【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS / VERSE )】【マップ一覧( LUMINOUS / VERSE )】
| ※このページに記載されている「限界突破の証」系統以外のすべてのスキルの使用、および対応するスキルシードの獲得はできません。 |
Illustrator:ainezu
| 名前 | リズリスヴェル |
|---|---|
| 年齢 | 19歳 |
| 職業 | 調停官(セーフガード) |
| 身分 | 管理者権限レベル3 |
- 2024年10月17日追加
- LUMINOUS ep.VIマップ2(進行度1/LUMINOUS時点で155マス)課題曲「Fire Engine73」クリアで入手。
- トランスフォーム*1することにより「リズリスヴェル/Unyielding beat」へと名前とグラフィックが変化する。
階層都市ヴァルマシアを維持する、調停官(セーフガード)のひとり。
高い身体機能に反して精神面が不安定。正反対の性格であるラフィン・ベネルエムと行動を共にする。
スキル
| RANK | 獲得スキルシード | 個数 |
|---|---|---|
| 1 | 嘆きのしるし【LMN】 | ×5 |
| 5 | ×1 | |
| 10 | ×5 | |
| 20 | ×1 |
嘆きのしるし【LMN】 [EMBLEM]
- JUSTICE CRITICALを出した時だけ恩恵が得られ、強制終了のリスクを負うスキル。
- 勇気のしるし【LMN】よりも強制終了のリスクが低い代わりに、ボーナス量が少なく、JUSTICE以下ではゲージが増えなくなっている。
- 嘆きのしるし【SUN】と比較すると、同じGRADEでもこちらの方がボーナス量が2.50だけ高い。
- LUMINOUS初回プレイ時に入手できるスキルシードは、SUN PLUSまでに入手したスキルシードの数に応じて変化する(推定最大100個(GRADE101))。
- GRADE100を超えると、ボーナス増加が鈍化(+0.10→+0.05)する。
- スキルシードは300個以上入手できるが、GRADE300でボーナスの増加は打ち止めとなる。
効果 J-CRITICAL判定でボーナス +??.??
JUSTICE/ATTACKでゲージ上昇しない
JUSTICE以下300回で強制終了GRADE ボーナス 1 +22.50 2 +22.60 3 +22.70 26 +25.00 76 +30.00 101 +32.45 ▲SUN PLUS引継ぎ上限 152 +35.00 252 +40.00 300~ +42.40 推定データ n
(1~100)+22.40
+(n x 0.10)シード+1 +0.10 シード+5 +0.50 n
(101~)+27.40
+(n x 0.05)シード+1 +0.05 シード+5 +0.25
プレイ環境と最大GRADEの関係
| 開始時期 | 所有キャラ数 | 最大GRADE | ボーナス |
|---|---|---|---|
| 2024/5/23時点 | |||
| LUMINOUS | 13 | 157 | +35.25 |
| ~SUN+ | 257 | +40.25 | |
GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数
ボーナス量がキリ良いGRADEのみ抜粋して表記。
※水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。
※灰色の部分は到達不能。
| GRADE | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 | 9本 | 10本 | 11本 | 12本 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 800 | 1600 | 2400 | 3200 | 4267 | 5334 | 6667 | 8000 |
| 6 | 783 | 1566 | 2348 | 3131 | 4174 | 5218 | 6522 | 7827 |
| 16 | 750 | 1500 | 2250 | 3000 | 4000 | 5000 | 6250 | 7500 |
