ…』

 

 ルナマリアも目の前に迫る、アスランの操るミーティアの巨大なビームサーベルをなんとか交わしながら、ビームライフルを撃ち込む。

 

「すまない。死ぬな!」

 

 ゼロは、黒耀とともにカレンとステラをつれて、メサイアに向けて前進する。

 

『待て!ラクスのところには!!』

 

 それを追おうとするキラのミーティアの巨大なサーベル部分をコードギアス・ディスティニーの手が掴む。

 

「お前の相手は…俺だぁああああ!!」

 

 輻射波動が発動し、掴んでいた部分から、ミーティアの機体をボコボコと内部から破壊していく。
 キラは、舌打ちをしながら、ミーティアから脱出し、ストライクフリーダムとして、姿を現す。
 シンは新たな刀、真・呂号乙型特斬刀を握り締め、ストライクフリーダムを睨む。
 今度こそ…こいつを倒す。今までの苦渋を、ここで全て吐き出すんだ。

 

『君じゃ…僕には勝てないよ。僕には、ラクスがついているんだ。君のような復讐心や、個人的な感情を持った人間じゃ…勝てないよ』

 

 ストライクフリーダムはレジェンドと同じくビット兵器であるドラグーンシステムを放つ。

 

「平和といいながら、戦いを巻き起こす人間を俺は、信用しない!!」

 

 腕を前に向け、機体を包むよう輻射波動が発射し、攻撃を仕掛けようとしたドラグーンを破壊する。
 それを見ながらサーベルを抜き、突撃してくるキラ。
 それを受け止めるシン。

 

『ラクスは、今泣いているんだ!この世界を守るために…誰がここまでできる!』
「頼んだ覚えはない!それに、世界の明日は誰か1人が決めるものじゃない。みんなで決めるものだ!!」
「はああああああ!!」
『おおおおおお!!』

 

 シンとキラが同時にSEEDを覚醒させ、ストライク・フリーダムとコードギアス・ディスティニーの二体が、真・呂号乙型特斬刀とストライクフリーダムのサーベルで激しくぶつかり合う。
 だが、コードギアス・ディスティニーは、動きを止めるわけには行かない。
 動きを止めてしまっては、ストライクフリーダムのドラグーンの餌食となるからだ。

 

「あんたのせいで、たくさんの人間が死んだ!死ななくてもいい人間まで、あんたは、それをわかっているのか!!」
『戦争が起これば人は死ぬ。今もたくさんの人が死んでいる。だから、もう戦争は止めなくちゃいけない!ラクスはそういっているんだ』
「戦いを起こす奴が、拡大させる奴が、平和を言って、誰が信じるんだぁあああ!!」

 

 シンの力強く振り払った真・呂号乙型特斬刀がストライクフリーダムのサーベルを持つ手首ごと切り捨てる。
 ストラクフリーダムは、下がりながら、ビームライフルやドラグーンで応戦するが、シンの勢いは止まらない。

 

「俺は、あんたを、あんた達をとめてみせる!!!」

 

―――

 

『ラクスのいう平和をなぜわかろうとしない!レイ、ルナマリア…、彼女の話を聞けば、この地獄のような世界から抜け出せる。
 誰もがラクスを見ることで、世界は救われるんだ!』

 

 アスランの操る、巨大な機体、ミーティアのMSを数機纏めて切り裂くことが可能なサーベルを交わしながら、
 ドラグーンを飛ばすレイ。

 

「見そこないましたよ、アスラン。あなたが…そこまで狂信的な人間だったとは」
「アスラン、あなたが望んだ世界はこれなんですか!?」

 

 ルナマリアは絶叫して、その巨体のミーティアの周りを動き回って翻弄する。
 レイはビームジャベリンで、ミーティアの腕のサーベルを切り落とす。

 

『お前達もくればわかる!ラクスの言っていることの偉大さが!!』
「少なくとも、ギルには理想があった。人々を納得することができる根拠があった。
 だが、アスラン!あなたのはただ人に頼っただけの、なんの策も案もない。そんなことで世界が変われるはずがない!」

 

 撃ち込まれるドラグーン…ミーティアは爆発し、アスランはミーティアを解除。
 インフィニットジャスティスとして姿を現す。ルナマリアとレイが同時に切りかかるが、その双方の攻撃をサーベルで防ぎきるアスラン。
 アスランのSEEDが覚醒する。

 

「くっ!」
「…やってくれる」

 

 考えはともかく、アスランの力はやはり侮れるものではない…。

 

―――

 

 ゼロとその補佐を勤めるカレンとステラは周りのMSを次々と撃破しながらメサイアに突き進む。

 

