どうして私が美術科に!?

Last-modified: 2021-03-06 (土) 12:18:21

どうして私が美術科に!?(英:Did I enter the art course!?)とは、相崎うたうによる漫画作品である。まんがタイムきららMAXにて、2016年5月号から2019年3月号まで掲載された。全3巻。

あらすじ

願書の出し間違いで、高校の普通科ではなく美術科に入学してしまった、主人公酒井桃音。連日居残りの桃音だが、竹内黄奈子ら個性的な居残り仲間と賑やかな毎日を過ごす。

概要

美術科を舞台とした日常系作品である。掲載誌のまんがタイムきらら系列は、「ひだまりスケッチ」「GA芸術科アートデザインクラス?」など美術を題材とした作品が多い激戦区だが、本作は主人公が美術初心者ということもあって、専門用語などはあまり登場せず、美術に詳しくなくとも読みやすい作品となっている。少女らの日常を描いた日常系作品ではあるが、のんびりと日常を過ごす場面は意外と少なく、課題に追われて居残りをしていることが多い。このことから軽快でコミカルな展開となっている。一方で登場人物らの葛藤や悩みを描いたシリアス回にも定評がある。
作者の相崎うたう先生にとっては初めての連載作品で、全3巻で完結してしまったが、美麗な作画や作り込まれた人物設定、無駄がなくテンポの良い展開などが高く評価されている。連載終了後も、まんがタイムきららキャラット200号記念冊子にイラストが掲載された。

