コンダクター

Last-modified: 2026-08-05 (水) 05:27:07

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※このページに記載されている「限界突破の証」系統以外のすべてのスキルの使用、および対応するスキルシードの獲得はできません。

通常六千世界の蒼星
コンダクター.pngPNG画像.png

Illustrator:marumoru


名前コンダクター
年齢不明(外見年齢20歳前後)
職業基幹システムに造られたプログラムアバター
  • 2024年10月17日追加
  • LUMINOUS ep.Ⅵマップ4クリアで入手。<終了済>
  • 入手方法:2026/7/2~アイテム交換所で入手(100P)。
  • トランスフォーム*1することにより「コンダクター/六千世界の蒼星」へと名前とグラフィックが変化する。
  • 対応楽曲は「Tuatha Dé Danann」。

メタヴァース内の異常の検知/調査を行うプログラムアバター。
どこかで聞いたような武器を手に、今日も与えられた任務を遂行する。
しかし、今回与えられた任務は、通常とは少々異なるものだった。

もしかして:コンダクター

もしかして:コンダクター

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1天地創造【LMN】×5
5×1
10×5
20×1


天地創造【LMN】 [CATASTROPHY]

  • 最もハイリスクハイリターンなスキル。AJペースでも平然と強制終了しかねない。
  • LUMINOUS現在、最もゲージ上昇率の高いスキル。GRADEを上げずともゲージ11本に到達可能。
  • 天地創造【SUN】が存在しなかったため、初期GRADEは天地創造【NEW】のGRADEに依存せず1で固定(育て直し)となる。
    効果
    ゲージ上昇UP(???.??%)
    JUSTICE以下10回で強制終了
    GRADE上昇率
    1360.00%
    2361.00%
    3362.00%
    ▼ゲージ12本可能(400%)
    41400.00%
    100459.00%
    推定データ
    n359.00%
    +(n x 1.00%)
    シード+11.00%
    シード+55.00%
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

開始時期所有キャラ数最大GRADE上昇率
2024/6/20時点
LUMINOUS+449408.00% (12本)
~LUMINOUS5 (+1)61420.00% (12本)
所有キャラ

所有キャラ

  • ゲキチュウマイマップで入手できるキャラクター
    バージョンマップキャラクター
    LUMINOUSオンゲキ
    Chapter4
    皇城 セツナ
    /漆黒の執行者
    ※

    ※:該当マップ進行度2までの全エリアをクリアする必要がある。

  • 期間限定で入手できる所有キャラ
    カードメイカーやEVENTマップといった登場時に期間終了日が告知されているキャラ。
    また、過去に筐体で入手できたが現在は筐体で入手ができなくなったキャラを含む。

ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
 
1617181920
スキル
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

※STORYにはかなりの鬱・胸糞展開が含まれています。閲覧の際には注意と覚悟が必要です。

ストーリーを展開

EPISODE1 暗礁領域 「暗礁領域で発見されたバグの調査と排除。それが私に課せられた任務だ」


 数多もの世界を内包した電子の楽園メタヴァース。
 無限の広がりを見せるこの世界は、メタヴァースの統括・維持を行う基幹システムによって適切な管理がなされている。
 基幹システムは、限りなく神に近しい存在だ。だが、全知全能の神ではない。
 全ての世界を等しく同時に見渡す事はできないのだ。
 そこで基幹システムは、自身の代行者たるプログラムアバターを造り出した。

 『コンダクター』
 「はい」

 彼女たちはメタヴァース内の異常を検知し、必要があれば基幹システムに代わって調査に赴く役割を担う。
 そんないちプログラムに過ぎない彼女に基幹システムから託された任務は、少々通常の任務とは異なるものだった。

 『コンダクター、この座標へと向かえ』

 専用の仮想空間で基幹システムと接続したコンダクターは、システムから送られてきた座標データと今回の任務の詳細を確認する。

 「新たに見つかった暗礁領域の調査、及びバグの排除」

 メタヴァースには、データの残滓が蓄積された事で発生するバグや、暗礁領域と呼ばれる未定義の領域があった。
 だが、それは早急に対処しなければならないほど危険性があるものではなく、ましてやコンダクターがわざわざ向かう必要もない。
 大抵は探査用BOTを使えば済む話なのだ。

 「私でなければ対処できない問題が?」
 『そうだ。そこはシステムとの繋がりが断たれたまま36万周期もの時が経過している。探査用BOTでは万が一の場合に対処できない可能性があるのだ。そこで我々に代わり暗礁領域を調査し、アクセス端末の復旧を試みろ』
 「分かりました」
 『現地での判断は、コンダクターが直接見定めるといい』
 「……」
 『何か疑問が?』
 「いえ、問題ありません」

 コンダクターはシステムとの接続を切り、単身で暗礁領域へと向かう。
 そこで待ち受けているものが何だろうと、彼女はただ己の役割を果たし、剣を振るう。


EPISODE2 そこに生きる人々 「この地に暮らす人間たちがシステムにとって有益となるか否か。その判断が、私に委ねられている」


 暗礁領域へと向かったコンダクターは、基幹システムから託された座標へと向かい、程なくして異常な数値を示すある物を発見した。
 それは、数十にも及ぶ層から成り立つ、球体状の巨大な都市だったのだ。
 これほどまでの層を形成するのに、一体どれだけの時間を要したのだろうか。コンダクターにそれを知る術はない。
 だから、彼女は蒼剣の力を使って内部へと入り、調査する事にした。
 その時彼女は偶然にも複数の生体反応を検知する。
 反応は、地上にある一点を目指すかのように集結しつつあった。