「高威力のエネルギー!?真下か!」

 

 C.C.はそれを避ける。
 そこに現れるのは黄金の機体アカツキと、こちらから奪取したG・サードオニキスである。

 

『ゼロ、ここでお前の首をもらう!』
「オーブに引きこもっていればいいものを、カガリ・ユラ・アスハ!」
『俺もいることを忘れないでもらおうか…』
「まさか…ネオ?」

 

 ネオ・ロアノーク…今はムウ・ラ・フラガとしての記憶を取り戻している。
 ステラは、かつて知った仲間…そして自分が心の支えとしていたものとの闘うことを戸惑う。

 

『…生きていたのか、ステラ。お前はそこにいて良い人間じゃない。俺と一緒に』

 

 ステラは、目の前に迫るムウを見て、躊躇する。

 

『ステラ!!』

 

 カレンが怒鳴る中、カレンの動きを封じようとライフルを撃ち込むカガリのアカツキ。
 動きを封じられる中、ステラは前にいるネオとは違うものの意志を感じ取った。
 それはネオとは違うものの存在。

 

「違う、お前は私の知るネオじゃない!!」
『…俺と戦うって言うのか?』
「……私は、カレンやシンを守る!!そう決めたんだ。もう…私は連合のステラじゃない!!」

 

 呂号乙型特斬刀で切りかかるステラのサーベルで受け止めるムウ。
 ステラは、動きを封じたムウに対して輻射波動を向ける。

 

「私は、私はぁあああああ!!」

 

 輻射波動が作動し、ムウのアカツキを吹き飛ばす。
 アカツキの機体の外部装甲が沸騰したようにボコボコとなっている。

 

「……ルルーシュ、ここは私とカレンで抑えるから」
「あんたは、さっさとあの要塞にいるものを取り押さえてきなさい!」

 

 カレンとステラの言葉にルルーシュは頷き、黒耀はメサイアに直進する。

 

『邪魔をするな。お前達はみんな、間違っている!ラクスのいっていることが、一番なんだ!
 ほかの事など考えても仕方が無いだろう』

 

 カガリの操るG・サードオニキスの強力なハドロン砲が打ち込まれるが、カレンはそれを避ける。

 

「国の元首が、人頼りなんて…、これもルルーシュのいっていたギアスの影響なのかしら。
 だとしたら、あなた…ほんと道化ね」
『お前達を倒す!それがラクスの言う、世界の安定に繋がる!』

 

 速度でカレンを翻弄するサードオニキスは、カレンがついてこれないのを確認するとMS形態に変形して、
 背後に回りこみサーベルを振り上げる。

 

『これで終わりだあああああ!!』

 

 カガリの渾身の一撃は、伸びた紅蓮暁式の手により顔を捕らえられ、防がれる。
 頭部を掴まれた事により視界が塞がれ、身動きが取れないカガリ。

 

『な、なにを…』
「…そんなにラクスが好きなら、今のこの状況を懇願することね」
『くっ!!私は、私はオーブの代表だぞ!こんなことをして…』
「聞き飽きたわ。カガリ・ユラ・アスハ」

 

 カレンが輻射波動のスイッチを押す。
 頭部からみるみる、機体の内部が破壊されていく。

 

『う、うわああああああ!!!』

 

 コクピットの内部の機械もショートを起こし、爆発が起こる。
 カガリの悲鳴が轟く中で、カレンは腕を離す。
 完全に機体の動きを封じられたカガリに、もはや戦闘能力はない。
 カレンは、戦っているステラをバックアップするためにその場を後にした。
 気を失ったカガリは、その無意識下で、アスランと共にオーブを守る夢を見ながら、宇宙を漂う。

 

―――

 

 サーベルのぶつかり合いが続く中でステラはネオとの戦いを続けていた。
 ムウは、目の前の相手がステラであることに動揺していた。
 彼女が生きていたこと、彼女が自分の支えをなしにも、立派に成長していることに…。
 ステラはかつての自分から脱却を図りながら懸命に生きようとしている。

 

「はああああああ!!」

 

 彼女の力は、破壊ではなく創生に向かっている。
 デストロイにのっていたときとは大違いだ。
 そんな彼女の力を持ってして…自分が奪う権利が果たしてあるのだろうか。
 戦いに駆り立て、シンの約束も守らず、今なお、この少女の未来を再び奪おうというのか。
 自分にも守りたい者達がいる。そう…マリュー。
 記憶を失い、なお自分のことを守ってくれようとした彼女。
 そんな彼女もまた自分にとってはかけがえのないものなのだ。

 

