ウォッチメン

Last-modified: 2009-08-26 (水) 12:38:56

ウォッチメン/原作:アラン・ムーア 作画:デイブ・ギボンズ

423 :マロン名無しさん:2009/07/18(土) 17:14:47 ID:gd9XAzKL
DCコミックスのウォッチメン
 第一章~第六章まで

*登場人物
 ・ロールシャッハ(コバックス):違法に活動している唯一のヒーロー
 ・コメディアン(ブレイク):政府公認ヒーロー 太平洋戦争、ベトナム戦争を経験した特殊工作員
 ・Drマンハッタン(ジョン):政府公認ヒーロー 世界ただ一人の“超人” アメリカの切り札
 ・オジマンディアス(ヴェイト):引退し、大企業の社長となったヒーロー
                 世界一の天才であり、肉体を完璧に制御できる
 ・ナイトオウルII世(ダニエル):引退したが、現役時代を忘れられないヒーロー
                 ロールシャッハの元相棒
 ・2代目シルクスペクター(ローリー):初代(母親)に無理やりヒロインにさせられた
                    引退した現在はDrマンハッタンの恋人

*世界観
1930年代に“本物の”ヒーローがあらわれた以外は、まったく現実と同じ世界。
つまりヒーローは基本的にコスチュームを着て鍛えただけの生身の人間。
しかし1950年代に“超人”Drマンハッタンが誕生し、アメリカの力が強大に。
ベトナム戦争に勝利し、ウォーターゲート事件は隠蔽され、ニクソン大統領が現役続行。
結果的にソビエトとの関係は悪化しており、核戦争の危険性はより高まっている。
更に70年代には警察のストライキをきっかけにヒーロー排斥の暴動が発生。
ヒーロー禁止法『キーン条例』が作られ、二人の公認ヒーローを除いて他は違法になってしまった。
そんな世界の1985年、金曜の夜に起きた殺人事件から、全てが始まる。



424 :WATCHMEN:2009/07/18(土) 17:15:44 ID:???
*第一章『真夜中、全てのスパイが……』
1985年、金曜日の夜、ブレイクという男がビルから突き落とされて殺された。
調査に乗り出したロールシャッハは、ブレイク=コメディアンであった事を突き止める。
彼はこれを何者かによる陰謀であると考え、かつての仲間へ警告して回る。
ダニエル「強盗の仕業って線もあるんじゃないかな?」
ヴェイト「彼はナチス並に憎まれていたから、誰が殺してもおかしくはない」
マンハッタン「ソ連の陰謀じゃないか? 人間は死んでも分子構造は変わらないから、些細な問題だ」
ローリー「ブレイクは私の母をレイプしようとしたから死んで当然」
しかし芳しい結果は得られず、ロールシャッハは一人調査続行を決意する。

一方、ロールシャッハの訪問に苛立ちを覚えたローリーは、ダニエルを食事に誘っていた。
ヒーローへの情熱を捨てきれないダニエルは、ロールシャッハの訪問で沈んでおり、これに同意。
しかしヒーロー活動に多くの時間を割いてきた二人の共通の話題は、やはりヒーロー時代の事ばかり。
「ごめんなさいね、最近笑える話が無くって」「そりゃそうさ。コメディアンが死んだんだから……」



425 :WATCHMEN:2009/07/18(土) 17:16:32 ID:???
*第二章『ここにいないダチ公』
エドワード・ブレイク=コメディアンの葬式が開かれるその日、ローリーは母の元を尋ねていた。
既にブレイクの事を許しているという母の言葉にローリーは激昂するが、彼女は寂しげに呟く。
「あれから40年。人生は続くのよ、ハニー。どんな思い出でも、人生を明るく輝かせてくれるのよ……」
1940年代、ヒーローの黄金期。
ミニッツメンの撮影会の直後、彼女はコメディアンにレイプされたのだ。
「そんな侮辱を受けてどうして黙っていられるの、母さん!」
「あんたが世間のイメージを気にするなんてね。水爆と寝てるのに……」

雨の降り続く墓地では、参列していたヴェイト、ダニエル、マンハッタンもまたコメディアンの事を回想していた。
1966年、オジマンディアスが新たにヒーローチームを結成しようとした際に、コメディアンはこう言い放った。
「俺達が戦ったところで何もかわらねぇ。
30年もしないうちに水爆が皆燃やして、残ったオジーが世界一賢い男になれるのさ!」
ベトナム戦争に合衆国が勝利した夜、捨てられた情婦がコメディアンを襲い、
彼が女性を射殺するのをマンハッタンは目撃していた。
「あんたは止められた筈なのに何もしなかった。人間なんて虫けら同然なんだろ? ドク。
くそ、あんたまでおかしくなっちまうなんて……神よ、救いたまえ」
キーン条例制定前夜、ヒーロー排斥の暴動を起こした市民達へ躊躇無く発砲するコメディアン。
あまりの惨状に呆然とするナイトオウル。
「故郷で仕事するのはウォーターゲート以来だ」
「この国は、アメリカンドリームは、どうなってしまったんだ?」
「アメリカンドリーム? こいつがそうさ!」