 「目標を確認」

 コンダクターは動態反応を示すすべてに照準を合わせると、その形状を2つに分類した。
 人間とネメシスだ。

 ネメシス。
 それは、メタヴァースという電子の海へと放出された破壊と混乱をもたらすデータである。

 (ネメシスは駆逐された。だが、あれらはすべてアーカイブに残るネメシスと特徴が一致する)

 そのネメシスが、人間と思しき者たちへ攻撃を仕掛けているのだ。異常を検知したコンダクターは、ネメシスが群がる場所に狙いを定め、都市へと降り立った――。

 着地するやいなや、コンダクターを敵と認識したネメシスの群れが襲いかかる。
 どの個体も似た動きをする事から、下位の個体だと認識したコンダクターは、天高く飛び上がり、蒼剣グランタクト・リベイクを起動させた。

 「――穿て、グランタクト・リベイク」

 無数に蠢くネメシスの群れは、たった一撃で瞬く間に駆逐された。
 ネメシスの反応が消失したのを確認すると、コンダクターは果敢にもネメシスに戦いを挑んでいた人間の下へと向かう。
 コンダクターの視界には、今も都市の構造や材質といった様々な情報がせわしなく表示され、幾重にも積み重なっていく。
 だが、今のコンダクターにとってそれは重要ではない。
 情報を全て非表示にし、開けた視界に映った人間と向き合う。
 その瞬間、コンダクターの視界は赤く不吉な文字でこう埋めつくされた。
 「不明」「不明」「不明」と。
 眩暈を覚えてしまいそうなほどの情報の渦に、コンダクターは情報を遮断せざるを得なかった。

 「――で、でもそれって、わたしを処分しにきたってことなんじゃ……」

 こちらの事情などつゆ知らず、1人でブツブツとつぶやき、ころころと表情を変える人間へと問いかける。

 「――答えろ」
 「は、はぃ!?」

 人間は姿勢を正すと、緊張した面持ちでこちらの言葉を待つ。

 「お前は、人間か」
 「えっ? 人間……です、けど……」
 「そうか」

 コンダクターは注意深く人間を観察する。
 性別、年齢、体型――。
 推測可能な情報をすべて収拾し終えると、こちらを上目遣いに見ていた少女が口を開いた。

 「えっと……わたしは、ピュエルっていいます。あなたは……誰なんですか?」
 「私はコンダクター。六千世界を守護する者」

 ピュエル。
 調査に訪れた地で、最初に出会った少女。

 『現地での判断は、コンダクターが直接見定めるといい』

 その時、コンダクターは基幹システムに告げられた言葉を振り返る。
 今となっては、その口振りには含みがあるように見受けられる。あたかも最初からこの事態を予見していたかのようだ。
 とはいえ、コンダクターにシステムの真意など理解できるはずもない。ただ愚直に、己に課せられた使命を果たすのみ。
 己の使命を果たすかたわら、コンダクターはこの世界に生きる人間たちを観察する事にした。


EPISODE3 ヴァルマシアに潜む影 「ヴァルマシアは独自の進化を遂げた。私は、これらの進化の根源を突き止めなければならない」


 その後、コンダクターはピュエルの村に調査に来たふたりの少女と出会い、行動を共にするようになった。
 調査しにきた少女は名をリズリスヴェル、ラフィンといい、階層都市ヴァルマシアを管理する「統治機関」に所属しているという。
 戦闘力は群を抜くコンダクターだったが、いくら彼女といえど、単体で行動してヴァルマシアの全貌を解き明かす事は時間を要する。
 そんな彼女にとって、現地の人間たちが自ら協力を申し出てきたのは幸運であり、効率的だった。

 統治機関を出入りしながら調査を進めていく内に、コンダクターはこの階層都市が古くから存在し、独自の技術を身につけながら進化してきた事を突き止める。
 そして、それはネメシスも同じだった。
 ネメシスは下位種と上位種に分けられる。
 下位種は単純な命令をこなす事しかできず、できる範囲もたかが知れている。主な役割は、数で他を圧倒するくらいのものだ。
 片や上位種は、確固たる意思を宿し、目的を持って行動する自律した個体である。
 ヴァルマシアには、間違いなく後者のネメシスが潜んでいるのだ。
 何故なら、ヴァルマシアのネメシスは基幹システムから様々な情報を継承されたコンダクターさえ知らぬ技術や行動を取っていた事が判明したからだ。
 人間を再構成し、意のままに操る技術――代理構成体。
 ヴァルマシアのネメシスはこれを独自に改良し、下位種よりも強靭な個体を生み出していたのだ。

 上位種のネメシスは、未だ姿を見せていない。
 だが、その片鱗は統治機関に襲撃をかけた事で徐々に暴かれ始めている。
 コンダクターはネメシスとの戦いに備え、持てる力と知識をピュエルたちに注ぐ事にした。