《フラガ少佐、戦ってください。戦って勝ち、私の元にきてください》

 

 なぜだ、頭痛とともにラクス・クラインのことが頭に浮かぶ。
 彼女の声が姿が脳裏に焼きついている。
 一体なにがどうなっているんだ。

 

『ステラ、なぜだ?なぜ、お前は、そこまで成長できた…』

 

 ステラの力強いサーベルを受け止めながらムウは問いかける。
 ステラは間もおかず

 

「私の記憶に残る人たちのために、私は戦う!!誰も、誰も忘れない!」

 

 なるほど…、そりゃー敵わないわな。
 アカツキの腕がステラにより、吹き飛ばされる。
 バランスを失ったアカツキに対して、ステラは輻射波動を放つ。
 アカツキの機体があちこち、爆発する中…ステラは、その場から離脱する。

 

「…さようなら、ネオ」

 

―――

 

 一方、メサイアにとりつき、ハドロン砲を放ち、内部に入ったルルーシュとC.C.の乗る黒耀に迫るもの…。
 それはイザーク・ジュールの操る白いグフ・イグナイデットとディアッカ・エルスマンのザク・ウォーリアである。
 強力な狙撃をしてきたザクの攻撃を避けたところ、グフのムチに掴まれる。

 

「しまっ!!」

 

 強力な電流が、機体に流れ込む。

 

「うぅっっ!!」
「あああああああ!!」

 

 さすがのラクシャータの機体といえど、これは予想外の攻撃だ。
 C.C.は電流が全身を走り、激痛が走る中、痛みに堪えて、ハドロン砲を撃ち込む。
 この状態で攻撃をされると思っていなかったグフには直撃。
 下半身をまるごと持っていく。

 

「イザーク!!」

 

 そういうディアッカもまた、電流攻撃を振り払った黒耀のハドロン砲により首を吹き飛ばされた。
 なんとか耐えたが…。
 この状態での伏兵による攻撃。
 電流攻撃に立っては内部の機械がかなり焼かれてしまっている。

 

「ここまでが限界か。だが、この後はラクス・クラインのみだ。あいつがいる場所が分かるか?C.C.」

 

 C.C,はメサイアの内部構造を確認しながら、司令部である場所を見つけ出す。

 

「おそらく、そこにラクス・クラインがいる。後は足で探すことになるな」
「奴も、俺たちを待っているだろう」

 

 2人は黒耀を降り、ラクスのいる場所にと向かう。

 

―――

 

 メサイアの天井が高く、広い空間の司令部にいるラクスは、戦況を見つめていた。
 先ほどムウ・ラ・フラガ、カガリ・ユラ・アスハの信号が途絶えたことを知ったことで、
 どうやら戦況はあまり芳しくはないようであるということだけは感じていたが、
 ラクスにとってはもはや、そんなことはどうでもいい。
 兵士が死ねば新たに補充すればいい。人間は腐るほどいるのだ。
 増えすぎた人口を淘汰するには戦争は、最適の人口抑制装置と…ラクスは考えていた。
 鼻歌を歌いながら、その戦いの姿をまるでショーのように眺めていた。

 

「静かな~この夜に~あなたを、ま~ている…♪」

 

 ネオ・ジェネシスの次の標的である地球に向けての発射はもう少しである。
 それまでの余興である戦争なのだ。
 いかなるものも、このギアスにより思いのまま、人間を容易く扱える力。怖いものなど何も無い。
 気分も高らかにうたい続けるラクスの前に通信がはいる。
 それはエターナルのバルドフェルドである。

 

『ら、ラクス様!敵の猛攻が強く、これ以上、エターナルは持ちません!』
「ならば、特攻をかけて一人でも多くのものを道連れにしなさい。
 今が全てをかけるときなのです。これ以上の後退はありませんわ」
『で、ですが…』
「私の言葉が聞こえなかったのですか?」
『わかりまし……』

 

 通信が途切れる。
 まったくもって使えないものたち。
 結局、そこまでということなのですね。
 そのとき、後方の扉が開き、誰かが入ってくる。

 

「これでチェックだ!ラクス・クライン…」

 

 銃を持ち、現れるゼロの仮面を被ったルルーシュとそしてC.C.
 ラクスは、その言葉に振り返る。目を赤くギアスが輝いている。
 ルルーシュとC.C.は目をそらす。
 ラクスは微笑みながら二人を見つめる。

 

「ようこそ、私の場所へ…ゼロ。待っていましたわ」

 

 まるで全てを嘲笑うかのような表情のラクスを前にし、ルルーシュとC.C.は黒く禍々しいものを感じていた。

 
 

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