| 26 | 720 | 1440 | 2160 | 2880 | 3840 | 4800 | 6000 | 7200 |
| 36 | 693 | 1385 | 2077 | 2770 | 3693 | 4616 | 5770 | 6924 |
| 46 | 667 | 1334 | 2000 | 2667 | 3556 | 4445 | 5556 | 6667 |
| 56 | 643 | 1286 | 1929 | 2572 | 3429 | 4286 | 5358 | 6429 |
| 66 | 621 | 1242 | 1863 | 2483 | 3311 | 4138 | 5173 | 6207 |
| 76 | 600 | 1200 | 1800 | 2400 | 3200 | 4000 | 5000 | 6000 |
| 86 | 581 | 1162 | 1742 | 2323 | 3097 | 3871 | 4839 | 5807 |
| 96 | 563 | 1125 | 1688 | 2250 | 3000 | 3750 | 4688 | 5625 |
| 112 | 546 | 1091 | 1637 | 2182 | 2910 | 3637 | 4546 | 5455 |
| 132 | 530 | 1059 | 1589 | 2118 | 2824 | 3530 | 4412 | 5295 |
| 152 | 515 | 1029 | 1543 | 2058 | 2743 | 3429 | 4286 | 5143 |
| 172 | 500 | 1000 | 1500 | 2000 | 2667 | 3334 | 4167 | 5000 |
| 192 | 487 | 973 | 1460 | 1946 | 2595 | 3244 | 4055 | 4865 |
| 212 | 474 | 948 | 1422 | 1895 | 2527 | 3158 | 3948 | 4737 |
| 232 | 462 | 924 | 1385 | 1847 | 2462 | 3077 | 3847 | 4616 |
| 252 | 450 | 900 | 1350 | 1800 | 2400 | 3000 | 3750 | 4500 |
| 272 | 440 | 879 | 1318 | 1757 | 2342 | 2927 | 3659 | 4391 |
| 292 | 429 | 858 | 1286 | 1715 | 2286 | 2858 | 3572 | 4286 |
| 300 | 425 | 850 | 1274 | 1699 | 2265 | 2831 | 3538 | 4246 |
所有キャラ
- CHUNITHMマップで入手できるキャラクター
- ゲキチュウマイマップで入手できるキャラクター
バージョン マップ キャラクター LUMINOUS イロドリミドリ
~卒業編天王洲 なずな/卒業編 maimai
でらっくす黒姫 オンゲキ
Chapter4結城 莉玖
/きーーーーん!LUMINOUS+ オンゲキ
Chapter5井之原 小星
/Make UP Future!柏木 咲姫
/Make UP Future!桜井 春菜
/Make UP Future!早乙女 彩華
/Make UP Future!
- 期間限定で入手できる所有キャラ
カードメイカーやEVENTマップといった登場時に期間終了日が告知されているキャラ。
また、過去に筐体で入手できたが現在は筐体で入手ができなくなったキャラを含む。- EVENTマップで入手できるキャラクター
ランクテーブル
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| スキル | スキル | |||
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| スキル | ||||
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
| 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| スキル | ||||