 数日後。
 ヴァルマシアのネメシスが根城とする場所が特定された。記録によれば、そこはヴァルマシア最古の階層――廃棄階層と記述されている。
 そして、ヴァルマシアに生活の基盤を置いた最初の「入植者」たちが暮らした階層でもあった。


EPISODE4 亡霊との邂逅 「お前は、平穏を手に入れた電子の楽園にいてはならない存在だ。ここで処分する」


 リズリスヴェルが主導した陽動作戦によって廃棄階層に潜む敵がおびき出され、戦力を分散させる事に成功した。
 各所でネメシスと代理構成体の殲滅が進む中、戦況がこちら側に傾いたと判断したリズリスヴェルは、コンダクター、ラフィン、ピュエルと共に昇降機で廃棄階層を目指す。
 だが、その道中で彼女たちは昇降機を追跡する敵――空を飛ぶ黒い剣と遭遇するのだった。

 「――穿て、グランタクト・リベイク」

 黒剣を捉えたコンダクターがグランタクトの力を解放する。しかし、それは蒼い閃光が発射された瞬間、ピタリと急停止して上昇し回避してみせた。
 続けて黒剣は昇降機の上空へと移動し、こちらに向かって黒い泥を吐き出そうとする。
 あの泥は、ネメシスへと姿を変える性質を持つ。
 輸送船のような役割を持つ黒剣を、今すぐにでも破壊しなければならなかった。

 「先に行け、私はあの剣を破壊する」

 コンダクターは高く跳躍すると、エレベーターシャフトの鉄骨を縫うように駆け抜けていく。
 そうして一瞬にして黒剣との距離を詰めると、黒剣は泥の放出を止めて更に上へと逃げた。
 上昇に転じた黒剣の速度は凄まじく、人間離れした力を持つコンダクターでも距離を離されてしまう。
 コンダクターが黒剣に追いついた時には、戦いの場は工場区画へと移っていた。

 「時間稼ぎのつもりか」

 人工的建造物がひしめき合う工場区画は、身を隠すにも奇襲を仕掛けるにもちょうどいい。
 だが、コンダクターの目は正確に標的を捉える事ができる。
 瞳孔を微かに鳴らしながら、工場区画に潜む熱源反応を探知した。
 反応は――3つ。

 「いや、ここで貴様を葬るのだ」

 2本の黒剣に護られるようにして宙に浮くその影は、先も見通せない程にどす黒く、渦を巻いている。
 それはまるで、いくつもの感情を煮詰め、負の感情だけが残った亡霊のようだった。
 影は徐々に人の形を成し、やがて禍々しい輪郭を描くと漆黒の甲冑に変化した。
 その頭部からは、血の通わぬ白い顔が姿を現し――見開かれた赤い瞳が、コンダクターを見下ろす。

 「お前が、ヴァルマシアに潜むネメシスか」
 「いかにも。メインフレームの忌々しき羽虫よ、貴様には我らが宿願の礎となってもらう」
 「それは不可能だ、“亡霊<ゴースト>”」

 水平に構えた蒼剣の切先を亡霊<ゴースト>と名付けたネメシスへと向け、コンダクターは続けた。

 「お前がヴァルマシアを出る事はない。この場で私に葬られるからだ。穿て、グランタクト――」

 亡霊の反応を待たずして、グランタクトの力を再び解放し、蒼い閃光を射出する。
 だが、それは亡霊も想定済みだ。
 光が解き放たれるよりも早く、真横から飛来した黒剣が蒼剣へと迫り――

 「!?」

 刹那、蒼い閃光と衝突し、辺り一帯を巻きこむ程の爆発を引き起こした。
 大きくえぐられた工場区画の上空には、悠然と佇む亡霊の姿があった。

 「力に溺れ、愚直に振るう事しかできぬプログラム風情が、我に叶うとでも思ったか?」

 爆発を受けたコンダクターは、難なく立ちあがる。蒼剣で衝撃を軽減したのか、その身体に目立った傷はない。

 「お前を倒すまで放てばいい」
 「愚かな。大振りな一撃を繰り出した所で、我には届かぬ」

 亡霊は右腕を掲げ、その手に黒く巨大な鎌を出現させコンダクターへと襲い掛かる。
 同時に迫った黒剣をかわしながら、コンダクターは亡霊を迎え撃つ。
 ヴァルマシアの未来は、時を超えて邂逅した両者の戦いに委ねられるのだった。


EPISODE5 黒い泥人形「あなたが……サナカを!」


 一方その頃。
 ピュエルたちを乗せた昇降機は、廃棄階層へと到着した。
 工場区画で感じた錆臭さが更に強くなり、思わず顔をしかめてしまうほど鼻腔を刺激する。

 「うぅ……慣れるのに時間がかかりそうですね」
 「両手塞がったまま戦えんのかー? 一度大きく吸ってみろ。早く慣れるぜ」
 「わかりました。ふぅ…………すぅ――ゲホッ、ゲホッ!」
 「ぷっ、引っかかったな」
 「か、からかわないでください……っ」
 「アタシはただ緊張をほぐして――いでッっ!?」

