軽犯罪法

Last-modified: 2021-01-16 (土) 22:56:47

軽犯罪法は、被害・損害などの程度がわずかである様々な秩序違反行為に対して拘留・科料の刑を定める日本の法律。法令番号「昭和23年5月1日法律第39号」。「えっ!それも違法行為なの?」というものもあるため、知っておいた方がいい。

概要

軽犯罪法に規定された犯罪は、刑法にまでは届かない予備的行為・未遂犯的行為がその大きな部分を占める。よって刑法が具体的危険性のある行為を処罰の対象としているのに対し、軽犯罪法は抽象的危険にとどまる行為を処罰の対象としている。
さらに、軽犯罪法違反は比較的軽微な犯罪なため、被疑者が住居不定や正当な理由なく出頭の求めに応じない場合でないと逮捕令状による通常逮捕はされない(緊急逮捕は法律上できない)。また、犯人の住居や氏名が明らかでない場合、犯人が逃げるおそれがある状態でないと、現行犯逮捕もできない。
だからと言って油断は出来ない。例えば2016年に軽犯罪法違反で、警察から検察庁へ送致された件数は9,801件、人員は19,137人も存在する。なお、起きた件数で一番多いは第32号(田畑等侵入)である。

罪として定められる行為一覧

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

一 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者

例えば、心霊スポットなど廃墟に無断で立ち入る行為など。

二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

要するにナイフなど武器を携帯するなということ。催涙スプレーも注意!(ただし、正当な理由があればよく、有価証券や多額の現金を電車や徒歩で運ぶ場合があった被告人が、職務上の必要から催涙スプレーを所持し、適法と認められたケースがある)。

三 正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

つまりは侵入具携帯の罪。武器でない点は上記の二と異なる。器具には例えば、ドライバー、ペンチ、やすり、縄ばしご、ハンマー、スパナ、ペンライトなどが考えられる。登山用のピッキング用具はOK

四 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの

かつての浮浪罪。盗みを働きながら全国各地をうろつく行為を防止するものだが、ホームレスだと訴えられる可能性がある。

五 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者

禁煙とされた映画館で喫煙する行為や映画館で他の観客にからむ行為などが考えられる。場合により威力業務妨害罪にも問われる。

六 正当な理由がなくて他人の標灯又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合する場所に設けられた灯火を消した者

公園の管理人が正当な理由なく街灯を消す行為など。

七 みだりに船又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為をした者

八 風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者

警察官の立入り禁止の指示に反して正当な理由なく立ち入る行為などが該当する。他にも、目の前で事件が起きているのに警察官や消防士、自衛官などの協力要請を無視した場合にも適用される。

九 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者

住宅の塀近くでたき火をした行為、ガソリン入りの容器近くでたばこを吸う行為などが考えられる。

十 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者

圧縮ガスを入れた容器にいたずらする行為など。火薬類取締法違反、爆発物取締罰則違反に問われることもある。

十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者

発射とは、パチンコで小石を飛ばすような行為のこと。場合によっては海水浴場の水面に空き瓶を投げる行為なども該当する。

十二 人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者

獰猛な野犬の鎖を正当な理由なく解く行為など

十三 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者

バス待ちの行列に割り込む行為も違法ということ。

十四 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者

国会議事堂周辺地域など一部の地域において拡声機を使用して静穏を害した者については、静穏保持法違反に問われることもある。

十五 官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者

警察官でもないのに、「警察の者だ」と言う行為や資格がないのに、警察官の制服を着用する行為など。警察官のコスプレも度が過ぎる場合は訴えられるので注意!

十六 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者

110番に電話して、真実に反し「今ここで人殺しがあった」と申告する行為などが考えられる。

十七 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名、住居、職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者

質店や古物商が盗品と知っていて買い取ること(故買)も犯罪!

十八 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者

幼児の親、老人や病人の介護者へ向けたもの。

十九 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者

衣服に血が付着した死体の位置を正当な理由なく変えた行為が該当する。やはり殺人現場はむやみに動かさない方がいい。

二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者

女性が乳房をあらわにして、公衆の面前を歩く行為など。公然わいせつ罪に問われることもある。

二十一 削除

動物を虐待する行為が規定されていたが、動物愛護法により更に厳罰化が科せられるようになったため、削除された。

二十二 こじきをし、又はこじきをさせた者

路傍で通行人に物乞いする行為も違法!

二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

入浴中の女性を物陰から正当な理由なくのぞき見たり盗撮したりする行為など。

二十四 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者

卒業式をいたずらなどで妨害した行為や妨害目的で結婚式・葬儀などの会場に侵入した行為など。

二十五 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者

二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者

公園で立小便をしたり、たんつばを吐くのも違法!

二十七 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者

二十八 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者

通行中の未成年の女性に対し、数分間にわたりつきまとった行為などストーカーの予備的防止が目的。条件が該当すれば、ストーカー規制法、配偶者暴力防止法、児童虐待防止法、暴力団対策法に問われることもある。

二十九 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者

暴行を共謀して、木陰で待ち伏せする行為などが該当する。

三十 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者

人に犬をけしかける行為や棒でたたいて馬を走り回らせる行為など細かいが、これも違法。

三十一 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者

舞台に出ようとする役者の背中に貼紙をして演技を妨害した行為など

三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

契約者以外の無断立入りを禁止している駐車場に正当な理由なく立ち入った行為など。日本人活動家尖閣諸島上陸事件では尖閣諸島への上陸に関して、任意聴取が行われた事例もある。

三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者

電柱にビラを正当な理由なく貼る行為や広告用ポスターを正当な理由なく除去した行為が該当する。

三十四 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者

悪徳商法の一つ、催眠商法やステルスマーケティングがこれに相当。不動産の販売に関し、新聞に虚偽の広告をした行為が該当する。

第二条 前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
第三条 第一条の罪を教唆し、又は幇助した者は、正犯に準ずる。
第四条 この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。

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