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| スキル |
| ・・・ | 50 | ・・・・・・ | 100 | |
| スキル | スキル | |||
STORY
ストーリーを展開
EPISODE1 いつか来たる日のために「規律を遵守する事は、ヴァルマシアに生きる者の務めだ」
名前:リズリスヴェル
年齢:19歳
職業:調停官(セーフガード)
身分:管理者権限レベル3
階層都市ヴァルマシア。
ここがいつ頃から存在しているのか、また、何故そう
なったのか、住人たちの中に知る者は誰一人として
いない。
膨大な時の流れの中で、この都市で暮らす人々は
日々を生きるのに必要なものだけを取捨選択し、後世へ
継承を繰り返してきた。
そんな彼らに必要なものは、ごくわずかだ。
自動化された製造ラインから供給される物資と、
厳格な規律の遵守。
それらを行うのが、ヴァルマシアの中心にそびえ立つ
構造物に拠点を構えた「統治機関」である。
機関といっても事実上の「執行機関」であり、そこに
所属する者たちも機関の設立当初に定められた規律を
忠実に実行しているだけに過ぎない。
つまり、ヴァルマシアという小さな世界を支配して
いるのは、規律という名の“システム”なのだ。
ではヴァルマシアに生きる住人たちの末端に至るまで
忠実に守っている規律とは、なんなのだろうか。
それは、“いつか来たる決戦の日”に備える事だ。
リズリスヴェルは、その日に向けてシステム存続の
責務を負った調停官(セーフガード)のひとりである。
EPISODE2 未知との接触「敵なんて言葉、訓練以外で初めて聞いたよ。それも怪物? いいじゃねーか、相手にとって不足はねえ!」
リズリスヴェルの一日は、戦闘訓練に始まり、
戦闘訓練に終わる。
今日も明日も、その次も。それは命が尽きる日まで
変わらないだろう。
それが己の人生であり、すべてを賭けてでも
果たさなければならない使命である。
だが、そんな訓練漬けの日々を過ごしてきた彼女も、
今日という日だけは動揺せざるを得なかった。
統治機関の一室に設けた訓練室で瞑想をしていた
リズリスヴェルは、室内に響くけたたましい警報音に
ゆっくりと目を開く。
『――リズ、直ぐ作戦室に来て』
「ああ、もう向かってるよ」
相棒のラフィンからの通信を切ると、部屋の隅に
立てかけていた鞘を手にし、作戦室へと向かう。
作戦室には、既に多くの調停官が集結していた。
「おし、集まってるな」
リズリスヴェルは真っすぐに部屋の中央へと進み、
装置の前に立つ白髪の少女に問いかける。
「何があった」
「……リズ、早かったね」
「当たり前だろ。この警報、いよいよ“決戦の日”
かもしれないんだからな」
「ん、そうだね」
ラフィンは話を切り上げると、自身の腰の高さ程は
ある立体投影装置上に再現されたヴァルマシアの一点を
指さした。
そこはヴァルマシアをぐるりと取り囲む『最果て』に
最も近い村のひとつだ。
「第4、8、13、17の4つの村から一斉に
報告が入ったのは、ついさっき。現場は混乱してて、
正確な情報を取得するにはまだ時間が掛かりそう。
でも、正体不明の怪物が出現したって事だけは、綺麗に
一致してる」
「怪物だァ? どんな奴なんだよ」
「……これ」
ラフィンが提示した画像は荒い解像度のもので、
黒いもやがかった何かに赤い光が4つ灯っているだけ。
「なんの参考にもならねえ……」
大きなため息をついたあと、リズリスヴェルは端末に
向けて自身の手をかざす。
「管理者権限行使。全調停官の武装拘束を解除せよ」
『レベル3のアクセスを検知――承認』
端末から機械的な音声が響いたかと思えば、調停官
たちが携行している武器から「ピッ」と小さな電子音が
鳴った。
「移動に軌道用車両を使って構わない。各自、担当の
エリアに急行しろ。敵は未知の生命体だ、ぬかるんじゃ
ねーぞ、分かったな?」
調停官たちは一斉にリズリスヴェルへ敬礼し、
そのまま部屋を後にした。
「さて、アタシらも行くとするか」
「……ん、了解」
「怪物か……へへ、楽しくなりそうだぜ」
肩に鞘を当てたまま、リズリスヴェルは不敵に笑う。
夢にまで見た“いつか来たる決戦の日”。
それが自分の代で訪れたのかと思うだけで、はやる
気持ちを抑え続ける事などできるわけがなかった。
EPISODE3 メカ女「怪物をたった1人で殲滅した女は、機械みたいな奴だった。少しは笑えっての」