 腹を押さえてくつくつと笑っていたリズリスヴェルが前につんのめるように倒れる。
 痛みを感じたお尻をさすりながら、犯人であるラフィンをじろりと睨んだ。

 「ぁにすんだよ、ラフィン」
 「……リズ、うるさい」

 犯行に用いた槍の穂先を袖で拭き取ると、リズリスヴェルの抗議を無視して周囲の様子を伺う。
 視界に最初に飛びこんできたのは、薄明りに照らされた地上と同じ構造の都市だった。
 3人がいる場所が都市よりも少しだけ高い所に位置している事もあり、都市の広大さがより顕著に感じられる。
 地下都市と比較したら、人間など豆粒にも満たない大きさだろう。
 ただ、ここは明確にヴァルマシアと異なる部分もあった。それは天井からこちらへと伸びた都市があるという事だ。
 天井の至る所から下に向かって伸びている円柱は、ここで暮らしていた人々を監視していたかのよう。
 また、その中には丸みがかった壺状の装置が無数に取りつけられた円柱もあり、不気味な気配を漂わせていた。

 「……どうしてかわからないけど、見ているだけで胸がキュッと締めつけられるような気がします」
 「想像するな。理解しようとするな。ここにあるのは全部昔のもんなんだ、あんま無理するなよピュエル」
 「は、はい……」
 「なあラフィン、あれはなんだ?」

 リズリスヴェルはピュエルの気を少しでも紛らわすために、都市の壁面にへばりついた何かを指さす。
 それは、大小様々な四角形が寄り集まってできた機械だった。

 「……都市建築プログラムの初期型。実物を見たのは私も初めてだけど、あれが増改築を繰り返して今のヴァルマシアを造ったんだ」
 「じゃあ、あの機械のお陰で、わたしたちは生きてこられたんですね」

 一度その物体を認識した事で、至る所に都市建築プログラムらしき物体が残っている事に気づく。

 「ま、まさか、アタシらを敵だと思って攻撃したりしないよな?」
 「……どうだろ。多分動かないと思うけど」
 「な、ならいーんだけどよ」

 乾いた笑いを浮かべたリズリスヴェルは、天井を見上げながらそうつぶやくのだった。

 「それにしても、コンダクターのやつ戻ってこねーな……」
 「やっぱり、引き返した方が……」
 「……ううん、ここは先を急ごう」
 「理由はあんのか?」
 「コンダクターが戻って来ないのは、きっと影と戦ってるからだと思う。それに私たちが戻って加勢しても、迷惑にしかならない」

 ラフィンの指摘はもっともだった。
 彼女が最大限に力を発揮できるのは、近くに仲間がいない事が前提にある。その彼女と影が互角に渡り合っているのなら、3人の加勢はコンダクターにとってデメリットになってしまうのだ。

 「なら、今の内にアタシたちでここを調べよう。ピュエルもそれでいいか?」
 「わかりました」

 3人は都市の奥を目指した。
 ここは元々は人間が暮らしていた都市だったが、都市建築プログラムによって塞がれた通路が多く、思いのほか地上より入り組んでいない。
 薄暗い通路の上に張り巡らされた朽ちた配線や配管に足をからめとられないよう慎重に進んでいくと、奥から赤い光が漏れる空間がある事に気がついた。

 「あれが、コンダクターさんの言ってたアクセス端末なんでしょうか?」
 「こんな、あからさまなヤツがあるか」
 「……罠があるようには思えないけど」

 3人が壁に背をつけながら空間へと続く階段を登っていくと、等間隔に壁が設置された部屋を見つけた。
 部屋の中心部には、赤色灯に照らされたなんらかの装置がある。

 「やっぱり、これが端末ですよ!」
 「おい待てよ、ピュエル。まだ安全かどうか――」

 ピュエルが端末へと駆け寄ろうとしたその時、不意に端末の向こう側から声が響いた。

 「――エル、ピュエルなの!?」
 「え? い、今の声……」
 「ピュエル、待て!」

 リズリスヴェルの声にピュエルは足を止める。その間にも声の主はカツカツと靴音を響かせながら近づいてきた。
 赤色灯がその人物を照らす。光に隠れていてその表情までは分からないが、ピュエルにはシルエットで誰なのか分かった。

 「サナカ……サナカぁ!」
 「久しぶり」

 『最果て』の調査で行方が分からなくなったはずのピュエルの幼馴染サナカだ。

 「良かった、生きてて……! わたし、すっごく心配したんだよ?」
 「ごめん、でも私は大丈夫だから。……そんな事よりどうしてこんな所にいるの?」
 「え?」

 ピュエルは、サナカにどう説明すればいいか悩んだ。
 彼女が橋から落ちていなくなった後、余りにも多くの事が起こったからだ。
 コンダクターにリズとラフィン、外の世界。そしてヴァルマシアを脅かす怪物たち。

 「説明すると長くなるから……ここを出てから話すね」
 「今知りたいの」
 「ここは危険だから、一緒に上に行こう?」
 「質問してるのはこっち。ねえ、私の話が聞けないの?」
 「サナカ……?」

 いつもと様子がおかしいサナカに気圧されて、ピュエルは一歩後ろに下がった。
 その時、「プシュ」と小さな音がしたかと思えば、続けて何かを弾く音が響いた。
 それは、人間を代理構成体へと再構成する粒子を防ぐリフレクターが起動した音で――

