タマゴテングタケ

Last-modified: 2021-12-02 (木) 18:21:13

タマゴテングタケ(卵天狗茸、Amanita phalloides)は担子菌門ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコで、猛毒菌として知られている。

概要

夏から秋、主にブナやミズナラなどの広葉樹林に生える。傘はオリーブ色あるいは汚れたような黄色。条線はない。柄は白色でつばがある。ひだは白色。ひだに濃硫酸をたらすと淡紅紫色に変色するという、他のキノコには見られない特徴があり、このキノコの判別に用いられる。
ヨーロッパには多く自生しており、death cap(意味:死の傘)と呼ばれ、よく知られた毒キノコの一つである。またニュージーランドにおいても多発する。日本では北海道で発見されることがあるが、本州以南の地域では見つかることは稀である。

毒性

本種はドクツルタケやシロタマゴテングタケとともに「猛毒キノコ御三家」などと呼ばれているほどの猛毒種である。中毒症状はドクツルタケやシロタマゴテングタケ同様、2段階に分けて起こる。まず食後24時間程度でコレラの様な激しい嘔吐・下痢・腹痛が起こる。その後、小康状態となり、回復したかに見える*1が、その数日後、肝臓と腎臓等内臓の細胞が破壊され劇症肝炎様症状を呈し高確率で死に至る

古くから知られている毒キノコであるため、その毒素成分(キノコ毒)の研究も進んでおり、アマトキシン類、ファロトキシン類、ビロトキシン類などがその毒素であることが明らかにされている。これらは8つのアミノ酸が環状になった環状ペプチドであり、タマゴテングタケの毒性はこのうち主にアマトキシン (amanitatoxin) 類によると考えられている。毒性はα-アマニチン で、マウス (LD50) 0.3mg/kg。

アマニチン (amanitin) は消化管からの吸収が早く、1時間程度で肝細胞に取り込まれる。アマトキシン類はこれらのキノコ毒の中では遅効性で(15時間くらいから作用が現れる)あるが毒性は強く、タマゴテングタケの幼菌1つにヒトの致死量に相当するアマトキシン類が含有されている。アマトキシンは細胞においてDNAからmRNAの転写を阻害する作用を持ち、これによってタンパク質の合成を妨げ、体組織、特に肝臓や腎臓などを形成する個々の細胞そのものを死に至らしめることが、このキノコ毒の毒性につながっている。実際、このキノコで中毒死した患者の臓器を解剖すると毒素により破壊されたことによりスポンジ状になっていることがわかるという。また、他にタマゴテングタケと名のつくキノコにクロタマゴテングタケ、タマゴテングタケモドキ、コタマゴテングタケ、クロコタマゴテングタケなどが存在するがいずれも殆どが有毒でしかも最悪の場合死に至るほどの猛毒である。
タマゴテングタケにはこれら毒成分に対する抗毒活性をもつアンタマニドという成分も同時に含まれており、食中毒を抑えることこそはできないが、これを動物に投与してから毒を与えても中毒しない
タマゴテングタケは「最も有毒なキノコ」としてギネスブックに掲載されている。 また、ローマ教皇のクレメンス7世もこのキノコの犠牲者の1人で、1534年9月25日にタマゴテングタケの中毒で亡くなった。

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*1 この症状は科こそ違えど中毒雲南省に分布するトロギアヴェネナタ(ホウライタケ科)に非常によく似ている