426 :WATCHMEN:2009/07/18(土) 17:17:18 ID:???
葬式会場から立ち去った一人の老人。
彼が帰宅すると、待ち伏せていたロールシャッハによって襲撃されてしまう。
老人はかつて暗黒街の顔役だった悪漢モーロックだったのだ。
何故そんな人物が宿敵コメディアンの葬式に訪れたりするのか。
「行かなきゃならん気がしたんだ。あの夜……彼がわしの部屋を訪れたものだから……!」
死の直前、コメディアンはモーロックの部屋を訪れ、「ある島で目撃したもの」のせいで泣き崩れたのだという。
「俺はひでぇマネばかりしたさ。
だが、俺はあんなマネだけは……聖母様、お許しください、お許しください。
……何がおかしいんだ、わからねぇ、わからねぇよ……誰か、教えてくれよ!」

――こんなジョークがある。一人の男が精神科医を尋ねてこう言った。「人生に希望が持てないんです」
「それなら有名なピエロのパリアッチのショーを見なさい。明るくなりますよ」
すると男は突然泣き崩れた。「私がパリアッチなんです!」
上出来のジョーク。ドラムロール、そしてカーテン。
かつての宿敵以外誰も花をたむけないブレイクの墓前に立ったロールシャッハは、彼の仇討ちを決意するのだった。



427 :WATCHMEN:2009/07/18(土) 17:18:05 ID:???
*第三章『世をあまねく裁かるる御身』
一方その頃、人々の関心は今夜の番組にDrマンハッタンが生出演する事だった。
しかしローリーは、自分とベッドを共にしている間も分身して平行で研究を進めていたと知って激昂、彼に別れを告げる。
またかつてDrマンハッタンことジョンの恋人であった女性は病身でありながら新聞社のインタビューを受け、彼を辛らつに罵った。
「彼はなんでも知っているような顔をしているけど、人間の事はわかっていない。
私が死んだって、彼は哀しまないわ」
そして生放送の最中。
Drマンハッタンに関与していた人物百名以上が、重度のガンを患っているという事実が突きつけられる。
かつての親友、かつての恋人、そして幾度と無く対決した悪漢モーロック、それらがガンになった原因はDrマンハッタンにあるというのだ。
口々に罵られ、吊し上げられるという酷く猥雑な状況から逃れるべく、Drマンハッタンは火星へとテレポートしてしまう。

同時刻、ヒーロー活動を嫌っているのに頼れる友人はヒーローしかいないと泣きながら、ローリーはダニエルの家を訪ねていた。
彼女を落ち着かせようと、初代ナイトオウルとの思い出話に誘うダニエルだったが、
その途中でチンピラ達に襲撃を受けてしまう。
往年の活躍がある為、そこらの不良に負けるような二人ではなかったが……戦い終わった後、心地よい高揚感に浸っている事に気付くのだった。

そして状況は刻一刻と悪化しつつあった。アメリカ防衛の切り札であったDrマンハッタンが消失した事で、ソビエト連邦はアフガン侵攻を決意。
アメリカ合衆国への攻撃される可能性も高く、ニクソン大統領は一週間が経過してもDrマンハッタンが戻らぬ場合は先制攻撃すると宣言する。
全面核戦争――世界の滅亡は、時間の問題となりつつあったのだ。



428 :WATCHMEN:2009/07/18(土) 17:19:20 ID:???
*第四章『時計職人』
火星へとテレポートしたDrマンハッタンは、自分の今までの人生を振り返っていた。
平凡な時計職人の息子として生まれたジョン・オスターマンは、父親の教育方針から原子力科学者への道を歩む。
最新鋭の研究施設で得た親友、恋人、恩師との素晴らしい日々。
だが、不幸な事故がオスターマンから全てを奪った。
放射線実験の事故によって肉体が原子レベルにまで分解され、しかし再構築に成功した彼は世界唯一の『超人』になってしまったのだ。
実在したスーパーマン、合衆国防衛の要、あらゆる原子を分解再構築できる超人、Drマンハッタン。
しかし彼の過去、未来、現在の全ての時間軸が入り乱れ、同時に目の前に現れる「量子学的認識」を
理解してくれる人物はおらず、恋人とも疎遠になり、友人はおらず、ヒーロー達も彼を受け入れてはくれず、
新たな恋人であるローリーからも拒絶されてしまった。
またその認識故に、彼が徐々に人間性を喪失し――最後の騒動で、もはや人類にも愛想が尽きた事を自覚する。
Drマンハッタンは火星の砂を用いて巨大なガラスの城――時計を作り、そこから火星へと降り注ぐ流星群を眺めるのであった。



430 :WATCHMEN:2009/07/18(土) 17:24:53 ID:???
*第五章『恐怖の対象形』
一人、孤独に調査を継続していたロールシャッハ。
彼は再度モーロックを訪問し、様々な情報を整理していくが進展はみられない。
コメディアンが画家や芸術家の集まっている島で見たものとは何か。ガン疑惑者のリストを作ったものは誰なのか。
傷心のローリーに家へ泊まるようダニエルが誘っているのを見て、彼女が事件を仕組んだのかとまで疑うようになる。
街を行くのは退廃に浸りきった屑どもばかり。誰かが何とかしなければならないのだと、ロールシャッハは呟く。