軌道用車両で村へと駆けつけたリズリスヴェルは、
着いて早々に村の様子がおかしい事に気がついた。
夕闇にもうもうと黒煙が混じっている。
だが、村の中で戦闘が起きている気配はない。
「どうなってんだ」
「……村人が全滅、怪物が移動した。他には――」
「ここで考えてても意味がねー。行くぞ」
「……ん」
視界に入った瓦礫を蹴り倒し、真っ直ぐに中央の塔を
目指す。塔へと近づくにつれ、戦闘の痕跡が至る所で
見つかり、村人の亡骸に紛れて怪物の骸がちらほらと
転がっていた。
「……善戦してたのかな」
「生存者がいればいいけどな」
怪物の骸を分析しようとしたラフィンの手を掴み、
塔へと続く勾配を登ると、やがて塔を一望できる広場に
たどり着く。
広場には怪物の骸が無数に転がり、その直ぐ近くに
観測士(シーカー)のピュエルと蒼い剣を手にする女の
姿があった。
「――!?」
リズリスヴェルは女を視界に捉えるやいなや
立ち止まり、腰にはいた鞘に手を添える。
「てめーは、誰だ?」
「えっ!? ……ゃばっ、リズさん!?」
「おい、うすのろ。今なんか言ったか」
「な、なんでもないですっ!」
「フン、で、そいつは誰なんだよ?」
「えっと、この人は……」
ピュエルがどう伝えるべきか考えていると、蒼い剣の
女がこちらへと進み出る。
その手に握られていたはずの剣は、いつの間にか姿を
消していた。
「私はコンダクター。六千世界を守護する者」
「ろくせ……? はァ?」
コンダクターは何か言いたげな女を遮って続ける。
その視線は、リズリスヴェルの頭部にある角型の
端末に注がれていた。
「お前は、人間か?」
「はァ? 人間に決まってんだろ! なんなんだ、
こいつ」
「コンダクターさんはずっとこんな感じで……。
でも、この人がいなかったら今頃わたしたちは怪物に
殺されていたかもしれません。だから、悪い人じゃ
ないんです!」
「そんなの分からねーだろ?」
「でも……っ」
「そもそも、そいつを決めるのはアタシだっての。
で、この数を本当に1人でヤッたってのか?」
「はい、本当にすごかったんですよ!」
ピュエルは身振り手振りでコンダクターがどれだけ
凄い事をやってのけたのか力説する。戦闘の影響からか
彼女は興奮冷めやらぬといった感じで、擬音だらけの
説明はいまいち要領を得ない。
だが、統治機関が状況を把握してここに駆けつける
までさほど時間が経っていないにも関わらず、怪物を
殲滅してのけたのだ。
コンダクターの力は本物だろう。
彼女の底知れぬ力を考えるだけで、リズリスヴェルは
喉にざらついたひりつきを覚えずにはいられなかった。
「……多分、ピュエルの言ってる事は本当。怪物を
調べたら、どれも未知の粒子が付着してたから」
「ハ、そいつはすげーな」
リズリスヴェルは乾いた笑みを浮かべてはいるが、
彼女が規格外の戦力を持つと分かった以上、いっそう
警戒せざるを得ない。
「わざわざ六千世界の中からヴァルマシアにまで
やって来た理由はなんだ? 事と次第によっちゃ、
アタシらはお前を拘束しなくちゃならない」
鞘を鳴らしてわざとらしく煽る。明確な敵意を
向けられてもなお、コンダクターは抑揚のない声で
淡々と返した。
「私は、アクセス端末を探している」
「アクセス端末……?」
知ってるか? とラフィンに目配せしてみたが、
彼女も聞いた事がないのか首を左右に振る。当然ながら
ピュエルも何も知らなそうだ。
「基幹システムとの接続にはアクセス端末が
必要不可欠だ」
彼女たちの反応から、ここの人間が誰も端末の
所在について知らないと判断したコンダクターは、
もう用はないとでも言わんばかりに踵を返し、
何処かへと歩き出す。
「あ! アタシの話はまだ終わってねーぞ!」
コンダクターは答えない。
彼女はきっと、アクセス端末を探し出すまで
この階層都市を練り歩くつもりなのだ。かなり無茶な
事をしようとしているが、彼女にはそれを難なく
やり遂げてしまいそうな雰囲気があった。
「ぁ――待ってください! コンダクターさん!」
今ここで彼女を見失えばもう二度と会えない気が
して、ピュエルは思わず叫んだ。そして、無我夢中で
彼女を引き止める言葉を口にする。
「わ、わたし、手掛かりになりそうなものを
見たんです!」
「……」
ピュエルの声にコンダクターは足を止めた。
振り返った彼女の表情は、相変わらず何を
