紫は本当に賢者なのか 不確定要素編

Last-modified: 2023-07-20 (木) 12:55:06

最終話、酒オチの問題点について(よく出る批判のまとめ)をベースに、
紫の作戦についてを中心にまとめたものです。

ゆゆこが読心術を習得していなかったら

紫「それで一番なにも考えていなさそうな幽々子に協力してもらったの 
  藍が私の作った切れ目に入って豊姫の能力を引きつけている間に 
  こっそりもう一つ穴を空けておいたのよ 
  二つのおとりで月の使者の家はがら空きになった 
  幽々子には直接指示はしなかったけど 必ずもう一つの穴を見つけて
  屋敷に忍び込んでくれる、と」

つまり作中の言葉だけ(つまり指示ゼロ)で、ゆゆこに
①紫が自ら囮になる二重作戦を把握し、
②こっそり開けておいたもう一つのスキマを見つけ
③屋敷に忍び込んで宝物を盗む
を要求するという、ひどいギャンブル。

ついでに

妖夢「家探しですかね?紅魔館の」
幽々子「あら空き巣? クスクス」

という、妖夢の提案も採用していた可能性も否定できない。

レイセンが来なかったら

たまたま月から兎が逃げてきたのでその兎を利用し、綿月姉妹に手紙を送った。
もしその兎が居なければ、再び月を偽物と入れ替え、主犯だけを月に到達させないつもりでいた。
ただ、それはまた幻想郷に不安をもたらす危険な方法ではあったが…。(小説最終話)

という設定がある。
つまり、たまたま来たレイセンによって、ロケット組を月へ行かせる策が採られたが、
そうでなければ偽の月作戦だったのだ。
紫の策の第一歩である霊夢の神降ろし修行は、レイセンが来る前から始まっている。

 

レイセンが第一話の永琳予想の通り「不当な裁判により拷問を受けて逃げてきた」のならば、
「紫が、月に噂を広げることによってレイセンを来させた」という作戦としてまとまったのだが
なぜか餅搗きが嫌で逃げ出したという誰特な設定に変更されている

レイセン「私は他人の罪の為に永遠と搗き続けるのが嫌だった。何の達成感もなく、
頭を使うことも許されずただ身体を動かすだけの仕事。
生活に困ることはないが建設的ではないし、頭を使うこともない。
そんなのは最下層の仕事だと思っていた。だから、私は逃げ出した」(小説六話)

月人がロケット組を即断で殺しにかかっていたら

紫の作戦はまず「ロケット組で依姫をおびきよせ、屋敷から出させる」というものだった。

藍「説明してくださいよ 一体なにが起きていたと言うんです?」
紫「だからおとりよおとり 月の使者のリーダーは二人
  一人は神様をその身に降ろして戦う実力派 一人は地上と月を結ぶ援護要員(綿月姉妹が描かれたコマ)
  月の使者を騙すには2種類のおとりが必要なの わかる?」
藍「二種類のおとりって…実力派を出させるための吸血鬼一味と そして私たち
紫「地上には月の頭脳だかなんだか知らないけど いわゆるスパイがいるから
  そのスパイを引っかけるためにはまず私が罠にはまる必要があったのよ 
  それで一番なにも考えていなさそうな幽々子に協力してもらったの 
  藍が私の作った切れ目に入って豊姫の能力を引きつけている間に 
  こっそりもう一つ穴を空けておいたのよ
  二つのおとりで月の使者の家はがら空きになった'' 
  幽々子には直接指示はしなかったけど 必ずもう一つの穴を見つけて
   屋敷に忍び込んでくれる、と」

つまり、依姫がスペカ戦に乗っかってチンタラ餅を斬ったりしててくれたからよかったものの
さっさと済ませて屋敷に戻っていたらどうするつもりだったのか、という問題がある。
(魔理沙の解説を聞いている時点で、永琳の手紙に「スペカやれ」という指示はなかったのが確定)
特に依姫は、小説三話で即断で殺す決意を固めている。

依「今なら…すぐに追い返すか殺すと思います。あの頃ほど私達は愚かではないですから」
豊「千五百年前のあの頃ほど優しくない…と?」(小説三話)