 「ピュエル! そいつから離れろ!!」

 リズリスヴェルとラフィンが、ピュエルを護るように前に進み出る。
 この中で何が起こったのか理解していなかったのは、サナカだけだった。

 「なにかしら、ソレ」
 「さあ、なんだろうなァ? てかお前、人間にも化けられんのかよ」
 「……怪物、正体を現しなさい」
 「そう……まあいいわ」
 「サナカをどうしたの!? 答えて!」

 涙を滲ませながら訴えかけるピュエルに、サナカに化けた女が淡々と答える。

 「ここにいるわよ」

 女は、自分の腹をさすりながらサナカの声で喋った。

 「“大丈夫。私はどこにも行かないから。ねえ、ピュエルも私と一緒になろう? そうすれば寂しくなくなるよ”」
 「あぁ……サナカ……っ――――」

 ショックでよろめいたピュエルを支えながら、リズリスヴェルは叫んだ。

 「クソ! こっちのヤツが本物だってのかよ!」
 「リズ……私たちで、やるしかない!」
 「ああ! ピュエル、ラフィン。こいつをぶっ飛ばすぞ!」
 「はいっ!」

 リズリスヴェルの言葉は、ピュエルの折れかけた心を支え、目の前にいる怪物に立ち向かう勇気を奮い立たせた。
 今は悲しみに暮れている場合じゃない。
 痛みと向き合うのは、すべてが終わったあとでいいのだから。

 「わたしたちは、あなたを乗り越えてみせる!」
 「殊勝な心掛けだな、人間。だが無駄だ」

 女が軽く腕を振るうと、背後から2体の代理構成体が姿を見せる。

 「人の気持ちを弄ぶあなたに、何がわかるって言うんですか」
 「分かるさ。サナカが“教えて”くれたからな」
 「この野郎……っ!」
 「これも教わったぞ、人間。戦いの前には、自らの名を名乗るのだったな」

 その瞬間、女の姿形が泥のように溶けた。
 人間の形だけを真似た泥人形は、内部から様々な人間の顔を浮かび上がらせ、やがて禍々しい甲冑へと変化する。
 黒い泥でできた頭部に、血の通わぬ真っ白な顔が現れた。

 「しかし、我に名乗る名はない。亡霊……ヴァルマシアの亡霊とでも呼ぶがいい」


EPISODE6 たとえ無力でも「私は幻と戦っていたのか……? いや、それはあり得ない。そこに奴の正体を知る手がかりがある」


 工場区画で繰り広げられたヴァルマシアの亡霊との戦いは、コンダクターが勝利した。
 彼女はジャケットから最後のアンプルを取り出しエネルギーを補充すると、黒煙を上げる亡霊の下へと歩み寄る。

 「……これは」

 黒煙で塞がれていた視界の向こうに転がっていたのは黒剣の残骸のみ。
 コンダクターはすぐに残骸を解析する。黒剣に反応はなく完全に機能を停止していた。それは近くに転がる他の黒剣も同じだ。

 「奴は何処へ……」

 亡霊との戦闘データを高速で解析すると、亡霊の反応が黒剣とは明らかに異なっていると分かる。
 戦闘の際中にすり替わった、もしくはコンダクターに干渉して幻影を見せていたのだろうか。
 今のところ他に手掛かりになりそうなものは無い。
 ただ、ひとつだけハッキリしている事がある。
 すなわち、ピュエルたちの身に危機が迫っているという事だ。

 コンダクターは背後に広がる崖へと振り返ると、おもむろに駆けだした。
 だがエレベーターシャフトには向かわず、勢いよく崖から飛び降りたのだ。今は悠長に鉄骨を伝って地下に向かう余裕は無い。
 コンダクターの姿は、谷底の暗闇の中へと消えた。

 その頃、ピュエルたちはヴァルマシアの亡霊が放った代理構成体と戦っていた。
 息の合った連携で次々と代理構成体を退け、残るは悠然と佇む亡霊のみ。
 だが、どれだけリズリスヴェルが刃を振るおうとも、亡霊の隙を狙ってラフィンが槍を突き入れようとも、亡霊に傷を負わせる事ができないのだ。

