連ちゃんパパ

Last-modified: 2022-01-12 (水) 13:38:19

連ちゃんパパとは、漫画家・ありま猛氏による漫画。
1994年春頃から1997年秋頃まで『パチプロ7』というパチンコ漫画雑誌に掲載されていた。

概要


ニブニブニブニブニブニブニブニブ

この漫画を一言で表すのなら、『キングオブクズ』。
いい笑顔だろ?実はこれ、元教え子たちからもらったパチンコをやめて定職に就くためのカンパでパチンコ打ってるシーンなんだぜ?

パチンコ漫画雑誌の連載作品ではあるが、パチンコの技術よりはもともと真面目な高校教師だった主人公が妻が借金を残して蒸発したことを発端にパチンコにのめり込むようになり、救いようのない卑劣漢へと堕落していくさまに重点を置く。

2020年にマンガ図書館Zというサイトでウェブ漫画として無料公開された(現在は公開終了)際、三丁目の夕日やサザエさんのようなファミリードラマを思い起こさせるようなそのほのぼのとした絵柄に相反するえげつない内容で一躍ブームとなった。それを受けて、同年9月にようやく単行本化された。
本作が注目を集めるまで、ギャンブル依存を描いたヒット作は『闇金ウシジマくん』のような「ドロドロで陰鬱なストーリー、そしてそれを象徴するリアル志向でハードな絵柄・演出」であることが多かったが、本作は絵柄だけを見れば古谷三敏(代表作:『ダメおやじ』)や北見けんいち(『釣りバカ日誌』)を彷彿とさせる、ファミリーものの青年漫画のようなディフォルメの利いたほのぼのしたものであるだけに、極めてギャップが大きい。
作者のありま猛は古谷三敏の「ファミリー企画」に所属していたことがあり、絵柄にも影響が見て取れる。北見けんいちも古谷三敏と共に赤塚不二夫のアシスタントとして長く活動していた経歴である。ありま氏も例えば『天才バカボンの時代なのだ!赤塚不二夫生誕80周年』という短編集に寄稿をしていたりで、赤塚不二夫一派を自称する。
しかもそんなクズな登場人物たちに対してこれといって大きな制裁がないまま物語が続くため、胸糞の悪さではウシジマくんを超えるとも評される。
また、登場人物たちはクズといっても、創作物でよく見られる完全な悪人としては描かれず(実際、主人公が自身のパチンコ依存症を克服するために努力するシーンもあるし借金取りが子どもたちに優しいシーンも数多く見られる)、少なからず人としての良心を残している。それゆえに単純に悪とは割り切れないリアリティがあり、よりタチの悪いクズになっているという描写が、かえって読み手に刺さるようになっている。
この手の作品にありがちな暴力描写は極めて少なく(ないわけではない)、あってもギャグ漫画のような軽い描写で済まされている。流血などの過激な描写がないこと(大怪我をしていても包帯でぐるぐる巻きにされているだけだったり、殴られたときに漫画のお約束である(ばってん)型絆創膏やでかいたんこぶができるくらいのものである)に加え、その画風により露悪度が大きく削がれているのも当作が読みやすく感じる一因だと考えられる。

あらすじ

ある日、東京の高校教師を勤める日之本進の妻・雅子はパチンコで300万円も借金を残して失踪。借金取りの男にその事実を知らされた進とその息子の浩司は失踪した雅子を探すため鎌倉、大阪、京都をめぐるが道中で進は旅費を稼ぐために初めてパチンコに手を出す。この瞬間から、いや、雅子が300万円もの借金を残し、失踪したときから日之本一家の人生は大きく崩れていく……

