スフィアー

原語は「sphere」。
意味は球体、範囲、領域、分野、階級など。

クラシック・ダンジョンズ＆ドラゴンズ

訳語は領域。マスター・ルール・セットで解説されている。
アウタープレーンに存在するイモータルが属しているエネルギーの属性を表わしている。物質、エネルギー、時間、思考、エントロピーの5種類がある。

アドバンスド・ダンジョンズ＆ドラゴンズ

第2版の用語。
信仰の対象となる神格や哲学、エネルギーといった存在が関連する権能を表現している。具体的には「その信仰の対象が司るもの」ということになる。
AD&D2ndのプリースト呪文にはその呪文が属するスフィアー名が記されている。呪文によっては複数のスフィアー名が設定されていたりする。クレリックやドルイドを含めて、全てのプリーストには特定のスフィアーの呪文に対するアクセスの度合が設定されている。
アクセスはメジャー、マイナー、ノンの3つに分けられる。アクセスがメジャーに該当するスフィアーの呪文は全て使用可能、マイナーアクセスであれば3レベル呪文まで、ノンアクセスの場合はそのスフィアーの呪文は一切使用できない。
プレイヤーズハンドブックに載っている他にも、サプリメントで追加のスフィアーとその呪文が紹介されている。特に「Spell & Magic」ではクレリックとドルイドがアクセス可能なスフィアーの設定が見直されている。

プレイヤーズハンドブック

プレイヤーズハンドブックで紹介されているスフィアーは以下の16種類。

• アストラル(Astral)
  訳語は「異世界」。異なるプレーン(世界)間の交信や移動を司る。小規模の世界の神や世話好きの神、哲学や旅を司る神が与えてくれるらしい。プレイヤーズハンドブックでは呪文が2つしかない。
• アニマル(Animal)
  訳語は「動物」。生物に対して影響を与えるが、人間型生物は含まれない。自然や農業を司る神がメジャーアクセスとなる。
• ウェザー(Weather)
  訳語は「天候」。気象に影響を及ぼす。天候や自然現象を司る神がメジャーアクセスとなる。
• エレメンタル(Elemental)
  訳語は「精霊」。地水火風の四大元素に影響を及ぼす。自然や精霊を司る神、あるいは様々な技能、船乗りの神がメジャーアクセスとなる。四大元素全てにアクセスできる宗派はほとんどいないとされる。
• オール(All)
  訳語は「共通」。全ての宗派のプリーストが使用可能。最も基本的な呪文であり、プリーストに必要不可欠なものがそろっている。ただしパラディンやレンジャーはアクセス不可。プレイヤーズハンドブックでは5つしかなく、内4つが1レベル呪文だったりする。残る1つはアトーンメント。
• ガーディアン(Guardian)
  訳語は「守護者」。物体や生物に魔法的な防御を施す。守り手となる生物を配置することが多いため、プロテクションよりも能動的な効果を持つ。守護、治癒、詐欺の神が与える事が多い。特に神聖な場所を守るための呪文が少なくない。プレイヤーズハンドブックでは5つの呪文が属している。
• クリエーション(Creation)
  訳語は「創造」。無から有を生み出す。信者に恩恵をもたらすため、幅広く利用されるスフィアーである。プレイヤーズハンドブックでは6つの呪文が属している。
• コンバット(Combat)
  訳語は「戦争」。プリーストの敵対するものを攻撃するために使われる。主に戦いや死を司る神がメジャーアクセスとなるが、多くの宗派では自衛に関心があるためアクセス可能なことが多い。プレイヤーズハンドブックでは8つの呪文が属している。
• サモニング(Summoning)
  訳語は「召喚」。他の場所や次元から何らかの存在を呼び出し、奉仕させる。召喚された存在には強制的に破壊や攻撃を行わせることが多いため、死や戦争を司る神がアクセスすることが多い。プレイヤーズハンドブックでは17の呪文が属しているが、全て4レベル以上の呪文である。
• サン(Sun)
  訳語は「太陽」。宇宙の根源的な力、光と闇を扱う。自然や農業、生命を司る神が与えることが多いスフィアー。プレイヤーズハンドブックでは6つの呪文が属しており、奇数レベルに散らばっている。
• チャーム(Charm)
  訳語は「魅了」。生物の行動や心理に影響を及ぼす。愛情、美、詐欺、芸術などを司る神が与える。プレイヤーズハンドブックでは10の呪文が属している。異文化や敵対集団と対した時にも有用なため、アクセス可能な神は多い。
• ディビネーション(Divination)
  訳語は「予言」。失われたものを探ったり、知識を与えてくれる。知恵や知識を司る神が与える。プレイヤーズハンドブックでは21の呪文が属しているが、7レベル呪文は無い。
• ネクロマティック(Necromatic)
  訳語は「生命」。生命や四肢、精気を失った者にそれらを再び与える。正呪文、逆呪文共に強力な効果を与えるスフィアー。生命や死を司る神が与えることが多い。プレイヤーズハンドブックでは12の呪文が属している。
• ヒーリング(Healing)
  訳語は「治癒」。負傷や病気を取り除くが、生き返りや喪失した四肢の再生はできない。守護や慈悲深い神が与えるスフィアーで、自然を司る神はマイナーアクセスが普通。プレイヤーズハンドブックでは6つしかない。
• プラント(Plant)
  訳語は「植物」。植物に属するものであれば、雑草からモンスターにまで効果が及ぶ。農業や自然のを司る神がメジャーアクセスとなる。プレイヤーズハンドブックでは23の呪文が属している。
• プロテクション(Protection)
  訳語は「防御」。信仰するプリーストたちを敵対的なものから守るという点では「ガーディアン」に似ているが、より受動的で場所よりも個人を守る。戦争や守護、慈悲や恵みを司る神が与える。プレイヤーズハンドブックでは19の呪文が属している。

追加スフィアー

プレイヤーズハンドブックより後に販売された、未訳のComplete Priest Handbookなどで追加されたスフィアー。

• ウォー(War)
  大規模な戦争に関する恩恵を授けてくれるスフィアー。未訳のサプリメント『バトルシステム』の使用を前提にしており、戦場では他のどのスフィアーよりも強力。
• ウォード(Ward)
  場所や地域などへの侵入を抑止するスフィアー。
• ケイオス(Chaos)
  無作為性や混沌をもたらす。いたずらや運命を司る神が与える。
• ソート(Thought)
  思考や時間、境界といった抽象的な考えや学を求めるスフィアー。精神や知識の神がメジャーアクセスしている。
• タイム(Time)
  時間に関する影響やその経過を司るスフィアー。
• トラベラー(Travelers)
  旅や旅行を司るスフィアー。文字通り、旅や旅人に関する神がメジャーアクセスしている。
• ナンバー(Numbers)
  数と数学の追求により世界の真理や理解を求めるという理論のスフィアー。秘儀や知識の神がもたらす。
• ロー(Law)
  秩序をもたらす。個人よりも集団を重んじる共同体や支配を司る神が与える。