一方その頃、ヴェイトもまた危機的状況に陥っていた。会議の為に社長室を出たところを暗殺者によって襲撃されたのだ。
だがオジマンディアスとしての腕前は鈍っておらず、秘書を殺害されるものの、みごと撃退。しかし暗殺者には自害されてしまう。
 
この事件を知ったロールシャッハは、同時に送られてきたモーロックからの協力要請を関連付ける。
しかし約束の時刻にモーロック宅を訪れたロールシャッハを待ち受けていたのは、眉間に銃弾を受けた彼の死骸。
ハメられた事に気付くも、既に警察はモーロックのアパートを完全に包囲している。降伏? そんな事をするわけもない。
果敢に反撃を試み、幾人もの警官を叩きのめしていくロールシャッハ。だが多勢に無勢。やがて路上に押さえ込まれ、マスクを剥がされてしまう。 
「俺の顔をかえせぇっ!!」 現れたのは、今まで幾度と無く物語の片隅に登場していた、小汚い赤毛の醜男だった。
 彼を連行しながら警察は呟く。「因果って奴だな。物事の帳尻はいつか必ず……合うことになってるんだ」



431 :WATCHMEN:2009/07/18(土) 17:25:48 ID:???
*第六章『深淵もまた見つめる』
「このカードは何に見える?」「綺麗なチョウチョ」「じゃあこれは?」「花束」
ロールシャッハこと本名ウォルター・コバックスの診察を担当した精神科医。
彼から突きつけられたカードの模様に、コバックスは過去の記憶を呼び覚まされる。
――頭の割れた犬。 そして寝室で交わる娼婦の母と、客の男の姿。 母に虐待される自分。
囚人達からは罵られ、時として襲撃も受ける。刑務所の中でコバックスは孤立無援だった。
やがて彼は、精神科医に対してロールシャッハの誕生経緯を告白しはじめる。

不良を返り討ちにし、一人を失明させた事から虐待の事実が発覚し、施設へ引き取られたコバックス。
施設を出た後は服飾工場で働きだし、白と黒の模様が流動し続けるという特殊なドレスを製作する。
しかし注文した女性はレイプされて殺されてしまい、衆人環視の中であったにも関わらず誰も彼女を助けなかった。
その事実を知ったコバックスは、ドレスをマスクへ改造。ロールシャッハとなって犯罪社会と戦い始める。
「なるほど、だけどその事件だけで人間がみんな腐っていると判断するのはどうかな? いい人だっているよ」
「あんたみたいに? 心の中では自分が善人だと思ってるんだろう? なら他の患者も診ろよ。
そうしないのは……俺が有名だからだろ」

精神科医はプライベートでは幸福な生活を送っていた。愛しい妻。大切な友人達。
しかしコバックスの診察にのめり込むにつれて、その環境にも亀裂が入り始める。
それが決定的になったのは――全てを聞いた日の夜だった。



442 :WATCHMEN:2009/07/23(木) 02:12:16 ID:???
第六章~第十章まで いよいよクライマックス

*第六章『深淵もまた見つめる』後半
「あの時までは、ロールシャッハになったと思い込んでいたコバックスだった」
そう呟くコバックスは、ロールシャッハ誕生の瞬間を精神科医に告白する。

キーン条例制定直前に発生した少女誘拐事件。幼い子供が怯えている事に我慢できず、彼は単独で介入した。
しかし犯人の拠点に踏み込んだコバックスは、忌まわしい光景を目の当たりにする事になる。
燃やされた子供の下着。使い込まれた肉切り包丁。
真新しい傷跡のある俎板。窓についた血痕。骨を取り合う二匹の番犬。
――犯人は幼い女の子を殺し、解体し、犬の餌にしていたのだ。
その時、マスクの内側で「母ちゃん」と呻いて眼を閉じたのは、コバックスだった。
だが――次に眼を開いた時、彼は“ロールシャッハ”だった。

包丁で犬の頭を叩き割り、その死骸を犯人に叩きつけて拘束すると、彼は油を撒いて火を放った。
人間の燃える煙が昇って行く先に、神はいない。冷たい真空が続くだけ。世界は無意味で、我々は孤独だ。
「この最低の世界を作ったのは形而学的な超越力なんかじゃない。
少女を殺したのは神じゃないし、その死体を犬に食わせたのも運命じゃない」
「俺達だ。……すべて、俺達なんだ」

――そして妻が去り、一人家に取り残された精神科医はカードの模様を眺めていた。
猫の死体と蛆虫に見えるのだ。
だが真に恐ろしいのは、それが無意味なインクの染みに過ぎないと言う事実。我々は孤独。それだけだ。