登場人物

ネタバレ注意
登場人物の名字は過去の画家からとられている。また、名前の頭文字は色を表す漢字となっていて、それが各々のイメージカラーや髪の色となっている。

  • 酒井桃音(さかい ももね)
    間違えて美術科(7組)に入ってしまった主人公。空き教室「美術X室」で一人居残りしていたところで黄奈子らと出会う。仲間思いでまっすぐな性格だが、やや天然でおっちょこちょい。黄奈子からは重く愛されている何かと気にかけられているが、気付く様子がないなど鈍感。制帽と、花形のバレッタ(いつも上から赤(大)、緑(中)、黄(小)の順につけている)*1がトレードマーク。美術に関しては全くの初心者だが、センスがない訳ではないようだ。但し絵柄がメルヘンになってしまう癖がある。一方で勉強はできる上、教えるのも上手く、美術以外の成績は良い。心配性なところがあるが、根は意外と楽天的で、他のキャラクターと比べてシリアス分が薄い。最初期は百合っぽい描写があったが、特にそういう好みはないようだ。蒼からは「ちゃんもも」、翠玉からは「ももちゃん(稀にちゃんもも)」と呼ばれている。基本的に敬語で話す。家はさくらんぼ農家。
    名字は江戸時代の画家、酒井法一(さかいほういつ)から。イメージカラーは桃色
  • 竹内黄奈子(たけうち きなこ)
    いつも眠たげな桃音のクラスメイト。目付きが悪く、普段は寡黙なため友達が少ない。授業中もよく机に突っ伏して寝ているため、居残りが多く成績も良くない。ちなみにいつも眠たげなのは深夜までゲームをしているため。面倒くさがりで、美術に対してもあまり情熱がなかったが、桃音たちとの出合いで変わっていく。桃音のことを嫁扱いかなり気に入っていて、桃音が関わると非常に表情豊かになる。朱花に対しては当初本気で嫉妬していた。蒼や紫苑とはテンションの差が激しく、ノリがずれる。とはいえ仲が悪い訳ではなく、蒼からは「きなこっこ」とあだ名で呼ばれている。翠玉の中学での後輩で、よく翠玉のことをいじっている。家が広く自分のアトリエまであるが、親は画商の仕事で忙しく滅多に帰ってこない。フクロウの「サモ助」を飼っている。母親のキャラが濃い。
    名字は戦前の画家、竹内栖鳳(たけうちせいほう)から。イメージカラーは黄色*2
  • 河鍋蒼(かわなべ あおい)
    桃音たちの隣のクラス、8組の生徒で、いつも元気で活発。ショートカットの髪に黄色のヘアピン×2がトレードマーク。テンションが高く、翠玉と一緒になると特に騒がしい。また台詞は他と比べ、長音やひらがなの割合が高い。ただ空気は読める方で、稀に冷静にツッコむこともある。授業中もふざけてばかりで毎回居残る羽目になっているが、実際には美術センスは高く、美術の成績は良い。ただし美術以外はさっぱり。紫苑とは夫婦小学校からの幼なじみで、中学は離れたものの高校で再会した。基本的にボケる側だが、紫苑が暴走すると役割が逆転してブレーキ役となる。登場人物では唯一の自転車通学で、学校へはスニーカーを履いてきている(他は全員ローファー)。生まれ育った地元を愛していて、実際に学校周辺の地理に明るい。左手に謎の腕輪らしきもの(細目に描かれているため、ミサンガという説がある)をほぼ欠かさず付けている*3が、実際これが何だったのかは不明。
    名字は幕末~明治に活躍した画家、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)から。イメージカラーは
  • 浦上紫苑(うらかみ しおん)
    蒼と同じ8組の生徒で、京都出身。小学校時代は藤納戸で過ごしたが、中学で京都に戻り、高校で再び藤納戸へやってきた。そのため京都弁で話す。泣きぼくろとパッツンの前髪がチャームポイント。普段はツッコミ役で成績も悪くないのだが、行動や言動がズレていることがあり、作中屈指の迷言製造機。また熱狂的な美術オタクで、ひと度スイッチが入ると暴走してしまうが、それに付き合えるのは蒼くらいである。現代アートじみた作品が得意で、画家「K.Suzuno」のファンを公言している。蒼とは前述の通り幼なじみで、二人でお泊まり会をする仲。意外と嫉妬深い一面があり、ああ見えて美術の成績が良い蒼にも、心の底では嫉妬してしまい、自己嫌悪に陥りかけていたのだが…。ちなみに翠玉のことは尊敬しているらしい。
    名字は江戸時代の画家、浦上玉堂(うらかみぎょくどう)から。イメージカラーは
  • 菱川翠玉(ひしかわ すいぎょく)
    桃音らと同じ7組の生徒。黄緑色の猫耳フード付きパーカーに白黒ボーダーのニーソというどう見ても校則違反の格好で、自らを「妖精すいにゃん」と自称している。一人称は「すい」で、よく語尾に「にゃ」「だお」を付けるが、これは「妖精」を演じているためであり、稀に素に戻ることがある。留年したため、桃音たちと同学年ながら年齢は一つ上で、桃音たちからは「すいにゃん先輩」と呼ばれている。性格はかなりフリーダムで、天の邪鬼なところもあるが、年上ということもあってかツッコミ役に回る時もある。一方で、そんな自分に嫌気が指して殻に閉じこもってしまう(特に初期は、美術X室の巨大ダルマの中によく入っていた)一面もある。漫画家を目指し、漫画をよく描いている。そのため萌え絵が得意だが、周りには漫画を描いていることは隠していた。黄奈子の中学での先輩で、お互い軽口を叩き合う仲だが、心の中では大切に思っている。実は理事長の娘。
    名字は浮世絵の巨匠、菱川師宣から。イメージカラーは*4
  • 鈴木朱花(すずき しゅか)
    普通科1組の生徒。桃音の中学時代の友人だが、桃音は入学当初同じ高校に通っていることを知らなかった。親が厳しく、その期待に応えるために努力している優等生。蒼からは「しゅかんぬ」と呼ばれている。初対面の人にもグイグイいく天然たらしで、蒼には「人を惑わすなんかが出てる」と評された。その威力は桃音以外の4人を完全に堕としてしまう程だが、本人には全く自覚がないらしい。桃音のことは妹分のような扱いで、そのため黄奈子には嫉妬を通り越して警戒されていた。本当は美術科に入りたかったようで、密かに桃音を羨んでいた。進級を前に、桃音に普通科への転科を持ち掛けるが…。
    名字の由来は、浮世絵師の鈴木春信(すずきはるのぶ)と思われる。*5イメージカラーは*6
  • 岡本玄恵(おかもと くろえ)
    7組の担任。黒髪で常にジャージと、やや男っぽい雰囲気だが、その実かなりの小心者で、当直の校舎見回りですら怖がっていた。生徒からは「くろえちゃん」と呼ばれ慕われているが、本人は学級崩壊を常に危惧していて、度々集団で押し掛けてくる桃音たちにはビビっている手を焼いている。ただし生徒に対してはいつも真剣に接しているため名言が多く、桃音たちの考え方や行動に大きな影響を与えた。白雪先生とは大学の同期。可愛いイラストは苦手らしい。
    名字の由来は、岡本姓の画家が多いため不明。有力候補は江戸時代の画家岡本豊彦(おかもととよひこ)か。*7イメージカラーは
  • 高村白雪(たかむら しらゆき)
    8組の担任。「オホホホホ~」と笑ったり、常にお嬢様口調だったりとやたらエレガント。玄恵とは真逆に、やたら飾りのついた派手なものを好む。校内では「アートの権化」として知られているらしく、創作意欲が湧くとあの紫苑も慄くほどの勢いですっとんでいってしまう。とはいえ教師としてしっかり生徒を導いており、名言や名シーンもそれなりに多い。玄恵とは大学時代からの付き合いらしく、いじったりプレゼントをあげたり携帯の待ち受けにしたりと仲が良い。生徒からは「白雪先生」と呼ばれている。
    名字は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家高村右暁(たかむらゆうきょう)、もしくは彫刻家としても有名な高村光太郎(たかむらこうたろう)ではないかと思われる。イメージカラーは
  • 河鍋すず乃(かわなべ すずの)
    桃音らの通う高校の教師で、2年の担当。目が細く、閉じているように見える糸目キャラ。いつも穏やかな笑顔で冷静な性格。一方で美術に対してはやはり情熱が強く、特にデザイン分野に関する話となると饒舌。蒼の実母だが、家では創作活動で忙しいらしい。
    イメージカラーは錫色。登場人物で唯一、名前に平仮名が入っている。