考えているのか読み取れない。
「ピュエル、案内してくれ」
「わ、わかりました! 少し待っててください!」
ピュエルは大急ぎで塔に向かい、中に避難していた
村長に事情を説明すると、旅支度をして戻ってきた。
「さあ、行きましょう!」
その時、ピュエルの背後へ音もなく近づいた
リズリスヴェルが、彼女の脇腹を思いきり抓った。
「ぃ……ひあぁぁぁぁっ!?」
「おい、うすのろ。なに勝手に話を進めてんだよ。
言っただろ、それを決めるのはアタシだって」
「す、すみません……」
「人間、お前も来るのか」
「人間って言い方は止めろ。アタシには、
リズリスヴェルって名前があるんだよ」
「承知した」
コンダクターは頷くと、おもむろにラフィンへと
向き直る。コンダクターと比べて頭2つ分程背が低い
ラフィンが不安に満ちた声を漏らす。
「……な、何?」
「お前は、人間か?」
「それ全員にやるつもりかよ!?」
リズリスヴェルに率いられながら、一行はピュエルの
言う手がかりを求め、村を出るのだった。
EPISODE4 交わり始めた線と線「外に出たがってる理由がアタシの予想通りなら……いや、そんな事あるわけがない」
「――もしかしたら、『最果て』に行けば何か
手掛かりが見つかるかもしれません」
最果てへと向かう道すがら、ピュエルは怪物の群れと
遭遇した際に見た、宙に浮く黒い剣の話をした。
「あの黒い剣は、刀身から黒い泥のようなものを
吐き出していました。多分、あの泥が怪物になって
わたしたちの村にやって来たんだと思います」
「実際に見たのか? 泥が怪物になる所を」
「いえ……でも、泥が地面に落ちてから直ぐに、
怪物と橋で出くわしたんです」
「怪物を最初に目撃したのは何処だ?」
「そろそろ見えて来ると思います。えっと……」
「なんだよ、立ち止まって」
「いえ、なんでもありません」
リズリスヴェルから逃げるように崩落した橋へと
駆け寄ると、ピュエルは向こう岸を指さした。
「あ、あそこです
「ん……ここからじゃ遠くて何も見えないね」
「そうですね……」
ピュエルはそう言いながら、何かを探すように
辺りをきょろきょろと見渡している。
その様子が気になったラフィンが声をかけようと
したその時、リズリスヴェルが割って入った。
「ピュエル、お前何かアタシらに隠してねーか?」
「……っ」
「ハッ、図星みたいだな」
ピュエルはリズリスヴェルの指摘を認め、深々と
頭を下げる。そして、崩落した橋で起きた事を話した。
「どうりでサナカを見なかったわけだ。……そっか、
あいつ死んじまったんだな」
そう寂しそうにつぶやく彼女の口振りは、ピュエルや
サナカをからかう時に見せる粗暴さとはかけ離れていて、
胸をしめつけるものがある。
「なあ、あいつが死ぬとこは見たのか?」
「いえ……剣と一緒に落ちて行ったのを見ただけで、
死んだところまでは……だから、もしかしたら生きてる
かもしれないと思って……」
「そうか。幼馴染だもんな、そう思いたくなる
気持ちは分かるぜ」
「隠し事をして、皆さんをここまで連れて来たことを
謝ります。ただ、わたしは出まかせで端末の手掛かりが
あるって言ったんじゃないんです。それだけはどうか
信じてください」
「……根拠はあるの?」
「はい。わたしたちは、剣が何度も波を突き破ろうと
する姿を見ました」
ピュエルは目を閉じてあの時の状況を思い浮かべる。
「なんであんなことをしてたのか、あの時は
わからなかったけど、コンダクターさんの話を聞いた
今ならわかる気がします。あの剣と怪物は、外の世界に
出たがっていたんじゃないかって」
「そんなの分からねーだろ?」
「……ううん。意外と黒剣がアクセス端末の
手掛かりになるかもしれない」
何か閃いたラフィンが、ひとつの仮説を立てた。
「コンダクターは世界をつなげるために。黒剣は
外に出るために。どっちもアクセス端末を探してる」
「じゃあ、あの剣を探し出したら――」
「ん。運がよければ、アクセス端末も見つかるよ」
「確かに、建てつけは悪くねえな。コンダクター、
お前はどう考えてるんだ?」
「私は、ラフィンの考えを支持する」
コンダクターが頷くのを見て、沈んでいた
ピュエルの表情に余裕が戻って来た。彼女はまるで
自分の事のように喜ぶと、率先して『最果て』への
迂回ルートを提案した。
早速、迂回ルートから向こう岸を目指すピュエルと
コンダクターの後ろ姿を黙りこくったまま見つめて