443 :WATCHMEN:2009/07/23(木) 02:14:46 ID:???
*第七章『ドラゴンの兄弟』
ナイトオウルの秘密基地へ偶然迷い込んだローリーは、ダンからかつての思い出話を聞かされる。
ヒーローに憧れ、正義の為に戦いたくて装備を揃え、ヒーローとして華々しく戦い、しかし引退に追い込まれてしまったという過去。
もう吹っ切った。ヒーローなんてバカみたいな子供の夢だ。だが世界情勢は悪化しているのに何もできない。様々な恐怖に襲われているというダン。
「あなたはね、真面目すぎるのよ」そう呟き、ローリーはダンにキスをし、
交わろうとするが――ダンは不能だったのだ。
その後、悪夢を見て眼が覚めたダンは、一人で秘密基地へと降りてコスチュームを着ようとしていたところを、ローリーに見つかってしまう。
「馬鹿な中年のタワゴトだね……」
「あら、良いじゃない。忘れたの? 私だって、深夜に出歩いて馬鹿な真似をするのには慣れているわ」
――長い間、埃を被っていた特殊飛行船オウルシップが、再び夜空へと飛び立った。
アパートで火災が発生し、多くの住人が取り残されているのを見つけた二人は、果敢に飛び込んで全員を助け出す事に成功する。
往年のヒーロー活動時、そして先日不良を叩きのめした後と同じ高揚感に襲われた二人は、飛行船の中で再び愛を交わす。今度は、しっかりと。
「コスチュームを着ると、火がついたように自信が沸いてきて、ヒーロー狩りも世界大戦も解決できそうな気がしてきたよ」
そして彼は仲間への義務を果たすべく、ロールシャッハを脱獄させる事を決意する。
――ナイトオウルが、復活したのだ。



444 :WATCHMEN:2009/07/23(木) 02:20:51 ID:???
*第八章『古き亡霊』
10月31日、ハロウィン。
初代ナイトオウルことホリス・メイソンは、初代シルクスペクター……サリーの母親へと電話をしていた。
「私の後継者と君の娘がヒーロー活動に復帰したようだよ」
「やっと子供時代に受けさせた教育に感謝してくれるわ」

ナイトオウルが復活した事を悟った警官がダンの自宅をたずね、釘を刺していく。
「今の人、どうしたの?」「時間切れが近いって意味さ」
そして刑務所では、かつてロールシャッハによって叩きのめされたギャング、ビッグフィギュアの復讐が進行していた。
囚人達の暴動に乗じて牢屋を脱出したビッグフィギュアは、二人の部下を伴ってコバックスを襲撃する。
だが――其処にいたのはコバックスではなかった。
其処にいるのは、たとえマスクをしていなくても『ロールシャッハ』なのだ。
「1対0、そっちの番だ」「2対0、お前の番だ」
瞬く間に二人の部下を抹殺したロールシャッハは、逃げ出したフィギュアを追って悠々と牢屋から歩み出る。

時を同じくして、ナイトオウル達も刑務所に到着していた。
暴れる囚人を蹴散らし、ロールシャッハの元へとたどり着く。
「ロールシャッハか? どうした、何か用事でも?」「いや、悪いが便所に行かなければならん」
――トイレの中から聞こえる奇妙な音。そして何時までも流れ続ける水の音。
ゆっくりとトイレから出てくるロールシャッハ。
「慌てて動いて、頭から厄介ごとに飛び込むのはごめんよ!」
「ふむ。良い台詞だ。誰もが賛成するだろうな」
三人が立ち去った後には、ドアの下から流れ出た血溜りが徐々に広がりつつあった…………。

――ホリス・メイソンの身を不幸が襲ったのは、その直後だった。
ロールシャッハを『梟の格好をした男』が脱獄させたと知った不良達は、それを初代ナイトオウルと勘違いして襲撃してきたのだ。
果敢に立ち向かうメイソンだったが、もはや老齢の彼では激昂したジャンキーどもに歯が立つわけもない。
走馬灯のように過去の記憶が脳裏をよぎる。悪漢達と戦い、左フックで叩きのめしてきた栄光の日々。そして不良に叩きのめされている現在。
床に転がされ、呆然と見上げたメイソンの視界に飛び込んできたのは、不良によって振り上げられる引退記念に贈られた銅像だった。
それが彼の頭を無残に砕き――全てが終わった。



446 :WATCHMEN:2009/07/23(木) 02:25:51 ID:???
*第九章『単に存在することの暗黒』
脱獄を成功させ、一旦ダンの家に戻ったシルクスペクターを待ち受けていたのは、火星からテレポートしてきたDrマンハッタンであった。
彼は『彼女が自分を説得することになっているから』シルクスペクターを伴い、再び火星へとテレポートする。
「私が君を理解していないように、君も私の感覚を理解していない。君の一番古い記憶はなにかね?」「そうね、両親が分かれた頃の記憶かな……」
そしてローリーは、自分の過去の記憶を辿り、その時のことを思い返していく。

