賃貸不動産経営管理士

Last-modified: 2020-07-12 (日) 20:44:27

賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産管理に必要な専門的な知識・技術・技能・倫理観を以って、賃貸管理業務全般にわたる、管理の適正化・健全化に寄与することを目的とする民間資格。

概要

賃貸不動産経営管理士とはどんな仕事内容なのかを説明するにあたっては、宅地建物取引士との違いを説明するのが理解しやすい。マンションやアパートなどの賃貸住宅を借す際に、後で契約上のトラブルが起きないように、借りる人(借主)に重要事項をあらかじめ説明するのが宅地建物取引士である。一方、マンションやアパートなどの賃貸住宅を貸す人(貸主、つまり大家さん)に、管理受託契約に関する重要事項をあらかじめ説明をするのが賃貸不動産経営管理士である。
最近は、賃貸マンション・賃貸アパートなどを所有している大家(貸主)は、賃貸の業務を管理会社に全て任せているケースがほとんど。賃貸住宅で起きるトラブルというと、騒音や悪臭の問題、ゴミ出し・挨拶などのマナー違反など住民間の問題が多いが、実は貸主と管理会社との間でもトラブルは多く発生している。
家賃滞納、敷金の返還問題、入退去時のトラブルは後を絶たないが、管理会社が何も対応してくれないので貸主は泣き寝入りするという事例は多く存在する。
賃貸不動産の管理については、現状では特別な法規制が存在しない。そこで、借りる側だけではなく、貸す側も守る必要があるということで誕生したのが賃貸不動産経営管理士である。
近々、賃貸不動産経営管理士は国家資格になると噂されている。

必要性

賃貸マンションの管理会社が貸主(大家)に対して重要事項の説明を義務付ける目的で、国土交通省の告示による賃貸住宅管理業の登録制度がH23年度から始まった。これによって、賃貸マンションの管理をする管理会社は、2018年の秋(平成30年6月30日)までに事務所に賃貸不動産経営管理士を置かなければならなくなり、重要事項の説明は賃貸不動産経営管理士の独占業務となった。
よって、賃貸不動産経営管理士は民間資格であるにも関わらず法律上定められた独占業務が定まり、大きく需要が高まったかのように見えた。しかし、実はこの制度は任意の制度である。賃貸住宅管理業者として登録するかどうかは任意で、登録するかどうかは各管理業者の判断による(登録をしなくとも賃貸住宅の管理業務を営むことは可能)。つまり賃貸不動産経営管理士を設置するのも任意であり、今の段階では、賃貸不動産経営管理士に独占業務があるとまでは言えない。
賃貸不動産経営管理士の規定を定めた根拠となる法令は、国土交通省の賃貸住宅管理業務処理準則で、これは厳密には法律ではない。残念ながら賃貸不動産経営管理士が国家資格として認められて独占業務を持つには、国会が法律で定める必要がある。
しかし、準則とはいえ国の機関が作った一定のルールであり、法律に近い効力があり全く無視できるものでもない。やはり賃貸不動産経営管理士は民間資格でありながら極めて公共性の高い資格であるといえる。

賃貸不動産経営管理士は国家資格になるのか?

賃貸不動産経営管理士について調べるてみると、いずれ国家資格になるという期待的な噂や憶測が非常に多くある。資格試験の主催者である賃貸不動産経営管理士協議会も、平成29年度までに賃貸不動産経営管理士の国家資格化にめどを立てることを発表していたが、令和2年になった現在でも民間資格のままである。
国家資格になるかどうかは微妙。しかし、国土交通省で賃貸不動産経営管理士の資格を認めている以上全く否定はできない。なお、過去にはファイナンシャルプランナーや知的財産管理技能士のように国家資格に格上げされた例はあるが、それらは資格というよりは技能検定(国家検定)であって独占業務はない。
貸金業務取扱主任者や公認心理師のように、それまでよく似た民間資格があったが全く別物として国家資格が誕生した例も存在する(この場合、改めて試験を受ける必要がある)。
賃貸不動産経営管理士が目指すのはあくまでも業務独占資格だが、単なる技能資格になる可能性も否定できない。あるいは、全く別名で国家資格が作られる可能性もあるが、その場合、今まで賃貸不動産経営管理士の試験を受けて合格した人は無効になり、改めて国家試験を受けて合格する必要があるかもしれない(ただ、国家資格・国家試験に移行してしばらくは合格者を多く出すため、試験内容を簡単にするなどの移行措置をとる可能性はある)。

有益性

賃貸不動産経営管理士の資格は、今の段階ではほとんど役に立たないと言っても過言ではない。さらに、宅地建物取引士に合格できない人が取るという認識が業界には少なからず存在する(宅建に合格できない人が名刺に載せる肩書きのために取得していた⋯など)。
不動産業界では、宅地建物取引士の資格が役立つのは間違いないですが、合わせて賃貸不動産経営管理士も取得すれば就職・転職には役立つ。賃貸不動産経営管理士だけではそんなに役立つとまではいえず、何も資格を持っていない人よりも多少有利になる程度。
賃貸不動産経営管理士が仮に独占業務を得たとしても、業務としては少数。やはり「宅地建物取引士の周辺資格」程度に思った方が吉。上述したように試験の実施団体が国家資格への昇格を目指し国交省に熱心に働きかけをしているので、うまくいけば国家試験を手に入れられる可能性はあるが、あくまでも可能性に過ぎない。宅地建物取引士、管理業務主任者を持っていれば賃貸不動産経営管理士の資格を取得するメリットは少ないかと思われる。

試験

2018年(平成30年)の合格率は50.7%。受験者数も年々増加しているので、それにともなって合格率は徐々に下がっている。宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士の試験勉強を最近までしていた人であれば、市販の問題集で知識を増やせば短期間で合格可能。試験実施団体が発行する公式テキストがあるが、約1000ページもあって内容もわかりずらいので、他の市販のテキストや問題集を推奨する人が多い。
公式テキストを使用した講習(全2日間)を受講すると、全出題のうち4問が免除になる(一度受講すれば2年間有効)。