登場人物

日乃本進


「オレが働きたくないの まだわかんないのか!」
本編の主人公で、タイトルが示す「パパ」とは彼のこと。高校の数学教師だったが、仕事にかまけて家庭を顧みず、妻のパチンコ狂いと浮気に気付かず逃げられてしまう。妻を追う中でパチンコに嵌ってしまい、学校を解雇されてからは自称パチプロとなり、どんどん人の道を踏み外していく。一見すると明るく人情味あふれる性格のように思われるが、どこか自分勝手で自分の失敗から目を逸らそうとする傾向にある。
人の好さそうな風貌に反し、
●借金取りの元に押しかけ無理やり手伝う
●借金している親の子が通う学校に押しかけその子の親に借金があることを吹聴しいじめられる原因を作る(自殺未遂にまで追い込んでしまい流石に後悔した)
●泊めてくれた息子の担任の女性教師(処女)を仮病を使って騙しレイプする(幸い想像妊娠であったが)
●金持ちと再婚しようとする元妻に息子を300万円で売り飛ばす。おい。
●気の良い弁当屋の亭主をパチンコに嵌まらせて家庭を崩壊させて地上げに協力する。
●新聞屋で働いていたところ集金してきた新聞代を強盗に奪われ、元ヤクザの新聞屋店長に弁償を迫られて 自分も強盗を計画する。 (スタンガンまで用意し実行寸前まで行くものの、他の強盗が先に手を出したため未遂に終わる。捕まえて警察に突き出したことでお手柄となり、ついでにその強盗の正体が新聞屋の店長だったため弁償の必要もなくなる。
ヤクザには本心を見抜かれていたが笑顔でしらばっくれ、特に咎められず終わるいいのかそれで 。)
●教え子たちに再起を願ってのカンパをしてもらい、泣きながら更生を誓う……が 結局その金をパチンコに注ぎ込み、次は別の年の教え子たちにたかろうとほくそ笑む。
●パチンコを打っている最中に雅子が産気づいたと聞かされ、一応駆けつけようとはする……ものの思考時間およそ5秒で両替を優先する 。母子ともに危険な状態ですぐ帝王切開しないといけないのに、戸籍が抜けてないため子供の父親になってしまう(但し血縁関係ナシ)のを嫌い手術を渋る。
_______などなど、その非人道的な悪行は数知れず。
だが金を回収する才能はプロである借金取りが一目置く程。
肝心のパチンコ戦績に関しては、一時的に大金を得ることもあるが、基本的に負け続けており、「パチンコで蔵が立った奴はいない」と自ら口にするほどパチンコの不合理さを十分に自覚している。しかし悪運が強く、ここぞという時で小勝ちを拾って延命してしまい、却って依存症を悪化させることになる。
父親は学校の校長。彼も教師だった頃は熱血漢で生徒思いだったらしく、卒業生からは今も慕われている。塾講師としての仕事もそつなくこなし、塾生からも慕われていた点から教育者としての適性は高かったと思われる(尤も一度目に駅前の進学塾の講師に就任したときは生徒たちの模試の成績が大きく下がったことを理由に解雇された。あまり受験のための詰め込み方式の教え方は向いていなかったと思われる)。しかし、パチンコ中毒後は彼を心配した卒業生達が更生を願ってカンパしてくれた金をパチンコに注ぎ込むほど、控えめに言っても人間のクズと化した。何ということでしょう
元々教師として無能ではなく、常に一生懸命であったがゆえに堕落していく上で発揮されるクズさが否が応にも際立っている。
また、パチンコに狂うと共に人間としても一線を超えているような印象があり、「アハ!」「エヘ!」などとマハトマ・ガンジーやお釈迦様のような聖人でも思わず唾を吐きかけ一発かましたくなるようなヘラヘラと締まりのないキモい笑みを浮かべながら悪行を重ねる姿はサイコパスじみた空恐ろしさすら感じさせる。このえげつなさはエリック・カートマンとはまたベクトルの違ったえげつなさである。ネット上には「無惨様?のほうがまだマシ」などという意見まであった。
物語の途中で何度も更生を図るが、ある時は不運、ある時は人の悪意、またある時は意思の弱さのため、毎回クズに戻ってしまう運命。度重なる苦難の果てに改心し、最終回は復縁し妻子とともにパチンコ店の無い田舎で暮らし始めるのだが…。