父と母の口論。父は自分の本当の父親ではなかったこと。
「罵ったら、彼は驚いていたのよ。なぜ恨まれるのかわからないみたいで。怒りが萎えてきて……」
コメディアンと初めて会った時のこと。激昂する母の姿。
「口も聞いちゃいけねぇのかよ。自分の……その……昔の友達の娘とよ?」
彼が母をレイプした事を知った後、再びあった時のこと。
「惚れた女に暴力を強要するなんて!」「一度だけだ」そして酒をぶちまけたこと。

そういった彼女の絶望や悲しみといった感情を、しかしDrマンハッタンは否定する。
「人の一生にオリンポス山に比肩しうる高みがあるかね?」
その態度に、ローリーは彼の説得を諦める。
そして地球へと自分を送り返すように要求するが――次々に、脳裏へとかつての記憶が浮かび上がる。
『友達の娘』『自分の……その……』『一度だけだ』『怒りが萎えてきて』『自分の……』『……娘とよ?』
「ちがぁぁぁぁぁぁうッ!!」
――――ローリーの父親は、彼女が心底憎んでおり、そして既に死んでしまった……コメディアンだったのだ。



447 :WATCHMEN:2009/07/23(木) 02:29:13 ID:???
なんて無意味で無価値な人生なのだろう。存在自体が最悪のジョークだ。母も、自分も……お笑い種だ。
そう言って泣き崩れるローリーに、しかしDrマンハッタンは呟く。
「いや、私は君の人生が無意味だとは思わない」
遥か昔から、人類は交配を繰り返してきた。一つの卵子に対して数億の精子が放たれ、その度に適切な子孫が生まれ、繁殖適齢期まで生き延びてきた。
その果てに生まれたローリーの母親は、憎んでも憎みきれない筈の男を愛し、ただ一度だけ交配し、その結果として彼女が生まれた。
これは酸素が自然に金に変わるほどの、天文学的に低い確率でしか発生しないだろう――『熱力学的奇跡』なのだと。
「でも、もしも私の誕生が熱力学的奇跡なら――地球の全人類が残らず、奇跡的存在なんじゃないの?」
「そうだ。地球上のあらゆる人間が奇跡だ。だからローリー、涙を拭いて……地球へ帰ろう」



448 :WATCHMEN:2009/07/23(木) 02:32:42 ID:???
*第十章『二人の乗り手が迫る』
脱獄したロールシャッハとナイトオウルは、警察の追っ手を交わし、調査を再開させていた。
まずはロールシャッハのアパートを訪れ、予備のコスチュームとマスク、そして日記を回収する。
だが全面核戦争の可能性は迫りつつある。時間は殆ど無い。急がなければならない。

コメディアンは何かの島の話と、Drマンハッタンを陰謀に陥れる計画の話をしていた。
またジョンの“犠牲”になったという人物は全員、かつて同じ『次元開発社』に雇われていた事もわかった。
これはヒーロー狩りではない。何らかの計画が先にあって、それを知ったせいでコメディアンが殺されたのでは?
恐らくモーロックの部屋は盗聴されていた。だから告白したコメディアンも、介入したロールシャッハも陥れられたのだ。
問題はヴェイト――オジマンディアス。彼だけは単純に、殺し屋を雇っての暗殺だった。
「だからバーで屑どもを締め上げて殺し屋の足取りを追う。お前は怠け過ぎた。仕事の段取りも忘れたか」
「怠けすぎ? 何様のつもりだ! 君が人を侮辱しても何も言わないのは、みんな君が狂人だと思っているからだ!」
「…………………」「僕は……その……すまない。ロールシャッハ。言い過ぎた……」
「………ダニエル」「……?」「お前は、いい友人だ。わかっている……すまん。苦労をかけるな」
「いや、その……すまない、忘れてくれ。良いんだ。君のやり方でやろう」

酒場を訪問し、二人は悪党どもを締め上げていく。手馴れた様子で、澱み無く。
殺し屋に依頼の仲介をしたのは、『ピラミッド宅配会社』だという事が発覚。
だが、それと同時に――ナイトオウルは、ホリス・メイソンが殺されたという事実も知ってしまう。
「犯人に言っておけ、必ず殺してやる! 私がどんな武器を持っているか知っているな!?」
「よせ、一般人の前だ」
「まさか、ホリスが……くそ、畜生、畜生……!」
「…………正体不明のギャングが彼を殺した。ヒーロー狩りかもしれん」
「知るもんか! 今は推理なんか聞きたくない!」
「ヒーロー狩りの黒幕を倒せば、仇が討てると言いたかっただけだ。慰めようと思って」
「慰めるだって? こんなときに慰めなんて……ああ、そうか、悪かった。ロールシャッハ、ありがとう」

~450 :WATCHMEN:2009/07/23(木) 02:35:34 ID:???
二人が次に向かったのは、ヴェイト社の社長室。
資金の流れを追うことで犯人を突き止められるかもしれない。
そして、人類最高の天才の頭脳を借りる事ができれば……。
だが、其処には誰もいなかった。
普段は明け方までいるにも関わらず、今日のヴェイトは南極の秘密基地カルナックに向かったようだ。
彼に相談することは諦めて、ヴェイトの保有するコンピューターや資料を使っての調査を開始する二人。
だが、その結果――驚くべき事実が明らかになった。
ピラミッド社も、次元開発社も全部――巧妙に隠蔽されていたが――彼の所有する企業だったのだ!