いたリズリスヴェルは、ブツブツとつぶやく。
「外の世界……決戦の日……いや、バカげてる」
「……どうしたの、リズ」
「なんでもねーよ」
唐突に浮かんだあり得ない考えを切り捨てるように
首を振ると、ラフィンとその場を後にするのだった。
EPISODE5 アタシが決めた「アタシの直感が言ってる、ピュエルは絶対に折れない奴だって。だから、あいつなら乗り越えられる」
迂回して崩落した橋の向こう岸へと渡った一行は、
初めて怪物と遭遇した場所を捜索してみたものの、
そこには幾つかの戦闘の痕跡と怪物の骸以外、何も
なかった。
ピュエルとサナカを庇って怪物と戦った観測士
(シーカー)の男たちも、血痕と電磁ピストルだけを
残してこつ然と姿を消していたのだ。
電磁ピストルのエネルギー残量を確認し、ラフィンは
首を左右に振った。
「……これ以上得られるものは無さそう」
「そうだな。この調子じゃ『最果て』でも得られる
ものは無さそうだが。行くぞ、ピュエル」
「はい……」
立て続けに仲間が生死不明と分かり、意気消沈した
ピュエルは俯きながらリズリスヴェルの後をついて
いく。そんな彼女たちを、コンダクターは無言で
見つめていた。
それから『最果て』へとたどり着いた一行だったが、
案の定、そこにも大した手がかりは無かったのだ。
「ま、予想通りだったな」
リズリスヴェルはコンダクターを連れて周囲の
探索を始める。
残されたピュエルは、ただ自分の不甲斐なさを
痛感し、立ち尽くすしかない。
「……ピュエル、手伝ってくれる?」
そんな彼女を見かねてラフィンが声をかけた。
背後からの声に振り返ってみると、視界いっぱいに
観測機が飛びこむ。
「えっ?」
「……少しは気が晴れるかも」
「あ……ありがとうございます」
ピュエルはラフィンに言われるがまま『最果て』の
波を観測する。波は、どこまでも、いつまでも穏やかに
揺れ動くだけだった――。
ラフィンが波の詳細な点検に使う専用端末を用いた
調べた結果分かったのは、ピュエルの証言を裏付け
られた事だけ。それ以外に得られるものは無かった。
「結局、黒剣の存在を裏付けられただけか」
「あの剣は何処に行ったんでしょうか?」
「さあな。とりあえず、ここにもう用はねえ。
ラフィン、本部に戻るぞ」
「……ん、了解」
ラフィンは頭の通信端末に手を当てて本部との
連絡を試みる。
「……あれ」
「どうした?」
「さっきまで通じてたのに……本部と連絡が
取れなくなってる」
ラフィンよりも権限レベルの高いリズリスヴェルが
緊急用の回線を開いて連絡しようとするが、いくら
試しても反応はない。
「まずったな……」
この状況で考えられる事態は、ひとつしかない。
「本部に戻るぞ」
「ん」
「コンダクター、お前も来い。アタシの予想が
合ってるなら、お前の力が必要になる」
「承知した」
「リ、リズさん。わたしも行っていいですか?」
「お前はいちいち許可取らないと動けねーのか?」
「あう……すみません……」
「アタシは、もうとっくにお前の事を仲間だと
思ってたんだけどなー」
「え? 今なんて――」
その時、リズリスヴェルの手がピュエルの頭に
触れた。そのまま乱暴に髪を撫でつける。
「ひゃっ」
「いつまでもしょぼくれた顔してんじゃねー。
さっさと行くぞ、ピュエル・バビステ」
「――ッ、はいっ!」
新たな目的地は、統治機関の本部。
気持ちを新たにしたピュエルは、皆と共に
統治機関へと向かうのだった。
EPISODE6 崩壊する秩序「中央を完全に潰されたら、アタシたちの代で全てが終わっちまう。そんな事、あっちゃならねーんだよ!」
統治機関があるヴァルマシア中心部へと直行できる
軌道用車両は、どこまでも続く構造物の外壁から
せり出すように伸びた軌道上に存在する。
それは都市の保全と増改築を行う都市建築プログラム
によって無秩序な迷路と化した地上よりも高い位置に
あるため、車両が本部へと到着するのにそう時間は
掛からなかった。
程なくして見えてきた統治機関の本部には、激しい
戦闘の痕跡が至る所に残されていた。
「クソッ、やられた!」
「これが統治機関なんですか……? 酷い……」
車両の格納庫から見下ろせる統治機関は、怪物の
群れの襲撃に遭い、無惨な姿へと変貌していたのだ。
人も怪物も至る所で骸を晒し、何者にも穢された事の
ない白亜の壁には無数の赤と黒の染みがべっとりと
付着していた。