日之本 浩司


「この人もうパパじゃない ボクのパパはお金では人を売らない」
進の息子。小学生。
自分の事しか考えない父と、自分達を捨てて出ていった母の間で振り回される。何度見捨てられてグレそうになっても父・進を慕う優しい少年。あのクズの両親からどうやったらこんないい子が生まれたのか
学校では父の事で馬鹿にされ、友人や恋した女子が親の借金やアルコール中毒のせいで引っ越し、両親が離婚した際には自閉症*1になり、しかも口を利くことができなくなったことをいいことに見知らぬ中学生にゲームソフト店で万引きの濡れ衣を着せられたり、進の再婚相手の両親に(進には無断で)血の繋がらない兄弟共々養護施設に放り込まれそこで暮らす子どもたちからいじめられるなど、作中一番の苦労人。
しかし彼が両親を見捨てられないこと、そして両親も彼を捨て切れないことや、借金取りの同情をも買う彼の不憫さが逆に事態を悪化させることも多く、そういう意味では作中最大の舞台装置とも言えるだろう。
事実、序盤で妻を追う途中で路銀が尽きた進に「出る台を知ってる」と口にしてパチンコで稼ぐことを提案したのは他でもない浩司であり、結果的に父がパチンカスとなり外道に堕ちることとなったため、やはり血は争えないのかもしれない。
とはいえほんの物事の判断のつきにくい子供ゆえ致し方ない部分も大きく、良くも悪くも歳相応というのが妥当なところか。そもそも息子にパチンコなんか覚えさせた雅子が一番の元凶である。

日之本雅子


見るだけだったらいいわよね お金使わなきゃいいわよね 勝てばいいのよね
本編の主人公である日之本進の妻であるが、それと同時に本作における全ての元凶とも言える存在でもある。
仕事人間の進に愛想を尽かし、パチンコで300万円の借金を作った上に浮気、間男と失踪する。その後も男にモテまくり、調子に乗ってビッチに成り下がり大金持ちや板前など沢山の男から惚れられる。しかし相手に騙されたり、逆に相手を破滅させて逃げたり等で、誰とも結ばれなかった。ざまあ!
最終的には進と復縁し、進の子ではない双子(知子と良子)を産む。
だが復縁してもパチンコ狂いが治らない進を見限り、借金取りに頼んで進の保険金殺人を企んだり*2、正式な離婚を要求したりする。しかもこの間自分もパチンコ依存症が再発したにもかかわらず、である。
進が堕落している時は良妻賢母の顔を見せる一方、進が更生しようとすると破滅を運んでくるため、人呼んで「クズのシーソーゲーム」。自分が依存症でやらかしているのに他人事のように進に説教する姿や浩司を引き取ったあとパチンコでまたも身を持ち崩す様は、まさにお前が言うなといわんばかりのブーメラン。
最終回ではパチンコを止めて立ち直ると誓った進を信じ、家族で田舎暮らしを始めるが…。

