AGM-65 マーベリック

Last-modified: 2020-02-28 (金) 18:03:42

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アメリカ合衆国製の空対地ミサイルの一群である。「マベリック」や「マーヴェリック」とも表記される。

開発経緯 Edit

マーベリックが登場する以前の主力空対地ミサイルには、AGM-12 ブルパップ?AGM-62 ウォールアイ?があったが、前者はASM-N-7(AGM-12A)が1959年から合衆国海軍に配備され、CEPが平均約30m前後の高い命中率と約27kmの長射程という高いスタンドオフ性能であり、当時としては非常に高性能な空対地ミサイルとしてベトナム戦争で多くの戦果を挙げたが、その誘導方式に問題があった。

ブルパップの誘導方式は無線指令誘導方式で、発射と同時に弾体後部で発火するトレーサと呼ばれる火炎を兵器管制員が目視で確認し、ジョイスティックを操作して無線により操舵して目標まで誘導し続けなくてはならなかった。

そのため、射程と命中率は操縦者の視力と技量に依存し、発射から弾着までは誘導し続けなければならず、誘導が困難になるような激しい機動も制限された。また、発電所や橋など大型の目標に対しては有効であったが、小型目標を狙うには不向きであり、誘導の難しさから不評だった。

AGM-62 ウォールアイ Edit

ベトナム戦争が始まって2年後の1962年には、問題を抱えていたAGM-12 ブルパップの後継としてAGM-62 ウォールアイが合衆国海軍によって開発開始された。続いてその3年後である1965年には、合衆国空軍もヒューズと共にブルパップの後継ミサイル、AGM-65 マーベリックの開発に乗り出した。先に実用段階まで至ったウォールアイは、1966年にブルパップと同じくマーティン・マリエッタ社と契約が結ばれ、AGM-62A ウォールアイ Iの生産が開始される。

ウォールアイはブルパップとは比較にならない程大きな進化を遂げている。その大きな特徴としては、誘導装置にビデオカメラを利用した点である。これは、ミサイルの先端部にビデオカメラを収め、その映像は母機のモニターに表示され、パイロットは映り込んだ目標をロックオンして発射すれば、後はミサイルがロックした目標へ自動で向かってくれる。それにより命中率と射程は大幅に上昇し、母機は発射直後に回避行動をとることができるので、SAMや対空砲、敵戦闘機の脅威に長時間晒されることなく離脱することが可能となった。しかし、AGM-62は分類上ミサイルであるが推進装置を持っておらず、射程は母機の高度に依存するので、遠距離の目標を狙おうとすると機体の高度を上げなくてはならない。そのため、天候の悪い日は雲が邪魔してシーカーに目標が映らずロックできないと言うトラブルもあり、基本的にウォールアイが使用されるのは天気が良好で陽が出ている間だけである。

ウォールアイは、それら以外の問題も多々抱えており、登場以来数々の細かいアップデートが行われ、その種類は数十種にもおよぶ。その中でも長射程データリンク型のウォールアイ I ER/DLや、搭載弾頭を2,000lbに増量したウォールアイ IIはベトナム戦争で活躍した。それでもブルパップを全てウォールアイに置き換えることはできなかった。ウォールアイは高い命中率や撃ち放し能力を持っていたが、推進装置を搭載していないことから、母機から遠距離の目標を攻撃するのに向かないなどの欠点があった。

AGM-12E ブルパップ Edit

その後、AGM-12 ブルパップの派生型でクラスター爆弾を弾頭としたAGM-12Eが開発された。これは、上空で弾体が炸裂し、内部の子爆弾を広範囲に撒き散らすことから、誘導に精確性が求められず、単純な無線誘導方式なので1基あたりの価格も低廉で、搭載母機に改修などが不要という汎用性もあった。ブルパップはウォールアイの登場により使用機会は減ったが、その後も使われ続けた。

マーベリック登場 Edit

1972年になると、AGM-65 マーベリックの初期型であるAGM-65Aが空軍に納入される。マーベリックの特徴は、弾体中央上部から後部にかけて伸びるデルタ翼や、後部に僅かにある操縦翼などAIM-47 ファルコン?AIM-54 フェニックス?などと同様の外形を採用していて小型なために、1つのキャリッジに最大3発のマーベリックを装着することができる。A-10 サンダーボルトIIでは14発のマーベリックが搭載可能である。

誘導方式はウォールアイと同じくTV誘導方式で、短射程ながら運動性も良く、ベトナムで数発が試験使用されて予想以上の命中率を示した。好成績を収めたAGM-65Aは、1973年に勃発した第四次中東戦争でイスラエル国防軍に供与され、80%の命中率を記録した。良好な命中率と信頼性を示したマーベリックは、ウォールアイでは果たせなかったブルパップの完全置き換えを達成し、その優れた性能から後に合衆国海兵隊にも採用された。その後シーカーの倍率を上げたタイプや、レーザー誘導やIR シーカー搭載の全天候型、威力向上型、対艦型、CCD シーカー搭載型などの派生型が作られ、湾岸戦争やイラク戦争、イラン・イラク戦争(イラン軍が使用)などで使用された。また、ユーゴスラビアに供与されたAGM-65はクロアチア独立戦争やボスニア・ヘルツェゴビナ内戦においてユーゴスラビア連邦空軍(および後身のセルビア空軍)が使用していた。

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