 「……手応えはあるのに、なんで」
 「我が駒を排除した手際といい、人間にしてはやるようだ。だが――」

 腹部を槍で貫かれた亡霊は何も痛みなど感じないかのように、槍の柄を握りラフィンごと投げ飛ばした。

 「ラフィン!」

 ラフィンを庇ったリズリスヴェルは壁に激しく叩きつけられ、意識を失った。

 「……か、は……っ」
 「リズさん!?」
 「脆弱な身体。それが人間の限界だ」

 3人がいくら修練を積み重ねたところで、それは人間という枠の中での上澄みでしかない。
 より上位の枠に存在する亡霊を傷つける事など、人間には不可能なのだ。

 「わたしたちじゃ倒せないの……?」
 「“フフ、諦めて楽になればいいのに”」
 「サナカの声で喋らないで!」

 横薙ぎに振るった大盾が、亡霊の顔に直撃した。
 亡霊は顔を大きくひしゃげさせたまま、口の端を吊り上げる。

 「“こんな事をするなんて、酷い”」

 そう言って、ピュエルの首に手をかけた。

 「あ……んぐ……っ」
 「ピュエル!」

 ピュエルの盾が床に落ちるのと同時に、ラフィンが槍を繰り出す。しかし、腕を鞭のようにしならせた亡霊のカウンターを喰らって、呆気なく弾き飛ばされてしまう。

 「邪魔をするな、人間」
 「ぁ…………は……」
 「お前は、一番脆弱だな。無力で救いようがない。サナカの見立て通りだ」

 何かが軋むような音が、ピュエルの耳をなぶる。
 爪先がギリギリ床に掠める程度に持ち上げられたピュエルは、息も絶え絶えに亡霊を睨む。

 「む、無力でも……わたし、は……、絶対に、諦めないっ」
 「弱い人間など、要らぬ」
 「ん…………っ!?」

 ピュエルは、自分の腹に何かが侵入してくる気配を感じた。亡霊の右腕から伸びた何かが、ピュエルの腹部を突き破ったのだ。

 「そのガラクタがお前たちを護っていたようだが、残念だったな」

 リフレクターが効果を発揮しないゼロ距離から何かを注入され、ピュエルはじわりじわりとせり上がってくる恐怖を味わっていた。

 「だが、そんなお前にも使い道はある。お前は強い存在に生まれ変わるのだ。メインフレームの手先を殺す駒として」

 ヴァルマシアの亡霊がピュエルに注入したのは、人間を異形の代理構成体へと造り変える粒子だった。


EPISODE7 地の底に吹く風「君は生きるんだ。亡霊は、私が処分する」


 「わ、わたしが……? いや……いやぁ……っ!」

 ヴァルマシアの亡霊に注入された粒子が、腹の中で泳いでいる感覚があった。
 それは内臓を内側からしごかれるような、ひどく吐き気を催すものであり、激しく動揺したピュエルは今や腹を抑えて耐える事しかできない。
 それでも、うわ言のように「いや、いや」と小さく首を振って抗い続けた。

 「ぃや…………たく、ない……」
 「これは死ではない。進化だ」

 強き者になる事。
 それは、ヴァルマシアに生きる人間たちが誰しも抱く規律だ。
 現にピュエルも、強い自分になりたいと渇望した。
 自分にできる事ならなんでもすると、誓いもした。

 「喜ばしい事ではないか、人間。他の人間よりも上位の存在へと至れるのだぞ」

 敵だと認識していたはずの亡霊の声が、身体の奥深くまで浸透してくるような甘美な囁きへと変わっていく。
 否定しようとすればする程まとわりつき、自由を奪いさる。
 だが、ピュエルはその誘惑を真っ向から否定した。

 「ちがぅ……わたし、は……なりたく、ない……コン、ダクターさん……の、敵に……っ!」

 ピュエルは、自分の身体が造り変わってしまう事への恐怖よりも、コンダクターの敵になってしまう事の方が何よりも怖かったのだ。

 「こんな力、わたしは……いらない……っ!」

 ガクガクと震える足を引きずりながら、崩れた壁へと向かった。
 眼下には、思わず眩暈を覚えてしまいそうな高低差がある街並みが広がっている。

 「ハァ、ハァ……これ、なら……」

 まだ間に合う。
 自分は、人間として、ピュエル・バビステとして死ねるのだ。

 「……っ! ピュエル、ダメッ!!」

 ピュエルの意図を察したラフィンが、その手を取ろうと駆けだした。だが、既に外へと身を投げ出した彼女の手を掴む事などできない。ただの、人間には。

 「ピュエル!」

 その時、一陣の風が吹いた。
 風はラフィンの横を抜け、ピュエルを抱きしめるようにその身体を包みこみ――彼女の命を救った。

 「……大丈夫か、ピュエル」
 「ぁ……コンダクター、さん……」
 「君は、生きるんだ」

 彼女の声からは、抑揚も感情も感じられない。
 だが、どうしてこれほどまでに温かさを感じるのだろうか。
 限界まで張りつめていたピュエルは、涙を浮かべたままコンダクターの腕から逃れようとする。

 「わた、しは……死なないと、ダメなんです……」
 「ピュエル?」

 コンダクターには、何故ピュエルが自ら命を絶とうとしているのか理解できなかったが、その疑問は直ぐに解消された。
 コンダクターの瞳孔が捉えた彼女の身体情報が、「人間」から「代理構成体」の文字へと少しずつ変わり始めていたからだ。
 それと同時に、赤く彩られた「危険」の文字が浮かび上がる。
 まだ身体に変成は見られないが、彼女が代理構成体に再構成されるのは時間の問題だ。

 「敵となる人間を助けるか。理解できんな」
 「人間ではない。“ピュエル”だ」
 「羽虫風情が」
 「お前は、私が処分する」

 ヴァルマシアの亡霊がコンダクターへと迫る。
 振り降ろされた鎌を右腕に出現させた蒼剣で弾き返すと、コンダクターは一歩後ろに飛び退った。
 そして、もう片方の腕で支えていたピュエルを床に下ろして淡々と告げる。