借金取りの男


いつも親のエゴで迷惑すんのは 子供なんだよな
本名不明。雅子が借金した消費者金融「KO商事(連載初期はOKローン)」の社長。大柄な体に、傷だらけの顔でスキンヘッドという誰もが納得する程のヤクザ顔。恐喝暴力で前科3犯、部下からも恐れられており、「ウチの利息は新幹線より早いんだよ!」と公言して憚らない違法スレスレの悪徳金融業者である。仕事には情を挟まない方針で、作中でも多くの人間を破産させており、進の勤務先にも容赦なく押しかけ、時として殺人を請け負うことさえザラにあり、進に当たり屋を強要したりフィリピンで保険金殺人を計画したこともあるほどの怖い人。
パチンコ台の前に腰掛ける進の頭を後ろから無遠慮に殴りつけるのがいつもの彼らの会話のはじまりであった。
しかし、根は人情家で、両親に捨てられ養護施設で育った事もあり、自分と境遇が重なる浩司には優しく、ある夜遅く、進がパチンコに出ており浩司だけが家にいるときは家に上がり込んで浩司に夕飯を作ってあげることがあった。また、真面目に働いて期限までに借金を返そうと努力する人をも見捨てることはなく救いの手を差し伸べ、借金取りの家に居候していた進が一度改心しておでん屋を始めたものの客があまり来ずそのせいで約束の期限までに金を返せなくなり浩司とともに借金取りの家を立ち退こうとすると「オレはお前のおでん気に入ってる もっと喰いたい いろ!」(原文ママ)と手紙で引き止めるシーンもあった。行き場を失った進と浩司を自分のマンションに住まわせたり、進に仕事を斡旋するなど面倒見が良いところもある。ビジネスとはいえ、他社では借りられなくなった多重債務者にも条件が合えば融資を行い、過激な取り立ては中止して穏当な返済計画を提案することもあったため、劇中では彼に感謝している人も少なからずいる。アル中債務者の息子をこのまま父親と暮らしていたらろくな事にならないとして引き剥がし祖父と一緒に暮らさせたりするなど浩司以外の子供にも思いやりの姿勢を持つ。このとき子供とアル中の父親を引き離したことを浩司に「鬼!」となじられるが「離れたほうが互いのためにもいいんだ」と諭している。
主人公の進を始めあまりにどうしようもない人物揃い(『クズのパワーインフレ状態』)の本作では常識を備えている部類に入り、いわゆる「解説役」を務めることもしばしば。彼も間違いなく社会的には褒められる人物ではないのだが、人情家で仁義と筋を通す「自らの行いを悪だとちゃんと承知している悪人」であることから、無自覚なワルが何人も登場する本作の中においては読者からは相対的に善人に見えてしまう。実際、進が浩司を売り飛ばしたり借金取りたての為にある債務者の親子を自殺させたときには進に対し「なんてことをするんだ!」と本気でキレていた。
そのため、多くの人間を破滅させたにも関わらず、ファンからはこの作品の良心とまで言われている。
余談だが、進と借金取りの絡みに妙に興奮した婦女子の方々もいるらしく、進と借金取りに焦点を当てたBL二次創作が存在するという……

その他

メインキャラは上述の通りだが、単発ゲストキャラや数話以内の登場キャラもまともな者は少なく、どこかズレていたり(進の旧友)メインキャラといい勝負のクズ(「雅子の間男たち*3」「勤務先から多額の金を横領し、そのことを進父子に隠したうえで進と同棲しようとした女」「ネズミ講を主催して大儲けし逮捕直前でとんずらする虚業家」「雅子の勤め先の弁当屋夫婦」「実親の進に無断で浩司を養護施設に叩き込む進の勤め先の老舗和菓子屋のクソジジイとクソババア老夫婦や進と再婚し子供欲しさに両親の悪事に加担したその老夫婦の娘のビッチ」など)だったりする。数えるほどしかいない真っ当な善人たち(塾講師の老夫婦や進の両親と姉、浩司の学校の先生や雅子の再婚相手の板前)も、容赦なく悲運に巻き込まれていく。

コメント

  • 主人公のモデルは作者……の師匠であるあだち勉(なんとあのあだち充の実兄)らしい…… -- 2020-06-17 (水) 20:23:10
  • えぇ…(困惑) -- 2020-06-25 (木) 22:17:19

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*1 現在では医療技術の革新により作中で見られる症状は小児うつとされる。単行本版では該当箇所が書き直された
*2 結局殺害は未遂に終わり、夫に満面の笑顔で「おかえりなさい!」と言うさまは一種のネットミームとなった。この直前に借金取りの男を「約束が違うじゃない」と無表情でなじるが借金取りに「おめえの亭主は悪運が強いわい」と返されていた
*3 こいつらに至っては進の前で一切悪びれることなくふてぶてしい態度で進と会話する描写が色々と見られる