身近な食用作物/むぎ類

Last-modified: 2022-04-24 (日) 17:19:18
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(画像はそれぞれこむぎ、おおむぎ、ライむぎ、えんばく)

イネ科の一年草であるむぎ類は、我々人類の歴史と切り離すことができないほど古くからの関係があります。
たとえば「こむぎ」(Triticum aestivum)は新石器時代から栽培されており、「いね」や「とうもろこし」とともに世界の3大穀物といわれる重要な作物です。わが国へは奈良時代に渡来しました。今ではパンや菓子のほかにうどんや味噌、麩などにも用いられていますが、自給率は10パーセント未満です。
「おおむぎ」(Hordeum vulgare)は「こむぎ」にに次ぐ栽培量の多さを誇り、日本には3世紀頃(弥生時代)に朝鮮半島から伝わったとされます。種子が熟さないうちに鳥に食べられるのを防ぐ「のぎ」と呼ばれる部分がないのを「坊主麦」、果実が6列あるのを「六条大麦」、2列のものを「二条大麦」といいます。
よく種実を加熱した後、やや潰してから干す「押し麦」に加工され、ビールの原料になるビールムギは二条大麦の系統に入ります。
また、種子を発芽させた大麦若葉は健康食材として栄養ドリンクや茶に加工されます。
「ライむぎ」(Secale cereale)は小アジアおよびその周辺部が原産です。中世の時代から、中部ヨーロッパや東ヨーロッパで広く栽培されてきています。高さは1.5メートルになります。穀物は粉にしてライ麦パンにしたり、ウイスキーやウォッカの原料、それに家畜の飼料などに利用されます。別名で「くろむぎ(黒麦)」とも呼ばれます。
「えんばく」(Avena sativa)はユーラシア大陸が原産です。歴史は麦類の中でも存外に古く、有史以前から栽培されていました。高さは1メートルほどになります。茎や葉、種子などを家畜の飼料とするほか、種子はオートミール(牛乳でお粥のように煮て食べる食品。日本では比較的新しいが、スーパーマーケットで最近は簡単に購入できる)やアルコールの原料として食用にされます。また、新芽を猫が食べる習性があるため、室内で飼われている猫や犬が食べる「猫草」としても販売されています。
ペットショップや園芸通販で簡単に種子を買うことができます。

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