「お前ら、アタシの傍を離れるなよ」
リズリスヴェルは格納庫から内部へと直結する道を
駆けていく。3人は彼女の後を追いかけた。
幸いな事に通路にまで怪物の手は伸びておらず、
一度も戦闘する事なく接近できた。
「まずは通信端末を復旧させる」
通路と本部とを隔てる扉を慎重に開け、内部を
確認したリズリスヴェルが滑りこむように侵入する。
ハンドサインで安全な事を伝えると、ラフィン、
コンダクター、ピュエルの順に中へ入った。
思いがけぬ形で本部に来る事になったピュエルは、
初めて見る光景に溜息をもらす。
「ここが……中央の……」
白く殺風景な造りの内部には、所々に金属でできた
大小様々な彫刻が佇む。造形は人間に近いが、頭部や
腕などが人間とは大きく異なっていた。
万が一、怪物に見つからないよう身を屈めながら
進むうちに、ピュエルはその彫刻が気になってしまい
無意識に数を口ずさんだ。
「1……2……3……」
床に転がる骸に脚を取られないよう慎重に進む。
「4……5……6――」
「――――エル」
その時だった。通路が交差する場所を進んでいた
ピュエルは、自分の名前を呼ばれたような気がして、
足を止めて辺りの様子を伺う。
「――――エル――――」
間違いない。
誰かが自分の名前を呼んでいる。
「もしかして――」
直感の赴くままに、ピュエルは通路を曲がって声を
頼りに進み、半開きの扉を見つけた。
「――――エル――――」
「サ、サナカ……?」
つんのめりそうになるのを堪えながら、ピュエルは
扉を開け放つ。
薄暗く狭い部屋の中に、立ち尽くす人がいた。
ピュエルに背中を向けているその人物は、ぼそぼそと
何かつぶやいている。
「ぇぅ――――ぇぅ――――」
「サナカ!?」
肩に触れようと一歩踏みこんだ矢先、ピュエルは
違和感を覚えて立ち止まった。点滅を繰り返す灯りから
わずかに見えたその身体が、明らかにおかしかった
からだ。
「なん……首が、伸びて――」
いや、それだけではない。
手足は細く長く、そして今も身体をビチビチと震わせ
ながら、形を変えていくではないか。
その度に赤黒い液体が身体から溢れ出し、その余りの
おぞましさにピュエルは思わずのけ反り、扉に身体を
ぶつけてしまった。
目の前の人物が、ゆっくりとピュエルに振り返る。
「ひっ……!?」
それは、顔が“逆さま”についた「何か」だった。
ピュエルがサナカだと思っていたのは、「何か」が
発する金切り声のような音でしかなかったのだ。
「何か」が奇声を上げながらピュエルへと迫る。
咄嗟に攻撃を大盾で防いだピュエルは、覆いかぶさる
「何か」の圧倒的な力の前に、扉ごと通路に弾かれた。
EPISODE7 死の輪郭線「ったく、あいつは何やってんだ! くだらねー事で死んじまったら、絶対に許さないからな!」
通路に弾き飛ばされたピュエルは勢いよく壁へと
叩きつけられた。
「――んはっ」
「何か」はピュエルに息つく暇も与えずに突進する。
視界の端で「何か」が向かうのを捉えたピュエルは、
辛うじて身をよじり、直撃を回避した。
長い首ごと「何か」の顔が壁へとめりこむが、
それだけで動きは止まらない。
まるでそれ自体が別の生物であるかのように蠢く
「何か」の首をまじまじと見つめると、骨が剥き出しに
なったかのような首の前後に棘のような鋭い突起が
生えていた。
あれに巻きつかれでもしたら、ピュエルの柔らかな
肌は簡単に引き裂かれてしまうだろう。
そうなれば、終わりだ。
「いぃぃ……やあああぁぁぁぁッ!!」
身体を伝う恐怖を払いのけるように振り上げた大盾を
「何か」の首目掛けて叩きこむ――だが、全力で振り
上げたせいか盾は天井にぶつかってしまい、衝撃が
自分へと返ってくる。
「あッ!?」
狭い通路での大立ち回りなど、これまで行ってきた
訓練では想定すらしていなかった。
壁から首を引き抜いた「何か」がピュエルを視界に
捉える。
更にピュエルにとって不運だったのは、目の前の
敵が獣のように身を屈めている事。
獣のように四足歩行で近づいてくる「何か」の
長く伸びた腕が、逆さまになった頭部から垂れ下がる
髪の毛に隠れてしまうのだ。
「ハ……ッ、ハ……ッ」
相手の獲物が見えないのは不必要に神経を
すり減らす。考える必要のない動きまで想定せざるを
得なくなり、一挙手一投足が鈍ってしまう。一分一秒を
争う戦いでそれは致命的だった。
(集中するんだっ!)