「私達は八意様が居なくなってから様々なことを学びました。」
依姫は海の方を見て言葉を続けた。
「学んだ事は、私達にはそこまで深い考えを持つ事は出来ない。思慮の浅い優しさは
人間も月の民も不幸にすると」(小説3話)

霊夢については疑いを晴らすのに使う必要があるから即殺はないだろうが、
スペカでチンタラやる必要はまるでない。

 

依姫が屋敷に戻ってしまう云々以前に、ロケット組が殺されること自体についての対策がないのも気になるが、
そこについては「紫的には、殺されても問題のない程度の連中」だったのだと考えられる。
霊夢については後述。

霊夢が処刑されていたら

霊夢については漫画最終話近くで代わりがいることが明確になっているため、ここについては問題ない。

文「神社から巫女の姿が消えてから早二十五日 
  吸血鬼とともに月に向かったことはわかっているんだけど
  ……なぜか巫女だけ帰ってこない これは そろそろ
 新しい巫女を捜さなきゃ行けない時期ってことか 
  もう何度目になるのでしょう 新しい巫女が新聞のネタになりやすい人間ならいいのですが」
 (漫画第20話)

豊姫が紫を殺しにかかったら

永琳「あの娘たち(綿月姉妹)がうまくやってくれたようね
    犯人は捕まえて 竹林に放置したみたい…」(漫画19話)

とあるため、永琳は紫の処遇について特に指示はしていなかったと見られる。
ここについては「浄化して無に帰す」という、穢れない最新兵器まで手にしており、
そうでなくても紫は「地上から月に来られる妖怪」として著名なのだ。
なぜ、紫を殺さず、放置したのか。

 

もっとも、ここについては豊姫の価値観についてにまとめられいるように、
豊姫が特に地上人に甘いから、という理由付けがある。
さらに、紫は第一次で戦争を仕掛けてもコテンパンにされただけで帰還しているので
そこから「優しいから許してくれるだろう」と予想したのでは、というフォローも多い。
しかし、戦争を仕掛ける相手側の温情をあてにするようでは対策とは言い難い。

 

紫が殺されていても幽々子が月から何か盗んでいれば
誰かの手によって永琳を恐怖させるという方の目的を達成出来るように見えるが、
博麗の巫女とは違ってスキマ妖怪は換えが効かない上
そもそも「月人がロケット組を即断で殺しにかかっていたら」の場合と同じく
豊姫がすぐに帰ってしまっては幽々子達の潜入が成功しないであろう。

幽々子の潜入が失敗していたら

ゆゆこには

亡霊には生死が無い。その事が、穢れのない月の都と相性が良かった。
幽々子は月の都にひと月ほど滞在し、誰にも怪しまれることなく行動していたのだ。
そして堂々とお酒を盗み出すと、次の満月の時に紫に再び月面と地上の通路を空けて貰い、
地上に降りてきたのだ。
月の都に亡霊の姿など、誰が想像しただろう。
だが、秘密裏に行動するのにこれ程便利な組み合わせもなかった。
亡霊は元々浄土に住む者である。つまりは生死に関わる穢れが少なく、
その結果そこに居たという痕跡を残さずに行動出来たのだ。

という設定が最終回直前で追加されたが、これ(以下、ゆゆステルス)も
「月人は姿すら見えない」というレベルのものではなく、玉兎はごくふつうに視認できている。

(謀反の噂について)
玉兎1「あれって何者かが勝手に神様を呼び出して使役していることが発覚したからよ」
玉兎2「ふむふむ」
玉兎1「それで依姫様が真っ先に疑われたの そんなことできるのも依姫様くらいだったしね 
    でも本当はあの巫女にもできるって見せて廻るんだって」
ゆゆ「その話 詳しく聞きたいわ」
兎達振り向く
「誰?」
(ページ切り替わり)
兎「お前は…?
ゆゆ「そう怖がらないの ただの迷子なんだから 
   ここの主人が留守の間に 桃でも食べて休憩しましょう?」(漫画二十話)

妖夢「どういうことです? 十分目立っていた気も(兎と幽々子がキャッキャしてるコマ」(漫画最終話)