『ロールシャッハ記 最終章 ヴェイトか……考えうる限り最悪の敵だ。
 奴なら素手で銃弾を止めても不思議ではない。
 俺達はこのまま極寒の地で果てるかもしれない。
 今からこれを信頼できる唯一の報道機関に郵送する。黒幕はヴェイトだ。
 俺自身には悔いは無い。妥協を許さず、良い人生を送った。喜んで暗黒に脚を踏み入れる事にしよう――』

そして極寒の南極を駆け抜けるロールシャッハ、ナイトオウルの姿を眺め、オジマンディアスはゆったりと待ち受けるのだった……。

*今回は此処まで 残りはラストの第十一章、第十二章。
本当は章の合間に入ってる作中内資料とかも書きたいし、色々省いてるが
まあ、このあらすじ見て原作なり映画なりに触れてくれる人が増えると信じて



497 :WATCHMEN:2009/08/08(土) 17:46:05 ID:???
*第十一章『神よ見よ、我が業を』
極寒の地、南極。ヴェイトの基地を目指して直走るロールシャッハとナイトオウル。
「どうにも腑に落ちないな。社長室の書類を読む限り、楽観的でこそないもののヴェイトは未来の計画を練っていた。
人類を滅ぼそうとしている者の発想じゃない。
それに今まで人を殺した事もない男が、どうして世界を滅ぼそうなんて」
「ふん、気でも狂ったんだろ」
「問題はそこさ。世界一利口な男の精神が異常かどうかなんて、誰に判断できるというんだ?」

一方、ヴェイトはある装置のスイッチを入れると「祝杯をあげよう」と告げて、部下をドームへと呼び出した。
酒を振舞い、ガラスの向こうの雪嵐を眺めながら、彼は己の過去を振り返り、語り始める。。
幼い頃から自分が人並み外れた知能を持ち、それ故に自分の歩く道を決定したこと。
両親の遺産をすべて処分し、唯一尊敬できる男アレキサンダー大王の足跡を辿ってアジアを旅したこと。
しかしやがて、アレキサンダーもまた最終的には失敗した事実に気がついたこと。
やがてエジプト最大の英雄にしてファラオ、ラムセス2世――オジマンディアスと自分を同一視するに至ったこと。
そして人々の心の内に潜む悪を征服するため、ヒーローとしての戦いを始めたことを……。
「そして、その戦いに終止符を打つ時がきた。諸君のお陰だ。それにこのような形で報いねばならないとは……」
だが、部下たちの反応は無い。――彼らは既に、酒に混ぜられた毒によって死んでいたのだ。


498 :マロン名無しさん:2009/08/08(土) 17:46:51 ID:???
深夜、ニューヨークの街角。人気バンド『ペイルフォース』のライブ当日、人々が会場へと向かっている。
路上で新聞の売店を営んでいる男は、馴染みの客や、通りすがりの女性とたわいもない会話をしていた。
不仲になった恋人と話したいという女性、精神科医の夫を探しているという妻……。
だが、新聞売りの顔色は悪い。多くの記事を同時に読める彼は、戦争と滅亡が近づいている事に気がついていたのだ。
思わず、いつもコミックを立ち読みにしに来ている少年に愚痴を零してしまう。
「おめぇだって何週間も前からここにいるが、まともに話もしねぇ」
「話したって意味ないだろ。だから漫画読んでるんだよ」
「意味が無くはねぇさ。女房が死ぬと友達が減ってな……だから人と話したくて、この仕事を――お前、名前は?」
「名前はバーニィ。母ちゃんが仕事で、姉ちゃんも家にゃいねぇから、暇つぶしにきてるんだ」
「バーニィ? バーナードかい? こいつぁたまげた、俺と同じ名前だ!」
「別に珍しくもないだろ、バーナードなんて名前は」「そりゃそうだが……おい待て、ありゃあ喧嘩か?」



499 :マロン名無しさん:2009/08/08(土) 17:47:44 ID:???
ついにヴェイトとの対決に臨む、ロールシャッハとナイトオウル。
だが、人類最高の天才、最強のクライムファイターを相手に、二人掛かりでもまるで歯が立たない。
軽々とかつての仲間を叩きのめしたヴェイトは自信たっぷりに、自らの計画を打ち明ける。
――コメディアンとの因縁。最初の対決で敗北したこと。
――コメディアンとの因縁。犯罪者を殴ったところで、核戦争で世界が滅びること。
――人類を救う義務感。人類最高の天才である自分にしかできないこと。
――現代のゴルディアスの結び目。疑心暗鬼にかられた東西両陣営による核軍備の増強。
――ヴェイトは計画した。

1.あまりにも強力かつ予測不能、そして核戦争の危機を煽っているDrマンハッタンを排除する。
彼と過去に交友のあった人物に放射線を浴びせ、それによって社会的に孤立させた。
2.キーン条例制定以前に引退し、財産を築き、技術を確保していく。
遺伝子工学の発展と、Drマンハッタンの所持していたテレポート技術の再現。
3.絶海の孤島に絵描きや小説家、科学者を集め、怪物を作る。
その根幹には若くして死亡した超能力者の脳を用いる。

