アゼルバイジャン

Last-modified: 2021-12-10 (金) 22:42:14

アゼルバイジャン共和国(アゼルバイジャン語: Azərbaycan Respublikası)は、南コーカサスに位置する共和制国家。西アジアだが、東ヨーロッパに含められることもある。

アゼルバイジャン共和国
国旗
基本情報
公用語アゼルバイジャン語
首都バクー
最大の都市バクー
面積86,600km2(113位)
人口9,872,765人(83位)
通貨アゼルバイジャン・マナト
(AZM)

概要

コーサカス地方にある旧ソ連構成国の一角。近代以降は石油の一大産出地として栄えてきた。
国名「アゼルバイジャン」の語源は、はっきりしておらず、アケメネス朝ペルシアのメディア総督のアトロパテスに由来する説と、ペルシャ語で火を意味する「Azar」と土地を意味する単語に由来する説がある。なお、上部の写真の建物「フレイム・タワーズ」は火を象徴としている。
アルメニアをまたいで西南方に飛地のナヒチェヴァン自治共和国があり、アルメニア人が多数居住する西部のナゴルノ・カラバフ地方は、事実上独立した状態となっている(後述の紛争を参照)。

歴史

紀元前後には、アゼルバイジャン人の祖先と見られるアルバニア人の国家(カフカス・アルバニア王国)が作られていた。
7世紀にアラブの支配下に入ったのちも住民はゾロアスター教徒が多く、シーア派の信徒たちも含めてイスラム教への改宗は緩やかだったようである。

セルジューク朝の時代(11~12世紀)にオグズ・テュルク系遊牧民が進出してテュルク化・イスラム化が進んだ。
17世紀にこの地方を拠点にサファヴィー朝が起こり、カスピ海南西岸地域一帯の多くのテュルクメン系の人々がシーア派へ改宗した結果、アゼルバイジャン人(アゼリー人)と呼ばれる民族が形成されていった。

1804年に始まった第一次ロシア・ペルシア戦争でアゼルバイジャンの大部分がロシア帝国領に編入された。また、1826年に始まった第二次ロシア・ペルシア戦争で、ガージャール朝ペルシアのアラス川北岸地域もロシア帝国に割譲された。

やがてロシアの統治下でアゼリー人の民族意識が高まった。
1918年、この地域のアゼリー人民族主義者たちは十月革命後の混乱を縫ってアゼルバイジャン民主共和国を打ち立てることに成功した。
だがイギリス軍によって占領され、これに反応した赤軍がバクーに侵攻、☭ソビエト政権が成立した。☭
1922年末、ザカフカース社会主義連邦ソビエト共和国の一部となり、同連邦の解体にともない1936年よりアゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国として直接にソビエト連邦を構成する共和国の一つになった。

その後はソ連の一部として歩んだが、1980年代後半からのソ連解体の機運の高まりに乗り、1991年12月25日に再独立。現在のアゼルバイジャン共和国が成立した。

略史

・紀元前6~4世紀
カフカース・アルバニア王国
・3~7世紀
サーサーン朝ペルシアの支配
・7~10世紀
アラブの支配
・11世紀~
トルコ系諸民族の大量流入
・11~13世紀
セルジューク朝諸政権の支配
・13世紀
モンゴル帝国に編入,イル・ハーン朝の支配
・13~15世紀
テュルク化の進行
・16世紀
サファヴィー朝の支配下に入り,シーア派を受容
・16~19世紀
イランのサファヴィー朝,ガージャール朝による支配
・1813年~1828年
ロシア・イラン戦争の結果,ゴレスターン条約とトルコマンチャーイ条約により北アゼルバイジャンがロシアに併合
・1918年5月
アゼルバイジャン人民共和国独立宣言
・1920年4月
バクーにソビエト政権樹立,アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国成立
・1922年
ジョージア・アルメニアと共にザカフカス社会主義連邦ソビエト共和国を形成,ソ連邦結成に参加
・1936年
アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国として連邦に加盟
・1988年2月
同共和国内のナゴルノ・カラバフ自治州においてアルメニアへの帰属替えを求めるアルメニア人の運動が高揚。スムガイト事件が発生。
・1989年10月5日
共和国主権宣言
・1990年1月
バクー事件(ソ連邦中央によりバクーを軍事制圧)
・1991年2月5日
「アゼルバイジャン共和国」に国名変更
・1991年8月30日
共和国独立宣言
・1993年10月
ヘイダル・アリエフ大統領就任
・1994年5月
アルメニアとナゴルノ・カラバフ紛争に関し,停戦協定締結
・2003年10月
イルハム・アリエフ大統領就任