それにもかかわらず、玉兎は綿月姉妹に報告はしなかったらしい。
もしも兎が報告していたら 、そうでなくてもゆゆこが噂になり、綿月姉妹が訝しがったら
という問題がある。

ゆゆこが酒以外パクって来たら(月人が復讐してきたら)

紫「幽々子が手荒な真似をするとは思えないし 何か宝物を盗んできているんじゃないかしら 
  それに気づいた綿月姉妹がぎゃふんと言ってくれるはずよ」
幽々子「賢者の家には珍しい物も置かれていたけど 剣とか玉ばっかりであんまり面白そうな
    物がなかったので…これにしたわ」
紫「…幽々子、この古くさい壺は何かしら?」
幽々子「お・さ・け 月の都に置かれた千年物の超々古酒よ」(漫画最終話)

と、紫からすればゆゆこは何か宝物を持ってくるはずだった。
そして屋敷にあったのは剣とか玉ばかりだったという。
もしもゆゆこが「剣とか玉」を盗み、月人連中がプライドを捨てて報復に来たら
どうするつもりだったのか、という問題が残る。

 

仮に、紫が「月の民を怒らせないよう、酒を盗むようゆゆこに指示」ならば
好判断だったと言えただろうが(それにしたってキビシイが)
酒を盗んだのはゆゆこの裁量である。

幽々子がお酒を盗み出した理由はただ一つ。月の民に喧嘩を売らずに、
一度は惨敗した綿月姉妹に復讐をする為であった。(小説最終話 神主視点)

綿月姉妹や永琳が霊夢を捕まえにきたら

霊夢が月に来ないと綿月姉妹の潔白を証明できないから霊夢を月に来させないといけなかったが、
豊姫が満月以外に月と地上をつなげることができる以上
「紫が月に来ることが出来るロケットが月に到着する時刻」よりも前に霊夢を捕まえ月に送ることが出来た。
この方法だと紫を捕まえさせることが出来ないが、
そもそも永琳は紫をおびき出せないであろう偽の月作戦を考えていた。

藍が裏切ったら

紫は「敵を騙すにはまず味方から」(漫画最終話)と言い、藍には一切の情報を与えなかった。
しかし、紫は藍が裏切る可能性に関しては全く考慮していなかったと推測出来る。

藍は怒っている振りを見せた。
何だかんだ言って、私の命令通りにしか動くことは出来ないのだから、
私を絶対的に信用するしかない。(小説五話)

この行りは「藍が紫の期待を裏切り、
なんの捻りも無しに月の公転周期を調べた事実」に掛っていると考えられる。
すなわち『最近の藍は式神の立場以上の仕事をしようとしないだろう」という前提を
勝手に作り出していると言えるものである。
しかし式神は、自動人形や使い魔のような術者による操りは出来ず(東方香霖堂)
事実、藍には言いつけを反故にした前科さえある。
何よりも紫は藍に命令以上の仕事をこなす事を求めたことは確かであり(小説五話)、
立場的には不可能だが、原理的には命令に背く事が可能であることが今作に示唆されている。
万が一降伏の前後で藍の寝返りや勝手な行動があれば、どうするつもりだったのだろうか。

私は式神に式神以上の仕事を与える事で毎日の退屈な生活を、ちょっとでも改善しようとしているのだ。(小説五話)

藍の忠誠心を考えて、裏切らない事も計算の上という解釈も一部で見られるが
ここでの紫は「なし崩しに命令を聞くことしか出来ないのだから、
絶対的に私を信用した方が楽」と藍を皮肉っているのである。
忠誠や信頼の存在を想定しているとは到底言えないだろう。
故に騙し続けた挙句に藍に見限られる事も十分想定に入れるべき事柄であり、
今回に限って言えばこの化け狐の素直さ、聞き分けの良さに紫は救われたとしても過言ではない。

結論

私 幻 紫  私 紫 紫

に 想 さ  に 様 さ

は 郷 ま  は は ま

と を は  と 妖 は

て 愛 だ  て 怪 す

も し れ  も の ご

で て よ  で 賢 い

き い り  き 者 な

な る も  な だ あ

い    い