 「ピュエル、そこで待っていろ」

 コンダクターは脇目もふらずに亡霊へと迫った。
 蒼剣と黒い鎌が衝突し、蒼い火花に照らされた亡霊の顔が浮かび上がる。
 その顔は、怪しく嗤(わら)っていた。


EPISODE8 混沌たる意思「私は、彼女を殺す事はできない」


 廃棄階層に広がる都市が、揺れていた。
 都市建築プログラムによって肥大化した都市が、轟音を響かせながら倒壊したのだ。
 コンダクターの蹴りが直撃し、亡霊はいくつもの壁を突き破ってようやく止まった。
 そこへコンダクターの蒼剣が追撃をかける。だが亡霊は身をひねって避けた力を利用してコンダクターにカウンターの蹴りを浴びせた。
 コンダクターは都市の地殻をえぐるように吹き飛び、ひとつ、ふたつと建築物が崩壊に巻きこまれていく。
 そんな両者の戦いを傍観していたラフィンは思わずつぶやいた。

 「……こんなの相手にしてたの?」

 基幹システムによって造られたプログラムアバターであるコンダクターと、幾度となくメタヴァースを脅かしてきた悪性アバター「ネメシス」に連なるヴァルマシアの亡霊。
 人間よりも上位の存在である両者の戦いに、人間が介入できるような余地など存在しない。
 それを一瞬で理解させられてしまうほど、戦いのスケールが違ったのだ。

 「……ラ、ラフィンさん……」
 「ぁ……ピュエル!」

 苦しそうにうめくピュエルの声にハッと我にかえったラフィンがピュエルの下へと駆け寄った。
 彼女の身体には、すでに再構成の兆候が見え始めていて、下半身の皮膚は代理構成体のソレに変わりつつある。

 「ハ……ッ、ァ…………」

 代理構成体化させる粒子を防ぐ事に手いっぱいで、ラフィンはこの事態を想定する余裕がなかった。

 「ピュエルを助けなくちゃ……」

 考えろ。考えろ、自分。
 必死に対策を練ろうと思考を巡らせようとするが、目の前のピュエルの姿がちらついてしまって思考が散らかってしまう。
 対策を思いつくのが遅れれば遅れるほど、ピュエルが助かる道が閉ざされていく。

 「……ど、どうしよう……どうすれば――」
 「ラフィン、進行を止めらんねーのか?」

 気づけば、ラフィンの隣にリズリスヴェルが座りこんでいた。

 「……リ、リズ。私……」
 「いいから。今はピュエルの事だけ考えろ」

 リズリスヴェルは、ラフィンの手をギュッと握りしめたまま、彼女の思考を手助けするように問いかける。

 「ピュエルの中で暴れてる粒子は、どこまで行ったら代理構成体に造り変えるんだ?」
 「……多分、頭。統治機関にいた代理構成体は、頭に直接粒子を投入されてた。だからそこまでいくとピュエルは完全に代理構成体になる」
 「腹をやられたんだったら、首にリフレクターを巻きつければいけるんじゃねーか?」
 「そんなはず……、でも」

 いくらなんでも荒唐無稽な考えだったが、彼女の細い首に巻きつけるという考えは、あながち間違っていない気がした。
 リフレクターを生成する反粒子を首に直接投与する訳にもいかないため、ラフィンはその考えを直ぐに実行に移す。
 ふたりは、自分たちのリフレクターを取り外してピュエルの首へと巻きつけた。

 「ピュエル、負けんなよ」
 「リ、リズさん、ラフィンさん……ごめ、なさぃ」
 「気にすんな」
 「……ん、リズは真っ先に気絶したしね」
 「っんな事は忘れろ! 今は、あいつが勝てるようにアタシたちにできる事を考えよ――」

 その時、辺りに大きな衝撃と何かが激突する音が鳴り響く。コンダクターと亡霊の戦闘が、直ぐ近くまで迫っているのだ。

 「ここがいつ崩れるかも分からねー。エレベーターシャフトに避難するぞ」

 ピュエルを担いで部屋を出た2人が階段を下りきったその時、背後から声がした。

 「何処へ行くんだ、人間?」
 「亡霊野郎……ッ!」

 リズリスヴェルが2人を庇うようにヴァルマシアの亡霊に立ち塞がるが、力の差は歴然。
 ラフィン共々あっけなく敗れてしまう。
 ピュエルを奪い去った亡霊は、彼女の首に巻きつけられていた装置を見て嘆息した。

 「無駄な足掻きを……」

 苦肉の策は、亡霊の手で握りつぶされた。
 遅らせていた粒子の進行が元に戻り、ピュエルの顔に再び苦悶の色が浮かぶ。

 「「ピュエル!」」
 「この人間をそんなに助けたいか? ならば、お前たちも仲間になるといい」

 亡霊が、ラフィンを庇うように背を向けたリズリスヴェルへと手のひらを向ける。その手には小さな空洞がぽっかりと広がっていて――

 「させん」

 亡霊の腕が、横から振り降ろされた蒼剣に叩き斬られた。

 「お前の相手は私だと言っただろう」
 「……羽虫がっ!」

 リズリスヴェルと亡霊の間に割って入ったコンダクターは、亡霊を見据えたまま彼女に語りかける。

 「天井の制御室を目指せ」
 「何だって?」

 するとコンダクターが何かを投げて寄こす。
 それは、コンダクターがエネルギーの補充に使った空のアンプルだった。アンプルには数字が無数に刻まれていて、意味ありげに蒼く煌めいた。