これらの計画を知ってしまった為、コメディアンは暗殺されたのだ。ヴェイトの手によって。
そしてヒーロー狩りという誤った推理を加速させるために自分の暗殺事件を偽装し、ロールシャッハも排除した。

「ジョン無しで行うテレポートには欠点があった。生物を送り込むと爆発して死んでしまうんだ。
 怪物はニューヨークへ転送されると同時に爆死し、超能力者の脳が精神的な衝撃波を放って市民を殺す。
 その余波は地球中を襲い、さまざまな芸術家の生み出した異次元の光景を人々に叩き込むだろう。
 この明確な、そして恐るべき第三の脅威を前にすれば、国家間の戦争は終結せざるをえない。
 ――民衆は大きな嘘ほど鵜呑みにしやすい。ヒトラーの名言だよ」
「エイドリアン……残念だが、君には治療が必要だよ。ともかく、大惨事の前に阻止できて良かった」
「ダン、私は昔の漫画本の悪役ではないんだ。妨害される可能性が少しでもあるなら、計画を明かすと思うかね?」
「?」

「35分前に実行したよ」



500 :WATCHMEN:2009/08/08(土) 18:00:43 ID:???
*第12章『より強き愛の世界』
地球へと転移したDrマンハッタンと、ローリー。
二人の前に広がっていたのは……血を撒き散らして発狂死している、ニューヨーク市民たち。
そして、街の中心に鎮座している……巨大な――巨大な『イカ』だった。

「タンドリーチキンを……この人たちはただ、タンドリーチキンを食べにきただけなのに……どうして……」
「待ってくれ、考えてみよう。南極からの波を辿るべきだな。
タキオンを発生させた者が大量死を招いた可能性が高い」
「ジョン、私は今すぐ、この人たちと……怪物から……離れたいのよ!」
「すまない、気がつかなかった。この光景は君には苦痛だろう……」

混乱しているのか、思わず倒れていた刑事の拳銃を手に取るローリー。
そして青い閃光が二人を包み込み、次の瞬間、南極へテレポートしていた。

Drマンハッタンの襲撃に気がついたヴェイトは、タキオンによって彼の『量子力学的認識』を混乱させつつ、
徐々に徐々に研究施設の奥へとおびき寄せていく。そして、其処に待ち受けていた装置を起動した。
――次の瞬間、全身の細胞を原子レベルにまで分解され、Drマンハッタンの肉体が散り散りに吹き飛んだ。

「ふぅ、この手が通じるという確信は無かったが、タキオンでなければ奇襲を仕掛ける事もできなかったか……」
「ヴェイト……」「うん?」「地獄に堕ちろ、くそったれ!!」
ローリーの銃撃を受け、研究所の床へと倒れこむヴェイト。だが――彼は死んでなどいなかった。
“弾丸を素手で受け止めた”ヴェイトの反撃を受け、逆に叩きのめされるローリー。
「この外道が! もし彼女を傷つけたら――」
「ああ、ダニエル、頼むよ。頼むから……大人になりたまえ」



501 :マロン名無しさん:2009/08/08(土) 18:01:41 ID:???
激昂するナイトオウルを、子供をたしなめるように制するヴェイト。
もはや彼の勝利は揺らがない。その筈だった。
――青く光る巨大な手が、ヴェイトを襲うまでは。
「失望したぞヴェイト。君には深く失望した……。
 分解された肉体を再構成する方法は、大昔に学んだのだ。
 ジョン・オスターマンが死ななかったのに……私が死ぬと本当に思ったのかね?」
地面をはいつくばったヴェイトは、慌てて手にしたリモコンを操作する。
「……また何か別の最終兵器かね?」「ああ、そう言っても良いだろう」

それはTVのリモコンだった。
『死者は数百万人に』『異星生物の攻撃でしょうか』『人類全体の脅威であると』
『アフガニスタンからの撤退を約束』『人類同士の対立を捨て』『停戦が実現』
『またジュネーブでは緊急サミットを』『戦争は終結』

「やった……やったぞぉっ!! 人類を滅亡から救ったんだ! 次はユートピアへと導いてみせる!」

――コメディアンさえ笑えなかった、人類史上最悪のジョーク。
オジマンディアスが、現代のゴルディアスの結び目を切るために用意した存在。
あの『イカ』によって、人類は救われてしまったのだ。

その事実を、その場にいる者すべてが理解していた。
核戦争を防ぐには――人類を救うには、口を紡ぐしかないのだ。
ヴェイトが殺されても、誰かが真実を口にしても、事件は捜査され――
――すべてが明るみになれば、再び最終戦争が始まり、人類は滅ぶ。
妥協せざるをえない。誰もがそう思った。