盾を前方に構えながらジリジリと後退し、相手の
前腕に集中する。
ゆえに、ピュエルは真横から突然盾を掴まれるまで、
気付けなかったのだ。
「何か」の腰から伸びていた、腕のような尻尾に。
「え……っ、――――――ッ!?」
前からの攻撃に意識を取られて反応が遅れた
ピュエルは、気づけば盾ごと壁に叩きつけられていた。
想定外の攻撃は、ピュエルの意識を容赦なく刈り取る。
床に落下した時には、指一本動かす事さえできなく
なっていた。
(動いて、動いてよ……わたしの身体……)
金属が擦れるような耳障りな足音が響く。
それが近づくにつれ、死の輪郭線が色濃く浮かび
上がり、現実味を帯びていく。
意識が遠のく瞬間にピュエルが見たのは、「何か」が
振り上げた腕と、その身体を貫く蒼い光だった。
EPISODE8 浮かび上がる事実「アタシらは、いったい何と戦ってるんだよ……?」
「――離れるなっつっただろッ!?」
目覚めたばかりのピュエルを出迎えてくれたのは、
リズリスヴェルの怒声と共に降り注いだ拳骨だった。
「申し訳ありませんでした……」
まだ頭が痛むのか、ピュエルは立ち上がれずに
頭に手をやって痛みに耐えている。
「コンダクターが速攻で片をつけなかったら、今頃
お前はバラバラになってたかもしれねーんだぞ。ここは
もうアタシらの庭じゃない、戦場だ! 戦場じゃ弱えー
奴から死んでくんだ。お前はたまたま2回連続で幸運を
掴んじまったみてーだが、それだけだ。そんな調子じゃ
次は死んじまうぞ!」
「そう、ですよね……っ、わたし……、ぐすっ、
弱いですもんね……っ」
激昂するリズリスヴェルを前にして、ピュエルの声は
今にも消え入ってしまいそうな程か細い。
「でも、わたし……がんばったんですよ……」
ピュエルはいつの間にか泣きじゃくっていた。
今は一刻も争う状況だ。直ぐにでも端末を復旧し、
他の調停官と繋がらなければならない。
だが、リズリスヴェルは一度も急かす事なく、彼女が
心の底から絞り出す言葉にずっと耳を傾けていた。
「コンダクターさんは一発であんな怪物まで
倒しちゃうし、リズさんにラフィンさんだって、
わたしにはない強さを持ってます……。わたし……
みんなの足を引っ張ってるだけですよね。弱いですよね
……」
「ああ、弱えーな」
リズリスヴェルが突き放すような言葉を次々と
投げかける。
「自分の弱さにいじけて、ただウジウジ言ってる
ような奴は、ずっと弱えーままだ。そんな奴はどこに
行ってもずっと足手まといだよ。勝手に野垂れ死ね」
「ちょっと、リズ……」
慌てて止めに入ったラフィンを遮って、続けた。
「でもな、お前はひとつ大きな勘違いをしてる」
「……」
すると、リズリスヴェルはピュエルの胸倉をつかみ、
強引に引っ張り上げて立たせた。
リズリスヴェルはピュエルよりも小柄だ。
だが、今のピュエルには何倍にも大きく感じられた。
そこへ射貫くようなリズリスヴェルの眼差しが
注がれる。
「比較すんのは他人じゃねえ、自分だ! 昔の自分と
今の自分が殴り合って、克てるかどうかだ!」
「――ッ」
「誰だって最初から強いわけじゃねー。何度も何度も
自分と殴り合って、自分に克ち続けてきたから、今の
自分があるんだよ!」
ピュエルの瞳に、光が灯った。
それはまだほんの小さな光に過ぎないが、これまでの
どんな光よりも強い意志を宿している。
「いいか、アタシは一度しか言わねー。お前は、
“何が”したい?」
「……ぁんな怪物に、負けないくらい……強く、
なりたい、です……」
「声が小せえ!」
「もっと! 強くなりたい!」
「じゃあ“何を”したい!?」
「わたしを! 鍛えてください!」
“恥ずかしい”だとか、“やっぱり”だとか。
ピュエルの内側に潜み続けていた弱い自分という
“怪物”は、いつの間にか何処かへと消えていた。
やるべき事は、最初から決まっていたのだ。
「いいぜ」
その言葉と笑顔は、どんな励ましよりも力強く
ピュエルを支えてくれた。
「ま、特訓する前にこの状況を片さねーと
いけないんだけどな」
状況は更に悪化するばかり。
事を慎重に進める必要があるだろう。
怪物たちがリズリスヴェルの声に反応する前に
ここを離れる必要がある――だがそれをコンダクターが
引き止めた。
「待て」
「どうした、その異形にまだ用でもあんのか?」
「これは、人間“だった”ものだ」
「何だと?」
「……これが人間? ちょっと信じられない」
「コンダクターさんの言ってることは本当です。
わたしは、人間からこの姿になるのを見ました」
「あ、ありえねーだろ。人の原型なんかほとんど
残ってないんだぞ?」
「これだ」
コンダクターが異形の顔を指さす。
よく見てみると、渦を巻いたようにねじれた顔の中に
小さな穴が開いていたのだ。
「ここから針状のものに貫かれ、粒子を
植えこまれた痕跡がある」
「粒子だァ?」
「人間の身体を造り変えちゃうなんて、
そんなことできるんですか?」
「可能だ」とコンダクターは頷いた。
「私のアーカイブに、これに近しい技術を見つけた」
その技術の基礎理論が完成したのは、今からおよそ
36万周期前。
対立する勢力が、膠着した戦局を変えるために投じた
非人道的な技術だった。
「対象の体組成を劇的に変化させ、戦術兵器として
運用する。私たちの世界ではこう呼ばれていた――
“代理構成体”と」
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