用語

  • 美術X室
    桃音らがよく居残りに使っている空き教室。実はX室ではない。
  • Xanadu(ザナドゥ)
    桃音ら5人*8のグループ名。名付け親は黄奈子。「桃源郷」という意味がある。
  • 藤納戸市(ふじなんどし)
    桃音らの通う高校がある都市。それなりに栄えているようだが、郊外は自然豊か。舞台は東京都八王子市だといわれている。
  • 高校
    桃音らの通う高校。学校名は不明だが、恐らく私立と思われる。1学年8クラスで、普通科が6クラス、美術科が2クラス。制服がやたら凝っている。学校の構造や授業カリキュラムは作者の相崎先生の出身校がモデル…どころかほぼそのまま。
  • 尊い
    キャラクターの人間関係が素晴らしい時に使うスラング。ファンの間ではこの作品の評価を表す言葉として使われ、単行本の帯の煽り文句にもなった。
  • 鼻みょん
    黄奈子が桃音の鼻を摘まむ行為。二人の親密さが伺える、上記の「尊い」シーンの代表格。

余談

  • 作者の相崎うたう先生は、連載開始当時高校1年であったことから、同じきららMAXの連載作品に準えて「リアルこみっくがーるず」と言われていた。現在は高校を卒業、漫画家に専念している。
  • 2018年に開催されたきらら展(東京)では、きらら作品の作者がサインなどを描くフリースペースに桃音が登場。同じきららMAXの作品である「ぼっち・ざ・ろっく!」「彼女がお兄ちゃんになったらしたい10のこと」のキャラクターとのやりとりを見せた。
  • 同じきららMAXで連載されている「ステラのまほう」の作者、くろば・U先生はこの作品の大ファンで、同人誌を制作したこともある。当作品が終了した際には作者同士の対談が実現したほか、「ステラのまほう」作中に鼻みょんが登場したこともある。
  • 朱花の初登場はなんと最終回の3回前*9。それでも作中に違和感なく溶け込み、さらに主人公桃音のタイトル回収までも一気に進めたことは特筆に値する。

コメント


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Tag: 漫画 まんがタイムきらら


*1 web限定漫画「桃音のバースデー」の扉絵のみ違うものを付けている。
*2 髪は黄土色。
*3 描き忘れらしきシーンも稀にある
*4 髪色は黄色。イメージカラーには黄緑が用いられることも多い。
*5 幕末の画家鈴木鵞湖(すずきがこ)、明治大正期の画家鈴木松年(すずきしょうねん)から採っている可能性もある。
*6 髪色は濃赤。
*7 他の候補には、江戸時代に活躍した画家岡本秋輝(おかもとしゅうき)、昭和を代表する芸術家岡本太郎(おかもとたろう)らがいる。
*8 朱花が含まれるかは不明。
*9 ただし、それ以前から存在には触れられていた。また、最終回は普段よりページ数が多かった