内外植物原色大図鑑

Last-modified: 2020-09-14 (月) 22:04:23

内外植物原色大図鑑とは、博物学者・村越三千男により戦前に発行された植物図鑑である。
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表紙。
全13巻からなり、第1~12巻は植物の解説、第13巻は総覧という構成。

著者・村越三千男について

著者の村越三千男(1872~1948)は植物学者・牧野富太郎と共に
1906(明治39)年に『普通植物図譜』を出版する。その後も牧野の協力により『野外植物の研究』(1907),『植物図鑑』(1908)を出版するが出版先の参文社の社長が死去し、『植物図鑑』の版権が北隆館に移った。このゴタゴタが関係して『植物図鑑』は校閲されないまま出版され、その結果34ページにわたって正誤表が巻末につけられることとなった。また、北隆館が同書を発行する際に東京博物学研究会の村越の名前が消され、牧野の名のみが大々的に取り上げられたことから、牧野と袂を分かつことになってしまった。
以上の出来事により、村越の名はこんにち、ほとんど知られていない。
それ以降は『大植物図鑑』(1925)を発行し、三年後に持ち運びに特化した『集成新植物図鑑』を出版(終戦の三年後に再版された)、さらに五年後に『大植物図鑑』より植物の種類を大幅に増やし、持ち運びに特化した性質はそのままに図版をカラー化した『内外原色植物大図鑑』(1933-35)を出版する。
しかし、険悪になった牧野と村越の関係だが、村越の死去から七年後出版された『内外植物原色大図鑑』を改訂した『植物原色大図鑑』の校訂を牧野が買って出ている。そこでは村越の著書を不器用ながらも褒め称える前書きが書かれている。ここから、牧野と村越の男の友情がうかがえる。

概要

解説は旧仮名遣いで文語調であるが、我々現代人にもあまり読みにくさを感じさせないものとなっている。また、図版も精密で単色刷と多色刷の二種類ある。keio.10811967786-seq_37.jpgkeio.10811967786-seq_33.jpgkeio.10811967786-seq_27.jpg
また、当時は植物は花を咲かせるもの(顕花植物)と花を咲かせないもの(隠花植物)の二種類に大きく分けている。隠花植物の中には現在は植物ではなく菌類に含まれるキノコ類や植物に感染する病原菌、いわゆるウイルスである我々人類に作用する病原菌を隠花植物として収録している。当時の植物学と現在の植物学を比較する上で良質な資料である。
また、村越の死去からすでに70年以上経過している(現在の著作権の保護期間は70年)ため本来であれば著作権が切れているが村越の死去の月日(1948年4月としか明らかにされていない)が確定していないため国立国会図書館では第2巻のみ(ただしモノクロ化処理されている)ネット上で閲覧可能である(国立国会図書館を実際に訪れないと全巻の閲覧は不可能)。しかし、著作権の切れた著作物を扱うアメリカの電子図書館サイトのハーティトラストでは全巻公表されているのでネット上での閲覧が全巻可能である(読み込みは少々遅いが)。『HATHI TRUST 内外植物原色大図鑑』と検索するとそのサイトに飛ぶことができる。

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