地理

地形

カスピ海西岸に位置する。
ロシアとイランの狭間にあり、かつてはオスマン帝国も加えて勢力争いが繰り広げられた。

国土は起伏に富み、それほど広くない領土の中に大コーサカス山脈の険しい山々と農業に適した平野部の両方が存在する。

気候

平野地帯では、南東部は亜熱帯湿潤気候であり、中央部と東部は亜熱帯乾燥気候である。
山岳地帯は全体的に寒冷。

政治

共和制である。
大統領は直接選挙で選出され、任期は5年。一院制の国民議会を持つ。
政府閣僚は大統領が任命する等、大統領の権力は強い。

大統領は独立以来長くヘイダル・アリエフ氏が努めて半独裁的な強権政治を敷いたが、2003年に引退。現在の大統領は長男のイルハム・アリエフ氏である。

紛争

ナゴルノ・カラバフ地方ではアルメニア人の人口が多く、同地域のアルメニアへの帰属変更を掲げたことでアゼルバイジャンと分裂状態となり、ソビエト解体から1994年に停戦合意をするまで紛争地域となっていた。
停戦合意後も2014年に衝突が起き不安定な状態を抱えていたが、2016年4月2日、ナゴルノ・カラバフ自治州でアゼルバイジャンとアルメニア軍による軍事衝突が発生している。戦闘は翌3日も続き、双方で兵士が死亡している。この戦闘でアゼルバイジャンは初めて勝利し「八つの丘を含む200ヘクタール」を奪還した。

経済

国内には、旧ソ連屈指の大油田であるバクー油田など豊富な天然資源があり、ソ連崩壊やアルメニアとの紛争で落ち込んだ経済を支えている。(石油が)だいぶ溜まってんじゃんアゼルバイジャン
天然資源の存在は第二次世界大戦やチェチェン問題とアゼルバイジャンの関係とも大きく関係しており、良くも悪くも同国の命運を左右してきた。
2006年にはアゼルバイジャンの首都バクー、ジョージアのトビリシ、トルコのジェイハンを結ぶBTCパイプラインが開通した。同パイプラインはBPなどの日欧米企業が出資、輸送能力日量100万バレルの原油パイプラインである。
これはロシアに対抗する欧州向け原油輸出パイプラインとして期待され、加えてカザフスタン原油の輸出も計画されている。
またカスピ海では油田のほかにガス田も生産を始めている。
独立前後のアルメニアとの戦争や度重なる政変により,同国経済は疲弊したが,カスピ海への投資ブームを背景に1990年代半ばから好転し,10%前後の高成長が継続した。
2006年の経済成長率は脅威の30%以上。しかしその後は,世界的な景気後退の影響や油価の下落などにより伸び率を鈍化させている。
同国経済の牽引役であるカスピ海のACG(アゼル・チラグ・グナシリ)油田(日本企業の権益:12.96%)から採掘される原油はBTC(バクー・トビリシ・ジェイハン)パイプライン(日本企業の権益:5.9%)を通じて地中海に送油され,石油タンカー等により欧州各国に輸出されている。
2006年末からカスピ海のシャフ・デニズ鉱区の天然ガスの生産が開始され,現在,BTE(バクー,トビリシ,エルズルム)パイプライン等を通じて輸出されている。

主要産業

石油・天然ガス,石油製品,鉄鉱等

GDP

454億ドル(2018年:IMF推計値)

一人当たりGDP

4,569ドル(2018年:IMF推計値)

経済(実質GDP)成長率

1.4%(2018年:IMF推計値)

物価上昇率

2.3%(2018年:IMF推計値)

失業率

5.0%(2018年:IMF推計値)

貿易額

(1)輸出 138.12億米ドル
(2)輸入 87.82億米ドル
(2017年:CIS統計委員会)

主要貿易品

(1)輸出 石油及び同製品,天然ガス,青果,綿花
(2)輸入 自動車,医薬品,小麦,たばこ
(2018年:アゼルバイジャン国家統計委員会)

主要貿易相手国

(1)輸出 イタリア,トルコ,イスラエル,チェコ,インド
(2)輸入 ロシア,トルコ,中国,ドイツ,アメリカ
(2018年:アゼルバイジャン国家統計委員会)

通貨

マナト(Manat:1994年1月1日導入)(CIS統計委員会)

為替レート

1ドル=1.70マナト(2019年10月24日現在:アゼルバイジャン中央銀行)

文化

国民

民族

アゼルバイジャン系(91.6%),レズギン系(2.0%),ロシア系(1.3%),アルメニア系(1.3%),タリシュ系(0.3%)
(2009年,アゼルバイジャン共和国国家統計局)

言語

公用語はアゼルバイジャン語(テュルク諸語に属し,トルコ(共和国)語やトルクメン語に近い)

宗教

主としてイスラム教シーア派

食文化

アゼルバイジャンはワインの有名な産地であり、コーカサス有数の上質なワインで知られる。
ロシア国内ではジョージア産のワインはよく見かけるが、アゼルバイジャン産のワインを見つけることはあまりできない。しかし、コストやクオリティなどを考えればロシアで人気のグルジアワインに劣らないだけではなく、フランスワインよりも一部の人々には好まれている。
庶民が好んで飲むイワノフカは低価格で飲みやすくおいしいとされる。また世界遺産に登録されている乙女の塔の名をとったワインもある。

関連種目

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