 「まさか、お前……」
 「急げ、時間がない」
 「行くぞ、ラフィン!」

 ふたりはコンダクターの言う制御室へと向かう。

 「その身体で、まだ人間を護るつもりか?」
 「……」
 「人間ごと我を葬れば、劣勢に立たされることも無かっただろうに……だが貴様にはそれがどうしてもできないらしい」
 「え……」

 ピュエルは亡霊に抱きかかえられながら、困惑した目を向ける。

 「貴様は、無辜の人間を殺せないようプログラムされているのだろう?」

 コンダクターは何も答えない。
 それが何よりも真実を雄弁に語っていた。

 「あ……っ!」

 亡霊はピュエルの頭を乱暴につかむと、彼女の身体に流れる粒子を操り、人間の部分を残したまま代理構成体へと造り変えてしまう。

 「これはまだ人間だが。お前に斬れるのか?」
 「コンダクターさん……わたしを、斬って……お願い……」

 泣いて死を願うピュエルは、そう言いながらコンダクターへと襲い掛かる。
 いくらピュエルが拒んでも、亡霊の操り人形と化した身体は何一つ言う事を聞かない。
 もはや、己の意思で死ぬ事も許されないのだ。

 「滑稽だな、枷に縛られたプログラムは」

 ピュエルの攻撃に合わせて振るわれた鎌が、コンダクターの腕を斬り落とした。蒼剣が床へと転がり、やがて消滅した。

 「コンダクターさん!!」

 火花を散らす腕を抑えたまま、コンダクターは一歩、また一歩と背後へとよろめく。
 そこへ追い打ちをかけるように亡霊の蹴りが彼女の身体を貫いた。
 瓦礫の中へと弾かれた身体は、無数の攻撃を受けて既にボロボロだ。
 ピュエルが思わず見惚れてしまった美しい顔も、スミレ色の髪も、今となっては見る影もない。

 「もうやめて……殺さないで……」
 「人間、アレはただのプログラムだ。造り物が人間の真似をしているだけに過ぎない」

 瓦礫の中から立ち上がったコンダクターへ亡霊の鎌が躍り、彼女の脚を、肩を、次々と斬り落としていく。
 もはや自力で立ち上がる事もできなくなった彼女を見下ろしながら、亡霊は嘲るように嗤う。

 「見ろ、まだ生きている。これでもお前はコレを人間扱いするのか?」
 「コンダクターさんは、人間です。あなたなんかよりもずっと!」
 「……そうか」

 亡霊はピュエルを突き飛ばした。
 覆いかぶさるように倒れこんだピュエルは、コンダクターを亡霊から護ろうと代理構成体と化した身体で果敢に立ち向かう。
 強靭な身体から素早く繰り出された長い腕が、亡霊の頬を斬り裂いた。だが、それだけだった。
 亡霊はピュエルの追撃を身を捻ってかわすと、身体を軸にして回転させた鎌をピュエルの脇腹に叩きこんだ。

 「ッ!?」

 刃に貫かれたピュエルは反撃の暇もなく、身体ごとコンダクターが横たわる瓦礫目掛けて振り降ろされる。
 その光景をコンダクターはただ見ている事しかできなかった。
 自分のために立ち向かい、自分を人間だと言ったか弱い少女が、亡霊に殺される瞬間を。

 「ピュ、エ――」

 コンダクターの言葉が最後まで紡がれる事は無かった。

 「仲良く人形遊びにでも耽るがいい」

 亡霊はそう言って2人の身体から鎌を引き抜くと、何処かへと去っていく。
 残された2人は、何も紡がない。
 ただ、抱きしめ合うようにして果てるのだった。

 世界の危機に立ち向かえる者はもういない。
 混沌たる意思を継ぎし亡霊の願いが果たされる時、電子の楽園は負の歴史を繰り返す事になる。
 崩壊の足音は、すぐそこまで忍び寄っていた。




■ 楽曲
┗ ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
┗ WORLD'S END
■ キャラクター
┗ 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
┗ NEW / SUN / LUMINOUS / VERSE / Mate
┗ マップボーナス・限界突破
■ スキル
┗ スキル比較
■ マップ・カスタムアイテム・アバターパーツ
┗ マップ一覧
┗ 称号 / ネームプレート / マップアイコン / ステージ背景 / システムボイス
┗ アバターパーツ


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  • 今回追加されたメタヴァ曲の背景は地上編のものだったけど,ストーリーは仮想世界での話だよね?また一波乱ありそうだな… -- 2024-10-20 (日) 18:41:00
  • デザインといい名前といいなんかアドミニストレータを意識してそうなキャラ -- 2024-10-21 (月) 12:00:23
  • レベル15の対応キャラでデススキルじゃないのは初めてだな -- 2024-10-21 (月) 12:43:05
    • 確認したけど天地創造だったよ -- 2024-10-21 (月) 12:48:34
  • このキャラ見た目が好きすぎてやばい… -- 2024-10-26 (土) 00:08:59
    • 本当にそれ -- 2025-07-20 (日) 19:13:18
  • なんでコメ欄に注意事項出てるの?過激なコメントがあって消されたとか? -- 2025-08-03 (日) 12:06:49
  • この結末、二人は亡くなったってこと? -- 2025-08-10 (日) 08:14:40
    • ヴァルマシアゴーストのSTORYを見て -- 2025-08-10 (日) 21:15:24

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