「笑わせるな」

「たとえ世界が滅んでも…………絶対に、妥協はしない」

今まで沈黙を保ってきた、ロールシャッハ以外は。



502 :WATCHMEN:2009/08/08(土) 18:07:41 ID:???
――たった一人、雪原へと歩き出した彼を待ち受けていたのは、Drマンハッタンだった。
「ふん。いまさら人間愛が芽生えたか。都合の良い話だ。
 ヴェイトの創った世界を守るんだろう? いまさら一つぐらい死体が増えても同じことだ・
 どうした? 何を待っている? ――やれよ」
そうつぶやきながら、ロールシャッハはマスクを脱いでいく。
露になる、コバックスとしての素顔。
今まで決して感情を見せず、表情を変えなかった男が、泣きながら叫んだ。

「殺せ!!」

Drマンハッタンは、彼を殺した。

――ヴェイトの瞑想室。
座禅を組み、神経を集中させていたヴェイトの前に、Drマンハッタンが現れた。
「ふむ。あれが彼の知性の限界か。一種の現実逃避かもしれないな……。
 ああ、君と話したいと思っていたんだ。……君なら理解してくれるだろう、ロールシャッハと違って」
「ロールシャッハの事なら、心配あるまい。そして君の主張は理解できるとも。賛成も反対もしないがね。
 私はもう人類に関心がない。だが興味はある。銀河を離れ、違う世界で創造してみようと思う」
「待ってくれ、その前に答えてくれ。私のしたことは正しかったんだな? 最後には――」
「最後? 何事にも最後などありはしない」

そして……世界唯一の超人、神に等しい男、Drマンハッタン――ジョン・オスターマンは、永久に地球を去った。



503 :WATCHMEN:2009/08/08(土) 18:15:17 ID:???
――そして、世界に平和がもたらされた。

ダン・ローリー夫妻は、カリフォルニア保養地の初代シルクスペクターをたずねる。
「ママ、本当の父親が誰かわかったわ」「えっ……ああ、そんな……ごめんなさいね……」
「ママ、いいのよ、もう。人生にはいろいろ奇妙なことがあって、みんな奇妙なことをするのよね。
 中には人に言えないことだってある……ママ、愛しているわ。謝ることなんてないのよ」
――二人が立ち去った後、初代シルクスペクター、サリー・ジュスピツェクは……
涙を流しながら、愛していた男、コメディアン、エドワード・ブレイクの写真へとキスをした。

「ね、これで良かったろ? ところで、さっきお母さんも言ってたけど……」
「赤ちゃん? まだよ、あなたが戦ってる間、家でオムツを替えるのはお断り」
「ナイトオウルとシルクスペクターのコンビか」
「シルクなんて弱そうね。革でマスクのついたコスチューム……それに銃も!」

――ニューヨーク
 
『ニューフロンティアーズマン』編集部は、相変わらずゴタゴタ続きだった。
政府の方針でソ連を中傷するような記事はかけなくなってしまい、紙面に穴が開いているのだ。
何とかして穴埋め記事をでっちあげなければならないと、ノロマな編集員が頭を悩ませていた。
後ろからは上司の激が飛ぶ。一刻も早く何かしらでっちあげなければ。
「ロバート・レッドフォードが大統領選に出馬表明した話題とか……」
「報道機関を侮辱するな! カウボーイ役者をホワイトハウスに送る話など論外だ!」
「ええと、じゃあ、読者投稿のファイルから見繕ってみます」
「ああもう、何でもいい、せめて悲惨な人生のなかで一度くらい意味のある仕事をしてみせろ!」
シーモアの手が、見覚えのある日記帳へと伸ばされていき、そして――

「全部お前に任せるからな!!」
 
 
――――WATCHMEN The END



505 :WATCHMEN:2009/08/08(土) 18:33:11 ID:???
というわけで、ウォッチメンについてはこれで完結です。

正直なところ、『傑作小説』としても紹介されるこの作品ですが、
とうてい文章では表現不可能な領域の話(1コマ1コマの情報量がすさまじい)ので
できれば原作コミック、それが難しければ映画(9月DVD発売です)を見ていただければ。
作中内資料とか見所というか読み所満載ですし。値段相応の価値はあるかと。
ともあれ、これで興味をもっていただける人が一人でも増えてくれれば幸いです。

月面にニクソンのサインがあることを思うと憂鬱にもなるけれど、
火星の表面に本当にスマイリーがあったというのは、なんだか元気が出る話です。

笑顔を忘れずに。



504 :マロン名無しさん:2009/08/08(土) 18:29:27 ID:???
WATCHMEN、超乙。最後まで楽しく読ませてもらった。
映画はDVDまで待つが、原作は日本でも買えるのか? 翻訳版出てる?



506 :マロン名無しさん:2009/08/08(土) 18:35:23 ID:???
>>504
はい、原作は翻訳されて発売されています。
映画化と同時に再版になりまして、カバー+設定資料付というなかなか豪華な。
3400円とちょっと高いですが、これでも旧版より安くなっているので。
特設サイトで翻訳者の方が解説を書いているので、それもよければ見てください。

探せば旧版もあるのでしょうけど、絶版だったので高価という。
(まあ、解説は充実しているのですけどね、どうにもこうにも)